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その後の二人1
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「もうすぐかな」
時計を見たら六時半を過ぎている。今日は早く帰るって言っていたから、たぶん、そろそろのはず。
今日は藤也さんの好きなパンを買ってきた。俺も好きなパンだから、いつもよりちょっと多めにした。スープも作ったしサラダも用意した。あさりのバター焼きと、さわらのムニエルもできた。シャンパンとビールは朝一で冷蔵庫に入れてある。
入浴剤も選んであるし、ベッドもフカフカにした。防水用のシーツも敷いたし、換えのシーツもベッドの横に用意してある。ベッド脇の棚にはボスが教えてくれたチューブの潤滑剤も用意して、注文していたものも間に合った。
「うん、バッチリだ」
あとは、藤也さんが帰ってくるだけ。
藤也さんの誕生日が五月五日だって知ったのは、俺が藤也さんの家に来た次の年だった。五月五日って、こどもの日だよね。みんなが知っている記念日が誕生日なんて、やっぱり藤也さんはすごい。
同じ日が誕生日のボスは「この年になっても“こどもの日”なんて笑えるよな」って言いながら、毎年ケーキの代わりに柏餅を食べるんだって教えてくれた。
そういえば、ボスが「誕生日は昼から俺だけの逞しい刀で遊ぶのが楽しいんだ」って言っていたけど、どういう意味だったんだろう。「硬いのを縛ってしゃぶってやるのが最高でね」って笑ったボスに、藤也さんは「この変態が」って言って、静流さんは変な顔をしていた。
「今年はボスにもプレゼントを贈ったし、藤也さんのぶんも間に合ったし、よかった」
初めての藤也さんの誕生日には、何もできなかった。お金がなかったからプレゼントは買えなかったし、料理もできなかったからご飯も作れなかった。だから次の年こそは絶対に何かしようと思って、いろいろ頑張った。料理もたくさん練習して、ちょっとだけだったけど藤也さんの会社でアルバイトもして、お金も貯めることができた。
そうして準備していたけど、去年は藤也さんに連れられて海外に行くことになった。まるで俺がプレゼントをもらったみたいになってしまったから、今年こそはと決意した。
ガチャリ。
あ、ドアが開く音がした。慌てて玄関に行ったら、かっこいい藤也さんが靴を脱いでいるところだった。
「おかえりなさい」
「おう、ただいま。いい子にしてたか?」
「もちろん」
そう答えたら、ニヤッて笑いながらポンポンって頭を撫でられた。
いつもより少し早い時間だけど、ご飯も全部できていたから食べることにした。「いただきます」って言って、藤也さんがムニエルを食べる。スープもサラダもあさりも食べてから、「腕を上げたな」って褒めてくれた。そりゃあ藤也さんが教えてくれたんだから、上手になるのは当たり前だ。それでも褒めてもらえるのはやっぱり嬉しい。
何でも作れる藤也さんだけど、料理は趣味なんだって話していた。初めて料理を教えてもらった去年、その話を聞いたときはびっくりした。
だって、レストランみたいにおいしいご飯が作れるのに趣味なんてすごい。それに、レンチンでパパッと簡単に作ることもできて本当にすごいんだ。
ほかにも掃除や洗濯も趣味だって話していた。「だから、いつも家中がピカピカだったんだ」って初めてわかった。家には藤也さんと俺しか住んでいないんだから、ピカピカなのは藤也さんが掃除をしていたんだって気づかないといけなかったのに、本当にまったく気づかなかった。
いまは俺も気をつけて掃除するようにしているけど、いつの間にかお風呂や洗面所がピカピカになっていることがある。毎日あんなに忙しいのに、藤也さんが掃除をしているってことだ。
(俺も、もっと頑張らないと)
いまは掃除のほとんどを俺がやっているけど、藤也さんのピカピカにはやっぱり敵わない。
ご飯が終わって、一緒に片付けをしたらお風呂の時間だ。今日の入浴剤はハーブの匂いがするやつにした。
藤也さんは、冬は発泡入浴剤で、それ以外の季節はハーブや花の匂いがする入浴剤が好きだ。藤也さんは「おまえがいい匂いになるのが好きなんだ」って言うけど、藤也さんも絶対に好きだと思う。
だって、一緒にお風呂に入っていると表情が違うことがわかるんだ。もちろん俺も、藤也さんが好きな入浴剤は全部好きになった。
お風呂から出たら、外国の文字が書かれたビールを飲んだ。藤也さんはいろんなお酒を飲むけど、いまは外国のビールに凝っている。
二十歳を過ぎてから、俺も一緒にちょこっとだけ飲むようになった。そんな俺を見るたびに、藤也さんは「猫がミルク舐めてるみてぇだな」って笑う。
(だって、ビールって苦いんだ)
だから、本当は少し苦手だった。でも藤也さんがおいしそうに飲むから、俺も飲みたくなる。まだあんまり飲めないけど、いつかいろんなお酒を一緒に飲むのが夢になった。
「そろそろ寝るか」
「うん」
歯磨きをして、トイレに行って、藤也さんと俺の寝室に行く。
隣にあった俺の部屋は、俺専用のウォークインクローゼットになった。毎日藤也さんと一緒に寝ているし、俺だけの部屋がいらなくなったからだ。
(一人で寝てたときのことなんて、もう思い出せないなぁ)
そんなことを思いながらバスローブを脱いでベッドに座った。しばらくしたら、あちこちの電気を消してきた藤也さんが部屋に入ってくる。
「さて、今年はベッドの上でプレゼントがもらえるんじゃねぇかって予想してんだが」
「うん、当たり」
やっぱり、藤也さんは俺のことならなんでもわかるんだ。それはすごく嬉しいことだけど、俺も同じくらい藤也さんのことを知りたいと思った。もっともっと知って、もっともっと好きになりたい。
「しっかし、えらくかわいいパジャマだな」
「ベビードールって言うんだって」
「藤生か?」
「違うよ。自分でネットで買ったんだ」
だって藤也さんはきっとこういうのも好きだって思ったから。
ここに来るまでわからなかったけど、俺はどうやら女の子みたいな顔をしているらしい。女の子っていうか、かわいい顔だって言われた。そういう顔なら、たぶんこういう格好が似合うと思ったんだ。
ボスは「無性か両性って感じだな」って言っていたけど、よくわからなかった。静流さんが「ボスに似ている。あの人は美人だけど、ソウくんはかわいいほう」って説明してくれたんだけど、……やっぱりよくわからない。
でも、本当にかわいいなら嬉しかった。だって、藤也さんはかわいいものが好きなんだ。「かわいいものじゃねぇよ。かわいい蒼が好きなんだ」って言ってくれるのも嬉しい。
だから、きっとこの下着も喜んでくれるって思ったんだ。だって、ヒラヒラでスケスケでエロいのは藤也さんが好きなものだし、俺が見てもかわいいって思ったから。
「これ、好き?」
「好きか嫌いかで言えば、好きだな」
「よかった」
「おまえが着てるのがいいってことだ」
「……うん」
嬉しいのになんだか恥ずかしくなってきて、ちょっと下を見る。そうしたら、藤也さんの指がクリッて乳首を摘むのが見えた。
薄いレースの上からクニクニ乳首を摘まれると、気持ちがよくて背中がゾワゾワする。いつも乳首を摘まれているから、乳首だけで気持ちよくなってしまうんだ。
あ……、乳首をクニクニしながら、別の手が、太ももをサワサワしだした。それも気持ちがいい。気持ちがよくて、お腹がムズムズする。
もっとって思ったけど、でも、今日はまだ。だって、藤也さんへのプレゼントを、まだあげていない。
藤也さんの手を止めて、ベッド脇の棚に用意したものを手に取った。箱から取り出したのは、銀色に光る細い棒だ。先っぽには小さい鈴が付いている。
それを右手に持って、ベッドに座ってから膝を立てた。それから足を広げると、M字開脚っていうのになる。これも藤也さんが好きな格好だ。
ベビードールのパンツは小さくて、大きくなった先っぽがパンツから出てしまっている。ちょっと恥ずかしいけど、でも、これが俺からのプレゼントだから。
「これ……。これで、俺の、……俺のクリトリス、いじめてほしい」
言えた。恥ずかしかったけど、ちゃんと言えた。棒もちゃんと差し出した。だから、ちゃんと伝わったはず。銀色の細い棒で、俺のちんこ、……クリトリスの穴を、いじってほしいって伝わったはず。
「……あー、こりゃ、なんつーか……」
あれ……? 藤也さんがため息をついている。もしかして、何か間違えたんだろうか。絶対に好きだと思って用意したんだけど、間違えてしまったのかもしれない。
「俺、間違えた?」
「いいや、正解も正解、大正解だ。あまりに俺好みすぎて、突っ込む前にザーメンぶちまけるところだった」
それって、嬉しいってことなのかな……。
いっぱい勉強しているけど、未だに藤也さんの言葉がわからないときがある。とくにボスと話しているときや仕事の話は、難しい内容が多いんだ。
でも「大正解」って言ってくれたってことは、大丈夫だってことだ。
「俺からの、プレゼント」
「おーおー、我ながらよく躾けたもんだ。思いっきりドストライクのドエロい恋人になったなぁ」
「嬉しい?」
「当たり前だろ。さて、プレゼントはしっかり最後まで貰わねぇとな」
「これ、ちゃんと消毒してるからすぐ使えるよ? あと、お尻、おまんこも、もう濡らしてあるから大丈夫」
「……あー、ほんの少し罪悪感が芽生えるな。いや、俺の恋人ならこれが正解か」
藤也さんが何かブツブツ言っている。でも体のあちこちを撫でてくれているから、嬉しいんだってことはわかった。
(きっと藤也さん、気づいてないんだろうな)
藤也さんは機嫌がいいときや嬉しいとき、俺の体のどこかを撫でる。そのことに気づいたのは去年だ。ほかにも、きっと藤也さん自身が気づいていないことがたくさんあると思う。そういうのを、俺はたくさん知りたい。
「じゃあ、かわいいかわいいプレゼントを、いただくとするか」
そう言って笑った藤也さんが、体のあちこちにキスしながらベビードールを脱がし始めた。
時計を見たら六時半を過ぎている。今日は早く帰るって言っていたから、たぶん、そろそろのはず。
今日は藤也さんの好きなパンを買ってきた。俺も好きなパンだから、いつもよりちょっと多めにした。スープも作ったしサラダも用意した。あさりのバター焼きと、さわらのムニエルもできた。シャンパンとビールは朝一で冷蔵庫に入れてある。
入浴剤も選んであるし、ベッドもフカフカにした。防水用のシーツも敷いたし、換えのシーツもベッドの横に用意してある。ベッド脇の棚にはボスが教えてくれたチューブの潤滑剤も用意して、注文していたものも間に合った。
「うん、バッチリだ」
あとは、藤也さんが帰ってくるだけ。
藤也さんの誕生日が五月五日だって知ったのは、俺が藤也さんの家に来た次の年だった。五月五日って、こどもの日だよね。みんなが知っている記念日が誕生日なんて、やっぱり藤也さんはすごい。
同じ日が誕生日のボスは「この年になっても“こどもの日”なんて笑えるよな」って言いながら、毎年ケーキの代わりに柏餅を食べるんだって教えてくれた。
そういえば、ボスが「誕生日は昼から俺だけの逞しい刀で遊ぶのが楽しいんだ」って言っていたけど、どういう意味だったんだろう。「硬いのを縛ってしゃぶってやるのが最高でね」って笑ったボスに、藤也さんは「この変態が」って言って、静流さんは変な顔をしていた。
「今年はボスにもプレゼントを贈ったし、藤也さんのぶんも間に合ったし、よかった」
初めての藤也さんの誕生日には、何もできなかった。お金がなかったからプレゼントは買えなかったし、料理もできなかったからご飯も作れなかった。だから次の年こそは絶対に何かしようと思って、いろいろ頑張った。料理もたくさん練習して、ちょっとだけだったけど藤也さんの会社でアルバイトもして、お金も貯めることができた。
そうして準備していたけど、去年は藤也さんに連れられて海外に行くことになった。まるで俺がプレゼントをもらったみたいになってしまったから、今年こそはと決意した。
ガチャリ。
あ、ドアが開く音がした。慌てて玄関に行ったら、かっこいい藤也さんが靴を脱いでいるところだった。
「おかえりなさい」
「おう、ただいま。いい子にしてたか?」
「もちろん」
そう答えたら、ニヤッて笑いながらポンポンって頭を撫でられた。
いつもより少し早い時間だけど、ご飯も全部できていたから食べることにした。「いただきます」って言って、藤也さんがムニエルを食べる。スープもサラダもあさりも食べてから、「腕を上げたな」って褒めてくれた。そりゃあ藤也さんが教えてくれたんだから、上手になるのは当たり前だ。それでも褒めてもらえるのはやっぱり嬉しい。
何でも作れる藤也さんだけど、料理は趣味なんだって話していた。初めて料理を教えてもらった去年、その話を聞いたときはびっくりした。
だって、レストランみたいにおいしいご飯が作れるのに趣味なんてすごい。それに、レンチンでパパッと簡単に作ることもできて本当にすごいんだ。
ほかにも掃除や洗濯も趣味だって話していた。「だから、いつも家中がピカピカだったんだ」って初めてわかった。家には藤也さんと俺しか住んでいないんだから、ピカピカなのは藤也さんが掃除をしていたんだって気づかないといけなかったのに、本当にまったく気づかなかった。
いまは俺も気をつけて掃除するようにしているけど、いつの間にかお風呂や洗面所がピカピカになっていることがある。毎日あんなに忙しいのに、藤也さんが掃除をしているってことだ。
(俺も、もっと頑張らないと)
いまは掃除のほとんどを俺がやっているけど、藤也さんのピカピカにはやっぱり敵わない。
ご飯が終わって、一緒に片付けをしたらお風呂の時間だ。今日の入浴剤はハーブの匂いがするやつにした。
藤也さんは、冬は発泡入浴剤で、それ以外の季節はハーブや花の匂いがする入浴剤が好きだ。藤也さんは「おまえがいい匂いになるのが好きなんだ」って言うけど、藤也さんも絶対に好きだと思う。
だって、一緒にお風呂に入っていると表情が違うことがわかるんだ。もちろん俺も、藤也さんが好きな入浴剤は全部好きになった。
お風呂から出たら、外国の文字が書かれたビールを飲んだ。藤也さんはいろんなお酒を飲むけど、いまは外国のビールに凝っている。
二十歳を過ぎてから、俺も一緒にちょこっとだけ飲むようになった。そんな俺を見るたびに、藤也さんは「猫がミルク舐めてるみてぇだな」って笑う。
(だって、ビールって苦いんだ)
だから、本当は少し苦手だった。でも藤也さんがおいしそうに飲むから、俺も飲みたくなる。まだあんまり飲めないけど、いつかいろんなお酒を一緒に飲むのが夢になった。
「そろそろ寝るか」
「うん」
歯磨きをして、トイレに行って、藤也さんと俺の寝室に行く。
隣にあった俺の部屋は、俺専用のウォークインクローゼットになった。毎日藤也さんと一緒に寝ているし、俺だけの部屋がいらなくなったからだ。
(一人で寝てたときのことなんて、もう思い出せないなぁ)
そんなことを思いながらバスローブを脱いでベッドに座った。しばらくしたら、あちこちの電気を消してきた藤也さんが部屋に入ってくる。
「さて、今年はベッドの上でプレゼントがもらえるんじゃねぇかって予想してんだが」
「うん、当たり」
やっぱり、藤也さんは俺のことならなんでもわかるんだ。それはすごく嬉しいことだけど、俺も同じくらい藤也さんのことを知りたいと思った。もっともっと知って、もっともっと好きになりたい。
「しっかし、えらくかわいいパジャマだな」
「ベビードールって言うんだって」
「藤生か?」
「違うよ。自分でネットで買ったんだ」
だって藤也さんはきっとこういうのも好きだって思ったから。
ここに来るまでわからなかったけど、俺はどうやら女の子みたいな顔をしているらしい。女の子っていうか、かわいい顔だって言われた。そういう顔なら、たぶんこういう格好が似合うと思ったんだ。
ボスは「無性か両性って感じだな」って言っていたけど、よくわからなかった。静流さんが「ボスに似ている。あの人は美人だけど、ソウくんはかわいいほう」って説明してくれたんだけど、……やっぱりよくわからない。
でも、本当にかわいいなら嬉しかった。だって、藤也さんはかわいいものが好きなんだ。「かわいいものじゃねぇよ。かわいい蒼が好きなんだ」って言ってくれるのも嬉しい。
だから、きっとこの下着も喜んでくれるって思ったんだ。だって、ヒラヒラでスケスケでエロいのは藤也さんが好きなものだし、俺が見てもかわいいって思ったから。
「これ、好き?」
「好きか嫌いかで言えば、好きだな」
「よかった」
「おまえが着てるのがいいってことだ」
「……うん」
嬉しいのになんだか恥ずかしくなってきて、ちょっと下を見る。そうしたら、藤也さんの指がクリッて乳首を摘むのが見えた。
薄いレースの上からクニクニ乳首を摘まれると、気持ちがよくて背中がゾワゾワする。いつも乳首を摘まれているから、乳首だけで気持ちよくなってしまうんだ。
あ……、乳首をクニクニしながら、別の手が、太ももをサワサワしだした。それも気持ちがいい。気持ちがよくて、お腹がムズムズする。
もっとって思ったけど、でも、今日はまだ。だって、藤也さんへのプレゼントを、まだあげていない。
藤也さんの手を止めて、ベッド脇の棚に用意したものを手に取った。箱から取り出したのは、銀色に光る細い棒だ。先っぽには小さい鈴が付いている。
それを右手に持って、ベッドに座ってから膝を立てた。それから足を広げると、M字開脚っていうのになる。これも藤也さんが好きな格好だ。
ベビードールのパンツは小さくて、大きくなった先っぽがパンツから出てしまっている。ちょっと恥ずかしいけど、でも、これが俺からのプレゼントだから。
「これ……。これで、俺の、……俺のクリトリス、いじめてほしい」
言えた。恥ずかしかったけど、ちゃんと言えた。棒もちゃんと差し出した。だから、ちゃんと伝わったはず。銀色の細い棒で、俺のちんこ、……クリトリスの穴を、いじってほしいって伝わったはず。
「……あー、こりゃ、なんつーか……」
あれ……? 藤也さんがため息をついている。もしかして、何か間違えたんだろうか。絶対に好きだと思って用意したんだけど、間違えてしまったのかもしれない。
「俺、間違えた?」
「いいや、正解も正解、大正解だ。あまりに俺好みすぎて、突っ込む前にザーメンぶちまけるところだった」
それって、嬉しいってことなのかな……。
いっぱい勉強しているけど、未だに藤也さんの言葉がわからないときがある。とくにボスと話しているときや仕事の話は、難しい内容が多いんだ。
でも「大正解」って言ってくれたってことは、大丈夫だってことだ。
「俺からの、プレゼント」
「おーおー、我ながらよく躾けたもんだ。思いっきりドストライクのドエロい恋人になったなぁ」
「嬉しい?」
「当たり前だろ。さて、プレゼントはしっかり最後まで貰わねぇとな」
「これ、ちゃんと消毒してるからすぐ使えるよ? あと、お尻、おまんこも、もう濡らしてあるから大丈夫」
「……あー、ほんの少し罪悪感が芽生えるな。いや、俺の恋人ならこれが正解か」
藤也さんが何かブツブツ言っている。でも体のあちこちを撫でてくれているから、嬉しいんだってことはわかった。
(きっと藤也さん、気づいてないんだろうな)
藤也さんは機嫌がいいときや嬉しいとき、俺の体のどこかを撫でる。そのことに気づいたのは去年だ。ほかにも、きっと藤也さん自身が気づいていないことがたくさんあると思う。そういうのを、俺はたくさん知りたい。
「じゃあ、かわいいかわいいプレゼントを、いただくとするか」
そう言って笑った藤也さんが、体のあちこちにキスしながらベビードールを脱がし始めた。
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