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44 本気の発情2
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どこか遠くでハァハァと荒い息が聞こえる。いや、遠くじゃなくすぐそばから聞こえているような気もする。誰の息なんだろうと思ったが、すぐに目の前の濃いミルクの香りに意識が吸い寄せられてどうでもよくなった。
「……足りない。もっと濃い香りを……殿下の香りを……」
僕が選んだ僕のαの香り。それをもっと集めなければ。たくさん集めて、僕だけの場所を作るんだ。その中にいれば殿下の香りをもっと感じられるし安心できる。そこは僕と殿下だけの場所で、そこなら思う存分発情もできる。
そう思いながら動かした右手に柔らかな布が触れた。ずるずると引き寄せて顔を埋めると、ふわっと濃いミルクの香りがする。そうだ、この香りだ。この香りをもっともっと集めなければ。
「もっと……もっと……」
両手を動かして手に触れる布を片っ端から引き寄せる。すると、濃いミルクの香りに違う香りが混じっていることに気がついた。
「ミルク、セーキ……?」
うっすらとだがミルクセーキのような香りがする。悪い香りじゃないが、いまはいらない。この香りは本物の殿下の香りが現れたときでいい。
「いまは、いらない……」
香りを遠ざけたくてモゾモゾと服を脱いだ。シャツを脱ぎ、腰紐を解いて両足をゴソゴソ動かしながら何とかズボンを脱ぎ去る。
そうして余計な香りがする布を放り投げ、掻き集めた濃いミルクの香りに鼻を埋めた。それだけでは足りなくて、手当たり次第掴んだ布を体の上に載せていく。そうすると全身が濃いミルクの香りに包まれているような気がして幸せな気分になれるからだ。
「いい、香りだ……」
息を吸うだけで多幸感が膨らむ。もっと香りがほしいと思いながら目の前の布を噛み締めた。途端に口に中に香りが広がり、じゅわっと唾液が溢れてくる。
あぁ、たまらない。もっとこの香りがほしい。もっと濃くて息が苦しくなるほどの香りに襲われる喜びを僕は知っている。その香りがいまここにないことが残念で仕方なかった。
「早く……僕だけのα……早く僕の香りを求めるんだ……」
夢うつつにそんなことを思いながら、大好きな濃いミルクの香りを思う存分吸い込んだ。
そうしてどのくらい経っただろうか。半分寝ているようにぼんやりしていた頭が、急にパチンと弾けて目が覚めた。くんと鼻を鳴らすと、新鮮な濃いミルクの香りが近づいてくるのがわかる。
「やっとだ……早く、早くここに……僕のところに……」
そうして二人だけの場所で発情を迎えるんだ。誰にも邪魔されない安心できるこの場所で、僕はようやく大好きな香りに溺れることができる。
もちろん僕の香りも絶対に逃したりはしない。僕の香りでがんじがらめにし、すべてを僕に捧げてもらう。
「これは……」
扉が開いた音と同時に待ちわびた人の声がした。
「やっと、来た」
「ランシュ」
あぁ、やっとだ。ようやく僕たちの発情を迎えることができる。さぁ、早く僕のところに来い。そして濃いミルクの香りで僕を溺れさせるんだ。
「早く、はやく」
香りが薄い布たちを押しのけ、なんとか体をうつ伏せにした。こうすれば、僕の濃い香りがするうなじを空気にさらすことができる。それに、もっとも濃い香りを放つ尻を見せつけることも可能だ。
「間違いなく発情しているとわかるが……。なんて濃い香りなんだ」
「早く、いいから、早く」
「こんな濃い香りのΩは初めてだ」
「早く、はやく」
「それに、なぜ服の山が……これは、わたしの服か?」
早くと言っているのに、どうして殿下は服なんかを手に取っているんだ。それはただの場所を形作るもので、殿下がいま触れるべきは僕のほうだ。
(そうだ、早く僕に触れるんだ)
そう思った途端にお腹の奥がカッと熱くなった。そうしてじゅわりじゅわりと僕の香りが外へとあふれ出していく。殿下だけの僕の香りが体から這い出て、触手を伸ばすように殿下へと絡みついていく。
「ランシュ、待て」
「早く、僕と発情を迎えるんだ」
「ラン、」
「殿下だけの僕に、すべてを捧げるんだ」
四つん這いの状態から上半身を落とし、代わりに腰をくいっと天に突き上げた。こうすれば否が応でも僕の濃い香りを感じるはずだ。そうすれば殿下は絶対に我慢できなくなる。
僕の香りは絶対に殿下を逃したりはしない。僕のうなじを噛み、僕の香りを手に入れた殿下が僕から逃れることはもうできない。
「さぁ、はやく僕と発情を」
「ランシュ、」
「僕と、発情して」
唸るような声を出した殿下の手が、グッと僕の腰を掴むのがわかった。腰が揺れたことで下着の布が尻たぶにぴたりとくっつく。
どうせなら下着も脱いでおけばよかった。そう思い腰をモゾモゾと動かしていると、下着の上から尻たぶに口づけられたのがわかった。そうだ、下着一枚なんかで僕の香りを遮ることはできない。僕の香りは確実に殿下を捕らえることができるんだ。
「あまりに濃くて、目眩がするようだ」
「ん、んっ」
「これまでの発情とは、あまりに違う。それに、こんなに濃い香りがΩからするとは」
「んぅ、んっ」
「これではまるで、強制発情させる、αのようではないか」
言葉と尻たぶへの口づけが交互に続き、焦れったい感触に腰が震えそうになった。
上半身を肩と頬で支えながら下着の腰紐を解こうとするが、それより先に顕わになった尻たぶをぺろりと舐められて手から力が抜けてしまった。柔らかい布で股間を包み込むような下着だから、どこかが少し緩めば尻たぶはすぐに出てしまう。そうして顕わになったところを殿下が舐めたのだろう。
「もっと、もっと、」
そんな優しい口づけじゃ全然足りない。そう思って尻を揺らすと、割れ目を覆っていた布がクイッとずらされたのがわかった。すっかり濡れそぼった尻穴が空気に触れて、少しだけひんやりする。
「こんなに濡らして、尻どころかここまで透けている」
「ぁんっ」
下着の上から陰嚢を撫でられて、思わず高い声を漏らしてしまった。
「あぁ、こちらもすっかり貼りついて」
「んっ」
今度は僕のアレを撫でられ、下着がぴたりとくっついてしまっていることに気がついた。そのくらい僕の尻が濡れて下着を湿らせていたということだ。もしくは、僕のナニからもいろいろ漏れてしまっているのかもしれない。
「それに……ここは、さらにすごいな」
「ふぅっ」
「指で触れるだけで……こんなにパクパクとさせて」
「ふっ、んっ」
ひどく濡れているからか、殿下の指が尻穴を撫でるだけでクチュクチュと濡れた音がする。触られるたびに奥から溢れてくるのを僕自身も感じていた。
(当然だ……だって、これから僕は、殿下と発情を共に過ごすんだから)
そのために香りを放ち、殿下を捕らえた。これから殿下と一緒に最高の発情を迎えることになる。
殿下の香りに溺れ、そうして殿下も僕の香りに囚われる。二人の香りが混ざり合って、二人だけの発情が始まるんだ。
「殿下、」
「あぁ……とてもいい香りだ……濃くて甘くて、とてもおいしそうな香りがしている」
尻に温かい吐息が触れた。それにぞわっと肌が粟立った瞬間、レロッと尻穴を舐められた。「ひゃっ」と声を上げるのと同時に尻穴に舌が入り込むように舐められて、上半身が完全に崩れ落ちてしまった。そのまま穴の周辺を舐めるように、ときに抉るように動く舌先が僕を翻弄する。
「舐めても舐めても、溢れてくる。それに、香りもどんどん濃くなるな」
「あ……あ……」
今度はじゅるっと吸われて膝が崩れた。太ももやお腹の辺りが冷たく感じるのは、そこがぐっしょりと濡れているからだ。前と後ろのどちらから滴ったものかはわからないが、そのくらい僕は興奮し殿下を誘っていたということなんだろう。
「噛んだときの発情もすごいと思っていたが、今回はそれとはまったく違う。気をつけないと、わたしのほうが飲み込まれそうだ」
「ん……んぅ……」
「さぁ、五度目の発情を共に過ごそう。あぁ、入れる前からノットが現れてしまいそうだ」
太ももに触れている温かな感触は、殿下の素肌だ。ということは、殿下も服を脱いだということに違いない。
(あとは、殿下が入れてくれるだけだ……)
割れ目を覆っていた下着の布をさらに横にずらされ、尻たぶをグッと開かれたのがわかった。
熱くて硬いものが割れ目部分の皮膚を撫でるように擦る。ヌルッとしているのは僕から漏れ出たもののせいか、それとも殿下から溢れているものだろうか。硬いものが何度も尻穴をトントンと叩き、そのたびに迎え入れようと穴がパクパクと開いた。
「はやく、はやく……」
焦れったい感触に思わずそうつぶやいたつぎの瞬間、硬いものがぐぅっと尻穴を押し広げた。一瞬息が詰まったが、すぐに求めていたものだとわかり体中が歓喜に満ちあふれる。そのまま硬くて太いものが体の中に押し入り、お腹の奥へと突き進んでいった。
「あ、ぁ、あぁ、あ――……!」
硬いものに深くをズンと突かれただけで、頭が弾け飛んだ気がした。体もビクビクと跳ねた気がしたが、殿下に押し潰されているからか枕を引っ掻くように掴んでいる指しか動かない。
「ぐ……っ。これは、すさまじい、な……」
殿下の声がすぐそばで聞こえる。荒い息がうなじにかかるからか、それだけでも背筋がぞくぞくした。
「今度の発情は、とんでもないことに、なりそうだ」
殿下のつぶやきに、僕の体の奥からじゅわっと香りが吹き出した。
「……足りない。もっと濃い香りを……殿下の香りを……」
僕が選んだ僕のαの香り。それをもっと集めなければ。たくさん集めて、僕だけの場所を作るんだ。その中にいれば殿下の香りをもっと感じられるし安心できる。そこは僕と殿下だけの場所で、そこなら思う存分発情もできる。
そう思いながら動かした右手に柔らかな布が触れた。ずるずると引き寄せて顔を埋めると、ふわっと濃いミルクの香りがする。そうだ、この香りだ。この香りをもっともっと集めなければ。
「もっと……もっと……」
両手を動かして手に触れる布を片っ端から引き寄せる。すると、濃いミルクの香りに違う香りが混じっていることに気がついた。
「ミルク、セーキ……?」
うっすらとだがミルクセーキのような香りがする。悪い香りじゃないが、いまはいらない。この香りは本物の殿下の香りが現れたときでいい。
「いまは、いらない……」
香りを遠ざけたくてモゾモゾと服を脱いだ。シャツを脱ぎ、腰紐を解いて両足をゴソゴソ動かしながら何とかズボンを脱ぎ去る。
そうして余計な香りがする布を放り投げ、掻き集めた濃いミルクの香りに鼻を埋めた。それだけでは足りなくて、手当たり次第掴んだ布を体の上に載せていく。そうすると全身が濃いミルクの香りに包まれているような気がして幸せな気分になれるからだ。
「いい、香りだ……」
息を吸うだけで多幸感が膨らむ。もっと香りがほしいと思いながら目の前の布を噛み締めた。途端に口に中に香りが広がり、じゅわっと唾液が溢れてくる。
あぁ、たまらない。もっとこの香りがほしい。もっと濃くて息が苦しくなるほどの香りに襲われる喜びを僕は知っている。その香りがいまここにないことが残念で仕方なかった。
「早く……僕だけのα……早く僕の香りを求めるんだ……」
夢うつつにそんなことを思いながら、大好きな濃いミルクの香りを思う存分吸い込んだ。
そうしてどのくらい経っただろうか。半分寝ているようにぼんやりしていた頭が、急にパチンと弾けて目が覚めた。くんと鼻を鳴らすと、新鮮な濃いミルクの香りが近づいてくるのがわかる。
「やっとだ……早く、早くここに……僕のところに……」
そうして二人だけの場所で発情を迎えるんだ。誰にも邪魔されない安心できるこの場所で、僕はようやく大好きな香りに溺れることができる。
もちろん僕の香りも絶対に逃したりはしない。僕の香りでがんじがらめにし、すべてを僕に捧げてもらう。
「これは……」
扉が開いた音と同時に待ちわびた人の声がした。
「やっと、来た」
「ランシュ」
あぁ、やっとだ。ようやく僕たちの発情を迎えることができる。さぁ、早く僕のところに来い。そして濃いミルクの香りで僕を溺れさせるんだ。
「早く、はやく」
香りが薄い布たちを押しのけ、なんとか体をうつ伏せにした。こうすれば、僕の濃い香りがするうなじを空気にさらすことができる。それに、もっとも濃い香りを放つ尻を見せつけることも可能だ。
「間違いなく発情しているとわかるが……。なんて濃い香りなんだ」
「早く、いいから、早く」
「こんな濃い香りのΩは初めてだ」
「早く、はやく」
「それに、なぜ服の山が……これは、わたしの服か?」
早くと言っているのに、どうして殿下は服なんかを手に取っているんだ。それはただの場所を形作るもので、殿下がいま触れるべきは僕のほうだ。
(そうだ、早く僕に触れるんだ)
そう思った途端にお腹の奥がカッと熱くなった。そうしてじゅわりじゅわりと僕の香りが外へとあふれ出していく。殿下だけの僕の香りが体から這い出て、触手を伸ばすように殿下へと絡みついていく。
「ランシュ、待て」
「早く、僕と発情を迎えるんだ」
「ラン、」
「殿下だけの僕に、すべてを捧げるんだ」
四つん這いの状態から上半身を落とし、代わりに腰をくいっと天に突き上げた。こうすれば否が応でも僕の濃い香りを感じるはずだ。そうすれば殿下は絶対に我慢できなくなる。
僕の香りは絶対に殿下を逃したりはしない。僕のうなじを噛み、僕の香りを手に入れた殿下が僕から逃れることはもうできない。
「さぁ、はやく僕と発情を」
「ランシュ、」
「僕と、発情して」
唸るような声を出した殿下の手が、グッと僕の腰を掴むのがわかった。腰が揺れたことで下着の布が尻たぶにぴたりとくっつく。
どうせなら下着も脱いでおけばよかった。そう思い腰をモゾモゾと動かしていると、下着の上から尻たぶに口づけられたのがわかった。そうだ、下着一枚なんかで僕の香りを遮ることはできない。僕の香りは確実に殿下を捕らえることができるんだ。
「あまりに濃くて、目眩がするようだ」
「ん、んっ」
「これまでの発情とは、あまりに違う。それに、こんなに濃い香りがΩからするとは」
「んぅ、んっ」
「これではまるで、強制発情させる、αのようではないか」
言葉と尻たぶへの口づけが交互に続き、焦れったい感触に腰が震えそうになった。
上半身を肩と頬で支えながら下着の腰紐を解こうとするが、それより先に顕わになった尻たぶをぺろりと舐められて手から力が抜けてしまった。柔らかい布で股間を包み込むような下着だから、どこかが少し緩めば尻たぶはすぐに出てしまう。そうして顕わになったところを殿下が舐めたのだろう。
「もっと、もっと、」
そんな優しい口づけじゃ全然足りない。そう思って尻を揺らすと、割れ目を覆っていた布がクイッとずらされたのがわかった。すっかり濡れそぼった尻穴が空気に触れて、少しだけひんやりする。
「こんなに濡らして、尻どころかここまで透けている」
「ぁんっ」
下着の上から陰嚢を撫でられて、思わず高い声を漏らしてしまった。
「あぁ、こちらもすっかり貼りついて」
「んっ」
今度は僕のアレを撫でられ、下着がぴたりとくっついてしまっていることに気がついた。そのくらい僕の尻が濡れて下着を湿らせていたということだ。もしくは、僕のナニからもいろいろ漏れてしまっているのかもしれない。
「それに……ここは、さらにすごいな」
「ふぅっ」
「指で触れるだけで……こんなにパクパクとさせて」
「ふっ、んっ」
ひどく濡れているからか、殿下の指が尻穴を撫でるだけでクチュクチュと濡れた音がする。触られるたびに奥から溢れてくるのを僕自身も感じていた。
(当然だ……だって、これから僕は、殿下と発情を共に過ごすんだから)
そのために香りを放ち、殿下を捕らえた。これから殿下と一緒に最高の発情を迎えることになる。
殿下の香りに溺れ、そうして殿下も僕の香りに囚われる。二人の香りが混ざり合って、二人だけの発情が始まるんだ。
「殿下、」
「あぁ……とてもいい香りだ……濃くて甘くて、とてもおいしそうな香りがしている」
尻に温かい吐息が触れた。それにぞわっと肌が粟立った瞬間、レロッと尻穴を舐められた。「ひゃっ」と声を上げるのと同時に尻穴に舌が入り込むように舐められて、上半身が完全に崩れ落ちてしまった。そのまま穴の周辺を舐めるように、ときに抉るように動く舌先が僕を翻弄する。
「舐めても舐めても、溢れてくる。それに、香りもどんどん濃くなるな」
「あ……あ……」
今度はじゅるっと吸われて膝が崩れた。太ももやお腹の辺りが冷たく感じるのは、そこがぐっしょりと濡れているからだ。前と後ろのどちらから滴ったものかはわからないが、そのくらい僕は興奮し殿下を誘っていたということなんだろう。
「噛んだときの発情もすごいと思っていたが、今回はそれとはまったく違う。気をつけないと、わたしのほうが飲み込まれそうだ」
「ん……んぅ……」
「さぁ、五度目の発情を共に過ごそう。あぁ、入れる前からノットが現れてしまいそうだ」
太ももに触れている温かな感触は、殿下の素肌だ。ということは、殿下も服を脱いだということに違いない。
(あとは、殿下が入れてくれるだけだ……)
割れ目を覆っていた下着の布をさらに横にずらされ、尻たぶをグッと開かれたのがわかった。
熱くて硬いものが割れ目部分の皮膚を撫でるように擦る。ヌルッとしているのは僕から漏れ出たもののせいか、それとも殿下から溢れているものだろうか。硬いものが何度も尻穴をトントンと叩き、そのたびに迎え入れようと穴がパクパクと開いた。
「はやく、はやく……」
焦れったい感触に思わずそうつぶやいたつぎの瞬間、硬いものがぐぅっと尻穴を押し広げた。一瞬息が詰まったが、すぐに求めていたものだとわかり体中が歓喜に満ちあふれる。そのまま硬くて太いものが体の中に押し入り、お腹の奥へと突き進んでいった。
「あ、ぁ、あぁ、あ――……!」
硬いものに深くをズンと突かれただけで、頭が弾け飛んだ気がした。体もビクビクと跳ねた気がしたが、殿下に押し潰されているからか枕を引っ掻くように掴んでいる指しか動かない。
「ぐ……っ。これは、すさまじい、な……」
殿下の声がすぐそばで聞こえる。荒い息がうなじにかかるからか、それだけでも背筋がぞくぞくした。
「今度の発情は、とんでもないことに、なりそうだ」
殿下のつぶやきに、僕の体の奥からじゅわっと香りが吹き出した。
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