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6巻
6-3
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◇ ◇ ◇
「……おっと、そろそろだな」
パンケーキ先生の死の呪文を聞き流しながら空を飛ぶこと数十分、いよいよ島の中央にある樹海のさらにど真ん中までやってきた。
「わぁー!」
鬱蒼とした樹海の中心地には泉があり、その神秘的な空間にジュノーが歓声を上げる。
「別に、家の浄水の泉もこんな感じだろ?」
「まあそうだけど、こっちには太陽があるし!」
おそらく風情が違うと言いたいのだろうな。
確かにそうだ。
太陽の木のおかげで、とても地下にあるとは思えない温かみのある空間へと様変わりしたギリスのダンジョンであるが、こうして風が吹いて森の良い香りがして、本物の太陽があるってのは、やっぱり違う。
「コレクト! あっちに行ってみるし!」
「クエーッ!」
さっそくコレクトを足代わりにして、探検に行くジュノー。
「あんまり遠くに行くなよー」
「クエー」
「はーい! コレクト、絶対お宝発見するし!」
物欲センサーの話を秒で忘れてしまっていた。
「……本当にお宝なんてあるのかね?」
「……アォン」
休憩用の椅子とかテーブルをインベントリから出しながら呟くと、ポチも「飽きてお腹が空いたら戻ってくるでしょ」と言わんばかりのテンションでため息を吐いていた。
おかんか、ポチ。
「なんにせよ、見つかったらそれはそれでよくやったって褒めておくか」
物欲センサーがあったとしてもコレクトには通用しない。
何かしらの発見があるはずだ。
さすがにどんぐりとか持ってこられたら絶句するけどね。
「さて、俺たちはお茶でも飲みながらのんびりするか」
「ォン」
「グルル」
せっせとお茶の用意をするポチを尻目に、俺はグリフィーをブラッシングする。
今日は朝から頑張ってくれたから、このくらいはしないと。
「ほーれ、気持ち良いかグリフィー?」
「グルゥ~」
下半分のライオンの毛の部分をブラシすると、グリフィーは気持ち良さそうに目を細める。
嘴は黄色、頭はくすんだ白、羽は白から灰色へのグラデーション。
下半分は普通のライオン色である黄土色。
ブラシをしてわかったが、なかなか俺好みの良きもふもふ毛質である。
「グリフィーはなかなかの美人さんだな」
「グルゥ~!」
顔つきは凛々しい白頭鷲、頭の部分にミミズクみたいな羽角があって、この羽角でオスとメスを見分けるとのこと。
そして、優雅で気品のあるレディ要素を醸し出している。
本人の頭の中は、たぶん「ご飯食べたい」とかそんな感じだろうけど、それもそれで可愛いじゃないか。
「って、俺……普通に魔物をレディ扱いしてるな……」
ゴレオのせいだ、絶対。
「……アォン」
「ん?」
お茶の準備を進めていたポチが、頬を膨らましながら俺とグリフィーの間に割り込む。
装備を全部抜いて万全にしているあたり、これは抱っこを所望しているわけではない。
「ブラシかけろってか」
「ォン」
毎日自分で丁寧にやっとるだろうに……まあ、たまには俺がするのも良いだろう。
「よーし! 二人とも俺好みの触り心地にしてやる! うらー!」
それからめちゃくちゃブラッシングした。
「はあ……もふもふに囲まれて幸せ者だあ……」
ポチを抱っこしながら、グリフィーに埋まる。
危険な森だってのに、二人のぬくぬくもふもふに包まれて眠たくなってきた……――
「ああー! トウジ! トウジ!」
「――んあっ!?」
やべ、普通に寝てた。
ジュノーとコレクトが興奮しながら俺たちの方へと飛んでくる。
「何? どうしたの?」
「お宝発見かも!」
「クエーッ!」
「マジか。そりゃ良かったね、おやすみ」
「ちょっと! なんで寝てるし! お宝見つけたんだってばし!」
だってばし、と言われてもなあ……。
「どうせどんぐりか何かだろ?」
「確かにすごい形のやつ見つけたし……って、違うし!」
本当にどんぐりもお宝の一つとして見せようとしていたのか……。
他にもすごいものを見つけたと言うので、起き上がって話を聞くことにした。
「で、どうしたの」
「泉の中心に、なんか祠みたいなのがあるし!」
「祠……?」
「絶対お宝があるし! コレクトだって気配がするって言ってるから早く行くし!」
「ちょっと待って、水の中でしょ?」
どうやって行くんだ。
寒さを無効にする装備をつけているが、泉に入るだなんて嫌だぞ。
「水抜けば良いでしょ、キングっちに頼んでよ」
「お前、そろそろぶっ飛ばされるぞ……」
祠が見たいので水を抜いてくださいって、俺がキングさんに頼めるわけがないだろ。
そんなこと言ったら俺がボコボコにされる。
「ねーえー! トウジってばー! んむー!」
「しょうがないな……」
腕をぐいぐい引っ張ってくるので、仕方なくボートを出して見に行くことにした。
「……ほんとだ、なんかある……」
「でしょー!」
ジュノーの言っていた通り、透き通った水の底に祠のようなものが存在していた。
「絶対絶対絶対なんかあるし!」
「いやでもさ……あったとしても、水浸しじゃない……?」
「そんなの見てみないとわからないし!」
なんだかバチが当たりそうで、俺は嫌なんだけどな……。
「とりあえず水島のおっさんに頑張ってもらうか」
「ミズシマならバチが当たっても良いし!」
すごい言われようの水島のおっさんとは、リバフィンというサモンモンスターである。
リバフィンとは、いつだかのCランク昇格依頼の折にたくさんいた二足歩行のイルカみたいなおっさん型のモンスターだ。
いや、おっさん型のイルカみたいなモンスター? どっちでも良いな。
水場で作業する時なんか、結構呼び出して働かせている。
先日のうなぎ漁も水島に全部やらせたのだ。
くたびれたおっさんみたいな魔物を、馬車馬の如く働かせて可哀想……だとは思わない。
リバフィンは、俺の中ではすっかりギャグキャラ扱いなのである。
一度も召喚しない連中とかもいるんだから、水島だってきっとありがたく思ってるはずだ。
「頼むわ、水島のおっさん」
「キュピ」
風貌に似合わない可愛い鳴き声を上げた水島は、ビシッと敬礼し泉に飛び込んだ。
「祠の中を開けてみてくれー」
水中で再び敬礼した水島は、さっそく祠を開ける。
「――!?」
その瞬間、祠から眩い光が溢れ出してきた。
「な、なんだし!?」
「水島、退がれ! 水島!」
俺の叫びも虚しく、水島は光に飲み込まれて消えてしまった。
「水島ぁっ! あ、でもサモンモンスターだから大丈夫か」
「ト、トウジ! そんなこと言ってる場合じゃない! 泉全体が……光ってるし!」
「え? マ、マジか! どうなってんだよこれ!」
ジュノーの言う通り、泉全体が大きく発光し、とんでもない光景になる。
「ジュノー! とりあえずフードに入れ! ポチもコレクトも俺の近くに来い!」
謎の事態に備えるために、ポチたちを側に置く。
もし、やばい魔物が出現したら、迷わずキングさんを出して戦ってもらおうか。
しかし、俺の想定したようなことは起こらず――
――気がついたら、目の前の風景がガラリと変貌を遂げていた。
雪が降り積もり、全方向見渡す限りが白銀の世界。
凍てつく風が寒さ耐性装備を超えて俺の頬を刺す中、ジュノーが呟いた。
「断崖凍土……?」
第二章 断崖凍土と階層氷城
「……断崖凍土?」
聞き返すと、頷きながらジュノーは言う。
「たぶん、あの泉自体がダンジョンに繋がるドアだったんだし」
「マジかよ……」
何かの封印が解けてしまったとかならまだ読めたのだが、泉自体がダンジョンに繋がるドアだなんて気付くはずもない。
「ジュノーは気付かなかったのか?」
「光に包まれた段階でドアだって気がついたけど、もう遅かったし」
「そうか」
おそらく、以前相対したマンティコアもあのドアを通って辺境伯領に来たのだろう。
そう考えると、辻褄が合った。
「これからどうするし?」
「そうだなー」
まっすぐ帰るのも良いけど、ジュノーも一度行ってみたいと言っていたので、この機会にちょろっと探索をしてみるのも良いかもしれない。
「せっかくだから行ってみるか?」
「おおー! やったーっ!」
最近レベルの上がりも遅くなってきているし、ガッツリレベル上げをするのも良い案だ。
ポチたちも異論はないようなので、その方針でダンジョンへ行くことにする。
唐突な大迷宮探索だが、こういう時のための準備はインベントリに整ってあった。
ダンジョンに籠もるとしても、軽く一ヶ月は生活できる十分な量である。
「みんな寒さ対策はしっかりしとけよー」
寒さ耐性装備をしていたとしても、やや肌を刺すような冷たさを感じた。
このダンジョンの寒さは、北国の寒さとは桁が違うらしい。
「ほら、みんな着替えて着替えて」
「ォン」
「グルル」
「クェー」
「はーい」
インベントリから防寒着を出したわけだが……なんで全員揃って万歳してるんだ?
「まさか、俺に着替えさせろってことか、まったくしょうがないな……」
そんなわけで、全員を着替えさせた。
「さてと、これで寒さ対策もバッチリだ。……で、ここどこだ?」
お揃いの防寒着を身につけて、グリフィーに乗って周囲をキョロキョロと見渡す。
見渡す限りの雪、雪、雪。さすがは断崖凍土と呼ばれる場所である。
断崖って言われているのは、船で近づくと切り立った巨大な氷の崖だからだそうだ。
凍土の中に道がたくさんあって、中央の氷城にアクセスできる。
「うーん、どこだし?」
「オッケー」
なんとなくダンジョンコアなら入り口も知ってるかなとジュノーに話を振ってみたが、たいして役には立たなかった。
ダンジョンへの地図なんて出回っておらずマップ機能に登録できてないので、とりあえず適当に進んでみるしかない。
「アォン」
雪の上を歩いていると、ポチが鼻をくんくんと動かしながら何かを告げた。
同時にグリフィーも何かに気がついて振り返るのを見るに、敵が来たようだ。
「ホッホッホッホッ」
全身白い体毛に覆われた大きな二足歩行の霊長類が、俺たちの前に姿を現す。
ビッグフットとも、サスカッチとも言えるような風貌。
あえて和名を使うのならば、雪男という言葉が当てはまるだろう。
「ポチ、先制攻撃」
「ォン」
「ホホッ!?」
ポチの矢を驚異的な身体能力でギリギリ躱す雪男の魔物は、目をカッと見開いて、鋭い犬歯を剥き出しにして激しい雄叫びを上げた。
「……ホ、ホ、ホギャアアアッ!」
どうやら怒らせたみたいである。
しかし、魔物の威嚇行動でビビる俺ではもうない。
「グリフィー」
「グルゥァッ!」
「ホギャッ!?」
体格で勝るグリフィーの鋭い鉤爪の餌食になっていただいた。
大きく切り裂かれた雪男は、血塗れになって転がりながら逃げていく。
よくもまあ、グリフォン相手に喧嘩を売ろうとしたもんだ。
おそらく、普通の魔物は寒さで動きが鈍って弱くなるのだろう。
「トウジ、逃がすし?」
「いや、逃がさないよ。ポチ頼む」
「ォン」
逃走する雪男の後頭部に矢が突き刺さり、ドロップアイテムが飛び散って終了。
ドロップアイテムは毛皮と骨とサモンカード。
魔物の名前はサスカッチか、覚えておきましょう。
「よし、とりあえず適当に入り口がないか見て回るとするか……って、うぅ寒っ」
耐性持ちの防寒着を重ね着しているというのに、来た当初よりも寒さが増していた。
「山脈の時の防寒着じゃ足りないし?」
「全然足りないな」
アマルガムゴーレムと戦った時の寒さとは明らかに違った寒さの質。
HPへの直接ダメージを伴うような、そんな寒さだった。
マフラー、耳当て付きの帽子を身につけたところで、雀の涙である。
足先なんか、ちゃんと対策しておかないとすぐに凍傷になりかねない。
「みんなは平気?」
「グルッ!」
「アォン……」
「クエェ……」
「グリフィーは大丈夫だけど、ポチとコレクトは結構厳しいってさ」
「なるほど」
耐性装備をもっとグレードの良いものに切り替えるべきだな。
いや、いっそのことまた別の装備を作っても良いかもしれない。
そんなこんなで、一度探索を断念することにした。
コレクトを戻し、ゴレオを召喚。
凍土の氷を削り出してイグルーを構え、俺が装備を作るための小屋を作った。
「わー、氷のお家だし!」
「なかなか上手にできたな」
イグルーの作り方は詳しくないが、形は知っていたのでそれっぽいのを作れた。
途中で押し寄せてきた氷タイプのゴロンみたいな魔物からドロップする氷材も、形が均一になっていてイグルー造りに一役買った。
ドロップアイテムにも隙はない。
この中で火を焚いて、グリフィーやポチに包まれてしまえばぬくぬくなのだ。
魔導キッチンを置くスペースはないが、ここで生活するわけではないからね。
一つイグルーを組み上げれば、それ単体としてインベントリに収納できる。
もし夜中に吹雪が押し寄せてきたとしても、吹き曝しの中で寝ることもなくなった。
準備万端だと言っておきながら、テントの一つもないとは……ミスったな……。
どうせなら、すごい強固な家を一つ購入して、インベントリに入れておこうか!
「ジュノー、ここにドアを繋げるのって現状難しい?」
「うーん、あたしの魔力的に四つ目のドア自体が難しいから……もっとダンジョンの階層を増やして保有できるリソースの量も増えたら、なんとか可能になるかなって感じだし」
「なるほどね」
ダンジョンのリソースは潜在能力を持った装備に全て使っているので、とりあえずコテージでも購入してインベントリに入れておく案を採用しよう。
「よし、みんな新しい装備ができたから配るぞー」
雑談をしつつ、装備を作り終えたので、みんなに装備させる。
【雪国の御守り首飾り】
必要レベル:0
UG回数:5
特殊強化:◇◇◇◇◇
装備効果:寒さによる継続ダメージを無効化
寒さ耐性装備を大量に作って重ね着する案もあったのだが、今回は耐性装備ではなく寒さによる継続ダメージを無効化するものをチョイスしてみた。
ネトゲでは、マップごとの地形や気象(水中や寒冷地、灼熱の火山地帯など)に応じて、十秒ごとにHP10の継続ダメージがあったりするのだが、それを無効化するタイプの特殊装備である。
耐性装備を貫通した寒さは、いかにもそれっぽいってことで作ってみた。
重ね着するよりも身につけるだけで一発無効化だから、上手くいけば最高の結果だよな?
服や指輪でも可能だけど、そうするとコレクトが装備できないのでペンダント型である。
「ゴレオも一応つけといてね」
「……!」
ゴレオも氷の結晶のようなペンダントを首から下げて嬉しそうにする。
石だから必要ないかもしれないが、仲間外れは良くないからね。
「……!」
「トウジ、ゴレオが似合ってるか見てだって」
「……いや、いちいちメイドゴレオ状態にならなくて良いから」
どっちの姿でも似合ってるよ。
「わあ、これつけたら寒くなくなったし! 何これすごいし!」
「アォン!」
ジュノーやポチたちの反応を見る限り、どうやら俺の目論見は功を奏したようだ。
地形や気象に対する装備効果も、ちゃんとこの世界は機能するらしい。
水中での窒息ダメージ無効化装備とか、めちゃくちゃ有用な気がする。
「さて、寒さ対策も終わったし、先に進むか」
ゴレオを戻してコレクトを召喚。
「頼むぞコレクトー」
ペンダントを身につけさせて、そのままガイドをお願いする。
「クエッ」
寒くないことで調子を取り戻したコレクトは、グリフィーの頭の上で翼を曲げて敬礼。
よし、これで闇雲に歩き回ることもなくなった。
目的地がわからない時は、コレクトのお宝とか俺の欲しがるものを見つける能力が一番だ。
ダンジョンにはお宝があったりするから、きっとこれで大丈夫である。
「クエックエッ!」
「ん? さっそく何か見つけたのか?」
コレクトの案内に従って先に進むと、雪の中に何やら蓋のようなものを見つけた。
「お、これ中に入れるっぽいな!」
「きっとダンジョンの入り口だし!」
さっそく発見とは、さすがコレクトである。
ここを起点にダンジョン内へと入って探索開始だ。
ダンジョン内に入ってからは、グリフィーを戻してゴレオを召喚する。
外とは違って、ダンジョン内は迷路のようになっているからだ。
前衛にゴレオ、その後ろに俺とポチが位置取るという、いつものパターンで進んでいく。
「なんだか思ってたのと違うし」
俺のすぐ後ろで、コレクトの背中に乗ったジュノーが拍子抜けしたように言った。
「まあ、確かにな」
断崖凍土、そして本陣に氷城があるのならば、壁の全面が氷でできた通路が広がっているもんだと俺も想像していた。
しかし、文字通り蓋を開けて入ってみると、進めど進めどゴツゴツとした洞窟が続いていたわけである。
「もっとこう……氷! って感じかと思ってたし!」
「氷かあ……でもまあ、全部が全部氷だったら、見てるだけで気分が寒くなりそうだよ」
「そうだけど、もっと幻想的なのを想像してたんだし! 期待を返して欲しいし!」
「無理言うなよ……」
本当に氷で全部できてたら、ツルツル滑って大変そうだ。
その上で魔物に襲われたらたまったもんじゃない。
「奇を衒うよりも普通が一番だぞ」
このダンジョンはそれをわかっているのかもしれないな。
もし深層の氷城までたどり着いて、マジモンの氷の城だった場合は、かき氷にして食ってやろうかと思っている。
ダンジョン内で食べるダンジョン飯ではなく、文字通りダンジョンを食うダンジョン飯。
これ新しいのでは? 腹壊しそうだけど。
そんな感じでダンジョン内を進みつつ、こう思う次第だった。
「……おっと、そろそろだな」
パンケーキ先生の死の呪文を聞き流しながら空を飛ぶこと数十分、いよいよ島の中央にある樹海のさらにど真ん中までやってきた。
「わぁー!」
鬱蒼とした樹海の中心地には泉があり、その神秘的な空間にジュノーが歓声を上げる。
「別に、家の浄水の泉もこんな感じだろ?」
「まあそうだけど、こっちには太陽があるし!」
おそらく風情が違うと言いたいのだろうな。
確かにそうだ。
太陽の木のおかげで、とても地下にあるとは思えない温かみのある空間へと様変わりしたギリスのダンジョンであるが、こうして風が吹いて森の良い香りがして、本物の太陽があるってのは、やっぱり違う。
「コレクト! あっちに行ってみるし!」
「クエーッ!」
さっそくコレクトを足代わりにして、探検に行くジュノー。
「あんまり遠くに行くなよー」
「クエー」
「はーい! コレクト、絶対お宝発見するし!」
物欲センサーの話を秒で忘れてしまっていた。
「……本当にお宝なんてあるのかね?」
「……アォン」
休憩用の椅子とかテーブルをインベントリから出しながら呟くと、ポチも「飽きてお腹が空いたら戻ってくるでしょ」と言わんばかりのテンションでため息を吐いていた。
おかんか、ポチ。
「なんにせよ、見つかったらそれはそれでよくやったって褒めておくか」
物欲センサーがあったとしてもコレクトには通用しない。
何かしらの発見があるはずだ。
さすがにどんぐりとか持ってこられたら絶句するけどね。
「さて、俺たちはお茶でも飲みながらのんびりするか」
「ォン」
「グルル」
せっせとお茶の用意をするポチを尻目に、俺はグリフィーをブラッシングする。
今日は朝から頑張ってくれたから、このくらいはしないと。
「ほーれ、気持ち良いかグリフィー?」
「グルゥ~」
下半分のライオンの毛の部分をブラシすると、グリフィーは気持ち良さそうに目を細める。
嘴は黄色、頭はくすんだ白、羽は白から灰色へのグラデーション。
下半分は普通のライオン色である黄土色。
ブラシをしてわかったが、なかなか俺好みの良きもふもふ毛質である。
「グリフィーはなかなかの美人さんだな」
「グルゥ~!」
顔つきは凛々しい白頭鷲、頭の部分にミミズクみたいな羽角があって、この羽角でオスとメスを見分けるとのこと。
そして、優雅で気品のあるレディ要素を醸し出している。
本人の頭の中は、たぶん「ご飯食べたい」とかそんな感じだろうけど、それもそれで可愛いじゃないか。
「って、俺……普通に魔物をレディ扱いしてるな……」
ゴレオのせいだ、絶対。
「……アォン」
「ん?」
お茶の準備を進めていたポチが、頬を膨らましながら俺とグリフィーの間に割り込む。
装備を全部抜いて万全にしているあたり、これは抱っこを所望しているわけではない。
「ブラシかけろってか」
「ォン」
毎日自分で丁寧にやっとるだろうに……まあ、たまには俺がするのも良いだろう。
「よーし! 二人とも俺好みの触り心地にしてやる! うらー!」
それからめちゃくちゃブラッシングした。
「はあ……もふもふに囲まれて幸せ者だあ……」
ポチを抱っこしながら、グリフィーに埋まる。
危険な森だってのに、二人のぬくぬくもふもふに包まれて眠たくなってきた……――
「ああー! トウジ! トウジ!」
「――んあっ!?」
やべ、普通に寝てた。
ジュノーとコレクトが興奮しながら俺たちの方へと飛んでくる。
「何? どうしたの?」
「お宝発見かも!」
「クエーッ!」
「マジか。そりゃ良かったね、おやすみ」
「ちょっと! なんで寝てるし! お宝見つけたんだってばし!」
だってばし、と言われてもなあ……。
「どうせどんぐりか何かだろ?」
「確かにすごい形のやつ見つけたし……って、違うし!」
本当にどんぐりもお宝の一つとして見せようとしていたのか……。
他にもすごいものを見つけたと言うので、起き上がって話を聞くことにした。
「で、どうしたの」
「泉の中心に、なんか祠みたいなのがあるし!」
「祠……?」
「絶対お宝があるし! コレクトだって気配がするって言ってるから早く行くし!」
「ちょっと待って、水の中でしょ?」
どうやって行くんだ。
寒さを無効にする装備をつけているが、泉に入るだなんて嫌だぞ。
「水抜けば良いでしょ、キングっちに頼んでよ」
「お前、そろそろぶっ飛ばされるぞ……」
祠が見たいので水を抜いてくださいって、俺がキングさんに頼めるわけがないだろ。
そんなこと言ったら俺がボコボコにされる。
「ねーえー! トウジってばー! んむー!」
「しょうがないな……」
腕をぐいぐい引っ張ってくるので、仕方なくボートを出して見に行くことにした。
「……ほんとだ、なんかある……」
「でしょー!」
ジュノーの言っていた通り、透き通った水の底に祠のようなものが存在していた。
「絶対絶対絶対なんかあるし!」
「いやでもさ……あったとしても、水浸しじゃない……?」
「そんなの見てみないとわからないし!」
なんだかバチが当たりそうで、俺は嫌なんだけどな……。
「とりあえず水島のおっさんに頑張ってもらうか」
「ミズシマならバチが当たっても良いし!」
すごい言われようの水島のおっさんとは、リバフィンというサモンモンスターである。
リバフィンとは、いつだかのCランク昇格依頼の折にたくさんいた二足歩行のイルカみたいなおっさん型のモンスターだ。
いや、おっさん型のイルカみたいなモンスター? どっちでも良いな。
水場で作業する時なんか、結構呼び出して働かせている。
先日のうなぎ漁も水島に全部やらせたのだ。
くたびれたおっさんみたいな魔物を、馬車馬の如く働かせて可哀想……だとは思わない。
リバフィンは、俺の中ではすっかりギャグキャラ扱いなのである。
一度も召喚しない連中とかもいるんだから、水島だってきっとありがたく思ってるはずだ。
「頼むわ、水島のおっさん」
「キュピ」
風貌に似合わない可愛い鳴き声を上げた水島は、ビシッと敬礼し泉に飛び込んだ。
「祠の中を開けてみてくれー」
水中で再び敬礼した水島は、さっそく祠を開ける。
「――!?」
その瞬間、祠から眩い光が溢れ出してきた。
「な、なんだし!?」
「水島、退がれ! 水島!」
俺の叫びも虚しく、水島は光に飲み込まれて消えてしまった。
「水島ぁっ! あ、でもサモンモンスターだから大丈夫か」
「ト、トウジ! そんなこと言ってる場合じゃない! 泉全体が……光ってるし!」
「え? マ、マジか! どうなってんだよこれ!」
ジュノーの言う通り、泉全体が大きく発光し、とんでもない光景になる。
「ジュノー! とりあえずフードに入れ! ポチもコレクトも俺の近くに来い!」
謎の事態に備えるために、ポチたちを側に置く。
もし、やばい魔物が出現したら、迷わずキングさんを出して戦ってもらおうか。
しかし、俺の想定したようなことは起こらず――
――気がついたら、目の前の風景がガラリと変貌を遂げていた。
雪が降り積もり、全方向見渡す限りが白銀の世界。
凍てつく風が寒さ耐性装備を超えて俺の頬を刺す中、ジュノーが呟いた。
「断崖凍土……?」
第二章 断崖凍土と階層氷城
「……断崖凍土?」
聞き返すと、頷きながらジュノーは言う。
「たぶん、あの泉自体がダンジョンに繋がるドアだったんだし」
「マジかよ……」
何かの封印が解けてしまったとかならまだ読めたのだが、泉自体がダンジョンに繋がるドアだなんて気付くはずもない。
「ジュノーは気付かなかったのか?」
「光に包まれた段階でドアだって気がついたけど、もう遅かったし」
「そうか」
おそらく、以前相対したマンティコアもあのドアを通って辺境伯領に来たのだろう。
そう考えると、辻褄が合った。
「これからどうするし?」
「そうだなー」
まっすぐ帰るのも良いけど、ジュノーも一度行ってみたいと言っていたので、この機会にちょろっと探索をしてみるのも良いかもしれない。
「せっかくだから行ってみるか?」
「おおー! やったーっ!」
最近レベルの上がりも遅くなってきているし、ガッツリレベル上げをするのも良い案だ。
ポチたちも異論はないようなので、その方針でダンジョンへ行くことにする。
唐突な大迷宮探索だが、こういう時のための準備はインベントリに整ってあった。
ダンジョンに籠もるとしても、軽く一ヶ月は生活できる十分な量である。
「みんな寒さ対策はしっかりしとけよー」
寒さ耐性装備をしていたとしても、やや肌を刺すような冷たさを感じた。
このダンジョンの寒さは、北国の寒さとは桁が違うらしい。
「ほら、みんな着替えて着替えて」
「ォン」
「グルル」
「クェー」
「はーい」
インベントリから防寒着を出したわけだが……なんで全員揃って万歳してるんだ?
「まさか、俺に着替えさせろってことか、まったくしょうがないな……」
そんなわけで、全員を着替えさせた。
「さてと、これで寒さ対策もバッチリだ。……で、ここどこだ?」
お揃いの防寒着を身につけて、グリフィーに乗って周囲をキョロキョロと見渡す。
見渡す限りの雪、雪、雪。さすがは断崖凍土と呼ばれる場所である。
断崖って言われているのは、船で近づくと切り立った巨大な氷の崖だからだそうだ。
凍土の中に道がたくさんあって、中央の氷城にアクセスできる。
「うーん、どこだし?」
「オッケー」
なんとなくダンジョンコアなら入り口も知ってるかなとジュノーに話を振ってみたが、たいして役には立たなかった。
ダンジョンへの地図なんて出回っておらずマップ機能に登録できてないので、とりあえず適当に進んでみるしかない。
「アォン」
雪の上を歩いていると、ポチが鼻をくんくんと動かしながら何かを告げた。
同時にグリフィーも何かに気がついて振り返るのを見るに、敵が来たようだ。
「ホッホッホッホッ」
全身白い体毛に覆われた大きな二足歩行の霊長類が、俺たちの前に姿を現す。
ビッグフットとも、サスカッチとも言えるような風貌。
あえて和名を使うのならば、雪男という言葉が当てはまるだろう。
「ポチ、先制攻撃」
「ォン」
「ホホッ!?」
ポチの矢を驚異的な身体能力でギリギリ躱す雪男の魔物は、目をカッと見開いて、鋭い犬歯を剥き出しにして激しい雄叫びを上げた。
「……ホ、ホ、ホギャアアアッ!」
どうやら怒らせたみたいである。
しかし、魔物の威嚇行動でビビる俺ではもうない。
「グリフィー」
「グルゥァッ!」
「ホギャッ!?」
体格で勝るグリフィーの鋭い鉤爪の餌食になっていただいた。
大きく切り裂かれた雪男は、血塗れになって転がりながら逃げていく。
よくもまあ、グリフォン相手に喧嘩を売ろうとしたもんだ。
おそらく、普通の魔物は寒さで動きが鈍って弱くなるのだろう。
「トウジ、逃がすし?」
「いや、逃がさないよ。ポチ頼む」
「ォン」
逃走する雪男の後頭部に矢が突き刺さり、ドロップアイテムが飛び散って終了。
ドロップアイテムは毛皮と骨とサモンカード。
魔物の名前はサスカッチか、覚えておきましょう。
「よし、とりあえず適当に入り口がないか見て回るとするか……って、うぅ寒っ」
耐性持ちの防寒着を重ね着しているというのに、来た当初よりも寒さが増していた。
「山脈の時の防寒着じゃ足りないし?」
「全然足りないな」
アマルガムゴーレムと戦った時の寒さとは明らかに違った寒さの質。
HPへの直接ダメージを伴うような、そんな寒さだった。
マフラー、耳当て付きの帽子を身につけたところで、雀の涙である。
足先なんか、ちゃんと対策しておかないとすぐに凍傷になりかねない。
「みんなは平気?」
「グルッ!」
「アォン……」
「クエェ……」
「グリフィーは大丈夫だけど、ポチとコレクトは結構厳しいってさ」
「なるほど」
耐性装備をもっとグレードの良いものに切り替えるべきだな。
いや、いっそのことまた別の装備を作っても良いかもしれない。
そんなこんなで、一度探索を断念することにした。
コレクトを戻し、ゴレオを召喚。
凍土の氷を削り出してイグルーを構え、俺が装備を作るための小屋を作った。
「わー、氷のお家だし!」
「なかなか上手にできたな」
イグルーの作り方は詳しくないが、形は知っていたのでそれっぽいのを作れた。
途中で押し寄せてきた氷タイプのゴロンみたいな魔物からドロップする氷材も、形が均一になっていてイグルー造りに一役買った。
ドロップアイテムにも隙はない。
この中で火を焚いて、グリフィーやポチに包まれてしまえばぬくぬくなのだ。
魔導キッチンを置くスペースはないが、ここで生活するわけではないからね。
一つイグルーを組み上げれば、それ単体としてインベントリに収納できる。
もし夜中に吹雪が押し寄せてきたとしても、吹き曝しの中で寝ることもなくなった。
準備万端だと言っておきながら、テントの一つもないとは……ミスったな……。
どうせなら、すごい強固な家を一つ購入して、インベントリに入れておこうか!
「ジュノー、ここにドアを繋げるのって現状難しい?」
「うーん、あたしの魔力的に四つ目のドア自体が難しいから……もっとダンジョンの階層を増やして保有できるリソースの量も増えたら、なんとか可能になるかなって感じだし」
「なるほどね」
ダンジョンのリソースは潜在能力を持った装備に全て使っているので、とりあえずコテージでも購入してインベントリに入れておく案を採用しよう。
「よし、みんな新しい装備ができたから配るぞー」
雑談をしつつ、装備を作り終えたので、みんなに装備させる。
【雪国の御守り首飾り】
必要レベル:0
UG回数:5
特殊強化:◇◇◇◇◇
装備効果:寒さによる継続ダメージを無効化
寒さ耐性装備を大量に作って重ね着する案もあったのだが、今回は耐性装備ではなく寒さによる継続ダメージを無効化するものをチョイスしてみた。
ネトゲでは、マップごとの地形や気象(水中や寒冷地、灼熱の火山地帯など)に応じて、十秒ごとにHP10の継続ダメージがあったりするのだが、それを無効化するタイプの特殊装備である。
耐性装備を貫通した寒さは、いかにもそれっぽいってことで作ってみた。
重ね着するよりも身につけるだけで一発無効化だから、上手くいけば最高の結果だよな?
服や指輪でも可能だけど、そうするとコレクトが装備できないのでペンダント型である。
「ゴレオも一応つけといてね」
「……!」
ゴレオも氷の結晶のようなペンダントを首から下げて嬉しそうにする。
石だから必要ないかもしれないが、仲間外れは良くないからね。
「……!」
「トウジ、ゴレオが似合ってるか見てだって」
「……いや、いちいちメイドゴレオ状態にならなくて良いから」
どっちの姿でも似合ってるよ。
「わあ、これつけたら寒くなくなったし! 何これすごいし!」
「アォン!」
ジュノーやポチたちの反応を見る限り、どうやら俺の目論見は功を奏したようだ。
地形や気象に対する装備効果も、ちゃんとこの世界は機能するらしい。
水中での窒息ダメージ無効化装備とか、めちゃくちゃ有用な気がする。
「さて、寒さ対策も終わったし、先に進むか」
ゴレオを戻してコレクトを召喚。
「頼むぞコレクトー」
ペンダントを身につけさせて、そのままガイドをお願いする。
「クエッ」
寒くないことで調子を取り戻したコレクトは、グリフィーの頭の上で翼を曲げて敬礼。
よし、これで闇雲に歩き回ることもなくなった。
目的地がわからない時は、コレクトのお宝とか俺の欲しがるものを見つける能力が一番だ。
ダンジョンにはお宝があったりするから、きっとこれで大丈夫である。
「クエックエッ!」
「ん? さっそく何か見つけたのか?」
コレクトの案内に従って先に進むと、雪の中に何やら蓋のようなものを見つけた。
「お、これ中に入れるっぽいな!」
「きっとダンジョンの入り口だし!」
さっそく発見とは、さすがコレクトである。
ここを起点にダンジョン内へと入って探索開始だ。
ダンジョン内に入ってからは、グリフィーを戻してゴレオを召喚する。
外とは違って、ダンジョン内は迷路のようになっているからだ。
前衛にゴレオ、その後ろに俺とポチが位置取るという、いつものパターンで進んでいく。
「なんだか思ってたのと違うし」
俺のすぐ後ろで、コレクトの背中に乗ったジュノーが拍子抜けしたように言った。
「まあ、確かにな」
断崖凍土、そして本陣に氷城があるのならば、壁の全面が氷でできた通路が広がっているもんだと俺も想像していた。
しかし、文字通り蓋を開けて入ってみると、進めど進めどゴツゴツとした洞窟が続いていたわけである。
「もっとこう……氷! って感じかと思ってたし!」
「氷かあ……でもまあ、全部が全部氷だったら、見てるだけで気分が寒くなりそうだよ」
「そうだけど、もっと幻想的なのを想像してたんだし! 期待を返して欲しいし!」
「無理言うなよ……」
本当に氷で全部できてたら、ツルツル滑って大変そうだ。
その上で魔物に襲われたらたまったもんじゃない。
「奇を衒うよりも普通が一番だぞ」
このダンジョンはそれをわかっているのかもしれないな。
もし深層の氷城までたどり着いて、マジモンの氷の城だった場合は、かき氷にして食ってやろうかと思っている。
ダンジョン内で食べるダンジョン飯ではなく、文字通りダンジョンを食うダンジョン飯。
これ新しいのでは? 腹壊しそうだけど。
そんな感じでダンジョン内を進みつつ、こう思う次第だった。
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