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2 一人暮らし
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次の日、リトスは予定どおり家を出た。荷物は鞄一つで行き先も決めてある。
(故郷の兎族はあの町までは滅多に行かないし、僕がアフィーテだと知ってる兎族に出くわすこともないはず)
代わりに少し荒っぽい狼族が多く住んでいる町だと言われている。他の種族も多く住み、兎族も少ないながら小さな集団で住んでいるという話だ。
(一人きりで来た僕は兎族の集団には入れないだろうけど)
きっと訳ありだと思われるはず。つまりこれからは文字どおり一人きりで暮らすということだ。
そんな状況を考えると本当は怖くて仕方がなかった。それでもこのまま故郷の町に住み続けるわけにはいかない。
(ルヴィニの迷惑になるだろうし、ルヴィニが出て行った後はどうなるか……)
ルヴィニの名前が花嫁候補として挙がっていたおかげか、ここ数年はリトスの周囲も静かだった。しかしルヴィニが嫁いでしまえばどうなるかわからない。残されたリトスを待っているのは、かつての状況に違いないと容易に想像できる。
(そんなのは嫌だ)
以前のことを思い出すだけで体が震えた。それが嫌で家に引きこもっていたくらいだ。外に出ればまた納屋に引っ張り込まれると思い、ずっと家の中で過ごしていた。
(もうあんなのは嫌なんだ)
外で働いたことのないリトスにとって新天地での生活は恐怖でしかない。それ以上に故郷で暮らし続けることのほうが恐ろしかった。
(大丈夫、僕は一人で生きていくと決めたんだ)
そのためも早く一人暮らしに慣れなくては。もちろん給金も稼がなくてはいけない。
(とりあえず手配屋に行こう)
途中街道沿いの宿で一泊し、ようやく新天地と決めた町にたどり着いた。リトスはすぐに町の中心地に向かい手配屋を探すことにした。
町や村には仕事先の斡旋や住居探しなどをしてくれる手配屋という人たちがいる。リトスの故郷の近くには猫族の手配屋が住んでいた。故郷より大きなこの町にもきっとあるはず。そう思って大通りを歩いていると、狐族が商う手配屋を見つけることができた。
「兎族、ですか?」
眼鏡をひょいと掛け直した狐族が、リトスの頭をチラッと見てから台帳に視線を落とす。おそらく頭に巻いた布が気になっているのだろう。
(こうした格好の兎族もいるから、きっと大丈夫)
祈りの言葉のように「大丈夫」と心の中でつぶやきながらじっと待つ。
「あぁ、ここならご紹介できますよ」
そう言って見せられた台帳には「酒場」と書かれていた。店主は狼族と狐族の混合種で、見た目は狼族に近いらしい。だからか客も狼族が多く、彼らに庇護されている兎族なら働きやすいのではという話だった。
(狼族がお客の酒場……)
多少不安に思いながらも、リトスはそこに決めることにした。一緒に貸家も手配してもらい、父親の事務仕事の手伝いで貯めてきたお金で紹介料を払う。
そうしてさっそく向かった貸家は本当に小さなものだった。井戸は少し離れているものの中は意外と小綺麗で、掃除すれば問題なく使える様子にホッと胸をなで下ろす。
(明日から仕事だし、ベッドと食器を先に整えるか)
ずっと家の中にいたリトスは、幸い家事全般が得意だった。手際よく掃除を済ませ、これまでいた自分の部屋とそれほど変わらない広さの家の中を見渡す。「ここが僕の家なんだ」と思うと少しだけ誇らしい気持ちになった。
(……っと、そんなこと考えてる場合じゃなかった)
鞄から着替えや日用品を取り出し、新しい緑色の布を手にした。新天地で使い始めようと思って用意した垂れ耳を隠すための布だ。
すでに巻いている古い布を外し、小さな置き鏡を見ながらくるりと巻きつける。新品の布らしくパリッとした様子がリトスの気持ちを少しだけ明るくしてくれた。
「うん、いい感じだ」
耳を怪我した兎族はこうして布で耳を隠すことがある。耳を頭にくっつけて、それをくるりと布で覆ってカチューシャのようにするのだ。同じように布で覆っていれば垂れ耳だと気づかれることもないだろう。
(現にこの町に来るまで誰にもばれなかった)
それに、リトスには怪我をした兎族なら変に狙われたりしないだろうという目論見もあった。
兎族が他の種族に狙われる理由は突出してひ弱だからだと言われているが、それ以上に繁殖力の強さのせいでもあった。
兎族は他の種族と違って年中発情できる。そのぶん孕みやすく、子種を受ければその種族の見た目と能力を受け継ぐ子を生むことができた。そのため、狼族のように自分たちだけで繁殖できない種族や子ができにくい種族からはいまだに狙われることが多い。
(昔は土地を追われるたびに攫われたって言うし)
絵本に描かれていたように、土地を追われるとき毎回半分近くの兎族が攫われたと言われている。兎族は雄雌関係なく孕めるため雄だからといって安心はできない。狼族に庇護されるようになってからは随分安全になったと言われているが、狼族が多く住む街から離れている町では気をつけるに越したことはないはずだ。
(それに、アフィーテだってことは知られないほうがいい)
アフィーテは性を売る華街で一番人気と言われている。そのせいで、アフィーテだというだけで性的な意味合いで狙われる可能性もあった。華奢で淫乱で具合がいいアフィーテと一晩過ごしたいと願う種族は大勢いると聞くし、もし垂れ耳だと知られたらただの兎族より危険かもしれない。だから両親も最後まで心配そうな表情を浮かべていたのだろう。
(あんなふうに心配してくれただけで、僕には十分だ)
感謝の気持ちを込めながら両親宛の葉書もしたためた。「どうか心配しないでください」と書き、最後にルヴィニが花嫁になれるようにとも書いた。明日、仕事に行く前に配送屋に持っていこう。
「僕は大丈夫。これからずっと一人なんだから、大丈夫にならないと」
自分に言い聞かせるように何度も「大丈夫」と口にした。それでも一族郎党で暮らすのが当たり前の兎族にとって、家族がいない土地はやはり心細い。きゅうっと胸が締めつけられるような気持ちになったリトスの頬を一筋の涙がこぼれ落ちる。
(もう泣くことなんてないと思ってたのに)
昔は納屋で酷いことをされるたびに泣いていた。その涙が相手を悦ばせているのだと知り、泣くのをやめた。そのうちどんなことをされても涙が出ることはなくなった。
(そうだ、泣いても仕方がない)
涙を拭ったリトスはベッドに潜り込み、毛布を頭から被ってひたすら目を閉じた。
・ ・
朝起きてリトスがまずやることは、淡い茶毛の髪をまとめることだ。今日もベッドからもぞもぞと抜け出し、少し重い頭を二、三度振ってから置き鏡の前に座る。
ふわふわの毛は触り心地がいいものの人前に出るには印象がよくない。あちこち跳ねているのを躍起になってまとめてから、頭に巻く布を手に取る。
(こうして耳の内側を上に向けてから頭に載せて……よし)
両耳とも内側を上に向ければ、布を当てても音はよく聞こえる。綺麗な緑色の布で丁寧に垂れ耳を隠し、くるりと巻いてうなじ辺りで結べば完成だ。前後左右と念入りに鏡で確認したリトスは、顔を洗い身支度を整えてから外に出た。
(いい天気だなぁ)
こんな天気の日は家中の物を洗っていたっけ。そんなことを思い出しながら大通りを歩いていると数人の兎族が目に入った。ちらりとリトスを見てからヒソヒソと何かを話している。やはり一人でやって来たリトスのことを訝しんでいるのだろう。
(こういうことにも慣れないと)
視線を振り切るように歩き、宿屋の角を小径へと入った。数軒並んだ先に見えるのがリトスが働く酒場だ。昼は簡単な食事を出す食堂で、夜は酒が中心の酒場になる。準備中の札を下げた入り口から中に入ると、見た目は狼族そのものの店主がちらっとリトスを見た。
(やっぱり狼族にしか見えないけど、たしかに耳の先は狐族っぽいかな)
狼族が兎族以外と番になるのは珍しい。狼族は自分たちと見た目が違う混合種の狼族を快く思わず、だから兎族以外の種族と子を作ることもほとんどない。
(最近はいろんな種族の混合種も増えてきたとは言われてるみたいだけど)
それでも狼族の番に選ばれるのは圧倒的に兎族が多い。だから適齢期の兎族は狼族の番になることを夢見て、美しい名家の狼族の花嫁候補に憧れを抱く。
そんなことをあれこれ考えながらエプロンを着けていると「おい、まかないだ」と声をかけられた。
「あ、はい。ありがとうございます」
リトスがここで働く決め手になったのは、こうして朝昼晩とまかないが出るからだ。まかないがあれば少ない給金でも何とかやりくりできる。店主のほうも小柄なリトスを見て「まかない、少なくて済みそうだな」と言っていたから、そこが雇う決め手になったのだろう。
店主の思惑どおり、リトスは店主の三分の一ほどの量で満腹になった。本当はもう少し食べたほうがいいのかもしれないが、ずっと家の中にいたせいか細い食は外で働くようになってもなかなか変わらない。
(働いているうちに、きっとたくさん食べられるようになるはず)
そうすれば、アフィーテでももう少し大ききなれるんじゃないだろうか。そう思いながら、リトスは茶碗にちょこんと盛られた白米をぱくりと口に入れた。
(故郷の兎族はあの町までは滅多に行かないし、僕がアフィーテだと知ってる兎族に出くわすこともないはず)
代わりに少し荒っぽい狼族が多く住んでいる町だと言われている。他の種族も多く住み、兎族も少ないながら小さな集団で住んでいるという話だ。
(一人きりで来た僕は兎族の集団には入れないだろうけど)
きっと訳ありだと思われるはず。つまりこれからは文字どおり一人きりで暮らすということだ。
そんな状況を考えると本当は怖くて仕方がなかった。それでもこのまま故郷の町に住み続けるわけにはいかない。
(ルヴィニの迷惑になるだろうし、ルヴィニが出て行った後はどうなるか……)
ルヴィニの名前が花嫁候補として挙がっていたおかげか、ここ数年はリトスの周囲も静かだった。しかしルヴィニが嫁いでしまえばどうなるかわからない。残されたリトスを待っているのは、かつての状況に違いないと容易に想像できる。
(そんなのは嫌だ)
以前のことを思い出すだけで体が震えた。それが嫌で家に引きこもっていたくらいだ。外に出ればまた納屋に引っ張り込まれると思い、ずっと家の中で過ごしていた。
(もうあんなのは嫌なんだ)
外で働いたことのないリトスにとって新天地での生活は恐怖でしかない。それ以上に故郷で暮らし続けることのほうが恐ろしかった。
(大丈夫、僕は一人で生きていくと決めたんだ)
そのためも早く一人暮らしに慣れなくては。もちろん給金も稼がなくてはいけない。
(とりあえず手配屋に行こう)
途中街道沿いの宿で一泊し、ようやく新天地と決めた町にたどり着いた。リトスはすぐに町の中心地に向かい手配屋を探すことにした。
町や村には仕事先の斡旋や住居探しなどをしてくれる手配屋という人たちがいる。リトスの故郷の近くには猫族の手配屋が住んでいた。故郷より大きなこの町にもきっとあるはず。そう思って大通りを歩いていると、狐族が商う手配屋を見つけることができた。
「兎族、ですか?」
眼鏡をひょいと掛け直した狐族が、リトスの頭をチラッと見てから台帳に視線を落とす。おそらく頭に巻いた布が気になっているのだろう。
(こうした格好の兎族もいるから、きっと大丈夫)
祈りの言葉のように「大丈夫」と心の中でつぶやきながらじっと待つ。
「あぁ、ここならご紹介できますよ」
そう言って見せられた台帳には「酒場」と書かれていた。店主は狼族と狐族の混合種で、見た目は狼族に近いらしい。だからか客も狼族が多く、彼らに庇護されている兎族なら働きやすいのではという話だった。
(狼族がお客の酒場……)
多少不安に思いながらも、リトスはそこに決めることにした。一緒に貸家も手配してもらい、父親の事務仕事の手伝いで貯めてきたお金で紹介料を払う。
そうしてさっそく向かった貸家は本当に小さなものだった。井戸は少し離れているものの中は意外と小綺麗で、掃除すれば問題なく使える様子にホッと胸をなで下ろす。
(明日から仕事だし、ベッドと食器を先に整えるか)
ずっと家の中にいたリトスは、幸い家事全般が得意だった。手際よく掃除を済ませ、これまでいた自分の部屋とそれほど変わらない広さの家の中を見渡す。「ここが僕の家なんだ」と思うと少しだけ誇らしい気持ちになった。
(……っと、そんなこと考えてる場合じゃなかった)
鞄から着替えや日用品を取り出し、新しい緑色の布を手にした。新天地で使い始めようと思って用意した垂れ耳を隠すための布だ。
すでに巻いている古い布を外し、小さな置き鏡を見ながらくるりと巻きつける。新品の布らしくパリッとした様子がリトスの気持ちを少しだけ明るくしてくれた。
「うん、いい感じだ」
耳を怪我した兎族はこうして布で耳を隠すことがある。耳を頭にくっつけて、それをくるりと布で覆ってカチューシャのようにするのだ。同じように布で覆っていれば垂れ耳だと気づかれることもないだろう。
(現にこの町に来るまで誰にもばれなかった)
それに、リトスには怪我をした兎族なら変に狙われたりしないだろうという目論見もあった。
兎族が他の種族に狙われる理由は突出してひ弱だからだと言われているが、それ以上に繁殖力の強さのせいでもあった。
兎族は他の種族と違って年中発情できる。そのぶん孕みやすく、子種を受ければその種族の見た目と能力を受け継ぐ子を生むことができた。そのため、狼族のように自分たちだけで繁殖できない種族や子ができにくい種族からはいまだに狙われることが多い。
(昔は土地を追われるたびに攫われたって言うし)
絵本に描かれていたように、土地を追われるとき毎回半分近くの兎族が攫われたと言われている。兎族は雄雌関係なく孕めるため雄だからといって安心はできない。狼族に庇護されるようになってからは随分安全になったと言われているが、狼族が多く住む街から離れている町では気をつけるに越したことはないはずだ。
(それに、アフィーテだってことは知られないほうがいい)
アフィーテは性を売る華街で一番人気と言われている。そのせいで、アフィーテだというだけで性的な意味合いで狙われる可能性もあった。華奢で淫乱で具合がいいアフィーテと一晩過ごしたいと願う種族は大勢いると聞くし、もし垂れ耳だと知られたらただの兎族より危険かもしれない。だから両親も最後まで心配そうな表情を浮かべていたのだろう。
(あんなふうに心配してくれただけで、僕には十分だ)
感謝の気持ちを込めながら両親宛の葉書もしたためた。「どうか心配しないでください」と書き、最後にルヴィニが花嫁になれるようにとも書いた。明日、仕事に行く前に配送屋に持っていこう。
「僕は大丈夫。これからずっと一人なんだから、大丈夫にならないと」
自分に言い聞かせるように何度も「大丈夫」と口にした。それでも一族郎党で暮らすのが当たり前の兎族にとって、家族がいない土地はやはり心細い。きゅうっと胸が締めつけられるような気持ちになったリトスの頬を一筋の涙がこぼれ落ちる。
(もう泣くことなんてないと思ってたのに)
昔は納屋で酷いことをされるたびに泣いていた。その涙が相手を悦ばせているのだと知り、泣くのをやめた。そのうちどんなことをされても涙が出ることはなくなった。
(そうだ、泣いても仕方がない)
涙を拭ったリトスはベッドに潜り込み、毛布を頭から被ってひたすら目を閉じた。
・ ・
朝起きてリトスがまずやることは、淡い茶毛の髪をまとめることだ。今日もベッドからもぞもぞと抜け出し、少し重い頭を二、三度振ってから置き鏡の前に座る。
ふわふわの毛は触り心地がいいものの人前に出るには印象がよくない。あちこち跳ねているのを躍起になってまとめてから、頭に巻く布を手に取る。
(こうして耳の内側を上に向けてから頭に載せて……よし)
両耳とも内側を上に向ければ、布を当てても音はよく聞こえる。綺麗な緑色の布で丁寧に垂れ耳を隠し、くるりと巻いてうなじ辺りで結べば完成だ。前後左右と念入りに鏡で確認したリトスは、顔を洗い身支度を整えてから外に出た。
(いい天気だなぁ)
こんな天気の日は家中の物を洗っていたっけ。そんなことを思い出しながら大通りを歩いていると数人の兎族が目に入った。ちらりとリトスを見てからヒソヒソと何かを話している。やはり一人でやって来たリトスのことを訝しんでいるのだろう。
(こういうことにも慣れないと)
視線を振り切るように歩き、宿屋の角を小径へと入った。数軒並んだ先に見えるのがリトスが働く酒場だ。昼は簡単な食事を出す食堂で、夜は酒が中心の酒場になる。準備中の札を下げた入り口から中に入ると、見た目は狼族そのものの店主がちらっとリトスを見た。
(やっぱり狼族にしか見えないけど、たしかに耳の先は狐族っぽいかな)
狼族が兎族以外と番になるのは珍しい。狼族は自分たちと見た目が違う混合種の狼族を快く思わず、だから兎族以外の種族と子を作ることもほとんどない。
(最近はいろんな種族の混合種も増えてきたとは言われてるみたいだけど)
それでも狼族の番に選ばれるのは圧倒的に兎族が多い。だから適齢期の兎族は狼族の番になることを夢見て、美しい名家の狼族の花嫁候補に憧れを抱く。
そんなことをあれこれ考えながらエプロンを着けていると「おい、まかないだ」と声をかけられた。
「あ、はい。ありがとうございます」
リトスがここで働く決め手になったのは、こうして朝昼晩とまかないが出るからだ。まかないがあれば少ない給金でも何とかやりくりできる。店主のほうも小柄なリトスを見て「まかない、少なくて済みそうだな」と言っていたから、そこが雇う決め手になったのだろう。
店主の思惑どおり、リトスは店主の三分の一ほどの量で満腹になった。本当はもう少し食べたほうがいいのかもしれないが、ずっと家の中にいたせいか細い食は外で働くようになってもなかなか変わらない。
(働いているうちに、きっとたくさん食べられるようになるはず)
そうすれば、アフィーテでももう少し大ききなれるんじゃないだろうか。そう思いながら、リトスは茶碗にちょこんと盛られた白米をぱくりと口に入れた。
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