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第二章 - 廃人と聖職者
1 - 聖王首都
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■聖王国領/聖王首都ビクトリア/助祭:ユウ=フォーワード
第二王女リーチェと知り合ってから、数時間後、ジハードは起きて竜車を走らせた。
その間に少しだけ出現したモンスターを狩らせてもらいながら、俺たちは聖王首都へと到着した。
白亜の城と、同じ大きさの大聖堂がそびえ立つ。
うーん、かなりのファンタジー。
こういう世界を冒険するってのは中世物VRゲーの醍醐味だ。
まあ、こうしてリアル異世界として体感できるとは思ってなかったけど。
「スタジアよりも大きいなあ」
「首都だからな」
俺のつぶやきにジハードが返す。
首都か……もちろんスタジアと同じように賑わっている。
だが、なんというか住んでる人々に気品と自由が感じられるな。
「辺境の村から来た私たちは、いわゆるお上りさんってことなんですね」
「それだよそれ!」
俺の思い浮かべていた気持ちを一言で表したマリアナである。
「なんですかマスター、いきなり。ひょっとして発情期?」
「ばかちん! んなわけあるか!」
人間ってのはな、大脳皮質がどうたらこうたらで、欲を理性でコントロールできる生き物だ。
動物みたいに発情期はない。
だが、ある意味万年発情期ではあるとも言える。
昨今の若者パリピは大体そうだ。
「まずは所属国家を決めてしまうといい」
「うん。それ重要だよな」
所属を決めると臨時セーブポイントなんて必要なくなる。
それを失って死亡しても、【死地】に送られることはない。
また、この首都で復活するだけのイージーモードだ。
「ある意味……やっとチュートリアルが終わる……」
「長かったですね」
「うん」
しみじみ思うよ、長かったと。
いや、実際には長くはないのかもしれない。
ことが起こったのは三日目からだ。
でも、十分に濃いだろ。
ラノベだったら1巻分くらいある濃さだろう。
「まだゲームだと思っているのか?」
チュートリアルという言葉を聞いて、ジハードが首を傾げた。
「いやもう思ってない。比喩だよ比喩」
ゲームだったらなんとよかったことか。
もしくはクソゲーだと叫んで、運営に抗議のメール1万発くらいやってる。
「辺境からここへ来る間、草むらトイレとか色々あればもうゲーム間は薄れて来るだろ」
「そうですね。トイレ怖いからマスターついてくださいってなんどもいったのに」
「行くわけねえだろ!」
バカかよ!
つーか、そういう話をいちいち掘り下げないでほしい。
「まあ、旅から帰れば誰だってシャワーとか浴びたいもんだ」
「あるのか?」
そもそもこの世界へ来てからまだ一度も風呂にすら入っていない。
なんとなくだが、匂いが気になるところではある。
俺もマリアナも相当な匂いなんじゃないだろうか?
お互い強力な上に鼻がバカになったのか、それとも慣れすぎたのかそれどこじゃなかったのかわからないが、今まで忘れていたように気にならなかったのである意味助かった。
「くんくん。私はこの強力なマスターの男臭は好きですね。下半身に来ます」
「嗅ぐな!」
嗅ぎ返したマリアナの匂いは、なんか強烈というか脳とか股間に直接響く感じだった。
これが野生のオスとメスの匂いなのだろうか。
「現代社会の電子機器のように、この世界でもある種魔道具という物が発展を遂げているからな」
「そうなんだ……そういえばカフェのトイレは水洗だったなあ」
村はボットンタイプ。
だが、匂いは不思議と感じなかった。
とんでもない消臭剤とかあったのかなあ?
竜車から降りて、そんなを話しつつ街を歩く。
そうして俺たちは無事に首都に存在する大きな加護の像にて所属国家を選択することができた。
これで安心だ。
「よし、なら次は向かう場所があるぞ」
「ん? どこだ?」
「これからユウの住む場所だ」
「おお!」
ってことは、ってことはだ。
「あいつらもいたりする?」
「もちろん。固定パーティだった面子は全て揃っている。エリック、ウィンストン、オールマン、ゼンジロー。そして、お前が抜けた穴にはツクモが入ってるよ」
「そうなんだ。まあ俺が抜けた魔法職の間を埋めるのってあいつしかいないよな」
「その通りだ」
ツクモは前のタイトルで俺の弟子みたいな形に収まっていた女性プレイヤーだ。
わざわざ【五元師】って職業を譲ってあげたんだし、それくらいのパーティに入ってもらわないとね。
そしてワンパーティでのラスボス討伐も成し遂げたようだし、弟子の成長をしみじみと感じる。
「チッ」
ほろりとしていると、マリアナが舌打ちしていた。
なんだこいつ、ジェラシーか。
可愛いやつだなって一瞬思ったけど、幼女にも嫉妬するので平常運転だってことで結論づけといた。
「だが、会う前に風呂には入っておきたいな!」
「なんでだ?」
「絶対からかってくるからだろ」
ウィンストンとか特にそうだ。
あいつには色々とやらなきゃいけないことがあるから、今のうちに決意を固めておこう。
覚悟しておけウィンストン。
「ジハード様、公衆浴場などはあるんですか?」
「あるけど面倒だな……住んでるアパートにでかい風呂あるからそこで済ませろよ」
「混浴ですか?」
「さあ? 住んでるのが俺たちくらいだからあんまり関係ないんじゃないか?」
「なるほど、理解しました。公衆浴場よりそちらがいいですね」
なんでマリアナ即決なんだよ。
絶対なんかあるだろ……いやないわけがない。
「お前……俺が入ってる時絶対入ってくるなよ?」
「そんな。お背中お流しするのが夢だったんです」
「アホか! どんな夢だよ!」
「もう一緒のベッドで寝た仲じゃないですか。夫婦じゃないですか」
「……お前達、もうそんな関係に」
「いや待て、変な誤解していると思うが、違うぞ?」
ベッドで寝たのはそれしかないからで、基本的に節度は守っていた。
つーか、床で寝ようとしたらマリアナが意地でも隣に添い寝してきたから、結局ベッドで寝ることにしたのだ。
不可抗力なのだ、不可抗力。
断じて何もしてないし、する予定も……今はない。
「でもマスター。ステータスを開くと私の名前もマリアナ=フォーワードになってるんで、これはもうこの世界のシステム的な何かが夫婦と認めたってことですよね?」
「え!? そうなの!?」
他人のステータスは見れないから分からなかったのだが、ジハードがなぜか頷いていた。
「そういえばそうだな」
「え!? 見えんの!?」
「そういう職業スキルを持っていれば、だけどな」
鑑定系のスキルを持っていることで、見ようと思えば相手のステータスは見えないにしろ、名前はメイン職業、そしてHPとMPくらいは見ることができるらしい。
「相手の職業とステータスを見るためには上位職のスキルがいるが、モンスターの種族名とHPくらいだったらどの職業でも基本的に見ることができるぞ。そこはゲームと変わらん」
「……まじか」
ゲームではなく、異世界だという認識に切り替わっていたから、その辺は全く気づかなかった。
脳裏にVRゲーの仮想画面みたいなものが浮かび上がるらしい。
だが、そんなことよりも。
マリアナの名前に一部俺の名前が使われているのが驚きだった。
「……夫婦なら家族風呂オッケーですね」
「ど、どうなっとんじゃ……」
それでも男女で風呂を同じにするのはNGだ馬鹿野郎。
第二王女リーチェと知り合ってから、数時間後、ジハードは起きて竜車を走らせた。
その間に少しだけ出現したモンスターを狩らせてもらいながら、俺たちは聖王首都へと到着した。
白亜の城と、同じ大きさの大聖堂がそびえ立つ。
うーん、かなりのファンタジー。
こういう世界を冒険するってのは中世物VRゲーの醍醐味だ。
まあ、こうしてリアル異世界として体感できるとは思ってなかったけど。
「スタジアよりも大きいなあ」
「首都だからな」
俺のつぶやきにジハードが返す。
首都か……もちろんスタジアと同じように賑わっている。
だが、なんというか住んでる人々に気品と自由が感じられるな。
「辺境の村から来た私たちは、いわゆるお上りさんってことなんですね」
「それだよそれ!」
俺の思い浮かべていた気持ちを一言で表したマリアナである。
「なんですかマスター、いきなり。ひょっとして発情期?」
「ばかちん! んなわけあるか!」
人間ってのはな、大脳皮質がどうたらこうたらで、欲を理性でコントロールできる生き物だ。
動物みたいに発情期はない。
だが、ある意味万年発情期ではあるとも言える。
昨今の若者パリピは大体そうだ。
「まずは所属国家を決めてしまうといい」
「うん。それ重要だよな」
所属を決めると臨時セーブポイントなんて必要なくなる。
それを失って死亡しても、【死地】に送られることはない。
また、この首都で復活するだけのイージーモードだ。
「ある意味……やっとチュートリアルが終わる……」
「長かったですね」
「うん」
しみじみ思うよ、長かったと。
いや、実際には長くはないのかもしれない。
ことが起こったのは三日目からだ。
でも、十分に濃いだろ。
ラノベだったら1巻分くらいある濃さだろう。
「まだゲームだと思っているのか?」
チュートリアルという言葉を聞いて、ジハードが首を傾げた。
「いやもう思ってない。比喩だよ比喩」
ゲームだったらなんとよかったことか。
もしくはクソゲーだと叫んで、運営に抗議のメール1万発くらいやってる。
「辺境からここへ来る間、草むらトイレとか色々あればもうゲーム間は薄れて来るだろ」
「そうですね。トイレ怖いからマスターついてくださいってなんどもいったのに」
「行くわけねえだろ!」
バカかよ!
つーか、そういう話をいちいち掘り下げないでほしい。
「まあ、旅から帰れば誰だってシャワーとか浴びたいもんだ」
「あるのか?」
そもそもこの世界へ来てからまだ一度も風呂にすら入っていない。
なんとなくだが、匂いが気になるところではある。
俺もマリアナも相当な匂いなんじゃないだろうか?
お互い強力な上に鼻がバカになったのか、それとも慣れすぎたのかそれどこじゃなかったのかわからないが、今まで忘れていたように気にならなかったのである意味助かった。
「くんくん。私はこの強力なマスターの男臭は好きですね。下半身に来ます」
「嗅ぐな!」
嗅ぎ返したマリアナの匂いは、なんか強烈というか脳とか股間に直接響く感じだった。
これが野生のオスとメスの匂いなのだろうか。
「現代社会の電子機器のように、この世界でもある種魔道具という物が発展を遂げているからな」
「そうなんだ……そういえばカフェのトイレは水洗だったなあ」
村はボットンタイプ。
だが、匂いは不思議と感じなかった。
とんでもない消臭剤とかあったのかなあ?
竜車から降りて、そんなを話しつつ街を歩く。
そうして俺たちは無事に首都に存在する大きな加護の像にて所属国家を選択することができた。
これで安心だ。
「よし、なら次は向かう場所があるぞ」
「ん? どこだ?」
「これからユウの住む場所だ」
「おお!」
ってことは、ってことはだ。
「あいつらもいたりする?」
「もちろん。固定パーティだった面子は全て揃っている。エリック、ウィンストン、オールマン、ゼンジロー。そして、お前が抜けた穴にはツクモが入ってるよ」
「そうなんだ。まあ俺が抜けた魔法職の間を埋めるのってあいつしかいないよな」
「その通りだ」
ツクモは前のタイトルで俺の弟子みたいな形に収まっていた女性プレイヤーだ。
わざわざ【五元師】って職業を譲ってあげたんだし、それくらいのパーティに入ってもらわないとね。
そしてワンパーティでのラスボス討伐も成し遂げたようだし、弟子の成長をしみじみと感じる。
「チッ」
ほろりとしていると、マリアナが舌打ちしていた。
なんだこいつ、ジェラシーか。
可愛いやつだなって一瞬思ったけど、幼女にも嫉妬するので平常運転だってことで結論づけといた。
「だが、会う前に風呂には入っておきたいな!」
「なんでだ?」
「絶対からかってくるからだろ」
ウィンストンとか特にそうだ。
あいつには色々とやらなきゃいけないことがあるから、今のうちに決意を固めておこう。
覚悟しておけウィンストン。
「ジハード様、公衆浴場などはあるんですか?」
「あるけど面倒だな……住んでるアパートにでかい風呂あるからそこで済ませろよ」
「混浴ですか?」
「さあ? 住んでるのが俺たちくらいだからあんまり関係ないんじゃないか?」
「なるほど、理解しました。公衆浴場よりそちらがいいですね」
なんでマリアナ即決なんだよ。
絶対なんかあるだろ……いやないわけがない。
「お前……俺が入ってる時絶対入ってくるなよ?」
「そんな。お背中お流しするのが夢だったんです」
「アホか! どんな夢だよ!」
「もう一緒のベッドで寝た仲じゃないですか。夫婦じゃないですか」
「……お前達、もうそんな関係に」
「いや待て、変な誤解していると思うが、違うぞ?」
ベッドで寝たのはそれしかないからで、基本的に節度は守っていた。
つーか、床で寝ようとしたらマリアナが意地でも隣に添い寝してきたから、結局ベッドで寝ることにしたのだ。
不可抗力なのだ、不可抗力。
断じて何もしてないし、する予定も……今はない。
「でもマスター。ステータスを開くと私の名前もマリアナ=フォーワードになってるんで、これはもうこの世界のシステム的な何かが夫婦と認めたってことですよね?」
「え!? そうなの!?」
他人のステータスは見れないから分からなかったのだが、ジハードがなぜか頷いていた。
「そういえばそうだな」
「え!? 見えんの!?」
「そういう職業スキルを持っていれば、だけどな」
鑑定系のスキルを持っていることで、見ようと思えば相手のステータスは見えないにしろ、名前はメイン職業、そしてHPとMPくらいは見ることができるらしい。
「相手の職業とステータスを見るためには上位職のスキルがいるが、モンスターの種族名とHPくらいだったらどの職業でも基本的に見ることができるぞ。そこはゲームと変わらん」
「……まじか」
ゲームではなく、異世界だという認識に切り替わっていたから、その辺は全く気づかなかった。
脳裏にVRゲーの仮想画面みたいなものが浮かび上がるらしい。
だが、そんなことよりも。
マリアナの名前に一部俺の名前が使われているのが驚きだった。
「……夫婦なら家族風呂オッケーですね」
「ど、どうなっとんじゃ……」
それでも男女で風呂を同じにするのはNGだ馬鹿野郎。
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