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40.闇の中へ
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扉が、閉まると同時に消えた。
そこは黒い島だ。ただただ黒い――呪われた孤島。切り立った大きな岩が多数天に向かって突き出ている。荒れ果てた黒い大地が続き――、ところどころ陥没した箇所には水が溜まっている。地面の割れ目からわずかに植物が生えているように見えるけれど……枯れている。
何もない、来る価値もない場所だ。
ここは幻惑の海の中央。私の住む国をはじめとして七つの国がその海を取り囲んでいる。霧が強いとはいえ海を渡ろうとする人が全くいないのは不思議だった。
何もない場所……ただひたすら人々の負の怨念が溜まる場所。そんな印象だ。魔女の力で人が来れないようにされているのかもしれないし、もし来れた人がいても近づかない方がいいという感想しか持たないだろう。
……その場合、生きて帰れるかは分からないけれど。
「ここだけが安全よぉ~」
この場所には不釣り合いな声音で魔女が言う。
「……そう」
魔女が示すのは、私たちのいる半径一メートル程度のエリアだけだ。その部分だけ円形に青白く発光している。
……そして、その向こうにはたくさんの黒いモヤと黒い獣……。
「私はもう行くけど、いいかしらぁ?」
「……ここ、飛んでもいいのかしら」
「ええ。好きなようにしていいわぁ~」
好きなようにって……ほんと、ムカつくわね。他人事扱いしないでほしいわ。
「分かったわ。もういいわよ」
魔女が消えた。
この島全体を覆うように禍々しい巨大な黒い物体が黒い雲のように存在している。切れ目が二箇所……月よりも大きく白く発光しているそれは目なのかもしれない。時が経つほど、この黒い雲のようなものは大きくなり、何もしなければ世界を覆うのだろう。枝葉を広げるように、黒いモヤが外へ外へ向かおうしている。
「これが……魔王……」
絞り出すような声をヴィンスが出す。
「そうね。確かに話が通じなさそうね」
「話どころか……天災……だろう」
確かにどうしようもない自然災害のような代物だ。黒いモヤもそこかしこに、たくさん漂っている。全てが負の怨念で……魔獣も中央へ行くほど多くいるようだ。この円の中にいる間は気付かれないようだけど。
「ヴィンスはここに残る?」
「私も行きたいが……足手まといになるだろうか……」
「そういえば、通常は目視しなければ浄化はできなかったのよね」
「そうだな……」
「一度にこの数の獣を目視なんてできない。それに、このデカブツを目にできなければ、元を断つこともできない。ただただ全てが消え失せるだけ。最高ね」
ふふっと笑ってみせる。気を奮い立たせるための強がりだ。
「人の心の闇――、普通はそんなもの目には見えないわ。これがそうなのね。私が何もしなければ、闇は世界を覆い全てが滅びゆく。世界の終わりはどんな姿をしているのかしら。破滅の始まりをこの目で見られるのは、私とあなただけ。最高じゃない?」
「ふっ……お前らしいな」
ヴィンスが笑ってくれて、少し私らしさを取り戻す。
予想はしていた。人々の祈りがあんなにも美しい光になるのだから、溜まってしまった負の怨念がどれほどのものか――。
でも、前回のように戦争の爪痕はもう残っていない。それどころか、アリスによって負の感情はきっと本来溜まるはずの量より減っているはずだ。千年前よりもずっと、大したことはないはず。
人々の悲しみを思い出す。
『聖女様、どうしてこんなことに……なぜあんなものが存在してしまうんですか……お願いです、聖女様。仇をとってください。早く、浄化を――』
優しさが光になるように、悲しみもまた憎しみを生んでしまう。そうしてこの黒い物体は加速度的に範囲を広げていくのだろう。自らを生み出す人間が全て死に絶えるまで。
「ヴィンス、あなたのせいで私はただの恋する少女になってしまったようよ。破滅への憧れはもう消えてしまったわ。私がこんなもの、蹴散らしてやるわよ。……ついてきて」
「いいのか」
「ええ。私の側を離れないで」
「ふっ……頼もしいな」
「そう? 私の側を離れたら死んでしまう。心細くはないの?」
「いいや、まったく。思い出した。私はこのままお前が失敗して、世界もろとも消えてなくなってもそれはそれで本望だったんだ。気楽にやれ」
「そうね、そうだったわ。私もそう思っていたのだったわ」
お互い、それは過去のことだと分かっている。今はもう未来に期待してしまっている。
共に生きる未来に――。
息を吸う。
「行くわ」
「ああ」
――天に還りなさい、黒い獣たちよ。
こんな寂しいところにずっといるのは嫌でしょう? 神様、彼らも愛してあげて。救いを与えてあげてちょうだい。
青白く発光した円から一歩前に出る。襲いかかってくる獣たちよりも早く、私から光が広がっていく。黒い獣たちがシュワシュワと光になって天へと立ち昇っていく。
――私の光が、黒い闇を侵食していく。
魔王と呼ばれる、大きな黒い何かの前に来ると私から溢れる光を打ち消すように黒いモヤが覆おうとする。
……やっぱり私だけの力では拮抗がいいところね。完全浄化はできない。それはそうよね。綺麗なだけの人間ではないもの、私は。でも――。
「飛ぶわ。こいつの顔なのかは分からないけど、あの切れ目の前にいくわ」
「分かった」
話をしながらも祈りの心は忘れない。
黒いモヤの中に――、まるで負の感情の胎内のようだ。何も見えない。自分の光と目の前の黒い影だけ。
――改良された魔道具を手で包み込む。
ネックレスにはしているけれど、前回のよりははるかに大きい。まるで鉱石でできたリンゴのようだ。形があまりにもリンゴだったので、金色の茎と葉の装飾もつけてもらった。今日はクリスマスではないけど……幼い頃に欲しかった毒リンゴは、時を経て毒を消す魔法のリンゴとなって私に贈られた。
今、私に必要なのはこっちだものね。
目の前の暗い闇など、広い世界に比べたらちっぽけな存在だ。多くの地域をまわり、私はもうそれを知っている。
「さぁ、覆われなさい。あなたを生み出した人間の光の海に溺れなさい」
光が四方八方から飛んできた。
私の願いに呼応して人々の祈りが魔法のリンゴの中に――、そこから島全てに解き放たれる。
光だ、光。まばゆい光――。
どこが上でどこが下なのかも分からない。
自分が平行を保っているのかも分からない。
ヴィンスが私を後ろからそっと支えた。よかった。この腕の中でなら、私は私でなくなってもいい。最後はここに戻っているはず。
人々の祈りが私の全てに注ぎ込まれるようだ。そのままこの場所を埋め尽くしていく。
打ち捨てられたようなこの島も光で満たされることに安堵する。どうかこの場所にも幸せを、祝福を、神の愛を――。
どこからか声がする。ぉぉおおおぉぉ、と苦悶の音を魔王があげているようだ。軋む、軋む、闇が光へと変わってしまう。変えられてしまう。
「私はあなたも好きよ、魔王さん。光しか生み出さない人間なんてつまらない。そんな人間だらけの世界なんて、つまらなさすぎて神様が壊してしまうらしいものね。きっとその先にあるのも闇だわ」
霧散していく黒い闇になぜか愛しさすら感じる。
「欲深く生きるわ、魔王さん。また会いましょう、私の心の中で」
闇は完全には消えない。
それが人間だから。
光と闇を抱えながら苦悶して葛藤して、それでも前を目指そうとする人間だからこそ美しい。
光に覆われて消える、消える、消える、ここにあった黒いものが全て――。
あとに残るのは、何?
そこは黒い島だ。ただただ黒い――呪われた孤島。切り立った大きな岩が多数天に向かって突き出ている。荒れ果てた黒い大地が続き――、ところどころ陥没した箇所には水が溜まっている。地面の割れ目からわずかに植物が生えているように見えるけれど……枯れている。
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何もない場所……ただひたすら人々の負の怨念が溜まる場所。そんな印象だ。魔女の力で人が来れないようにされているのかもしれないし、もし来れた人がいても近づかない方がいいという感想しか持たないだろう。
……その場合、生きて帰れるかは分からないけれど。
「ここだけが安全よぉ~」
この場所には不釣り合いな声音で魔女が言う。
「……そう」
魔女が示すのは、私たちのいる半径一メートル程度のエリアだけだ。その部分だけ円形に青白く発光している。
……そして、その向こうにはたくさんの黒いモヤと黒い獣……。
「私はもう行くけど、いいかしらぁ?」
「……ここ、飛んでもいいのかしら」
「ええ。好きなようにしていいわぁ~」
好きなようにって……ほんと、ムカつくわね。他人事扱いしないでほしいわ。
「分かったわ。もういいわよ」
魔女が消えた。
この島全体を覆うように禍々しい巨大な黒い物体が黒い雲のように存在している。切れ目が二箇所……月よりも大きく白く発光しているそれは目なのかもしれない。時が経つほど、この黒い雲のようなものは大きくなり、何もしなければ世界を覆うのだろう。枝葉を広げるように、黒いモヤが外へ外へ向かおうしている。
「これが……魔王……」
絞り出すような声をヴィンスが出す。
「そうね。確かに話が通じなさそうね」
「話どころか……天災……だろう」
確かにどうしようもない自然災害のような代物だ。黒いモヤもそこかしこに、たくさん漂っている。全てが負の怨念で……魔獣も中央へ行くほど多くいるようだ。この円の中にいる間は気付かれないようだけど。
「ヴィンスはここに残る?」
「私も行きたいが……足手まといになるだろうか……」
「そういえば、通常は目視しなければ浄化はできなかったのよね」
「そうだな……」
「一度にこの数の獣を目視なんてできない。それに、このデカブツを目にできなければ、元を断つこともできない。ただただ全てが消え失せるだけ。最高ね」
ふふっと笑ってみせる。気を奮い立たせるための強がりだ。
「人の心の闇――、普通はそんなもの目には見えないわ。これがそうなのね。私が何もしなければ、闇は世界を覆い全てが滅びゆく。世界の終わりはどんな姿をしているのかしら。破滅の始まりをこの目で見られるのは、私とあなただけ。最高じゃない?」
「ふっ……お前らしいな」
ヴィンスが笑ってくれて、少し私らしさを取り戻す。
予想はしていた。人々の祈りがあんなにも美しい光になるのだから、溜まってしまった負の怨念がどれほどのものか――。
でも、前回のように戦争の爪痕はもう残っていない。それどころか、アリスによって負の感情はきっと本来溜まるはずの量より減っているはずだ。千年前よりもずっと、大したことはないはず。
人々の悲しみを思い出す。
『聖女様、どうしてこんなことに……なぜあんなものが存在してしまうんですか……お願いです、聖女様。仇をとってください。早く、浄化を――』
優しさが光になるように、悲しみもまた憎しみを生んでしまう。そうしてこの黒い物体は加速度的に範囲を広げていくのだろう。自らを生み出す人間が全て死に絶えるまで。
「ヴィンス、あなたのせいで私はただの恋する少女になってしまったようよ。破滅への憧れはもう消えてしまったわ。私がこんなもの、蹴散らしてやるわよ。……ついてきて」
「いいのか」
「ええ。私の側を離れないで」
「ふっ……頼もしいな」
「そう? 私の側を離れたら死んでしまう。心細くはないの?」
「いいや、まったく。思い出した。私はこのままお前が失敗して、世界もろとも消えてなくなってもそれはそれで本望だったんだ。気楽にやれ」
「そうね、そうだったわ。私もそう思っていたのだったわ」
お互い、それは過去のことだと分かっている。今はもう未来に期待してしまっている。
共に生きる未来に――。
息を吸う。
「行くわ」
「ああ」
――天に還りなさい、黒い獣たちよ。
こんな寂しいところにずっといるのは嫌でしょう? 神様、彼らも愛してあげて。救いを与えてあげてちょうだい。
青白く発光した円から一歩前に出る。襲いかかってくる獣たちよりも早く、私から光が広がっていく。黒い獣たちがシュワシュワと光になって天へと立ち昇っていく。
――私の光が、黒い闇を侵食していく。
魔王と呼ばれる、大きな黒い何かの前に来ると私から溢れる光を打ち消すように黒いモヤが覆おうとする。
……やっぱり私だけの力では拮抗がいいところね。完全浄化はできない。それはそうよね。綺麗なだけの人間ではないもの、私は。でも――。
「飛ぶわ。こいつの顔なのかは分からないけど、あの切れ目の前にいくわ」
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「さぁ、覆われなさい。あなたを生み出した人間の光の海に溺れなさい」
光が四方八方から飛んできた。
私の願いに呼応して人々の祈りが魔法のリンゴの中に――、そこから島全てに解き放たれる。
光だ、光。まばゆい光――。
どこが上でどこが下なのかも分からない。
自分が平行を保っているのかも分からない。
ヴィンスが私を後ろからそっと支えた。よかった。この腕の中でなら、私は私でなくなってもいい。最後はここに戻っているはず。
人々の祈りが私の全てに注ぎ込まれるようだ。そのままこの場所を埋め尽くしていく。
打ち捨てられたようなこの島も光で満たされることに安堵する。どうかこの場所にも幸せを、祝福を、神の愛を――。
どこからか声がする。ぉぉおおおぉぉ、と苦悶の音を魔王があげているようだ。軋む、軋む、闇が光へと変わってしまう。変えられてしまう。
「私はあなたも好きよ、魔王さん。光しか生み出さない人間なんてつまらない。そんな人間だらけの世界なんて、つまらなさすぎて神様が壊してしまうらしいものね。きっとその先にあるのも闇だわ」
霧散していく黒い闇になぜか愛しさすら感じる。
「欲深く生きるわ、魔王さん。また会いましょう、私の心の中で」
闇は完全には消えない。
それが人間だから。
光と闇を抱えながら苦悶して葛藤して、それでも前を目指そうとする人間だからこそ美しい。
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