78 / 189
中編 愛の深まりと婚約
78.子守唄
しおりを挟む
「俺を置いていかないでよ、アリス」
夜に会っちゃうんだよねー……逃げても。
愛おしむように頭をなでられる。
レイモンドは……私の何になろうとしているのかな。母親にも兄弟にも恋人にもなろうとしているのかな。
まだ……私と同じ十四歳なのに。
「置いていきたい気分の時は、置いていく」
「そんな気分にならないでほしいなー」
寝支度を整えてもらっている時に、メイリアにこっそり教えてもらった。
――あの直後にすぐカードを見て、レイモンド様は少し泣かれているようでしたよって。
逃げなければよかったかな……。
レイモンドなりに一生懸命なんだよね。自分の手で幸せにしたいって言ってくれるから、その返事って思ったんだけど。
そりゃそうだよね。頑張っているんだから報われたいって思うよね。あれだけの文章で……泣いてくれるんだ。
早く大人になれればいいのに。ずっと好きなんだって信じられて、迷いも何もなくなって色んなこともできるようになって自信もついて……早く結婚できたらいいのに。
早く学園に入りたいな。他の女の子と話すようになっても、私のことを好きって思ってもらえたなら……。
「ごめんね、逃げて」
「いいよ。楽しかった?」
そう聞かれて、今日のことを思い出す。
ソフィ、ハンスにカードで聞いたのかな。二人が両思いになるといいな。
つい、くすくすと笑ってしまう。
恋人いますかって尋ねるカードと……いないって言われたら、その次に見せるカード。二番目のカードの内容は教えてもらっていない。
「思い出して笑うほど楽しかったの?」
「うん。すごくね」
ずっと口角が上がってしまう。
「あのね、変身してってコンセプトでね、名前も違う名前で呼んでもらったの」
「どんな名前?」
「ユメちゃんって」
「あはは。そっか……その愛称で呼ばれるシーンは、ほとんど見てないなぁ」
「ごくごくわずかな友達からだったしね。というか、見ていた時があったの」
「休みの日は、それなりの時間見ている時もあったからなぁ」
うーん、ストーカー……。
本当にいいのか、私は。この男を好きになって。もう手遅れだけど。
友達と遊んだ時か部活の試合に出かけた時か、どっちかかな……。スタメンじゃなかったから格好悪いし、聞くのはやめよ。
「レイモンドは、粘着質なストーカーだね」
もぞもぞと布団から手を出して、レイモンドの手を握る。
「……表情と行動と言動が合っていないけど」
「今日は楽しかったからなぁ。また明日から頑張ろっと」
「うん、クリスマスにはお祭があるよ」
「あと二ヶ月くらいだね。それまでは、じゃんじゃん勉強も特訓も詰め込んで」
「そんなに頑張らなくてもいいけど。十五歳検査までだって一年はあるし」
……そういえば、魔道士ランクを決める検査があるんだっけ。レイモンドは十歳でSランクだったとか。
「……頑張ろ」
「頑張らなくていいのに」
クリスマスかぁ。そういえば定番ソングがいくつもあった。そんなに歌詞は覚えていないけど。歌とか……全部、言語変換されているのかな。
歌詞まで全て覚えているのは、子守唄くらい……。夜、喉が乾いてキッチンに行くと、寝室から光樹を寝かしつけるお母さんの子守唄が聞こえてきた。私もたまに、なかなか寝なくて困っているお母さんのために、寝室に寄って光樹に歌っていた。
私だけのために歌うお母さんのことは……ぼんやりとしか覚えていない。大樹が産まれてからは大樹に歌うお母さんの記憶が強くて、気付いたら自分の部屋をもらっていた。
頭の中で歌ってみる。
……曲と文字数が合わない……文字が多くて急いで歌わなきゃいけないところがある……。やっぱり変換されているんだ。
「どうしたの? 十五歳検査、まだ俺も受けてはいないけど、大したことはしないよ?」
「……前の世界の子守唄、曲と歌詞が合わないなって思って」
「なんで子守唄を思い出しているの」
レイモンドが、悪戯っ子みたいな顔をして笑った。
「大丈夫。意味が似ている言葉を使えば、違和感なく歌えるよ」
彼の口から、聞き慣れた旋律が――。
「あーあ……あんたはほんっとにもう……どうなっているの、レイモンド……」
「引いた?」
「引いた」
「ざーんねん」
「ね、もっと歌って。そっちのが綺麗。覚えるから」
「いいよ」
まだレイモンドの歌声は女の子のように儚げで綺麗だ。声変わりはこれからなのかもしれない。
ふと、魔女さんがレイモンドのことを完璧主義だったと言っていたことを思い出す。
私のためにした方がいいと思ったことは、根こそぎ全部するって決めたんだろうな……。
人によってはね。顔がよくて身分も高くて優しくて……だとしても、ここまでとなると引く人もいる気がする。私だって、話だけ聞いたら絶対ドン引きしている。今もやや引いてはいる。友達がこのタイプと付き合うって聞いたら、別れる時に揉めそうだし、やめた方がいいのにと思うかもしれない。
……やっぱり相性なのかな。
私だけのために歌うレイモンドの優しい声音を聞きながら――、婚約を意味すると彼が言った指輪が自分の指にないことに寂しさを覚える。
形に残るもので繋ぎ止めておきたいなんて……思ってしまう。どうか、このままでと。
夜に会っちゃうんだよねー……逃げても。
愛おしむように頭をなでられる。
レイモンドは……私の何になろうとしているのかな。母親にも兄弟にも恋人にもなろうとしているのかな。
まだ……私と同じ十四歳なのに。
「置いていきたい気分の時は、置いていく」
「そんな気分にならないでほしいなー」
寝支度を整えてもらっている時に、メイリアにこっそり教えてもらった。
――あの直後にすぐカードを見て、レイモンド様は少し泣かれているようでしたよって。
逃げなければよかったかな……。
レイモンドなりに一生懸命なんだよね。自分の手で幸せにしたいって言ってくれるから、その返事って思ったんだけど。
そりゃそうだよね。頑張っているんだから報われたいって思うよね。あれだけの文章で……泣いてくれるんだ。
早く大人になれればいいのに。ずっと好きなんだって信じられて、迷いも何もなくなって色んなこともできるようになって自信もついて……早く結婚できたらいいのに。
早く学園に入りたいな。他の女の子と話すようになっても、私のことを好きって思ってもらえたなら……。
「ごめんね、逃げて」
「いいよ。楽しかった?」
そう聞かれて、今日のことを思い出す。
ソフィ、ハンスにカードで聞いたのかな。二人が両思いになるといいな。
つい、くすくすと笑ってしまう。
恋人いますかって尋ねるカードと……いないって言われたら、その次に見せるカード。二番目のカードの内容は教えてもらっていない。
「思い出して笑うほど楽しかったの?」
「うん。すごくね」
ずっと口角が上がってしまう。
「あのね、変身してってコンセプトでね、名前も違う名前で呼んでもらったの」
「どんな名前?」
「ユメちゃんって」
「あはは。そっか……その愛称で呼ばれるシーンは、ほとんど見てないなぁ」
「ごくごくわずかな友達からだったしね。というか、見ていた時があったの」
「休みの日は、それなりの時間見ている時もあったからなぁ」
うーん、ストーカー……。
本当にいいのか、私は。この男を好きになって。もう手遅れだけど。
友達と遊んだ時か部活の試合に出かけた時か、どっちかかな……。スタメンじゃなかったから格好悪いし、聞くのはやめよ。
「レイモンドは、粘着質なストーカーだね」
もぞもぞと布団から手を出して、レイモンドの手を握る。
「……表情と行動と言動が合っていないけど」
「今日は楽しかったからなぁ。また明日から頑張ろっと」
「うん、クリスマスにはお祭があるよ」
「あと二ヶ月くらいだね。それまでは、じゃんじゃん勉強も特訓も詰め込んで」
「そんなに頑張らなくてもいいけど。十五歳検査までだって一年はあるし」
……そういえば、魔道士ランクを決める検査があるんだっけ。レイモンドは十歳でSランクだったとか。
「……頑張ろ」
「頑張らなくていいのに」
クリスマスかぁ。そういえば定番ソングがいくつもあった。そんなに歌詞は覚えていないけど。歌とか……全部、言語変換されているのかな。
歌詞まで全て覚えているのは、子守唄くらい……。夜、喉が乾いてキッチンに行くと、寝室から光樹を寝かしつけるお母さんの子守唄が聞こえてきた。私もたまに、なかなか寝なくて困っているお母さんのために、寝室に寄って光樹に歌っていた。
私だけのために歌うお母さんのことは……ぼんやりとしか覚えていない。大樹が産まれてからは大樹に歌うお母さんの記憶が強くて、気付いたら自分の部屋をもらっていた。
頭の中で歌ってみる。
……曲と文字数が合わない……文字が多くて急いで歌わなきゃいけないところがある……。やっぱり変換されているんだ。
「どうしたの? 十五歳検査、まだ俺も受けてはいないけど、大したことはしないよ?」
「……前の世界の子守唄、曲と歌詞が合わないなって思って」
「なんで子守唄を思い出しているの」
レイモンドが、悪戯っ子みたいな顔をして笑った。
「大丈夫。意味が似ている言葉を使えば、違和感なく歌えるよ」
彼の口から、聞き慣れた旋律が――。
「あーあ……あんたはほんっとにもう……どうなっているの、レイモンド……」
「引いた?」
「引いた」
「ざーんねん」
「ね、もっと歌って。そっちのが綺麗。覚えるから」
「いいよ」
まだレイモンドの歌声は女の子のように儚げで綺麗だ。声変わりはこれからなのかもしれない。
ふと、魔女さんがレイモンドのことを完璧主義だったと言っていたことを思い出す。
私のためにした方がいいと思ったことは、根こそぎ全部するって決めたんだろうな……。
人によってはね。顔がよくて身分も高くて優しくて……だとしても、ここまでとなると引く人もいる気がする。私だって、話だけ聞いたら絶対ドン引きしている。今もやや引いてはいる。友達がこのタイプと付き合うって聞いたら、別れる時に揉めそうだし、やめた方がいいのにと思うかもしれない。
……やっぱり相性なのかな。
私だけのために歌うレイモンドの優しい声音を聞きながら――、婚約を意味すると彼が言った指輪が自分の指にないことに寂しさを覚える。
形に残るもので繋ぎ止めておきたいなんて……思ってしまう。どうか、このままでと。
0
お気に入りに追加
82
あなたにおすすめの小説
総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?
寺一(テライチ)
BL
──妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。
ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの男子高校生。
ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。
その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。
そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。
それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。
女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。
BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の好感度がバグレベルで上がっていくということ。
このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう!
男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!?
溺愛&執着されまくりの学園ラブコメです。
逃げて、追われて、捕まって
あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。
この世界で王妃として生きてきた記憶。
過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。
人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。
だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。
2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ
2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。
**********お知らせ***********
2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。
それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。
ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。
嫌われ女騎士は塩対応だった堅物騎士様と蜜愛中! 愚者の花道
Canaan
恋愛
旧題:愚者の花道
周囲からの風当たりは強いが、逞しく生きている平民あがりの女騎士ヘザー。ある時、とんでもない痴態を高慢エリート男ヒューイに目撃されてしまう。しかも、新しい配属先には自分の上官としてそのヒューイがいた……。
女子力低い残念ヒロインが、超感じ悪い堅物男の調子をだんだん狂わせていくお話。
※シリーズ「愚者たちの物語 その2」※
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
無慈悲な悪魔の騎士団長に迫られて困ってます!〜下っ端騎士団員(男爵令嬢)クビの危機!〜
楠ノ木雫
恋愛
朝目が覚めたら、自分の隣に知らない男が寝ていた。
テレシアは、男爵令嬢でありつつも騎士団員の道を選び日々精進していた。ある日先輩方と城下町でお酒を飲みべろんべろんになって帰ってきた次の日、ベッドに一糸まとわぬ姿の自分と知らない男性が横たわっていた。朝の鍛錬の時間が迫っていたため眠っていた男性を放置して鍛錬場に向かったのだが、ちらりと見えた男性の服の一枚。それ、もしかして超エリート騎士団である近衛騎士団の制服……!?
※他の投稿サイトにも掲載しています。
脅迫して意中の相手と一夜を共にしたところ、逆にとっ捕まった挙げ句に逃げられなくなりました。
石河 翠
恋愛
失恋した女騎士のミリセントは、不眠症に陥っていた。
ある日彼女は、お気に入りの毛布によく似た大型犬を見かけ、偶然隠れ家的酒場を発見する。お目当てのわんこには出会えないものの、話の合う店長との時間は、彼女の心を少しずつ癒していく。
そんなある日、ミリセントは酒場からの帰り道、元カレから復縁を求められる。きっぱりと断るものの、引き下がらない元カレ。大好きな店長さんを巻き込むわけにはいかないと、ミリセントは覚悟を決める。実は店長さんにはとある秘密があって……。
真っ直ぐでちょっと思い込みの激しいヒロインと、わんこ系と見せかけて実は用意周到で腹黒なヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
表紙絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真のID:4274932)をお借りしております。
子ども扱いしないでください! 幼女化しちゃった完璧淑女は、騎士団長に甘やかされる
佐崎咲
恋愛
旧題:完璧すぎる君は一人でも生きていけると婚約破棄されたけど、騎士団長が即日プロポーズに来た上に甘やかしてきます
「君は完璧だ。一人でも生きていける。でも、彼女には私が必要なんだ」
なんだか聞いたことのある台詞だけれど、まさか現実で、しかも貴族社会に生きる人間からそれを聞くことになるとは思ってもいなかった。
彼の言う通り、私ロゼ=リンゼンハイムは『完璧な淑女』などと称されているけれど、それは努力のたまものであって、本質ではない。
私は幼い時に我儘な姉に追い出され、開き直って自然溢れる領地でそれはもうのびのびと、野を駆け山を駆け回っていたのだから。
それが、今度は跡継ぎ教育に嫌気がさした姉が自称病弱設定を作り出し、代わりに私がこの家を継ぐことになったから、王都に移って血反吐を吐くような努力を重ねたのだ。
そして今度は腐れ縁ともいうべき幼馴染みの友人に婚約者を横取りされたわけだけれど、それはまあ別にどうぞ差し上げますよというところなのだが。
ただ。
婚約破棄を告げられたばかりの私をその日訪ねた人が、もう一人いた。
切れ長の紺色の瞳に、長い金髪を一つに束ね、男女問わず目をひく美しい彼は、『微笑みの貴公子』と呼ばれる第二騎士団長のユアン=クラディス様。
彼はいつもとは違う、改まった口調で言った。
「どうか、私と結婚してください」
「お返事は急ぎません。先程リンゼンハイム伯爵には手紙を出させていただきました。許可が得られましたらまた改めさせていただきますが、まずはロゼ嬢に私の気持ちを知っておいていただきたかったのです」
私の戸惑いたるや、婚約破棄を告げられた時の比ではなかった。
彼のことはよく知っている。
彼もまた、私のことをよく知っている。
でも彼は『それ』が私だとは知らない。
まったくの別人に見えているはずなのだから。
なのに、何故私にプロポーズを?
しかもやたらと甘やかそうとしてくるんですけど。
どういうこと?
============
「番外編 相変わらずな日常」
いつも攻め込まれてばかりのロゼが居眠り中のユアンを見つけ、この機会に……という話です。
※転載・複写はお断りいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる