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見える世界と見えない世界
見える世界と見えない世界・・・その20
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「はい。この、厄介な悪意っていうのは、大まかな概要みたいな感じで言いますとね、取り憑いた相手を自分だけのものにしようとしてしまう行為かな?」
「自分だけのものって、まるでストーカーみたいですね」
「いえいえ、この場合、ストーカーよりも遥かに厄介なんですよね」
「遥かに厄介・・・?」
「霊って人間と違って死なないんですよね」
「言われてみれば、確かに・・・ですね」
「はい。人間のストーカーの場合って、そのストーカー自身が死んじゃったら、それ以上は何も出来なくなってしまうでしょ?」
「なるほど。でも、執着心が強ければ霊になってもストーカーをやめないなんてこともあるんじゃないですか?」
「ええ、稀にそういうのもありますけど、でも、その場合は簡単に解決が出来ちゃうんです」
「えっ?そうなんですか?」
「ええ、亡くなって間もない場合は、その霊の生前の記憶を飛ばせるし、それに、もし、飛ばせなくても。その霊そのものを飛ばしちゃえば、そのうち忘れちゃうか諦めちゃうから、それほど厄介っていうわけでもないんですよ」
「飛ばしちゃうって?幽霊って飛ばせちゃうんですか?」
「ええ、まあ。でも、本物の霊能力者なら誰でも出来ると思いますよ」
「はあ・・・。何か信じられないというか、初めて聞いたというか・・・」
「ふふっ、こういう事ってあまり言う人もいませんから」
「でも、それって除霊とかとは違うんですか?」
「ええ、違いますね。というより、本来、除霊って出来ないんですよ」
「えっ?だって、テレビとか心霊ものとかで、除霊って出てきますよ?」
「ふふっ。美奈子さんもそうだと思いますけど、除霊って成仏させるって思ってません?」
「違うんですか?」
「美奈子さんは、成仏って何処に成仏させると思います?」
「何処って、あの世じゃないんですか?」
「いわゆる天国とかあの世とかって場所のことですね?」
「ええ・・・」
「見たことも、行ったこともないのに?」
「ええ・・・まあ・・・。ってか、違うんですか?」
「さあ、あたしも見たことがないので分からないですし、それに、幽霊もよく分からないって言ってますしね」
「幽霊も・・・?」
「ええ。幽霊に訊いたことがあるんですけどね。あの世ってほんとにあるの?って。そしたら、行ったことがないからよく分からないって言ってましたよ」
「まあ、確かに・・・そうですよね」
「ただ、あの世とは別に、もうひとつの世界があるみたいです」
「もうひとつの世界・・・ですか?」
「ええ、なので、その世界の事をあの世と思えばいいのかもしれませんけど、でも、人間が考えているあの世とはちょっと違うようですけどね」
「と、言いますのは?」
「先程も少し触れましたけど、人間の世界ともうひとつの世界、まあ、あの世って言って方が分かりやすいかな?その、人間の世界とあの世の世界のちょうど真ん中にあるのが幽霊の世界。それで、あの世の世界ってある意味において、どうやら人間の世界の延長でもあるみたいなんですよ」
「人間の世界の延長・・・ですか?」
「ええ。でも、これも話すとと~ってもややこしくて、これまた、と~っても長くなるので、今はその辺に置いといた方がいいですね」
「いやいや、私としましては、ものすごく知りたいですよ?」
「ふふっ、急がなくても、そのうち知ることになると思いますよ」
「知ることに?私が・・・ですか?」
「なので、言ったでしょ?美奈子さんがここに来たのは偶然だと思いますか?って」
「う~ん・・・私としては、その意味も知りたいような・・・」
「まま、そのお話は、その辺に置いときまして。先程の除霊ですが、簡単に言いますと取り憑いている霊を引き離すってだけのことなんです」
「取り憑かれている人から?」
「はい。なので、まあ、無責任って言えば無責任みたいな感じなんですけどね」
「う~ん・・・確かに」
「それで、問題になるのは、その霊とは全然関係ない人に対して執着心を持ってしまうという事なんですよね。言い方を変えれば独占欲になるのかな?」
「それって、この人は自分だけのもの・・・ですね」
「はい。でも、それは単なる事案、うんと、出来事であり結果みたいなものなんですけど、厄介なのはそこからなんです」
「厄介なのはそこから・・・?」
「ええ、説得に応じないんです」
「はい・・・?」
「自分だけのものって、まるでストーカーみたいですね」
「いえいえ、この場合、ストーカーよりも遥かに厄介なんですよね」
「遥かに厄介・・・?」
「霊って人間と違って死なないんですよね」
「言われてみれば、確かに・・・ですね」
「はい。人間のストーカーの場合って、そのストーカー自身が死んじゃったら、それ以上は何も出来なくなってしまうでしょ?」
「なるほど。でも、執着心が強ければ霊になってもストーカーをやめないなんてこともあるんじゃないですか?」
「ええ、稀にそういうのもありますけど、でも、その場合は簡単に解決が出来ちゃうんです」
「えっ?そうなんですか?」
「ええ、亡くなって間もない場合は、その霊の生前の記憶を飛ばせるし、それに、もし、飛ばせなくても。その霊そのものを飛ばしちゃえば、そのうち忘れちゃうか諦めちゃうから、それほど厄介っていうわけでもないんですよ」
「飛ばしちゃうって?幽霊って飛ばせちゃうんですか?」
「ええ、まあ。でも、本物の霊能力者なら誰でも出来ると思いますよ」
「はあ・・・。何か信じられないというか、初めて聞いたというか・・・」
「ふふっ、こういう事ってあまり言う人もいませんから」
「でも、それって除霊とかとは違うんですか?」
「ええ、違いますね。というより、本来、除霊って出来ないんですよ」
「えっ?だって、テレビとか心霊ものとかで、除霊って出てきますよ?」
「ふふっ。美奈子さんもそうだと思いますけど、除霊って成仏させるって思ってません?」
「違うんですか?」
「美奈子さんは、成仏って何処に成仏させると思います?」
「何処って、あの世じゃないんですか?」
「いわゆる天国とかあの世とかって場所のことですね?」
「ええ・・・」
「見たことも、行ったこともないのに?」
「ええ・・・まあ・・・。ってか、違うんですか?」
「さあ、あたしも見たことがないので分からないですし、それに、幽霊もよく分からないって言ってますしね」
「幽霊も・・・?」
「ええ。幽霊に訊いたことがあるんですけどね。あの世ってほんとにあるの?って。そしたら、行ったことがないからよく分からないって言ってましたよ」
「まあ、確かに・・・そうですよね」
「ただ、あの世とは別に、もうひとつの世界があるみたいです」
「もうひとつの世界・・・ですか?」
「ええ、なので、その世界の事をあの世と思えばいいのかもしれませんけど、でも、人間が考えているあの世とはちょっと違うようですけどね」
「と、言いますのは?」
「先程も少し触れましたけど、人間の世界ともうひとつの世界、まあ、あの世って言って方が分かりやすいかな?その、人間の世界とあの世の世界のちょうど真ん中にあるのが幽霊の世界。それで、あの世の世界ってある意味において、どうやら人間の世界の延長でもあるみたいなんですよ」
「人間の世界の延長・・・ですか?」
「ええ。でも、これも話すとと~ってもややこしくて、これまた、と~っても長くなるので、今はその辺に置いといた方がいいですね」
「いやいや、私としましては、ものすごく知りたいですよ?」
「ふふっ、急がなくても、そのうち知ることになると思いますよ」
「知ることに?私が・・・ですか?」
「なので、言ったでしょ?美奈子さんがここに来たのは偶然だと思いますか?って」
「う~ん・・・私としては、その意味も知りたいような・・・」
「まま、そのお話は、その辺に置いときまして。先程の除霊ですが、簡単に言いますと取り憑いている霊を引き離すってだけのことなんです」
「取り憑かれている人から?」
「はい。なので、まあ、無責任って言えば無責任みたいな感じなんですけどね」
「う~ん・・・確かに」
「それで、問題になるのは、その霊とは全然関係ない人に対して執着心を持ってしまうという事なんですよね。言い方を変えれば独占欲になるのかな?」
「それって、この人は自分だけのもの・・・ですね」
「はい。でも、それは単なる事案、うんと、出来事であり結果みたいなものなんですけど、厄介なのはそこからなんです」
「厄介なのはそこから・・・?」
「ええ、説得に応じないんです」
「はい・・・?」
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