記憶の中のお姉ちゃん

星磨よった

文字の大きさ
上 下
1 / 1

お姉ちゃんの記憶

しおりを挟む
 昔、母親の実家に家族で帰ったときのこと。実家の家に泊まって何日か目に、母の従兄弟とその娘さんが訪ねて来た。

 母と母の妹、従兄弟の女性の3人でわいわい盛り上がっている間、私は近くの和室で訪ねて来た娘さんと2人きりになった。

 娘さんは中学生で、私は小学校低学年であったから、なんだかお姉ちゃんという感じがした。しばらく、2人ともDSで遊んでいて会話することはなかった。

 でも、少し経った後、彼女は突然立ち上がって、「公園行かない?」と尋ねてきた。私は、すぐにうんと頷いた。

 内心びっくりして、とても緊張していたが、その頃の自分は何故か女の子にかっこつけたがっていた。誘われて断るなんて、かっこ悪くて嫌だった。

 かくして、私とお姉ちゃんは二人で実家の家を飛び出した。公園と言っても、よく知らない場所なので、どこにあるのか、どんなところなのか分からなかった。

 お姉ちゃんが公園に案内してくれる途中、私に話しかけてきた。どんな内容だったか思い出せないのだが、いつも何して遊んでるかなんて他愛もない質問だったと思う。

 何を話したかはよく思い出せないのだが、1つとても記憶に残っているものがある。そんなような質問をされたとき私は、お姉ちゃんに、「お姉ちゃんは?」と本当に口に出したのだ。

 心の中ではずっと、お姉ちゃんと呼びながら話していたが、実際は何も呼ばずに話していた。お姉ちゃんは、今までとは明らかに違う嬉しそうな笑顔で、「お姉ちゃん?」と言った。

 そのからかった言い方に、私は思わず下に視線を逸らした。すると、クスクスという笑い声が聞こえ、「別にいいよ。嬉しいし。」と言って頭を撫でられた。

 私は、頭を撫でられて嬉しかったのが恥ずかしくて、一層地面にうつむいた。その後のことはあまり記憶になく、公園に行って一緒に木に登ったことだけを覚えている。

 最近、そんなお姉ちゃんが結婚したと、母が伝えてきた。それでこんな記憶が浮かんできた。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

ハイスペック上司からのドSな溺愛

鳴宮鶉子
恋愛
ハイスペック上司からのドSな溺愛

ドSな彼からの溺愛は蜜の味

鳴宮鶉子
恋愛
ドSな彼からの溺愛は蜜の味

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

処理中です...