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αとβの熱2
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小さく息を吸うと、修一朗さんから香水とコーヒーの香りがした。それだけじゃなく、ほんのり別の香りが漂っているような気がする。ただの体臭かもしれないけれど、嗅ぐだけで体が熱くなって下半身がみっともないことになりそうだった。
「辛抱なんて、しないでください。それに、僕も……僕だって、修一朗さんともっと触れ合いたいと、ずっと思っていたんです」
正直に告げた僕に一瞬表情がなくなった修一朗さんが、なぜか「はぁ」とため息をついた。
「千香彦くんは、思っていたより……いや、何も知らないからこそなんだろうけど、これは参ったな」
修一朗さんに触れたいなんて、僕はやっぱりおかしいんだろうか。もしかして呆れられたのかもしれない。そう思ったら熱くなっていた体がすぅっと冷えるような気がした。
「修一朗さん、僕は、」
「あぁ、違うよ。呆れたわけじゃなくて、その逆だ。想い人にここまで言われて何もしない男は男じゃない。むしろ歯止めが利かなくなりそうで怖いくらいだ」
「あの、」
「大丈夫、最後まではしない。ただきみの肌に触れることを許してほしい」
熱っぽい眼差しに体が震えそうになった。両親にも周囲にも必要とされなかったβの僕を、修一朗さんが求めてくれることが嬉しくて心まで震えてくる。
「許すなんて……僕は修一朗さんの許嫁、ですから。修一朗さんの好きに、してください」
僕の返事に再び大きなため息をついた修一朗さんは「悪い子だ」と言って、いつもより少しだけ乱暴に唇を押しつけてきた。
それから何度も苦しいほどのキスをされた。これまでのような優しい触れ合いじゃなく、まるで食べられるような勢いに胸が高鳴る。これが僕の望んでいたキスだと思いながら必死に修一朗さんを受け止めた。少し苦しかったけれど、修一朗さんの唇から離れたくなくて縋りつくように唇を触れ合わせ続けた。
気がつけば、シャツのボタンが外れ肌が露わになっていた。ソファの背もたれに力なくもたれ掛かっていた僕は、はだけた胸に修一朗さんの顔が近づくのをぼんやりと見ることしかできない。
「んっ」
唇へのキスのように胸を吸われて驚いた。それが気持ちいいと感じた自分にもだ。
「しゅ、いちろ、さん」
名前を呼ぶと、今度は尖った部分を歯で軽く噛まれた。本当なら痛いはずなのに、やっぱり気持ちよく感じてしまうことに戸惑ってしまう。
「ん……千香彦くんのここは、唇と同じくらい可愛らしいね」
「そ、んなこと……ぁっ」
「ほら、指で摘むだけでぷっくり膨らんで、おいしそうに赤く熟れてくれる」
「んっ、しゅういち、ろ、さん、」
「もう少し噛んだり舐めたりしてあげよう」
「ん……!」
修一朗さんの口からチュクチュクと舐めしゃぶる音が聞こえて居たたまれなくなった。男の僕の胸を吸ったところでどうしようもないのに、熱心に吸いつかれると体の奥がぞわぞわして苦しくなる。
それでもやめてほしいとは思わなかった。湯を使う前だからとか、男の胸なのにとか、そんなことは一瞬で忘れてしまうくらい気持ちがよかった。陶酔するように背もたれに頭を載せ、うっとりと目を閉じる。そうして胸に与えられる快感を追っていたとき、股間に何かが触れてハッとした。
「しゅ、いちろ、さん……っ」
「よかった、こっちも反応してくれている」
「そこは、」
「大丈夫、僕に任せて」
任せることなんてできるわけがない。さすがにそんなところを触られるのは困ると告げたいのに、大きな手にひと撫でされただけで腰が砕けたように力が抜けてしまった。「あっ」と思ったときにはズボンの前を開かれ、下着の中からみっともないことになっているものを引っ張り出されて混乱する。
「千香彦くんは、こんなところまで綺麗だ」
「んっ。しゅ、いちろ、さん……っ」
「自慰もそんなにしていないのかな。……まずいな。自分で言った言葉に年甲斐もなく興奮してきた」
「さわ、たら、だめ……っ」
「皮は被っていないし、形もいい。それに……少し擦るだけで濡れてもくる。どうやらこっちも素直なようだね」
「だめ、です……っ。そこ、は、きたな、からっ」
必死に両手で修一朗さんの手を止めようとしたけれど、すっかり力が抜けてしまった僕の手では止めることができない。それどころか上下に擦る大きな手に添えているような状態で、まるで自ら擦ることを促しているように見えて恥ずかしくなった。あまりのことに見ていられなくなった僕は、思わず瞼をぎゅっと閉じた。
「汚くなんかない。千香彦くんのは本当に綺麗だ」
「そん、なこと、ない、からっ」
「困ったな。僕は心の底から綺麗だと思っているんだけど……そうだ」
修一朗さんの手が止まった。ようやく聞き入れてもらえたのだと瞼を開けると、なぜか黒髪の頭頂部が目の前にある。「え?」と思った次の瞬間、さらけ出したままだったところが温かいものに包まれて「ひっ」と声を漏らしてしまった。
「なに、して……っ」
僕の悲鳴のような問いかけに答える声はない。代わりにチュル、ジュル、チュプという聞いたことがない音が聞こえてきた。音がするたびにとんでもないところに刺激が走り、僕は目を見開きながら「まさか」と思った。
「だめ……っ。しゅ、いちろ、さん……っ、だめ、やめっ、や……っ」
修一朗さんの顔を遠ざけなくてはと思った。必死に手を伸ばしたけれど、やっぱり力が入らなくて頭に添えるだけになってしまう。触れた修一朗さんの頭が動くたびに何をされているのかがわかり、頬にカッと血が上るのがわかった。
僕は慌てて目を閉じた。それでも音が聞こえて体の震えが止まらない。
恥ずかしい。何でこんなことを。どうして。気持ちがいい。駄目なのに。
ぐちゃぐちゃな気持ちごと、あっという間に快感に呑み込まれてしまった。ぶわっと広がった大きすぎる快感に腰がビクビクッと大きく震える。「あぁ……っ」と漏れた声は自分のものとは思えないくらい高く掠れていて、自分がどうなっているのかわからなくなった。
「ん……。千香彦くんは、もう少し出しておいたほうがいいかもしれないな。こんなに濃くては体によくない」
どういう意味だろう。あまりに激しい快感で頭がぼんやりしていた僕は、言われたことをうまく理解することができないでいた。
「これからは僕がやってあげよう。いや、吸わなくてもいいくらいの状態になるかもしれないけどね」
閉じていた瞼を開けると、修一朗さんがテーブルに置かれたままだったコーヒーに口をつけている。ぼんやりとその様子を眺めていたら、少し乱れた髪の修一朗さんが近づいてきて、チュッと触れるだけのキスをされた。
「大丈夫かい?」
「……だい、じょぶ、です」
何についての質問だったのだろうか。よくわからないまま「大丈夫」と答えると、修一朗さんの顔がわずかに苦笑をしているような表情に変わる。
「まったく、きみって子は……。今日は肌に触れるだけだと約束したから、中に触れることはやめておこう。それは次のお楽しみといったところかな」
そう言って微笑んだ顔は、いつもよりずっと大人っぽくて蠱惑的に見えた。
このあとも僕は全身を修一朗さんに触られ続けた。いつの間にか服もすっかり脱がされていて、触れられるところすべてが気持ちよくて目が回りそうになる。下半身が熱くなるたびにいじられ、温かな感触に包まれ、そうして腰が抜けてしまうくらい吐き出しもした。
こうして生まれて初めて強烈な体験をした僕は、翌日から余計に体と気持ちを持て余すようになってしまった。
(どうしよう……ますます大変なことになってしまっている)
下半身が何度も淫らな熱に侵され、どうしても修一朗さんにされたことが蘇ってしまう。一日に何度もいやらしいことを考えてしまう自分がおかしくなったのかと思って不安になった。
全身を撫で回された日から五日後の夕方、修一朗さんに「明日の夜、部屋に来てほしい」と告げられた。「部屋に行く」と考えるだけで体の芯がじわりと熱くなる。
はしたない熱が体中に広がるのを感じながら、僕は声も出せずにただこくりと頷いて返事をした。
「辛抱なんて、しないでください。それに、僕も……僕だって、修一朗さんともっと触れ合いたいと、ずっと思っていたんです」
正直に告げた僕に一瞬表情がなくなった修一朗さんが、なぜか「はぁ」とため息をついた。
「千香彦くんは、思っていたより……いや、何も知らないからこそなんだろうけど、これは参ったな」
修一朗さんに触れたいなんて、僕はやっぱりおかしいんだろうか。もしかして呆れられたのかもしれない。そう思ったら熱くなっていた体がすぅっと冷えるような気がした。
「修一朗さん、僕は、」
「あぁ、違うよ。呆れたわけじゃなくて、その逆だ。想い人にここまで言われて何もしない男は男じゃない。むしろ歯止めが利かなくなりそうで怖いくらいだ」
「あの、」
「大丈夫、最後まではしない。ただきみの肌に触れることを許してほしい」
熱っぽい眼差しに体が震えそうになった。両親にも周囲にも必要とされなかったβの僕を、修一朗さんが求めてくれることが嬉しくて心まで震えてくる。
「許すなんて……僕は修一朗さんの許嫁、ですから。修一朗さんの好きに、してください」
僕の返事に再び大きなため息をついた修一朗さんは「悪い子だ」と言って、いつもより少しだけ乱暴に唇を押しつけてきた。
それから何度も苦しいほどのキスをされた。これまでのような優しい触れ合いじゃなく、まるで食べられるような勢いに胸が高鳴る。これが僕の望んでいたキスだと思いながら必死に修一朗さんを受け止めた。少し苦しかったけれど、修一朗さんの唇から離れたくなくて縋りつくように唇を触れ合わせ続けた。
気がつけば、シャツのボタンが外れ肌が露わになっていた。ソファの背もたれに力なくもたれ掛かっていた僕は、はだけた胸に修一朗さんの顔が近づくのをぼんやりと見ることしかできない。
「んっ」
唇へのキスのように胸を吸われて驚いた。それが気持ちいいと感じた自分にもだ。
「しゅ、いちろ、さん」
名前を呼ぶと、今度は尖った部分を歯で軽く噛まれた。本当なら痛いはずなのに、やっぱり気持ちよく感じてしまうことに戸惑ってしまう。
「ん……千香彦くんのここは、唇と同じくらい可愛らしいね」
「そ、んなこと……ぁっ」
「ほら、指で摘むだけでぷっくり膨らんで、おいしそうに赤く熟れてくれる」
「んっ、しゅういち、ろ、さん、」
「もう少し噛んだり舐めたりしてあげよう」
「ん……!」
修一朗さんの口からチュクチュクと舐めしゃぶる音が聞こえて居たたまれなくなった。男の僕の胸を吸ったところでどうしようもないのに、熱心に吸いつかれると体の奥がぞわぞわして苦しくなる。
それでもやめてほしいとは思わなかった。湯を使う前だからとか、男の胸なのにとか、そんなことは一瞬で忘れてしまうくらい気持ちがよかった。陶酔するように背もたれに頭を載せ、うっとりと目を閉じる。そうして胸に与えられる快感を追っていたとき、股間に何かが触れてハッとした。
「しゅ、いちろ、さん……っ」
「よかった、こっちも反応してくれている」
「そこは、」
「大丈夫、僕に任せて」
任せることなんてできるわけがない。さすがにそんなところを触られるのは困ると告げたいのに、大きな手にひと撫でされただけで腰が砕けたように力が抜けてしまった。「あっ」と思ったときにはズボンの前を開かれ、下着の中からみっともないことになっているものを引っ張り出されて混乱する。
「千香彦くんは、こんなところまで綺麗だ」
「んっ。しゅ、いちろ、さん……っ」
「自慰もそんなにしていないのかな。……まずいな。自分で言った言葉に年甲斐もなく興奮してきた」
「さわ、たら、だめ……っ」
「皮は被っていないし、形もいい。それに……少し擦るだけで濡れてもくる。どうやらこっちも素直なようだね」
「だめ、です……っ。そこ、は、きたな、からっ」
必死に両手で修一朗さんの手を止めようとしたけれど、すっかり力が抜けてしまった僕の手では止めることができない。それどころか上下に擦る大きな手に添えているような状態で、まるで自ら擦ることを促しているように見えて恥ずかしくなった。あまりのことに見ていられなくなった僕は、思わず瞼をぎゅっと閉じた。
「汚くなんかない。千香彦くんのは本当に綺麗だ」
「そん、なこと、ない、からっ」
「困ったな。僕は心の底から綺麗だと思っているんだけど……そうだ」
修一朗さんの手が止まった。ようやく聞き入れてもらえたのだと瞼を開けると、なぜか黒髪の頭頂部が目の前にある。「え?」と思った次の瞬間、さらけ出したままだったところが温かいものに包まれて「ひっ」と声を漏らしてしまった。
「なに、して……っ」
僕の悲鳴のような問いかけに答える声はない。代わりにチュル、ジュル、チュプという聞いたことがない音が聞こえてきた。音がするたびにとんでもないところに刺激が走り、僕は目を見開きながら「まさか」と思った。
「だめ……っ。しゅ、いちろ、さん……っ、だめ、やめっ、や……っ」
修一朗さんの顔を遠ざけなくてはと思った。必死に手を伸ばしたけれど、やっぱり力が入らなくて頭に添えるだけになってしまう。触れた修一朗さんの頭が動くたびに何をされているのかがわかり、頬にカッと血が上るのがわかった。
僕は慌てて目を閉じた。それでも音が聞こえて体の震えが止まらない。
恥ずかしい。何でこんなことを。どうして。気持ちがいい。駄目なのに。
ぐちゃぐちゃな気持ちごと、あっという間に快感に呑み込まれてしまった。ぶわっと広がった大きすぎる快感に腰がビクビクッと大きく震える。「あぁ……っ」と漏れた声は自分のものとは思えないくらい高く掠れていて、自分がどうなっているのかわからなくなった。
「ん……。千香彦くんは、もう少し出しておいたほうがいいかもしれないな。こんなに濃くては体によくない」
どういう意味だろう。あまりに激しい快感で頭がぼんやりしていた僕は、言われたことをうまく理解することができないでいた。
「これからは僕がやってあげよう。いや、吸わなくてもいいくらいの状態になるかもしれないけどね」
閉じていた瞼を開けると、修一朗さんがテーブルに置かれたままだったコーヒーに口をつけている。ぼんやりとその様子を眺めていたら、少し乱れた髪の修一朗さんが近づいてきて、チュッと触れるだけのキスをされた。
「大丈夫かい?」
「……だい、じょぶ、です」
何についての質問だったのだろうか。よくわからないまま「大丈夫」と答えると、修一朗さんの顔がわずかに苦笑をしているような表情に変わる。
「まったく、きみって子は……。今日は肌に触れるだけだと約束したから、中に触れることはやめておこう。それは次のお楽しみといったところかな」
そう言って微笑んだ顔は、いつもよりずっと大人っぽくて蠱惑的に見えた。
このあとも僕は全身を修一朗さんに触られ続けた。いつの間にか服もすっかり脱がされていて、触れられるところすべてが気持ちよくて目が回りそうになる。下半身が熱くなるたびにいじられ、温かな感触に包まれ、そうして腰が抜けてしまうくらい吐き出しもした。
こうして生まれて初めて強烈な体験をした僕は、翌日から余計に体と気持ちを持て余すようになってしまった。
(どうしよう……ますます大変なことになってしまっている)
下半身が何度も淫らな熱に侵され、どうしても修一朗さんにされたことが蘇ってしまう。一日に何度もいやらしいことを考えてしまう自分がおかしくなったのかと思って不安になった。
全身を撫で回された日から五日後の夕方、修一朗さんに「明日の夜、部屋に来てほしい」と告げられた。「部屋に行く」と考えるだけで体の芯がじわりと熱くなる。
はしたない熱が体中に広がるのを感じながら、僕は声も出せずにただこくりと頷いて返事をした。
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