99 / 682
7巻
7-3
しおりを挟む
「トウジ! 後ろでゴーレム湧いてる!」
「ん? うおお!」
イグニールと話し込んでいると、すぐ後ろの壁からゴーレムが出現しかけていた。
慌ててピッケルを叩き込み、なんとか出現前に砕く。
危ない危ない、ジュノーが教えてくれなかったら、そのまま気付かないところだった。
地形的にそこかしこからゴーレムが出現するから、もう少し気を張っておかないと。
「後ろからまだまだたくさんのゴーレムが来てるし!」
「引き付けて倒そう」
イグニールの魔法で近づく前に蹴散らすこともできるが、ドロップアイテムの回収を考えると引き付けて一網打尽にした方が効率が良い。
「ゴレオー! 後ろからゴーレムが来てるから、一旦止まってくれー!」
前線で大立ち回りを演じているゴレオを一度ストップさせる。
そこそこの数が迫ってきているようだし、ドロップアイテムも期待できるな、と頭の中でニヤニヤしている時のことだった。
――ブゥン!! ドガガガッ!!
「のっ!?」
「きゃぁっ!?」
並んで立っていた俺とイグニールの間をゴレオに持たせていた大槌が縦回転をしながら勢いよく通り過ぎていった。
投げられた大槌は、後ろから迫っていた大量のゴーレムたちをまとめてなぎ払う。
「び、びっくりした……って、今のは危ないだろ、ゴレオ!」
「…………」
「やる気があるのは認めるけど、危ないのは禁止だぞ!」
並みのゴーレムだと、俺たちにダメージ一つ入れることは叶わない。
しかし俺の装備をつけているゴレオの大槌は、掠っただけでも重傷を負いかねないのだ。
さすがに叱るべきだと思ったので声を張り上げる。
「……」
だが、ゴレオは黙ったまま大槌を拾い、俺の目の前で振り上げた。
「――へ?」
近くにゴーレムはいないし、壁や天井から新たに出現する個体も存在しない。
ゴレオの攻撃は、明らかに俺を狙っているようだった。
「トウジッ! ゴレオの声が聞こえなくなってる!」
ゴレオの挙動に固まってしまったが、ジュノーの声で引き戻される。
「ハウス!」
すぐさま、ゴレオが大槌を振り下ろす直前でサモニング図鑑の中に戻すことができた。
し、死ぬかと思った。
いきなりの出来事にみんな呆然としている中で、ジュノーの言葉を思い出した。
「ジュノー、ゴレオの声が聞こえないってどう言うこと?」
「わかんないけど……」
困惑しながらジュノーは話す。
「いつもはゴレオの考えてることが伝わるのに、さっきは一切聞こえなかったし」
「ふむ……」
どういう仕組みでゴレオと意思疎通しているのかよくわからんのだが、とにかくいつもゴレオと仲良くお喋りしているジュノーが聞こえなかったと言うのなら信じるしかない。
「とりあえず、ゴレオに何があったのか直接聞いてみればいいか」
サモニング図鑑を介すれば、サモンモンスターたちと細かな意思疎通が取れる。
さっそくゴレオのページを開いてみると、開口一番にこう書いてあった。
《ごめんなさい……》
ふむ、どうやら反省しているようである。
「いや、いいんだゴレオ。何があった」
《本当に……ごめんなさい……》
「いいって、怒ってないから。びっくりしたけど、優しいお前が仲間に攻撃するはずがないってみんな知ってるからな? 何があったか話してみろ」
「アォン」
反省と同時に、すごく落ち込んでいるようなのでポチと一緒に励ます。
とにかく、ゴレオ自身に何が起こったのかを聞くのが先決だ。
「みんなゴレオを心配してるから。いったいどうしたんだ?」
《声が聞こえて、何かが、私の思考に入ってきた》
「声が聞こえて、思考に……?」
《最初は虫の羽音程度だったけど、時間がたつにつれて大きくなっていった》
小さな声は、洞窟の奥へ奥へと進むにつれて、鳴り響くほど巨大になったらしい。
困惑したが、俺たちが平然としているようなので無視していたそうだ。
《……気付いたら、大切な人に大槌を振り上げていた》
強制的に図鑑に戻されて、ようやくその声は聞こえなくなり正気に戻ったそうだ。
「なるほど……」
《……しばらく、私を出さないで》
「え?」
《――怖い》
「おい! ちょっと! ゴレオ!」
俺に大槌を振り上げたことがかなりショックだったのか、ゴレオはそれだけ告げると何の返事もしなくなってしまった。
俺は別にゴレオのことを怒ってもいないし、怖がってるつもりもないのだが、ゴレオが自分自身のことを信じきれなくなってしまったみたいである。
「ッ……!」
今まさに、ゴーレムが出てこようとしていた壁を殴りつけて倒す。
ゴーレムにだけ作用する何かが、この場所にはあるということか。
「胸糞悪いな、マジで」
ゴレオにこんな真似をさせた声の主もそうだが、俺自身に少し腹が立った。
ここはゴーレムが大量に出現する特殊な場所である。
無尽蔵に湧き出てくるゴーレムの親玉、上位互換的な存在がいてもおかしくない。
この現状は、それを加味した判断ができなかった俺の責任だ。
「アォン」
俺の心情をなんとなく察したのか、ポチが足元に来て寄り添っている。
ポチのもふもふの頭をわしわしと撫でながら、俺は図鑑をしまった。
「どうしたの、トウジ……?」
「ゴレオは大丈夫だし……?」
図鑑が見えないジュノーとイグニールは、俺の挙動から状況を察したのか、心配そうな表情をしている。
「ゴレオは少し図鑑で休ませることにしたよ」
「そうなの……無事なら、いいけど」
「うん、それだけが心配だし」
「図鑑に戻したら正気を取り戻した。大丈夫だと思う」
そう告げると、少し安心したように息を吐くジュノーとイグニール。
ゴレオ、俺の目を通して見てるか?
みんな、ゴレオのことが心配なんだ。
可愛いものが好きで、恥ずかしがり屋なお前が危険なわけがない。
だって、誰よりも優しくて世話焼きなゴーレムなんだから。
俺はそれを誰よりも知ってるし、理解している。
図鑑の主、だからだ。
「……よし、先に進もう」
頬を何度か叩いて気を引き締めると、洞窟の奥を見据えて歩き始める。
当初は小賢が潜伏しているかの調査で、ゴーレム狩りはついでみたいなものだったが、なにやら厄介な相手がこの先にいるようだ。
だからといって、引き返す選択肢は存在しない。
うちのゴレオがひどい目にあったんだから、俺は主としてきっちり熨斗を付けてお返しする義務がある。
それが終わったら、ゴレオのフォローをしっかりやっておかないとだな。
「サルトに戻ったらゴレオに好きなもの買ってやるか」
「そうね、選ぶのは任せてちょうだい」
「あたしも一緒に選ぶし!」
なら、その辺は女性陣に一任することにしよう。
俺は乙女タイプに何を選んだらいいのか、わからないからね。
「じゃ、ポチには索敵しつつ先導してもらって、ゴレオの代わりに前衛としてこいつを出そう……ゴクソツ」
「――ゴァ」
ゴレオの代わりに召喚魔法陣から出現したのは、薄緑色の大きな鬼。
そう、オーガである。
ギリスでオーガを大量に倒した時に得たサモンモンスターだ。
等級はレアだったが、あの時オーガのサモンカードが100枚集まっていたので、すでにエピック等級にしてある。
【サモンカード:オーガ】
等級:エピック
特殊能力:20%の確率で受けたダメージの50%を反射
ゴクソツの特殊能力は、ダメージの反射。
攻撃を受けたら20%の確率で半分のダメージを相手に返すといったもの。
被ダメージが減ることはないが、接近戦では割と猛威を振るう能力である。
名前の由来は、ライデンをいじめていた不良たちを震え上がらせていたので、獄卒。
痛みを相手に半分返す、なかなか〝らしい〟特殊能力なんじゃなかろうか?
「……うわぁ、顔こわっ」
「おいジュノー、言うなって。いきなり失礼だぞ」
確かにオーガの顔面は強烈だ。
でも仲間だろうが!
コフリータの明かりで顔に影ができて、さらに強烈になっているが……仲間だろうが!
「ゴ、ゴァ……」
召喚されてすぐ顔が怖いと言われたゴクソツは、膝から崩れ落ちてしまった。
ほらぁ! 気にしてる!
偏見はよくないぞ!
「え? 醜悪な見た目に生まれて申し訳ございません? い、いやいやいやいや、そこまで言ってないし! ご、ごめんって、ごめんってば!」
「ゴァァ……」
「オーガの中でもさらに醜悪な見た目で不相応かもしれませんが、精一杯ゴレオ嬢の代わりを努めさせていただきますって? ちょっと、なんでそんなに自分を悪く言うし!? 待って悪気はなかったんだし! ごめんし! 後でご飯の時、あたしのパンケーキの8分の1、いや4分の1を特別にあげるから元気出すし! ね? ねってば!」
両膝を抱えてズーンと落ち込むゴクソツと、必死で謝るジュノー。
強烈な見た目とは裏腹に、めちゃくちゃ腰の低いというか、自己評価の低いタイプだ。
……サモンモンスターって、一癖も二癖もあるやつしかいないのか?
「オ、オーガにも色々いるのね……?」
「どうだろう……」
サモンモンスター以外の魔物と、意思疎通なんてしたことないから知らない。
まあ、いてもおかしくないんじゃないかな、うん。
「ほら、遊んでないでもう行くぞー」
新たな仲間を迎えて快進撃が始まるかと思いきや、一旦飯の時間を挟むこととなった。
理由は二つある。
ゴクソツとみんなの仲を取り持ったり、俺がゴクソツ用の装備を作りたかったからだ。
新装備で心機一転、ゴクソツには頑張ってもらわなければいけない。
この先どんなヤバイ存在が待ち構えてるかもわからないし、そこは入念に。
さて、気になるゴクソツ用の装備は、オーガの素材を元に作り出した鬼鎧シリーズ。
見た目は、中世ヨーロッパ風のこの世界には似つかない、甲冑だ。
特殊能力が攻撃を反射するのならば、VITをマシマシにした全身鎧で受け手に回るのが良いだろうと判断したのである。
オーガ……すなわち鬼の魔物であるゴクソツには、バッチリお誂え向きの装備だ。
ここにアダマンタイト製の斬馬刀を持たせたら、まさに鬼武者と呼んでも差し支えない。
金棒チックな巨大な棍棒も作れるのだが、なんとなくそれだと狙い過ぎてしまったかな、という感じがして斬馬刀にした。
どちらにせよ、破壊力は抜群の代物なのだから別に良いよね?
「うーむ、かっこいい」
洞窟内で飯を食べ終わって、自分で製作した斬馬刀を見ながらそう呟く。
俺は直接戦闘に参加することが少ないので、取り回しのしやすい片手剣と小盾をメインで使っているのだが、やっぱり武器はデカくてなんぼだ。
「これは似合うぞ、ベストマッチだ」
「……本当に似合うと思ってるの?」
うっとりしながら斬馬刀を見つめる俺を眺めながら、イグニールはため息を吐いていた。
「似合うでしょ、絶対」
どのように力説してやろうかと思っていたら、彼女はなんとも言えない表情でジュノーたちの方を指差した。
「ね? 美味しい? 今日は大サービスしてあたしの分も半分あげるし?」
「ゴ、ゴァ……」
「なんならフェアリーベリーのジャムもつける? アイスも美味しいし?」
「ゴァ……」
テーブルの上に立ってデザートを次々と勧めるジュノーと、明らかにサイズがあっていない椅子に窮屈そうにちょこんと座りながら、勧められるがままにデザートを口に運ぶ甲冑を身につけたゴクソツ。
そんな様子を見て、イグニールは言った。
「怖さを助長するような装備じゃない方が良いんじゃないの?」
「……あれはオフの時だから除外」
猫背でデザートをちまちま口に運ぶオーガからは、目を背けることにする。
「オフってどういうことよ……」
普段は物腰が低くても良いんだよ。
戦いになれば、きっと俺の作った甲冑装備は役に立つ……というか映えるはずだ。
ボルテージが上がると共に強くなっていくのが、オーガという生き物である。
ちゃんと戦えるのか少し不安になってくるほど腰は低いけど、きっと大丈夫。
つーかさー……。
これだけかっこいい装備を用意したんだから、かっこいいキャラでいてくれよ。
オーガなのに、なんでこんなに腰が低いキャラなんだ?
オーガだったらもっとワイルドにぶちかましてくれよ、と俺は思うわけである。
夢を壊すなよな?
良い意味でも悪い意味でも、尽く俺の予想を裏切ってくるな、サモニング図鑑め。
まあいい、気にしても仕方がない。
圧倒的ネガティブオーガだったとしても、しっかり前衛を務めてくれるならばそれで良い。
「美味しいし?」
「ゴァ」
「こんなに美味しいものをいただけて、生まれてきてすいませんって……何言ってるし!」
「ゴァ」
「一生物の思い出として、このまま楽に死んでいきたいってバカッ! 死んじゃダメッ!」
……うーむ、なんというネガティブなオーラを纏ったオーガだろうか。
あまりの陰の気質に、陽キャの塊であるジュノーはたじたじである。
「大丈夫かしら?」
「も、問題ない!」
本当に問題ないのか心配になってため息を吐いていると、頭上からパラパラと小石や砂利が降ってきた。
「ん? なんだ?」
何事かと上を明かりで照らすと、無数のゴーレムの顔。
大量のゴーレムが、今まさにボコボコボコと頭上で生み出されていた。
「ほわっ!?」
あまりにもホラー過ぎる光景に、全身の毛が逆立つ。
俺の正面に座っていたイグニールも同じように目を丸くしていた。
「向こうにも大量にゴーレムが湧いてるし……トウジ、これちょっとまずくない?」
「まずいね」
飯休憩に入ってから、ゴーレムの数が急に落ち着きを見せたと思ったら、ここへ来て一気に押し寄せてきたみたいである。
「上からゴーレムが来るぞ! 気を付けろ!」
俺の叫びもむなしく、ゴーレムの一体が俺たちのすぐ側へと落下した。
ドゴッッ!
落下先は、ポチの作ったデザートをプレゼンするジュノーたちのテーブル。
激しい音と共に、テーブルがひしゃげて木片があたりに散らばる。
「ジュノー! ゴクソツ! 大丈夫か!?」
テーブルの上にはジュノーがいたはずなのだが、大丈夫だろうか。
「トウジ! そんなこと言ってる場合じゃないわよ!」
「アォン!」
イグニールとポチが俺に危険を告げる。
ゴーレムの追撃は止むことなく、あの一体を皮切りに次々と降り注ぎ始めた。
ドゴッ! ドゴッ! ドゴッ!
「おわあああああああああああっ!!」
大岩みたいな巨体が降ってくるのだから、まさに質量攻撃である。
「コフリータ! 上を照らして! とにかく避けないと!」
「イグニール! 降ってくる前に爆散させるのは?」
「やっても良いけど、多分ゴーレムと一緒に瓦礫もたくさん降ってくるわよ?」
「……避けよう」
下手に天井を攻撃して、落盤なんかしたら元も子もない。
ポチのクロスボウで射ち倒したとしても、そのまま落下されれば変わらないのだ。
くそっ、思ったよりも厄介な攻撃方法である。
「アォン……」
落下攻撃をもろに受けてしまったジュノーとゴクソツが心配なのか、ポチが俺のズボンをひしっと握りしめて不安そうな顔をしていた。
「心配するなポチ。ジュノーは分体だし、ゴクソツだってやられても図鑑に戻るだけだ」
しかし、ジュノーがやられてギリスの本体の元に戻ってしまうと、これから先の旅路がなんとも静かなものになってしまう。
うざったいことも多いが、ムードメーカーの存在とは非常に大切なのだ。
「コフリータ、照らして!」
ゴーレムの雨が少しずつ収まりを見せる中、イグニールが何かに気付いたようにコフリータの明かりを強めた。
「あ、ありがとうゴクソツ」
おおっ!
なんと甲冑を身につけたゴクソツが、背中に大量のゴーレムを乗せながらも、身を挺してジュノーを守ってくれていた。
「ああっ!! あたしのパンケーキがっ!?」
せっかく守ってくれたというのに、目の前にある潰れたパンケーキに目が行くとは、さすがはパンケーキ師匠である。
ゴクソツ、さすがにキレて良いぞ。
「ゴァ」
「え? パンケーキさんを守れなくてごめんなさい? いやいやいやいや! 確かに惜しいけど、さすがにそんなことを言ってる場合じゃないってのはあたしもわかってるし! 冗談、冗談だってばあっ!」
「ゴァ……」
「死ぬなしっ! 生きろしっ! パンケーキの代わりになるなしっ!」
多分、パンケーキの代わりに自分が犠牲になればよかったとか言ってるんだろうね。
……っておい、茶番は後にしろよ。
「とりあえずお前らこっち来い! 第二陣が今にも降ってくる直前なんだから!」
「わ、わかったし!」
コフリータに照らされた天井には、無数のゴーレムが追加で生み出されている。
しかも空間全域に広がっており、もはや安全な場所なんてどこにもなくなっていた。
ここ、下手すればダンジョンよりも厄介な場所なんじゃなかろうか。
「コレクト、ありがとう!」
「クエッ!」
降ってくるゴーレムの合間を縫って、コレクトがジュノーを救出する。
ズゥン! ズゥゥゥン!
「ゴ、ゴァッ……ゴァッ……」
あとはゴクソツだけなのだが、四つん這いになったゴクソツの上に、どんどんゴーレムが降り注いで積み重なっていた。
も、もうダメだ。
落ち物パズルゲームをめちゃくちゃ下手な人がプレイしましたって感じになってる。
「ゴクソツ! 一旦戻して再召喚するぞ!」
「ゴアッ!」
俺の言葉に、首をふるふると横に振って何かを叫ぶゴクソツ。
すぐにジュノーが通訳してくれた。
「ん? うおお!」
イグニールと話し込んでいると、すぐ後ろの壁からゴーレムが出現しかけていた。
慌ててピッケルを叩き込み、なんとか出現前に砕く。
危ない危ない、ジュノーが教えてくれなかったら、そのまま気付かないところだった。
地形的にそこかしこからゴーレムが出現するから、もう少し気を張っておかないと。
「後ろからまだまだたくさんのゴーレムが来てるし!」
「引き付けて倒そう」
イグニールの魔法で近づく前に蹴散らすこともできるが、ドロップアイテムの回収を考えると引き付けて一網打尽にした方が効率が良い。
「ゴレオー! 後ろからゴーレムが来てるから、一旦止まってくれー!」
前線で大立ち回りを演じているゴレオを一度ストップさせる。
そこそこの数が迫ってきているようだし、ドロップアイテムも期待できるな、と頭の中でニヤニヤしている時のことだった。
――ブゥン!! ドガガガッ!!
「のっ!?」
「きゃぁっ!?」
並んで立っていた俺とイグニールの間をゴレオに持たせていた大槌が縦回転をしながら勢いよく通り過ぎていった。
投げられた大槌は、後ろから迫っていた大量のゴーレムたちをまとめてなぎ払う。
「び、びっくりした……って、今のは危ないだろ、ゴレオ!」
「…………」
「やる気があるのは認めるけど、危ないのは禁止だぞ!」
並みのゴーレムだと、俺たちにダメージ一つ入れることは叶わない。
しかし俺の装備をつけているゴレオの大槌は、掠っただけでも重傷を負いかねないのだ。
さすがに叱るべきだと思ったので声を張り上げる。
「……」
だが、ゴレオは黙ったまま大槌を拾い、俺の目の前で振り上げた。
「――へ?」
近くにゴーレムはいないし、壁や天井から新たに出現する個体も存在しない。
ゴレオの攻撃は、明らかに俺を狙っているようだった。
「トウジッ! ゴレオの声が聞こえなくなってる!」
ゴレオの挙動に固まってしまったが、ジュノーの声で引き戻される。
「ハウス!」
すぐさま、ゴレオが大槌を振り下ろす直前でサモニング図鑑の中に戻すことができた。
し、死ぬかと思った。
いきなりの出来事にみんな呆然としている中で、ジュノーの言葉を思い出した。
「ジュノー、ゴレオの声が聞こえないってどう言うこと?」
「わかんないけど……」
困惑しながらジュノーは話す。
「いつもはゴレオの考えてることが伝わるのに、さっきは一切聞こえなかったし」
「ふむ……」
どういう仕組みでゴレオと意思疎通しているのかよくわからんのだが、とにかくいつもゴレオと仲良くお喋りしているジュノーが聞こえなかったと言うのなら信じるしかない。
「とりあえず、ゴレオに何があったのか直接聞いてみればいいか」
サモニング図鑑を介すれば、サモンモンスターたちと細かな意思疎通が取れる。
さっそくゴレオのページを開いてみると、開口一番にこう書いてあった。
《ごめんなさい……》
ふむ、どうやら反省しているようである。
「いや、いいんだゴレオ。何があった」
《本当に……ごめんなさい……》
「いいって、怒ってないから。びっくりしたけど、優しいお前が仲間に攻撃するはずがないってみんな知ってるからな? 何があったか話してみろ」
「アォン」
反省と同時に、すごく落ち込んでいるようなのでポチと一緒に励ます。
とにかく、ゴレオ自身に何が起こったのかを聞くのが先決だ。
「みんなゴレオを心配してるから。いったいどうしたんだ?」
《声が聞こえて、何かが、私の思考に入ってきた》
「声が聞こえて、思考に……?」
《最初は虫の羽音程度だったけど、時間がたつにつれて大きくなっていった》
小さな声は、洞窟の奥へ奥へと進むにつれて、鳴り響くほど巨大になったらしい。
困惑したが、俺たちが平然としているようなので無視していたそうだ。
《……気付いたら、大切な人に大槌を振り上げていた》
強制的に図鑑に戻されて、ようやくその声は聞こえなくなり正気に戻ったそうだ。
「なるほど……」
《……しばらく、私を出さないで》
「え?」
《――怖い》
「おい! ちょっと! ゴレオ!」
俺に大槌を振り上げたことがかなりショックだったのか、ゴレオはそれだけ告げると何の返事もしなくなってしまった。
俺は別にゴレオのことを怒ってもいないし、怖がってるつもりもないのだが、ゴレオが自分自身のことを信じきれなくなってしまったみたいである。
「ッ……!」
今まさに、ゴーレムが出てこようとしていた壁を殴りつけて倒す。
ゴーレムにだけ作用する何かが、この場所にはあるということか。
「胸糞悪いな、マジで」
ゴレオにこんな真似をさせた声の主もそうだが、俺自身に少し腹が立った。
ここはゴーレムが大量に出現する特殊な場所である。
無尽蔵に湧き出てくるゴーレムの親玉、上位互換的な存在がいてもおかしくない。
この現状は、それを加味した判断ができなかった俺の責任だ。
「アォン」
俺の心情をなんとなく察したのか、ポチが足元に来て寄り添っている。
ポチのもふもふの頭をわしわしと撫でながら、俺は図鑑をしまった。
「どうしたの、トウジ……?」
「ゴレオは大丈夫だし……?」
図鑑が見えないジュノーとイグニールは、俺の挙動から状況を察したのか、心配そうな表情をしている。
「ゴレオは少し図鑑で休ませることにしたよ」
「そうなの……無事なら、いいけど」
「うん、それだけが心配だし」
「図鑑に戻したら正気を取り戻した。大丈夫だと思う」
そう告げると、少し安心したように息を吐くジュノーとイグニール。
ゴレオ、俺の目を通して見てるか?
みんな、ゴレオのことが心配なんだ。
可愛いものが好きで、恥ずかしがり屋なお前が危険なわけがない。
だって、誰よりも優しくて世話焼きなゴーレムなんだから。
俺はそれを誰よりも知ってるし、理解している。
図鑑の主、だからだ。
「……よし、先に進もう」
頬を何度か叩いて気を引き締めると、洞窟の奥を見据えて歩き始める。
当初は小賢が潜伏しているかの調査で、ゴーレム狩りはついでみたいなものだったが、なにやら厄介な相手がこの先にいるようだ。
だからといって、引き返す選択肢は存在しない。
うちのゴレオがひどい目にあったんだから、俺は主としてきっちり熨斗を付けてお返しする義務がある。
それが終わったら、ゴレオのフォローをしっかりやっておかないとだな。
「サルトに戻ったらゴレオに好きなもの買ってやるか」
「そうね、選ぶのは任せてちょうだい」
「あたしも一緒に選ぶし!」
なら、その辺は女性陣に一任することにしよう。
俺は乙女タイプに何を選んだらいいのか、わからないからね。
「じゃ、ポチには索敵しつつ先導してもらって、ゴレオの代わりに前衛としてこいつを出そう……ゴクソツ」
「――ゴァ」
ゴレオの代わりに召喚魔法陣から出現したのは、薄緑色の大きな鬼。
そう、オーガである。
ギリスでオーガを大量に倒した時に得たサモンモンスターだ。
等級はレアだったが、あの時オーガのサモンカードが100枚集まっていたので、すでにエピック等級にしてある。
【サモンカード:オーガ】
等級:エピック
特殊能力:20%の確率で受けたダメージの50%を反射
ゴクソツの特殊能力は、ダメージの反射。
攻撃を受けたら20%の確率で半分のダメージを相手に返すといったもの。
被ダメージが減ることはないが、接近戦では割と猛威を振るう能力である。
名前の由来は、ライデンをいじめていた不良たちを震え上がらせていたので、獄卒。
痛みを相手に半分返す、なかなか〝らしい〟特殊能力なんじゃなかろうか?
「……うわぁ、顔こわっ」
「おいジュノー、言うなって。いきなり失礼だぞ」
確かにオーガの顔面は強烈だ。
でも仲間だろうが!
コフリータの明かりで顔に影ができて、さらに強烈になっているが……仲間だろうが!
「ゴ、ゴァ……」
召喚されてすぐ顔が怖いと言われたゴクソツは、膝から崩れ落ちてしまった。
ほらぁ! 気にしてる!
偏見はよくないぞ!
「え? 醜悪な見た目に生まれて申し訳ございません? い、いやいやいやいや、そこまで言ってないし! ご、ごめんって、ごめんってば!」
「ゴァァ……」
「オーガの中でもさらに醜悪な見た目で不相応かもしれませんが、精一杯ゴレオ嬢の代わりを努めさせていただきますって? ちょっと、なんでそんなに自分を悪く言うし!? 待って悪気はなかったんだし! ごめんし! 後でご飯の時、あたしのパンケーキの8分の1、いや4分の1を特別にあげるから元気出すし! ね? ねってば!」
両膝を抱えてズーンと落ち込むゴクソツと、必死で謝るジュノー。
強烈な見た目とは裏腹に、めちゃくちゃ腰の低いというか、自己評価の低いタイプだ。
……サモンモンスターって、一癖も二癖もあるやつしかいないのか?
「オ、オーガにも色々いるのね……?」
「どうだろう……」
サモンモンスター以外の魔物と、意思疎通なんてしたことないから知らない。
まあ、いてもおかしくないんじゃないかな、うん。
「ほら、遊んでないでもう行くぞー」
新たな仲間を迎えて快進撃が始まるかと思いきや、一旦飯の時間を挟むこととなった。
理由は二つある。
ゴクソツとみんなの仲を取り持ったり、俺がゴクソツ用の装備を作りたかったからだ。
新装備で心機一転、ゴクソツには頑張ってもらわなければいけない。
この先どんなヤバイ存在が待ち構えてるかもわからないし、そこは入念に。
さて、気になるゴクソツ用の装備は、オーガの素材を元に作り出した鬼鎧シリーズ。
見た目は、中世ヨーロッパ風のこの世界には似つかない、甲冑だ。
特殊能力が攻撃を反射するのならば、VITをマシマシにした全身鎧で受け手に回るのが良いだろうと判断したのである。
オーガ……すなわち鬼の魔物であるゴクソツには、バッチリお誂え向きの装備だ。
ここにアダマンタイト製の斬馬刀を持たせたら、まさに鬼武者と呼んでも差し支えない。
金棒チックな巨大な棍棒も作れるのだが、なんとなくそれだと狙い過ぎてしまったかな、という感じがして斬馬刀にした。
どちらにせよ、破壊力は抜群の代物なのだから別に良いよね?
「うーむ、かっこいい」
洞窟内で飯を食べ終わって、自分で製作した斬馬刀を見ながらそう呟く。
俺は直接戦闘に参加することが少ないので、取り回しのしやすい片手剣と小盾をメインで使っているのだが、やっぱり武器はデカくてなんぼだ。
「これは似合うぞ、ベストマッチだ」
「……本当に似合うと思ってるの?」
うっとりしながら斬馬刀を見つめる俺を眺めながら、イグニールはため息を吐いていた。
「似合うでしょ、絶対」
どのように力説してやろうかと思っていたら、彼女はなんとも言えない表情でジュノーたちの方を指差した。
「ね? 美味しい? 今日は大サービスしてあたしの分も半分あげるし?」
「ゴ、ゴァ……」
「なんならフェアリーベリーのジャムもつける? アイスも美味しいし?」
「ゴァ……」
テーブルの上に立ってデザートを次々と勧めるジュノーと、明らかにサイズがあっていない椅子に窮屈そうにちょこんと座りながら、勧められるがままにデザートを口に運ぶ甲冑を身につけたゴクソツ。
そんな様子を見て、イグニールは言った。
「怖さを助長するような装備じゃない方が良いんじゃないの?」
「……あれはオフの時だから除外」
猫背でデザートをちまちま口に運ぶオーガからは、目を背けることにする。
「オフってどういうことよ……」
普段は物腰が低くても良いんだよ。
戦いになれば、きっと俺の作った甲冑装備は役に立つ……というか映えるはずだ。
ボルテージが上がると共に強くなっていくのが、オーガという生き物である。
ちゃんと戦えるのか少し不安になってくるほど腰は低いけど、きっと大丈夫。
つーかさー……。
これだけかっこいい装備を用意したんだから、かっこいいキャラでいてくれよ。
オーガなのに、なんでこんなに腰が低いキャラなんだ?
オーガだったらもっとワイルドにぶちかましてくれよ、と俺は思うわけである。
夢を壊すなよな?
良い意味でも悪い意味でも、尽く俺の予想を裏切ってくるな、サモニング図鑑め。
まあいい、気にしても仕方がない。
圧倒的ネガティブオーガだったとしても、しっかり前衛を務めてくれるならばそれで良い。
「美味しいし?」
「ゴァ」
「こんなに美味しいものをいただけて、生まれてきてすいませんって……何言ってるし!」
「ゴァ」
「一生物の思い出として、このまま楽に死んでいきたいってバカッ! 死んじゃダメッ!」
……うーむ、なんというネガティブなオーラを纏ったオーガだろうか。
あまりの陰の気質に、陽キャの塊であるジュノーはたじたじである。
「大丈夫かしら?」
「も、問題ない!」
本当に問題ないのか心配になってため息を吐いていると、頭上からパラパラと小石や砂利が降ってきた。
「ん? なんだ?」
何事かと上を明かりで照らすと、無数のゴーレムの顔。
大量のゴーレムが、今まさにボコボコボコと頭上で生み出されていた。
「ほわっ!?」
あまりにもホラー過ぎる光景に、全身の毛が逆立つ。
俺の正面に座っていたイグニールも同じように目を丸くしていた。
「向こうにも大量にゴーレムが湧いてるし……トウジ、これちょっとまずくない?」
「まずいね」
飯休憩に入ってから、ゴーレムの数が急に落ち着きを見せたと思ったら、ここへ来て一気に押し寄せてきたみたいである。
「上からゴーレムが来るぞ! 気を付けろ!」
俺の叫びもむなしく、ゴーレムの一体が俺たちのすぐ側へと落下した。
ドゴッッ!
落下先は、ポチの作ったデザートをプレゼンするジュノーたちのテーブル。
激しい音と共に、テーブルがひしゃげて木片があたりに散らばる。
「ジュノー! ゴクソツ! 大丈夫か!?」
テーブルの上にはジュノーがいたはずなのだが、大丈夫だろうか。
「トウジ! そんなこと言ってる場合じゃないわよ!」
「アォン!」
イグニールとポチが俺に危険を告げる。
ゴーレムの追撃は止むことなく、あの一体を皮切りに次々と降り注ぎ始めた。
ドゴッ! ドゴッ! ドゴッ!
「おわあああああああああああっ!!」
大岩みたいな巨体が降ってくるのだから、まさに質量攻撃である。
「コフリータ! 上を照らして! とにかく避けないと!」
「イグニール! 降ってくる前に爆散させるのは?」
「やっても良いけど、多分ゴーレムと一緒に瓦礫もたくさん降ってくるわよ?」
「……避けよう」
下手に天井を攻撃して、落盤なんかしたら元も子もない。
ポチのクロスボウで射ち倒したとしても、そのまま落下されれば変わらないのだ。
くそっ、思ったよりも厄介な攻撃方法である。
「アォン……」
落下攻撃をもろに受けてしまったジュノーとゴクソツが心配なのか、ポチが俺のズボンをひしっと握りしめて不安そうな顔をしていた。
「心配するなポチ。ジュノーは分体だし、ゴクソツだってやられても図鑑に戻るだけだ」
しかし、ジュノーがやられてギリスの本体の元に戻ってしまうと、これから先の旅路がなんとも静かなものになってしまう。
うざったいことも多いが、ムードメーカーの存在とは非常に大切なのだ。
「コフリータ、照らして!」
ゴーレムの雨が少しずつ収まりを見せる中、イグニールが何かに気付いたようにコフリータの明かりを強めた。
「あ、ありがとうゴクソツ」
おおっ!
なんと甲冑を身につけたゴクソツが、背中に大量のゴーレムを乗せながらも、身を挺してジュノーを守ってくれていた。
「ああっ!! あたしのパンケーキがっ!?」
せっかく守ってくれたというのに、目の前にある潰れたパンケーキに目が行くとは、さすがはパンケーキ師匠である。
ゴクソツ、さすがにキレて良いぞ。
「ゴァ」
「え? パンケーキさんを守れなくてごめんなさい? いやいやいやいや! 確かに惜しいけど、さすがにそんなことを言ってる場合じゃないってのはあたしもわかってるし! 冗談、冗談だってばあっ!」
「ゴァ……」
「死ぬなしっ! 生きろしっ! パンケーキの代わりになるなしっ!」
多分、パンケーキの代わりに自分が犠牲になればよかったとか言ってるんだろうね。
……っておい、茶番は後にしろよ。
「とりあえずお前らこっち来い! 第二陣が今にも降ってくる直前なんだから!」
「わ、わかったし!」
コフリータに照らされた天井には、無数のゴーレムが追加で生み出されている。
しかも空間全域に広がっており、もはや安全な場所なんてどこにもなくなっていた。
ここ、下手すればダンジョンよりも厄介な場所なんじゃなかろうか。
「コレクト、ありがとう!」
「クエッ!」
降ってくるゴーレムの合間を縫って、コレクトがジュノーを救出する。
ズゥン! ズゥゥゥン!
「ゴ、ゴァッ……ゴァッ……」
あとはゴクソツだけなのだが、四つん這いになったゴクソツの上に、どんどんゴーレムが降り注いで積み重なっていた。
も、もうダメだ。
落ち物パズルゲームをめちゃくちゃ下手な人がプレイしましたって感じになってる。
「ゴクソツ! 一旦戻して再召喚するぞ!」
「ゴアッ!」
俺の言葉に、首をふるふると横に振って何かを叫ぶゴクソツ。
すぐにジュノーが通訳してくれた。
52
お気に入りに追加
30,171
あなたにおすすめの小説
無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~
鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!
詳細は近況ボードに載せていきます!
「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」
特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。
しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。
バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて――
こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています

スキルを得られない特殊体質の少年。祠を直したらユニークスキルもらえた(なんで??)
屯神 焔
ファンタジー
魔法が存在し、魔物が跋扈し、人々が剣を磨き戦う世界、『ミリオン』
この世界では自身の強さ、もしくは弱さを知られる『ステータス』が存在する。
そして、どんな人でも、亜人でも、動物でも、魔物でも、生まれつきスキルを授かる。
それは、平凡か希少か、1つか2つ以上か、そういった差はあれ不変の理だ。
しかし、この物語の主人公、ギル・フィオネットは、スキルを授からなかった。
正確には、どんなスキルも得られない体質だったのだ。
そんな彼は、田舎の小さな村で生まれ暮らしていた。
スキルを得られない体質の彼を、村は温かく迎え・・・はしなかった。
迫害はしなかったが、かといって歓迎もしなかった。
父親は彼の体質を知るや否や雲隠れし、母は長年の無理がたたり病気で亡くなった。
一人残された彼は、安い賃金で雑用をこなし、その日暮らしを続けていた。
そんな彼の唯一の日課は、村のはずれにある古びた小さな祠の掃除である。
毎日毎日、少しずつ、汚れをふき取り、欠けてしまった所を何とか直した。
そんなある日。
『ありがとう。君のおかげで私はここに取り残されずに済んだ。これは、せめてものお礼だ。君の好きなようにしてくれてかまわない。本当に、今までありがとう。』
「・・・・・・え?」
祠に宿っていた、太古の時代を支配していた古代龍が、感謝の言葉と祠とともに消えていった。
「祠が消えた?」
彼は、朝起きたばかりで寝ぼけていたため、最後の「ありがとう」しか聞こえていなかった。
「ま、いっか。」
この日から、彼の生活は一変する。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~
柊彼方
ファンタジー
「一族から出ていけ!」「お前は忌み子だ! 俺たちの子じゃない!」
テイマーのエリート一族に生まれた俺は一族の中で最弱だった。
この一族は十二歳になると獣と契約を交わさないといけない。
誰にも期待されていなかった俺は自分で獣を見つけて契約を交わすことに成功した。
しかし、一族のみんなに見せるとそれは『獣』ではなく『魔物』だった。
その瞬間俺は全ての関係を失い、一族、そして村から追放され、野原に捨てられてしまう。
だが、急な展開過ぎて追いつけなくなった俺は最初は夢だと思って行動することに。
「やっと来たか勇者! …………ん、子供?」
「貴方がマオウさんですね! これからお世話になります!」
これは魔物、魔族、そして魔王と一緒に暮らし、いずれ世界最強のテイマー、冒険者として名をとどろかせる俺の物語
2月28日HOTランキング9位!
3月1日HOTランキング6位!
本当にありがとうございます!

5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。

ハイエルフの幼女は異世界をまったりと過ごしていく ~それを助ける過保護な転移者~
まぁ
ファンタジー
事故で亡くなった日本人、黒野大河はクロノとして異世界転移するはめに。
よし、神様からチートの力をもらって、無双だ!!!
ではなく、神様の世界で厳しい修行の末に力を手に入れやっとのことで異世界転移。
目的もない異世界生活だがすぐにハイエルフの幼女とであう。
なぜか、その子が気になり世話をすることに。
神様と修行した力でこっそり無双、もらった力で快適生活を。
邪神あり勇者あり冒険者あり迷宮もありの世界を幼女とポチ(犬?)で駆け抜けます。
PS
2/12 1章を書き上げました。あとは手直しをして終わりです。
とりあえず、この1章でメインストーリーはほぼ8割終わる予定です。
伸ばそうと思えば、5割程度終了といったとこでしょうか。
2章からはまったりと?、自由に異世界を生活していきます。
以前書いたことのある話で戦闘が面白かったと感想をもらいましたので、
1章最後は戦闘を長めに書いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。