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いつも一緒に帰ってた彼女

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 私は子供の頃、帰り道が好きだった。

 学校で何が楽しいと聞かれたら、帰り道だと答えたかった。
 実際は、そんなの変な奴と思われるから、体育や給食などと答えていたと思うが。

 帰り道が楽しかった理由は、その開放感。
 何もかも終わって後は自由であることが、たまらなく嬉しく最高だった。

 そして、私の横にはいつもある女の子がいた。 

 彼女の通学路の途中に私の家はあり、いつからか一緒に帰るようになった。
 いつも校門でどっちかを待っていた。

 掃除当番や日直、先生の話が長くなったときも、私たちは先に帰ろうとはせず、お互いを待っていた。

 それは小学校を卒業する日まで続いた。
 
 私たちが帰る校門は、あまり人が通らない側の校門だったから、誰かにからかわれたりすることもなかった。

 彼女にはそういうことがあったのか、分からないが、そんな素振りは見せず、いつも私と帰ってくれた。

 帰り道にする話は、決まっていつも学校の話。
 誰々がこんなことをしたとか、授業でこんなことをやったとか。

 私の家に着くと、彼女がニコニコしながら手を振ってくれるのが好きだった。
 アパートの階段を登るまで、ずっとそうしてくれているのだ。

 そんな姿を見て、私は彼女のことを好きになったと思う。

 異性として。

 でも告白なんか、6年間全くしなかった。
 ただ、彼女と一緒に帰れるだけで充分だった。

 でも、彼女が誰々を好きらしいなんて噂が回ってくると、ドキドキした。
 
 嫌な感じもしたし、でも彼女も誰かを好きになったりするんだなと、嬉しくなったりもした。

 彼女が私立の中学を受験したから、一緒に学校から帰れる最後の日。
 卒業式が終わって、みんな卒業証書片手に友達と話していた。

 私もそうやって友達や知り合いと話していた。
 周りにはみんな親がいて、私と彼女の横にも母親がいた。

 私はそれが恥ずかしくて、彼女と帰るのを辞めたくなった。
 
 でも、彼女を最後に見ておきたくて、彼女の方を向いた。

 すると、彼女もこっちを見ていて目が合った。
 
 何だか、いつもの彼女じゃないみたいな、悲しそうな辛そうな表情が分かった。
 
 きっと、もう一緒に帰れないと分かっていたんだと思う。

 今日が最後の日と思っていたが、親もいて、今日は一緒に帰ることはできない。
 いつものように一緒に帰った昨日が、終わりの日だったのだと。

 私は、また一緒に帰れる日もあるだろうと気楽に考えた。

 でも、彼女はその後引っ越して、それっきり会うことはなかった。

 彼女と彼女の母親が校門を出ていく瞬間を鮮明に覚えてる。

 校門が閉まってから振り返って、よく見えなかった彼女の顔も。
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