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さりげなく恥辱まみれ
さりげなく恥辱まみれ・・・その16
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いや~・・・やる気満々とか、はっきりと、しかも、真顔で言われましても・・・
やる気満々のカテゴリーといいますか、種類といいますか、スポーツじゃないんだから。
「でも、これって気取ってる社会だから味わえる媚薬であり刺激なんですよね!」
「気取ってる社会?」
「そそっ!だから、美奈子さんここにいるんですよ!」
「う~ん・・・なぜか、否定出来ないような・・・」
「世間じゃ勝ち組だの負け組だのってくだらない評価に座布団敷かれちゃって。んでもって、10枚敷かれたらおつむをツンって押されて後ろにひっくり返されて、それをみんなで見ながら笑い転げてやがんの!」
「えっ・・・?」
「あっ!あら、まあ、どうしましょ!ちょっと、はしたなかったかしら?」
「いえ、ただ、ちょっとびっくりしたといいますか・・・」
美奈子は、びっくりしたというより、瞬間ではあるが、背筋に寒気が走った。
それと同時に、今、美奈子の目の前にいるあやねよりも、あやねが言ったあの人・・・
あの人とはいったい・・・そんな感情が頭の中を薄い霧が吹き抜けていくのを感じていた。
「あの・・・先程も言ってましたあの人というのは・・・」
「幼くして両親を失った・・・信じていた人に裏切られた・・・人には知られたくない悲惨な出来事を経験した・・・他にも色々あるけど。そんな過去を持つ人だけが辿り着ける何も見えない何も聞こえない何も感じられない暗く深い海の底にある孤独という名の悲しみ」
「えっ・・・?」
「でもね、両親がちゃんとそろっていて、優しい家族、優しい友達に囲まれているからって、その場所へたどり着かないとは言えないんですよ。違います?」
なんなの、この子は・・・いったい・・・?
なぜ、そんな事まで分かるの?
普通なら、言い難い悲しみの過去に囚われている自分の記憶から抜け出そうとはしないで
自分は特別、自分だけは特別、自分にしか分からない悲しみなのだと言い聞かせてしまう。
でも、この子は、何かが違う・・・
きっと、この子を変えたのは、この子が言う・・・あの人。
「ふふっ・・・今はまだ、そんなに気にしなくてもいんですよ」
「えっ・・・?」
「きっと、美奈子さんは、近いうちに冴ちゃんに会う事になると思うので」
「冴ちゃんって、先程、言ってました冴子さんという方に?」
「ええ、きっとね!美奈子さんって、どこか冷めているでしょ?」
「冷めてるっていうのは?」
「うんと、それじゃ、言い方を変えてみましょう!美奈子さんは自分の親や兄弟に対して、何の感情も持っていないんじゃないですか?」
「えっ・・・?」
「悪い意味ではなくて、初めから自分の親なのだという普通の人が普通に当たり前に持っている感情。その当たり前の感情が無い。違います?」
「う~ん・・・どうでしょう?あまり考えた事がないので・・・」
・・・考えた事がない・・・いや、それは違う。
指し障りのない言葉で返してみる美奈子であったが、内心は少し穏やかではなかった。
「それでは、もうちょっと違う言葉を使ってみますね。うんと、美奈子さんにとって親も兄弟も、家族としてではなく、ひとりの人間として見えているんじゃないですか?友達や知り合いなどと同じように見えている。違います?」
「すみません、少し驚いているといいますか、信じられないといいますか、上手く表現が出来ないのですが、でも、どうして、あやねさんにはそれが分かるんですか?」
「この子たちが動いているのが見えたから・・・かな?」
「えっ?それって、いったい、どういう意味なんでしょうか?」
「ふふっ・・・。意味というより、その答えは、冴ちゃんに会うときっと見つかると思いますよ」
「冴子さんに・・・ですか?」
「ま、ま、これも、話すと長くなってしまうので、とりあえずその辺で遊んでてもらいましょう!」
「ふふっ・・・。あやねさんって、面白い表現をするんですね」
何かしらの意図があるのかも?
先程からのあやねの言葉の使い方に、美奈子はそんな風に思ったので、今は、あやねの言葉に素直に従ってみようと思った。
「それでは洋服を脱いでみます?」
「えっ?」
「だから、こっちの洋服を着てみないとサイズが合うかどうか分からないですよ?」
「えっ?今ですか?」
やる気満々のカテゴリーといいますか、種類といいますか、スポーツじゃないんだから。
「でも、これって気取ってる社会だから味わえる媚薬であり刺激なんですよね!」
「気取ってる社会?」
「そそっ!だから、美奈子さんここにいるんですよ!」
「う~ん・・・なぜか、否定出来ないような・・・」
「世間じゃ勝ち組だの負け組だのってくだらない評価に座布団敷かれちゃって。んでもって、10枚敷かれたらおつむをツンって押されて後ろにひっくり返されて、それをみんなで見ながら笑い転げてやがんの!」
「えっ・・・?」
「あっ!あら、まあ、どうしましょ!ちょっと、はしたなかったかしら?」
「いえ、ただ、ちょっとびっくりしたといいますか・・・」
美奈子は、びっくりしたというより、瞬間ではあるが、背筋に寒気が走った。
それと同時に、今、美奈子の目の前にいるあやねよりも、あやねが言ったあの人・・・
あの人とはいったい・・・そんな感情が頭の中を薄い霧が吹き抜けていくのを感じていた。
「あの・・・先程も言ってましたあの人というのは・・・」
「幼くして両親を失った・・・信じていた人に裏切られた・・・人には知られたくない悲惨な出来事を経験した・・・他にも色々あるけど。そんな過去を持つ人だけが辿り着ける何も見えない何も聞こえない何も感じられない暗く深い海の底にある孤独という名の悲しみ」
「えっ・・・?」
「でもね、両親がちゃんとそろっていて、優しい家族、優しい友達に囲まれているからって、その場所へたどり着かないとは言えないんですよ。違います?」
なんなの、この子は・・・いったい・・・?
なぜ、そんな事まで分かるの?
普通なら、言い難い悲しみの過去に囚われている自分の記憶から抜け出そうとはしないで
自分は特別、自分だけは特別、自分にしか分からない悲しみなのだと言い聞かせてしまう。
でも、この子は、何かが違う・・・
きっと、この子を変えたのは、この子が言う・・・あの人。
「ふふっ・・・今はまだ、そんなに気にしなくてもいんですよ」
「えっ・・・?」
「きっと、美奈子さんは、近いうちに冴ちゃんに会う事になると思うので」
「冴ちゃんって、先程、言ってました冴子さんという方に?」
「ええ、きっとね!美奈子さんって、どこか冷めているでしょ?」
「冷めてるっていうのは?」
「うんと、それじゃ、言い方を変えてみましょう!美奈子さんは自分の親や兄弟に対して、何の感情も持っていないんじゃないですか?」
「えっ・・・?」
「悪い意味ではなくて、初めから自分の親なのだという普通の人が普通に当たり前に持っている感情。その当たり前の感情が無い。違います?」
「う~ん・・・どうでしょう?あまり考えた事がないので・・・」
・・・考えた事がない・・・いや、それは違う。
指し障りのない言葉で返してみる美奈子であったが、内心は少し穏やかではなかった。
「それでは、もうちょっと違う言葉を使ってみますね。うんと、美奈子さんにとって親も兄弟も、家族としてではなく、ひとりの人間として見えているんじゃないですか?友達や知り合いなどと同じように見えている。違います?」
「すみません、少し驚いているといいますか、信じられないといいますか、上手く表現が出来ないのですが、でも、どうして、あやねさんにはそれが分かるんですか?」
「この子たちが動いているのが見えたから・・・かな?」
「えっ?それって、いったい、どういう意味なんでしょうか?」
「ふふっ・・・。意味というより、その答えは、冴ちゃんに会うときっと見つかると思いますよ」
「冴子さんに・・・ですか?」
「ま、ま、これも、話すと長くなってしまうので、とりあえずその辺で遊んでてもらいましょう!」
「ふふっ・・・。あやねさんって、面白い表現をするんですね」
何かしらの意図があるのかも?
先程からのあやねの言葉の使い方に、美奈子はそんな風に思ったので、今は、あやねの言葉に素直に従ってみようと思った。
「それでは洋服を脱いでみます?」
「えっ?」
「だから、こっちの洋服を着てみないとサイズが合うかどうか分からないですよ?」
「えっ?今ですか?」
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