70 / 189
中編 愛の深まりと婚約
70.王子様たちと2
しおりを挟む
「誤解させてしまったのなら、申し訳ありませんわ」
すまなそうに王子様たちを見てから、にっこりと笑う。
「皆様のお姿を見て、つい想像してしまいましたの。いつか私とレイモンド様にもし子供が産まれたのなら……どちらに似るのかしらと」
そう言って、隣にいるレイモンドに甘えたような視線をやっておく。
うん……気持ち悪すぎる。我ながら吐きそうだ。クラスの中で目の前に堂々と男とここまでイチャイチャする女がいたら絶対に引いている。しかしこれが、最善のはずだ。
………………シーン。
あれ。最善のはずだよね?
怒りも困りもせずフランシス様に惹かれていないと証明するには、イチャつくしかなかったよね?
なに、この沈黙。
「ど、どっちに似ても可愛いよ。ダニエルとエドは王妃様に似ているんだ。フランは国王陛下に似ている。すごく分かりやすいよね」
レイモンドを慌てさせてしまった……。それなら、どうするのが正解だったんだろう。
フランシス様とエドワルド様には愛称なのに、なんでダニエル様だけそのままなのかな。全員に様もつけていないし、仲がいいんだろうな。
しかし……フランシス様は国王様に似ているのか。てっきり王妃様似かと思った。国王様が見てみたいな。優美な国王陛下……気になるな。
「あー……、負けた!」
エドワルド様が悔しそうに膝を叩いた。
「おい、エド」
眉をひそめて、ダニエル様が諌める。
「僕、絶対に短髪は似合わないのになー!」
かまわずエドワルド様が悔しがって……。
「僕だって切りたくないよ。前髪だけでも印象は変わるしさ」
「おい、フランもやめろ」
これは……もしかして……。
「だってこんな短期間だよ? 無理だと思うじゃん、レイモンドだし」
「思わない。レイモンドだぞ?」
あー……男子ってほんと……。
「あなたたち、アリス様がレイモンド様をお好きになっているか賭けていたわね!? そのようなことをなさらないでください! アリス様も驚かれているではないの」
「えー、ジェニファー様だって積極的に聞いていたよね。それに、そんな単純な賭けでもなかったんだけどね」
「私は賭けていません! 単純であろうと複雑であろうと、失礼すぎですわ!」
あーあ。
王子といえど、男子は男子か……。
賭けの内容が気になるな。レイモンドを好き好きアピールするだろう派だったのがダニエル様かな。助けを求めるか困るか怒るかで、髪の切る量でも変わったのかなー。分からないなぁ。
聞いても教えてはくれなさそうだし、忘れよう。
「ごめんなさいね、アリス様。レイモンド様もご一緒で、気が緩まれているのよ」
「いえ、私の緊張を解いていただいて感謝いたします。それに、ジェニファー様がとてもお優しいことが分かって安心しました。学園に入学できたとしてもレイモンド様しか知らないですし……心細かったんです。今日こうやってお話ができて、よかったです」
……あ、語尾を令嬢っぽくするのを忘れていた。まだ駄目だなぁ。
「やっぱり……魔女様が選ばれた方ですわね。さぁ、ティータイムにしましょう。お話をもっと聞かせてちょうだい」
うん……そうだよね……目の前のテーブルにセットされているもんね。
エドワルド様が彼女の言葉を受けて鈴を鳴らした。すぐに使用人の方が部屋へと入室される。
「今からお茶会を始める。給仕をお願いするよ」
「かしこまりました」
早く帰らせて……!
すまなそうに王子様たちを見てから、にっこりと笑う。
「皆様のお姿を見て、つい想像してしまいましたの。いつか私とレイモンド様にもし子供が産まれたのなら……どちらに似るのかしらと」
そう言って、隣にいるレイモンドに甘えたような視線をやっておく。
うん……気持ち悪すぎる。我ながら吐きそうだ。クラスの中で目の前に堂々と男とここまでイチャイチャする女がいたら絶対に引いている。しかしこれが、最善のはずだ。
………………シーン。
あれ。最善のはずだよね?
怒りも困りもせずフランシス様に惹かれていないと証明するには、イチャつくしかなかったよね?
なに、この沈黙。
「ど、どっちに似ても可愛いよ。ダニエルとエドは王妃様に似ているんだ。フランは国王陛下に似ている。すごく分かりやすいよね」
レイモンドを慌てさせてしまった……。それなら、どうするのが正解だったんだろう。
フランシス様とエドワルド様には愛称なのに、なんでダニエル様だけそのままなのかな。全員に様もつけていないし、仲がいいんだろうな。
しかし……フランシス様は国王様に似ているのか。てっきり王妃様似かと思った。国王様が見てみたいな。優美な国王陛下……気になるな。
「あー……、負けた!」
エドワルド様が悔しそうに膝を叩いた。
「おい、エド」
眉をひそめて、ダニエル様が諌める。
「僕、絶対に短髪は似合わないのになー!」
かまわずエドワルド様が悔しがって……。
「僕だって切りたくないよ。前髪だけでも印象は変わるしさ」
「おい、フランもやめろ」
これは……もしかして……。
「だってこんな短期間だよ? 無理だと思うじゃん、レイモンドだし」
「思わない。レイモンドだぞ?」
あー……男子ってほんと……。
「あなたたち、アリス様がレイモンド様をお好きになっているか賭けていたわね!? そのようなことをなさらないでください! アリス様も驚かれているではないの」
「えー、ジェニファー様だって積極的に聞いていたよね。それに、そんな単純な賭けでもなかったんだけどね」
「私は賭けていません! 単純であろうと複雑であろうと、失礼すぎですわ!」
あーあ。
王子といえど、男子は男子か……。
賭けの内容が気になるな。レイモンドを好き好きアピールするだろう派だったのがダニエル様かな。助けを求めるか困るか怒るかで、髪の切る量でも変わったのかなー。分からないなぁ。
聞いても教えてはくれなさそうだし、忘れよう。
「ごめんなさいね、アリス様。レイモンド様もご一緒で、気が緩まれているのよ」
「いえ、私の緊張を解いていただいて感謝いたします。それに、ジェニファー様がとてもお優しいことが分かって安心しました。学園に入学できたとしてもレイモンド様しか知らないですし……心細かったんです。今日こうやってお話ができて、よかったです」
……あ、語尾を令嬢っぽくするのを忘れていた。まだ駄目だなぁ。
「やっぱり……魔女様が選ばれた方ですわね。さぁ、ティータイムにしましょう。お話をもっと聞かせてちょうだい」
うん……そうだよね……目の前のテーブルにセットされているもんね。
エドワルド様が彼女の言葉を受けて鈴を鳴らした。すぐに使用人の方が部屋へと入室される。
「今からお茶会を始める。給仕をお願いするよ」
「かしこまりました」
早く帰らせて……!
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
80
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる