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57 唯一という存在2
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「ランシュ、」
「待て」と言う前にうるさい口を自分の唇で塞ぐ。口づけだけでも濃い香りが体に入ってきて気持ちがいい。でも、まだ全然足りない。これよりももっと濃密で苦しくなるほどの香りを僕は知っている。
「ランシュ」
「ぅるさい」
僕はもう何も着ていない。すぐにでも殿下を受け入れられる状態だというのに、ついさっき寝室に現れた殿下はなぜかすぐに服を脱ごうとしなかった。
それがたまらなく悲しかった。同時に腹が立ってどうしようもなかった。殿下は僕だけのαなのに、なぜ僕が求めるものをすぐに差し出そうとしないのか。こうして裸の僕をベッドの上に押さえつけるように覆い被さっているのに、触れると邪魔な服の感触がして苛々してくる。
「少し落ち着け」
「ん……んぅ、」
喉の奥に届きそうなほど舌を入れられて背中が震えた。シャツを掴んでいた指を解かれるのが嫌で頭を振ろうとしたが、舌を甘噛みされて動けなくなる。
そのまま口の中をたくさん舐め回された。息継ぎで少し唇が離れても絡ませた舌が解けることはなく、貪り合うような口づけが続く。
「前回の発情もすごかったが、今回はさらにすごいな」
唇が離れるのが嫌で手を伸ばしたら、指先をカリッと噛まれて首筋がぞわりとした。そのまま手のひらや手首、肘の内側や二の腕に口づけされる。そうして鎖骨のあたりを噛まれ、胸の上側にちゅうっと吸いつかれた。
「んっ」
少し膨らんだからか、以前よりも敏感になったような気がする。
そういえば、殿下はこの胸を気にするようにじっと見ていた。男の胸が膨らむなんて、やはり気持ち悪いと思っているのではないだろうか。心配になり、そっと胸を見る。
少女のようにささやかに膨らんだ僕の胸の上側に、殿下が触れるような口づけを落とした。そのまま唇で撫でるように外側に触れ、下側に触れ、少しだけ肌から離れる。口が少し開き、赤い舌がちらりと現れた。何をするのだろうかと見ていると、その舌が尖っている乳首をぺろりと舐めた。
「んっ」
乳首の先を舐められただけで背中がゾクゾクした。思わず仰け反るように顎が上がる。シエラに吸われるときとはまったく違う感覚に首筋が粟立った。
「ここはとくに甘く感じるな」
「でん、か」
またぺろりと舐められた。以前よりも随分膨らんでしまった乳首だからか、それだけでビリビリと感じてしまう。それどころか吸われてもいないのにお乳が噴き出しそうな感覚がして驚いた。
「殿下、そこはあまり、ん……っ」
舐めないでほしいと言う前に乳首を吸われてしまった。授乳とはまったく違う感覚に腰がグンと持ち上がる。いま体を突き抜けたのは間違いなく快感だ。
「シエラが吸うのを密かに羨ましく思っていたが……。なるほど、以前より大きさも弾力も増している。それに……」
また、ちゅうっと吸われた。しかも口に中で転がすように舌で舐め回されている。
「んんっ」
「……ここもランシュの強い香りがする。甘くて濃厚で、入れていないというのにノットが膨らみそうになるほどだ」
そう言って太ももにヌルヌルとした熱いものを擦りつけられた。いつの間に脱いだのか、気がつけば触れる場所のどこもかしこも素肌になっている。
乳首をちゅうっと吸われながら、ヌチヌチと太ももにアレを擦りつけられ続けた。硬くて熱い感触に、僕の尻からとぷんと何かが漏れてしまった。
本格的な交わりは久しぶりだというのに、僕の尻は我慢できないのかきゅうと窄まった。そうしてすぐにくぱぁと広がる。早くここに入れるんだと訴えるようにクパクパと忙しなく動き、そのたびに穴から何かがトロトロとこぼれ落ちた。
「殿下、はやく、」
「焦らなくてもいい。まだ発情は始まったばかりだ」
「はやく、いいから、早く僕の中に、」
始まったばかりかもしれないが、僕の体は殿下がほしくて限界を迎えそうだった。お腹の奥がジクジク疼いて暴れ出しそうになる。
早くここを殿下の熱いナニで埋めてほしい。そうして濃い子種をたっぷりと注ぎ込んでほしい。発情で目覚めた僕のΩが、狂ってしまいそうなほど僕だけのαを求めていた。
「はや、く……っ」
何度も訴えているのに、殿下は乳首に吸いつくばかりで入れてくれない。片方は口で、もう片方は指でこね回し、まるでお乳を求める赤児のようだ。
そんな焦れったい刺激で僕が満足できると思っているのか。それに触れてほしいのはそこじゃない。体のもっと奥深くで殿下を感じたくて気が狂いそうになる。
「でん、か……っ」
肩を押して顔を上げさせようとした瞬間、カリッと乳首を噛まれてピュゥッお乳が噴き出た。指でこねられていたほうも少し漏れたような気がする。途端に濃厚なバニラの香りが広がり、頭の中でぐわっと熱が広がった。
「いい、加減に、しろ……っ」
蹴り飛ばす勢いでのし掛かる殿下を押しのけた。チラッと見えた殿下のナニはすでに十分すぎるほど逞しく、なぜそれを早く入れないのかと腹が立った。
向かい合わせだから胸をいじられるのだと思った僕は、くるりと背を向け四つん這いになった。そうして腰を突き出し思い切り殿下に尻を見せつける。
「早く入れろと、言ってるじゃないか……っ」
ここに熱くて太くて硬いナニを入れてもらわないと頭がおかしくなってしまう。何度も擦って突き上げて、そうして奥深くでたっぷりと子種を出せと叫びたくなる。
いや、それだけで満足できるものか。僕だけのαなのだから、枯れてしまうまで僕に注ぎ続けなければいけない。僕が満足するまで子種を注ぎ、僕にαの胤を植えつけるのだ。
その胤を僕は体の奥で抱きしめる。僕が選んだ僕だけのαの胤は、僕だけが実らせることができる。これは互いに唯一の存在である僕たち二人の間でしかできないことだ。
「あぁ、なんて濃く甘い香りなんだ」
いつもとは違う、やや虚ろな殿下の声に振り返る。
膝立ちになった殿下がゆらりと近づいてくる。見据えるような眼差しのまま殿下の顔がゆっくりと僕の尻に近づき、そうしてそっと尻たぶに口づけた。そのまま腰や背中に口づけ、合間に祈りの言葉のように僕の名を呼び続ける。
その声に、姿に、僕の心がゾクゾクと震えた。はやるように速くなった鼓動に思わず笑みがこぼれる。そうだ、僕だけのαなのだから僕だけを見ればいい。僕に囚われたまま僕の望みを早く叶えるんだ。
「僕の中に、さぁ、早く」
「ランシュ」
うっとりとした声で僕の名を呼んだ殿下が尻たぶを割り開いた。そうしてさらけ出された部分に熱く硬いナニがぴたりとくっつく。もう一度「ランシュ」と囁く声が聞こえた直後、ズブゥと太いものが尻の穴を押し広げた。そのままズブズブと奥へと入り込んでいく。
「ぁ、あ、んっ、ぁ、」
「あぁ……なんと熱くて、きつくて、淫らなんだ」
「んっ!」
「久しぶりだからか、とてもきついのに……こんなに柔らかくうねって……くっ!」
「んぅ!」
「これでは、そう長くもちそうに……んぐっ」
早く注いでほしい。そう思って殿下に押しつけるように尻を突き出すと、僕の腰を掴んだ手に力が入ったのがわかった。四つん這いのまま動くのは難しいが、とにかく殿下の子種がほしくてぐいぐいと動かす。早く注いでくれという気持ちのまま腰を押しつける。
「はや、く……んっ、殿下、早く、注い、で……っ」
「ランシュ、待て、んっ、くっ」
押しつけた僕の尻に殿下の腰がバチンとぶつかった。そのまま何度も肌がぶつかり、そのたびにお腹の奥を硬いものが抉っていく。それがたまらなく気持ちがよくて、ブルブル震えながら僕のほうが先にビュビュッと吐精してしまった。それで尻の穴やお腹の中が締まったからか、すぐさま殿下が唸るような声を上げて子種を噴き出した。
(あぁ……すごい量だ……それに、勢いも強くて……)
ものすごく奥深いところまで濡れるのがわかる。穴を目一杯広げるようにノットが膨らんでいるのも感じた。
「ようやくの……子種だ……」
でも、まだだ。もっともっと子種がほしい。濃くて甘いミルクの香りも足りない。僕をもっと溺れさせて、そうしてあふれ出てしまうくらい子種を注ぎ込んでほしい。ノットに塞がれ子種が中を満たしていくのを感じながら、僕はうっとりと笑みを浮かべた。まだまだ続く交わりを想像して気持ちが昂ぶっていく。
予想どおり、一度目の吐精が終わってもナニを抜くことなく二度目が始まった。ノットが落ち着いただけで殿下のナニは硬く太いままだ。それで何度も奥を抉られ手前を潰され、気が狂うほどの快感に全身から力が抜けてしまった。
上半身をベッドに擦りつけながら尻だけを高く突き上げる僕を、殿下は背後から抱き込むように包み込んだ。そのまま押し潰すような勢いで腰をぶつけてくる。何度も何度も奥を突き、その衝撃でたっぷり注がれた子種が泡立って内ももを滴り落ちるのがわかった。
それでも殿下は動きを止めない。僕がそう望んでいるからだ。
「前回よりも、んっ、頭がぼんやりとして、くっ、まるで酩酊して、いる、っ、みたいだ」
「んっ、ぁん! んっ、んぅっ」
「わたしの香りと、ランシュの香りが混じり合って、んっ、まるで濃厚なミルクセーキのような、ふっ、香りに、溺れている、くっ、気がする、……っ」
「ぁう!」
ずぶっと奥を突き上げられ、ベッドを思い切り引っ掻いた。力が入らないはずの足の指も必死に引っ掻いているような気がする。あまりの気持ちよさに下腹が何度も波打つのを感じた。
「ぐぅっ。こんなにすぐに、二度目が出るとは……くっ」
「ひっ」
殿下に耳を噛まれて悲鳴が漏れた。そのまま耳たぶを噛まれ、首筋を舐められ「はふ」と吐息のような声が漏れる。
「ここが、一番香りが濃いな」
うなじに熱い息が触れた。ぞわりとした感覚に身震いすると、それを封じるように僕の体にのし掛かった殿下がうなじにガブッと噛みついた。
「ひぃ……っ!」
ぞわっとしたのは一瞬で、すぐに強烈な快感が頭を突き抜けた。あまりに強すぎる感覚に、それが快感なのか恐怖なのか一瞬にしてわからなくなる。剥き出しになった何かを直接噛まれるような感覚に、無我夢中でベッドを掻き乱した。
「ひ、ひっ、や、やめ、はなし、て……!」
口からこぼれる声はほとんど悲鳴だった。殿下にも聞こえているはずなのに、鋭い歯は離れることなくますます肌に食い込んでいく。
「あぁ! あっ、ぁひ、ひっ、ひぅ!」
恐怖と快感が入り混じり、体がブルブルと震え出した。あれほど体のどこにも力が入らなかったのに、いまは全身がカチコチになるほど力んでいる。そんな僕の体の中を信じられないくらいの快楽が走り抜けた。
「あぁっ、ぁあ! ぁ、あ、あぁ、あぁっ!」
訳がわからなかった。うなじが熱くて焼けてしまいそうだ。気持ちいいのに怖くて気が狂いそうになる。
そのくらい頭の中は大混乱だというのに、僕の体はこのまま噛まれ続けろと訴えた。訳がわからずブルブルと震えながら、まるで獣の獲物になったかのようにうなじを噛まれ続けた。
「あぁ……!」
殿下の歯が肌を食い破ったような気がした。初めてうなじを噛まれたときよりも鋭い痛みと、それを上回る快感が駆け抜ける。頭が弾け飛んで体中から僕の香りが噴き出したような気がした。
「まさか、Ωにここまで発情を促されるとはな。いや、これも互いが唯一の存在だからか。……あぁ、いい香りがますます強くなった。さぁ、またたっぷりとここに注いでやろう」
「ここに」と言いながらお腹を撫でられ、ぞくりとした。体の奥からじゅわりと香りが染み出し、もっと僕を味わえというようにねっとりと殿下に絡みつく。
それはまるで無限に続く快楽の始まりのようだった。いや、発情とは本来そういうものなのだ。得も言われぬ多幸感を感じた僕は、微笑みながら「僕だけのα」とつぶやいた。
こうして僕と殿下は、七日間もの間交わり続けた。三度目の吐精から何度もうなじを噛まれたせいか、発情が終わったときには初めて噛まれたとき以上の痕がついていた。僕自身は見えないが、周囲から「そんなに噛まれるほど激しい発情を……」と思われるのはさすがに恥ずかしい気がする。
「いっそ発情用の首飾りでも作るか」
別に噛まれたくないわけではないが、あれは快感としてきつすぎる。殿下は「ランシュが激しく誘ったからだ」と言っていたが、そんな意識は僕にはない。ただ殿下と交わりたくて、早く入れてほしくてたまらなかっただけだ。
「って、それもどうかと思うが」
僕はなんといやらしくなったんだろう。これもΩだからだろうか。そんなことを考えながらミルクセーキを飲む。
発情が終わって半月と少しが経ったが、最近またミルクセーキが飲みたくてたまらなくなってきた。夏になり暑くなってきたから、いまは冷たいミルクセーキを作ってもらっている。シエラがお腹にいたときは温かいミルクセーキだったなと思うと、月日が経つのは早いものだ。
「さて、新しい画材の確認に行くか」
最近、画材工房では小さな子どもでも扱える絵の具作りを進めている。アールエッティ王国にも子ども用の水溶き絵の具や色鉛筆はあるが、シエラができて初めて子ども用絵の具について真剣に考えるようになった。
小さい子どもというのは、とにかく何でも口に入れたがる。それはシエラも同じで、僕が絵を描いている横で絵の具を口に入れようとしたときには心底焦った。
「シエラは成長が早すぎるんだ」
生まれたときはあんなに小さかったのに、あっという間に大きくなった。これもαだからだろうか。まだ確定はしていないが、あの成長の早さはαに違いない。
そんな急成長を遂げているシエラは、最近絵の具に多大な関心を寄せている。というより僕の真似をしたいのか、絵を描きたくてたまらないのだ。
しかし、僕が使っている絵の具の中には口に入れると毒になるものがある。アールエッティ王国には子ども用の絵の具もあるが、あれでも赤ん坊には早すぎるだろう。では色鉛筆ならどうかと考えたが、細い芯が折れたときに飲み込まないか心配だった。
そこで、万が一飲み込んでも大丈夫な子ども用の絵の具が作れないか職人たちに相談することにした。さすがに難しいかと思っていたが、アールエッティ王国から呼んだ職人たちは探求心が強いからかすぐに話に乗ってくれた。一緒に働いているビジュオール王国の職人たちも触発されたのか、いまでは工房あげて試作品作りに取りかかってくれている。
そうして先日、何色か見本ができたと連絡が来た。今日はそれを見に行く予定だ。
「試作品をいくつかもらって、部屋で試し描きしてみるか」
それなら殿下との昼食にも間に合う。そう思いながら、冷たいミルクセーキを一気に飲み干した。
「待て」と言う前にうるさい口を自分の唇で塞ぐ。口づけだけでも濃い香りが体に入ってきて気持ちがいい。でも、まだ全然足りない。これよりももっと濃密で苦しくなるほどの香りを僕は知っている。
「ランシュ」
「ぅるさい」
僕はもう何も着ていない。すぐにでも殿下を受け入れられる状態だというのに、ついさっき寝室に現れた殿下はなぜかすぐに服を脱ごうとしなかった。
それがたまらなく悲しかった。同時に腹が立ってどうしようもなかった。殿下は僕だけのαなのに、なぜ僕が求めるものをすぐに差し出そうとしないのか。こうして裸の僕をベッドの上に押さえつけるように覆い被さっているのに、触れると邪魔な服の感触がして苛々してくる。
「少し落ち着け」
「ん……んぅ、」
喉の奥に届きそうなほど舌を入れられて背中が震えた。シャツを掴んでいた指を解かれるのが嫌で頭を振ろうとしたが、舌を甘噛みされて動けなくなる。
そのまま口の中をたくさん舐め回された。息継ぎで少し唇が離れても絡ませた舌が解けることはなく、貪り合うような口づけが続く。
「前回の発情もすごかったが、今回はさらにすごいな」
唇が離れるのが嫌で手を伸ばしたら、指先をカリッと噛まれて首筋がぞわりとした。そのまま手のひらや手首、肘の内側や二の腕に口づけされる。そうして鎖骨のあたりを噛まれ、胸の上側にちゅうっと吸いつかれた。
「んっ」
少し膨らんだからか、以前よりも敏感になったような気がする。
そういえば、殿下はこの胸を気にするようにじっと見ていた。男の胸が膨らむなんて、やはり気持ち悪いと思っているのではないだろうか。心配になり、そっと胸を見る。
少女のようにささやかに膨らんだ僕の胸の上側に、殿下が触れるような口づけを落とした。そのまま唇で撫でるように外側に触れ、下側に触れ、少しだけ肌から離れる。口が少し開き、赤い舌がちらりと現れた。何をするのだろうかと見ていると、その舌が尖っている乳首をぺろりと舐めた。
「んっ」
乳首の先を舐められただけで背中がゾクゾクした。思わず仰け反るように顎が上がる。シエラに吸われるときとはまったく違う感覚に首筋が粟立った。
「ここはとくに甘く感じるな」
「でん、か」
またぺろりと舐められた。以前よりも随分膨らんでしまった乳首だからか、それだけでビリビリと感じてしまう。それどころか吸われてもいないのにお乳が噴き出しそうな感覚がして驚いた。
「殿下、そこはあまり、ん……っ」
舐めないでほしいと言う前に乳首を吸われてしまった。授乳とはまったく違う感覚に腰がグンと持ち上がる。いま体を突き抜けたのは間違いなく快感だ。
「シエラが吸うのを密かに羨ましく思っていたが……。なるほど、以前より大きさも弾力も増している。それに……」
また、ちゅうっと吸われた。しかも口に中で転がすように舌で舐め回されている。
「んんっ」
「……ここもランシュの強い香りがする。甘くて濃厚で、入れていないというのにノットが膨らみそうになるほどだ」
そう言って太ももにヌルヌルとした熱いものを擦りつけられた。いつの間に脱いだのか、気がつけば触れる場所のどこもかしこも素肌になっている。
乳首をちゅうっと吸われながら、ヌチヌチと太ももにアレを擦りつけられ続けた。硬くて熱い感触に、僕の尻からとぷんと何かが漏れてしまった。
本格的な交わりは久しぶりだというのに、僕の尻は我慢できないのかきゅうと窄まった。そうしてすぐにくぱぁと広がる。早くここに入れるんだと訴えるようにクパクパと忙しなく動き、そのたびに穴から何かがトロトロとこぼれ落ちた。
「殿下、はやく、」
「焦らなくてもいい。まだ発情は始まったばかりだ」
「はやく、いいから、早く僕の中に、」
始まったばかりかもしれないが、僕の体は殿下がほしくて限界を迎えそうだった。お腹の奥がジクジク疼いて暴れ出しそうになる。
早くここを殿下の熱いナニで埋めてほしい。そうして濃い子種をたっぷりと注ぎ込んでほしい。発情で目覚めた僕のΩが、狂ってしまいそうなほど僕だけのαを求めていた。
「はや、く……っ」
何度も訴えているのに、殿下は乳首に吸いつくばかりで入れてくれない。片方は口で、もう片方は指でこね回し、まるでお乳を求める赤児のようだ。
そんな焦れったい刺激で僕が満足できると思っているのか。それに触れてほしいのはそこじゃない。体のもっと奥深くで殿下を感じたくて気が狂いそうになる。
「でん、か……っ」
肩を押して顔を上げさせようとした瞬間、カリッと乳首を噛まれてピュゥッお乳が噴き出た。指でこねられていたほうも少し漏れたような気がする。途端に濃厚なバニラの香りが広がり、頭の中でぐわっと熱が広がった。
「いい、加減に、しろ……っ」
蹴り飛ばす勢いでのし掛かる殿下を押しのけた。チラッと見えた殿下のナニはすでに十分すぎるほど逞しく、なぜそれを早く入れないのかと腹が立った。
向かい合わせだから胸をいじられるのだと思った僕は、くるりと背を向け四つん這いになった。そうして腰を突き出し思い切り殿下に尻を見せつける。
「早く入れろと、言ってるじゃないか……っ」
ここに熱くて太くて硬いナニを入れてもらわないと頭がおかしくなってしまう。何度も擦って突き上げて、そうして奥深くでたっぷりと子種を出せと叫びたくなる。
いや、それだけで満足できるものか。僕だけのαなのだから、枯れてしまうまで僕に注ぎ続けなければいけない。僕が満足するまで子種を注ぎ、僕にαの胤を植えつけるのだ。
その胤を僕は体の奥で抱きしめる。僕が選んだ僕だけのαの胤は、僕だけが実らせることができる。これは互いに唯一の存在である僕たち二人の間でしかできないことだ。
「あぁ、なんて濃く甘い香りなんだ」
いつもとは違う、やや虚ろな殿下の声に振り返る。
膝立ちになった殿下がゆらりと近づいてくる。見据えるような眼差しのまま殿下の顔がゆっくりと僕の尻に近づき、そうしてそっと尻たぶに口づけた。そのまま腰や背中に口づけ、合間に祈りの言葉のように僕の名を呼び続ける。
その声に、姿に、僕の心がゾクゾクと震えた。はやるように速くなった鼓動に思わず笑みがこぼれる。そうだ、僕だけのαなのだから僕だけを見ればいい。僕に囚われたまま僕の望みを早く叶えるんだ。
「僕の中に、さぁ、早く」
「ランシュ」
うっとりとした声で僕の名を呼んだ殿下が尻たぶを割り開いた。そうしてさらけ出された部分に熱く硬いナニがぴたりとくっつく。もう一度「ランシュ」と囁く声が聞こえた直後、ズブゥと太いものが尻の穴を押し広げた。そのままズブズブと奥へと入り込んでいく。
「ぁ、あ、んっ、ぁ、」
「あぁ……なんと熱くて、きつくて、淫らなんだ」
「んっ!」
「久しぶりだからか、とてもきついのに……こんなに柔らかくうねって……くっ!」
「んぅ!」
「これでは、そう長くもちそうに……んぐっ」
早く注いでほしい。そう思って殿下に押しつけるように尻を突き出すと、僕の腰を掴んだ手に力が入ったのがわかった。四つん這いのまま動くのは難しいが、とにかく殿下の子種がほしくてぐいぐいと動かす。早く注いでくれという気持ちのまま腰を押しつける。
「はや、く……んっ、殿下、早く、注い、で……っ」
「ランシュ、待て、んっ、くっ」
押しつけた僕の尻に殿下の腰がバチンとぶつかった。そのまま何度も肌がぶつかり、そのたびにお腹の奥を硬いものが抉っていく。それがたまらなく気持ちがよくて、ブルブル震えながら僕のほうが先にビュビュッと吐精してしまった。それで尻の穴やお腹の中が締まったからか、すぐさま殿下が唸るような声を上げて子種を噴き出した。
(あぁ……すごい量だ……それに、勢いも強くて……)
ものすごく奥深いところまで濡れるのがわかる。穴を目一杯広げるようにノットが膨らんでいるのも感じた。
「ようやくの……子種だ……」
でも、まだだ。もっともっと子種がほしい。濃くて甘いミルクの香りも足りない。僕をもっと溺れさせて、そうしてあふれ出てしまうくらい子種を注ぎ込んでほしい。ノットに塞がれ子種が中を満たしていくのを感じながら、僕はうっとりと笑みを浮かべた。まだまだ続く交わりを想像して気持ちが昂ぶっていく。
予想どおり、一度目の吐精が終わってもナニを抜くことなく二度目が始まった。ノットが落ち着いただけで殿下のナニは硬く太いままだ。それで何度も奥を抉られ手前を潰され、気が狂うほどの快感に全身から力が抜けてしまった。
上半身をベッドに擦りつけながら尻だけを高く突き上げる僕を、殿下は背後から抱き込むように包み込んだ。そのまま押し潰すような勢いで腰をぶつけてくる。何度も何度も奥を突き、その衝撃でたっぷり注がれた子種が泡立って内ももを滴り落ちるのがわかった。
それでも殿下は動きを止めない。僕がそう望んでいるからだ。
「前回よりも、んっ、頭がぼんやりとして、くっ、まるで酩酊して、いる、っ、みたいだ」
「んっ、ぁん! んっ、んぅっ」
「わたしの香りと、ランシュの香りが混じり合って、んっ、まるで濃厚なミルクセーキのような、ふっ、香りに、溺れている、くっ、気がする、……っ」
「ぁう!」
ずぶっと奥を突き上げられ、ベッドを思い切り引っ掻いた。力が入らないはずの足の指も必死に引っ掻いているような気がする。あまりの気持ちよさに下腹が何度も波打つのを感じた。
「ぐぅっ。こんなにすぐに、二度目が出るとは……くっ」
「ひっ」
殿下に耳を噛まれて悲鳴が漏れた。そのまま耳たぶを噛まれ、首筋を舐められ「はふ」と吐息のような声が漏れる。
「ここが、一番香りが濃いな」
うなじに熱い息が触れた。ぞわりとした感覚に身震いすると、それを封じるように僕の体にのし掛かった殿下がうなじにガブッと噛みついた。
「ひぃ……っ!」
ぞわっとしたのは一瞬で、すぐに強烈な快感が頭を突き抜けた。あまりに強すぎる感覚に、それが快感なのか恐怖なのか一瞬にしてわからなくなる。剥き出しになった何かを直接噛まれるような感覚に、無我夢中でベッドを掻き乱した。
「ひ、ひっ、や、やめ、はなし、て……!」
口からこぼれる声はほとんど悲鳴だった。殿下にも聞こえているはずなのに、鋭い歯は離れることなくますます肌に食い込んでいく。
「あぁ! あっ、ぁひ、ひっ、ひぅ!」
恐怖と快感が入り混じり、体がブルブルと震え出した。あれほど体のどこにも力が入らなかったのに、いまは全身がカチコチになるほど力んでいる。そんな僕の体の中を信じられないくらいの快楽が走り抜けた。
「あぁっ、ぁあ! ぁ、あ、あぁ、あぁっ!」
訳がわからなかった。うなじが熱くて焼けてしまいそうだ。気持ちいいのに怖くて気が狂いそうになる。
そのくらい頭の中は大混乱だというのに、僕の体はこのまま噛まれ続けろと訴えた。訳がわからずブルブルと震えながら、まるで獣の獲物になったかのようにうなじを噛まれ続けた。
「あぁ……!」
殿下の歯が肌を食い破ったような気がした。初めてうなじを噛まれたときよりも鋭い痛みと、それを上回る快感が駆け抜ける。頭が弾け飛んで体中から僕の香りが噴き出したような気がした。
「まさか、Ωにここまで発情を促されるとはな。いや、これも互いが唯一の存在だからか。……あぁ、いい香りがますます強くなった。さぁ、またたっぷりとここに注いでやろう」
「ここに」と言いながらお腹を撫でられ、ぞくりとした。体の奥からじゅわりと香りが染み出し、もっと僕を味わえというようにねっとりと殿下に絡みつく。
それはまるで無限に続く快楽の始まりのようだった。いや、発情とは本来そういうものなのだ。得も言われぬ多幸感を感じた僕は、微笑みながら「僕だけのα」とつぶやいた。
こうして僕と殿下は、七日間もの間交わり続けた。三度目の吐精から何度もうなじを噛まれたせいか、発情が終わったときには初めて噛まれたとき以上の痕がついていた。僕自身は見えないが、周囲から「そんなに噛まれるほど激しい発情を……」と思われるのはさすがに恥ずかしい気がする。
「いっそ発情用の首飾りでも作るか」
別に噛まれたくないわけではないが、あれは快感としてきつすぎる。殿下は「ランシュが激しく誘ったからだ」と言っていたが、そんな意識は僕にはない。ただ殿下と交わりたくて、早く入れてほしくてたまらなかっただけだ。
「って、それもどうかと思うが」
僕はなんといやらしくなったんだろう。これもΩだからだろうか。そんなことを考えながらミルクセーキを飲む。
発情が終わって半月と少しが経ったが、最近またミルクセーキが飲みたくてたまらなくなってきた。夏になり暑くなってきたから、いまは冷たいミルクセーキを作ってもらっている。シエラがお腹にいたときは温かいミルクセーキだったなと思うと、月日が経つのは早いものだ。
「さて、新しい画材の確認に行くか」
最近、画材工房では小さな子どもでも扱える絵の具作りを進めている。アールエッティ王国にも子ども用の水溶き絵の具や色鉛筆はあるが、シエラができて初めて子ども用絵の具について真剣に考えるようになった。
小さい子どもというのは、とにかく何でも口に入れたがる。それはシエラも同じで、僕が絵を描いている横で絵の具を口に入れようとしたときには心底焦った。
「シエラは成長が早すぎるんだ」
生まれたときはあんなに小さかったのに、あっという間に大きくなった。これもαだからだろうか。まだ確定はしていないが、あの成長の早さはαに違いない。
そんな急成長を遂げているシエラは、最近絵の具に多大な関心を寄せている。というより僕の真似をしたいのか、絵を描きたくてたまらないのだ。
しかし、僕が使っている絵の具の中には口に入れると毒になるものがある。アールエッティ王国には子ども用の絵の具もあるが、あれでも赤ん坊には早すぎるだろう。では色鉛筆ならどうかと考えたが、細い芯が折れたときに飲み込まないか心配だった。
そこで、万が一飲み込んでも大丈夫な子ども用の絵の具が作れないか職人たちに相談することにした。さすがに難しいかと思っていたが、アールエッティ王国から呼んだ職人たちは探求心が強いからかすぐに話に乗ってくれた。一緒に働いているビジュオール王国の職人たちも触発されたのか、いまでは工房あげて試作品作りに取りかかってくれている。
そうして先日、何色か見本ができたと連絡が来た。今日はそれを見に行く予定だ。
「試作品をいくつかもらって、部屋で試し描きしてみるか」
それなら殿下との昼食にも間に合う。そう思いながら、冷たいミルクセーキを一気に飲み干した。
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【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
もう一度君に会えたなら、愛してると言わせてくれるだろうか
まんまる
BL
王太子であるテオバルトは、婚約者の公爵家三男のリアンを蔑ろにして、男爵令嬢のミランジュと常に行動を共にしている。
そんな時、ミランジュがリアンの差し金で酷い目にあったと泣きついて来た。
テオバルトはリアンの弁解も聞かず、一方的に責めてしまう。
そしてその日の夜、テオバルトの元に訃報が届く。
大人になりきれない王太子テオバルト×無口で一途な公爵家三男リアン
ハッピーエンドかどうかは読んでからのお楽しみという事で。
テオバルドとリアンの息子の第一王子のお話を《もう一度君に会えたなら~2》として上げました。
※画像は男の子メーカーpicrewさんよりお借りしました。
いい加減観念して結婚してください
彩根梨愛
BL
平凡なオメガが成り行きで決まった婚約解消予定のアルファに結婚を迫られる話
元々ショートショートでしたが、続編を書きましたので短編になりました。
2025/05/05時点でBL18位ありがとうございます。
作者自身驚いていますが、お楽しみ頂き光栄です。
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