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06ー慌ただしい日々

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 それから、父親に頼み込んで入れてもらった学校近くの商店でお手伝いをさせてもらうことになった僕は、学校、道場、それが終わってから商店のお手伝いをするという慌ただしい生活を送っていた。



 魔力がないから、といって嫌な顔をされることはなく。

 店主のおじさんは、一つ一つ丁寧にお店の仕事を教えてくれた。



「クレイは頑張るなあ」



 倉庫に置いてある品物を整理していると店主のおじさんに声をかけられた。



「少しでも、頑張らないといけませんから」



「たまには身体を休める日を作っておけよ? ここ最近、毎日手伝いにきてくれるじゃないか」



 僕の事情を知っている店主のおじさんは、こうしてよく気遣ってくれる。

 でもその優しさに甘えてはいけない。



「今まで自主練に当てていた時間を使っているので、むしろ前より疲れていないですよ。こうして重たい物を持ったりするのは、体力づくりの一環になるので僕もありがたいです」



 自主練をやめてすぐこのお店に出入りするようになってから、フィーナとはめっきり合わなくなった。

 もともとクラスも違うし、彼女は彼女で進学のために忙しい日々を送っているのだからいいと思う。



 今が大事な時期なんだ。

 僕がそれを邪魔しちゃいけないだろうし。



「まあ、私としては最近腰を痛めちゃったから助かるんだけど」



「店主は休んでていいですよ。掃除もやっておきます」



「いやあ、本当に助かるよ。もう手伝い以上のことをやって貰ってるし、給金には色つけとくから」



「え、いいんですか?」



 地味に嬉しい。

 一応、ここで貰ったお金の使い道は半分を両親に、もう半分をフィーナにと決めている。

 好きに使えと言われていたけど、働かせてくれたのは両親だから自分には使えない。



 こんな僕を学校に通わせてくれて、さらに剣術の道場に通わせてくれて、いいや今まで愛情を込めて育ててくれた両親の手前、どうしてもそれはできなかった。
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