装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

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6巻

6-1

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 第一章 デリカシ辺境伯領、探索!


 デリカシ辺境伯との料理バトルに勝利した翌日。
 俺――秋野冬至あきのとうじは事前に得ていた情報を元に、魔物を探して辺境伯領を探索することにした。
 雷神の如き魔物、トールを相手にした場所は、島の南西に位置する港町から少しだけ北東へと向かった森である。
 辺境伯捜索の折に、ちらっと魔物の分布を調べてみた限りでは、あのあたりの森に目的の魔物、カラフルバルンはいないようだった。
 なので、グリフィーの背中に乗って、ぐるりと反対側に迂回うかいする予定である。
 ダンジョンコアのジュノーが聞いてくる。

「ねえトウジ、なんでワシタカに乗ってひとっ飛びしないし?」
「ああ、ついでに島の生態系も調べてくれって、辺境伯に頼まれたからだよ」

 島にはいない魔物が突然出たんだから、調べておくのは当たり前だ。
 ワシタカくんに乗って移動するよりも、グリフィーの方が調べやすいのである。

「断じて、ワシタカくんに乗るのが怖いからじゃないぞ、断じて」
「……そこまで聞いてないし」

 ……ま、まあ良い。
 特に変わり映えしない森や山の風景を見渡し、ペットのポチに分布する魔物のリストを作ってもらいながら、確認を後回しにしていたあの時のドロップアイテムを見ていこうじゃないか。


【サンダーソールの霊核】成功確率:25%
 霊装化のスクロールが成功した武器に使用すると、サンダーソールの力を借りて強力なスキルと潜在能力を持つことができる。使用に失敗すると武器が破壊される。
 =====
 潜在能力:INT+5%(霊気マックス時:INT+5%)
 スキル:纏雷てんらい
 スキル効果:雷属性を身にまとい、全ての攻撃が雷属性を持つ/六十秒


 この世界で初めて得た霊核の効果は、雷属性を付与するものだった。
 果たして強いのか弱いのかわからんが、体がビリビリ人間にでもなるのだろうか。
 なんとなく面白そうな効果だけど、俺がビリビリしたところでなあ……?
 切り札にするにしても、上手く扱えるのかわからない代物しろものだった。
 潜在能力もINTが上がるだけで、俺にはまったく関係ないステータスである。
 だって、魔法で攻撃するスキルを一切持ってないからね!
 しかしインベントリの中で腐らせておくのも忍びないので、霊装化のスクロールを手に入れたら、適当な杖とか作って使ってみるのも良いかもしれない。
 次に、ドロップした装備を見ていこう。


【纏雷の指輪】

 必要レベル:100
 INT:100
 UG回数:5
 特殊強化:◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇
 限界の槌:2
 装備効果:雷属性耐性 雷属性強化 纏雷アクセサリーセット


【纏雷のモノクル】

 必要レベル:100
 INT:100
 UG回数:10
 特殊強化:◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇
 限界の槌:2
 装備効果:雷属性耐性 雷属性強化 纏雷アクセサリーセット


【纏雷のタトゥー】

 必要レベル:100
 INT:100
 UG回数:7
 特殊強化:◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇
 限界の槌:2
 装備効果:雷属性耐性 雷属性強化 纏雷アクセサリーセット


【纏雷の杖】

 必要レベル:100
 INT:120
 魔力:120
 UG回数:10
 特殊強化:◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇
 限界の槌:2
 装備効果:雷属性耐性 雷属性強化 攻撃時雷属性連鎖効果


【纏雷アクセサリーセット】

 ・対象装備
 纏雷の指輪
 纏雷のモノクル
 纏雷のタトゥー
 纏雷のペンダント
 纏雷のベルト
 ・2セット効果
 INT:+25
 MP:+1000
 ・3セット効果
 全てのステータス:+25
 MP:+1000
 追加雷属性強化:雷属性攻撃時のみ、消費MP+100%、雷属性強化+50%
 ・4セット効果
 INT:+15%
 MP:+15%
 追加雷属性強化:雷属性強化+50%


 ふむ、パッと評価をするのならば、雷属性魔法使い専用装備といったところだ。
 雷属性に限定すれば、かなり強めの装備である。
 5つのうち4セットそろえることによって、威力100%上乗せされるからだ。
 その代わり、MP消費量も二倍だけどね。
 100レベル装備の属性強化の細かな数値って、確かゲームでは威力25%上昇だったことを覚えている。
 全部揃えて装備すれば、MP消費量二倍で威力は三倍。強い。
 くうう……。
 サンダーソールの霊装化のスクロールが成功すれば、全ての攻撃が雷属性になって、この装備の強さが発揮されるというのに、装備のステータス補正とかセット効果が基本的にINT寄りになっているため、俺には一切関係ないのが悲しいところである。
 ちなみに、杖の攻撃時雷属性連鎖効果っていうのは、いわゆるチェインってやつだ。
 攻撃すると、連鎖して近くの敵にダメージが通る。
 単体攻撃が複数攻撃に昇華するというかなり使えるスキルなのだが、どっちにしても、戦いをポチたちに任せている俺には必要のないものだった。
 さて、装備の確認が終わる頃には、ちょうど見晴らしの良い平地にたどり着いたので、一旦グリフィーを止めることにした。

「昼飯にするかー」

 時刻も正午くらいなので、一旦ご飯を食べてからまたカラフルバルン探しである。

「ポチ、あたしはパンケーキフルコース!」
「それはおやつの時間に取っとけよ」
「パンケーキはおやつじゃなくて、主食だし」

 甘いクリームやらジャムやらを大量に載っけた代物が主食だと……?

「ポチだって色々まとめて作るの面倒だろ?」
「アォン」
「そんなことないだってさ」

 ……本当か?
 まあ、ポチの表情を見ていると、好きなことだから苦じゃないって感じ。
 料理ホリックめが、いつも美味おいしいご飯をありがとう!

「ふーむ、それにしても……」

 やんややんやと昼飯談議に花を咲かせるこいつらを見て、ふと思った。

「俺の周りって、病的なこだわりを持つ奴が多いな……」

 ポチは料理で、ゴレオは可愛いものが好き。
 コレクトはとにかく価値の高いもので、ジュノーはひたすらパンケーキ。
 マイヤーだって、商売や珍しいものと酒に傾倒し、キングさんはあれだ。
 バトルジャンキー。

「これは、唯一まともな俺がしっかりしてなきゃいけないな……」

 そんなことをつぶやくと、みんなの視線が俺に集中していた。

「……なんだよ」
「トウジがまとも? だったらみんなまともだし」
「アォン」
「グルルル」

 ジュノーの言葉に、ポチとグリフィーがうんうんとうなずいている。
 なんだよ、なんだよ……。
 二十九歳フリーター、前はネトゲ廃人だったが、今は極々普通の一般人である。
 普通だよ、俺が一番まともさ。

「あ、そうだ。ポチが昼飯を作る前に、みんなでやっておきたいことがあったんだった」
「なになになんだし?」
「アォン?」
「グルル?」
「サンダーソールのサモンカードをゲットしたから、みんなで名前をつけないと」

 俺が個人的につけちゃうと、後で文句を言われてしまうからね。
 それにセンスがないとか言ってくるし、みんながいるこの場で、一緒に名前決めゲームをするのが得策なのである。

「おっと、ゴレオも出しておくか」

 可愛い名前をつけることに定評のあるゴレオも加えて、みんなで名前を考えよう。

「グリフィーは初参加だな!」
「グルル!」
「素敵な名前を考えてくれよー」
「グルァッ!」

 翼を目一杯広げて意気込みを伝えるグリフィーは、嬉しそうだった。
 うむ、何よりである。

「ォン!」
「はいはいトウジ! ポチが今回の名前付けゲームで、一つ案があるってさ!」
「お? どうしたポチ」
「アォン!」

 ポチがお品書き板に何かを素早く書いて両手で掲げた。


《ドキドキ! しび小籠包しょうろんぽうゲーム!》


「痺れ……小籠包だと……?」
「アォン!」

 ポチが言うには、中にあの電気うなぎの蓄電器官ペーストを練り込んだ代物とのこと。
 人数分用意した小籠包を食べて、痺れなかった人が名付けの権利を得るそうだ。

「ォン!」
「これならお昼ご飯も楽しめるってさ!」
「なるほど……しかしなあ……」

 案の定、その説明を聞いたゴレオが地面に座り込んで、いじけた様子で「の」の字を書いていた。
 そうだよな、食べれないもんな。

「ポチ、飯系だとゴレオが参加できないよ」
「アォン」
「ゴレオのには石入れとくから大丈夫だってさ」
「……!」

 それでパァッと明るい雰囲気になるゴレオだけど、それで良いのかゴレオよ。
 そもそもゴレオに痺れの異常状態が通じるのか疑問である。
 っていうか、それ五個中に一個は石が入ってるってことじゃねーか。
 やべーだろ。

「ほ、他のにしない? 飯系はさすがになあ……?」
「……」

 尻込みしていると、ゴレオが俺の肩をチョンチョンと叩く。

「何? ジュノー通訳して」
「トウジがゴレオの選んだ小籠包を代わりに食べても良いってさ」
「え、何そのよくわかんない案……」

 俺が二つ食べるメリットあるのか?
 高確率で二回ビリビリしちゃうんだけど?

「……!」
「せっかく楽しい食事になるんだったら、見てるだけで幸せだって」
「……そ、そうか」

 本当にしっかり通訳したのかと心配になったが、ゴレオを見るとコクリと頷いていた。
 食べられないのは残念だけど、見てるだけでも十分お腹いっぱいとのこと。
 そんな様子を見せられ、食べないという選択肢はなくなった。
 運良く痺れない小籠包を引いたとしても、ゴレオの分で確実に俺は痺れてしまう。
 しかし、ゴレオの気持ちを無下にはできないので、俺も腹を括るのだ。

「とりあえず、みんな名前の案を紙に書いてくれー」
「はーい」
「ォン」
「……!」
「グルゥ」

 グリフィーの考えた名前案は、ジュノーが代わりに書いてあげる。
 そんなわけで、全員分の案がまとまった。それがこちら。


 トオル、ソフィー、ライテン、ビリビリビリー、ブリトー。


 さて、どれが誰の名前案かわかるかな?
 答えは、俺、ゴレオ、ポチ、ジュノー、グリフィーの順番だ。
 雷神トールの異名から、俺はトオルくんにした。
 ゴレオのソフィーは、個体名サンダーソールのソーから来ているらしい。
 ポチのライテンは、文字通り、ドロップした装備から考えた名前なのだろう。
 ビリビリビリーは、なんかもう適当につけましたって感じのジュノーである。
 ブリトーはグリフィーの案なんだけど……なんだろう、今食べたい料理かな?
 ひょっとしてこのグリフォン、顔に似合わずマイペースなのか?
 ……謎は深まるばかりだった。


 それからポチが昼食を作り始め、ビリビリ小籠包がテーブルの上に出される。
 普通は皮や種に練り込んで、少しビリッとする美味しい小籠包なのだが、今回は直接ぶち込んだそうなので、食ったら問答無用で全身痺れるえげつない異常状態に陥る代物だ。
 罰ゲームの王道、デスソースよりも恐ろしく思えてくるが、それなりにVIT強化とかしてるし、死にはしないだろう。
 ポチも加減はしてくれているだろうしな、たぶん。

「よし、じゃ……食べるぞ? ビリビリ痺れなかった人の名前になります!」
「ォン!」
「はーい!」

 小籠包を作ったポチは、どれに入れてあるか一目瞭然なので、選ぶのは当然最後だ。
 ちなみに、ジュノーは分体だから異常状態にはならないが、ビリビリは感じるそうだ。

「では……いただきます!」

 俺の声に合わせて、それぞれ選んだビリビリ小籠包を一口。
 ゴレオはなんか女の子らしい仕草でドキドキを表現していた。
 両腕を胸の前に持ってくるぶりっこポーズなんだが、ゴツイくせによくや――

「――アバババババ!?」
「――アォォォォォ!?」
「――グルゥゥゥゥ!?」

 い、痛い! ビリビリってレベルじゃねえぞ!

「りょ、量を考えろー!」
「わぁー! 肉汁がスープになっててすっごく美味しいし!」

 みんなの反応的に、ジュノーの小籠包が当たりっぽい。
 美味しいやつだ。

「……あれ? みんなの反応的に、あたしが当たり? やったー!」

 喜んで飛び回るジュノーとともに、サンダーソールの名前が決定した。
 ビリビリビリー。
 かなりの強敵だったのに、なんとも風格のない名前だが……まあ良いでしょう。

「そうだトウジ、ゴレオの分もさっさと食べるし」
「……そうだった」

 この時点で、ゴレオの分の小籠包はやばいの確定。
 少し腰が引けてしまうのだけど、ゴレオのためにも俺は食べるぞ!

「……」
「トウジ、ゴレオが無理はしなくて良いよって言ってるけど……」
「いいや、お残しはダメだからな!」

 痺れの異常状態は霧散の秘薬でなんとかなるんだ。
 ここは一口でアバババババババ――


【サモンカード:サンダーソール】名前:ビリビリビリー
 等級:レジェンド
 特殊能力:ボスダメージ+50%
 特殊能力:ボスダメージ+50%


       ◇ ◇ ◇


 翌日、カラフルバルンの棲息地せいそくちがわかった。

「バルバル」
「バルバルバル」
「バルバル」

 平地でもなければ森でもない、禿げ山がグワッと大きく裂けた谷間に、ひっそりと、そしておびただしい数の風船がぷかぷか浮いているのだった。

「うわぁー、カラフルだし」

 ジュノーの言葉通り、多種多様のカラーを持った風船の名は、カラフルバルン。
 これでもれっきとした魔物である。
 こいつらの中にある特殊な気体が、飛行船の気嚢に入るガスの役目を担うのだ。
 数もかなり揃っているし、十分な量が見込めそうである。

「これで夢にまた一歩近づくなあ」

 飛行船計画は始まってから寄り道も多々あったけど、なんだかんだ飛んでいる姿を心待ちにしている俺がいた。
 空を飛べたらどこへ行こうか、悩みどころである。

「よし、とりあえず狩るか」
「どうやって狩るし? 破裂させないようにしなきゃダメなんだよね?」
「そうだな」

 中身の気体が目的の場合は、破らないよう慎重に捕獲しないといけない。
 普通は、風魔法を使ってぷかぷか浮かぶ風船どもを高台に流して捕獲するんだけど……。

「俺にはドロップアイテムがあるから関係ない」
「あーそっか、なるほどだし!」

 生け捕りにしたとして、ドロップアイテムが得られなくなる。
 カラフルバルンを大量に捕まえて引っ張っていくよりも、倒してドロップアイテムにしてインベントリに収納しておいた方が、遥かに手間が少ないのだ。
 ドロップ率アップ効果を持つ秘薬とか、コレクトを召喚しておけば、生け捕りにするよりも倍近い量の収穫があるだろうしね。

「じゃ、狩るぞー」

 今回の布陣は、俺とポチがグリフィーに乗って空に浮かぶカラフルバルンを狙い、コレクトはその辺で、ジュノーと適当に遊んでいたら良い。

「グルルッ!」

 バサッと翼をはためかせて、谷間にいるカラフルバルンへと飛ぶグリフィー。
 さっそくポチがクロスボウを何度か射って仕留めていた。

「まるで射的だな」
「ォン」
「動きも遅いから楽勝だってさー」

 動いてても別に問題なくて命中させるポチだから、本当に恐ろしい子。
 ちなみにもう一つの案として、ワシタカくんで一掃することも考えた。
 しかし巨大な翼が起こした暴風で、カラフルバルンが散ってしまう恐れがあり、もったいないと感じたのでやめた。
 ワシタカくんは、キングさんと同じようにとんでもない相手が襲ってきた場合に出てきてもらう役目である。
 今回は小回りの利くグリフィーに頑張っていただこう。
 くらにしっかり腰を固定していれば安全だし、乗り心地だってかなり良いもんだ。
 断じてワシタカくんの乗り心地が悪いとは言ってない。
 ただ、違うんだよ、怖さが……これでじっくり慣らしていこうね……俺の精神を……。


「クエーッ!」

 そんなこんなでスタートしたカラフルバルン狩りなのだが、なぜかコレクトが妙なやる気を出しているようだった。

「クエックエックエーッッッ!!」

 けたたましい鳴き声を上げ、カラフルバルンをつっついて破裂させていく。

「めっちゃやる気出してるなあ、コレクト」
「目立てるチャンスだからって、張り切ってるみたいだし!」
「そ、そうなんだ……」

 小さなコレクトでもつつけば破裂する程度のカラフルバルンは、良い相手のようだ。
 強くもなく、かといって価値が低いわけでもない絶好の相手。

「なんとなく、セコい目立ち方だと思ったのは俺だけだろうか……?」
「ちょっとセコいけど、トウジの役に立ちたいだけなんだし!」
「そうか」

 コレクトって、サモンモンスターとしての能力で、そこにいてくれるだけで効果を発揮するし、その能力を除外してもお宝発見機や探し物発見機として助かってるんだけどな……。
 むしろ、下手なことして死なれたら困る存在なのである。

「クエークエクエクエーッ!」

 そんな俺の気持ちとは裏腹に、見せ場が余程嬉しいのか、疾風の如きつっつきにてカラフルバルンをパンパンパンと破裂させ仕留めていくコレクト。


 その勢いは、グリフィーとポチが若干引いてしまうレベルだった。

「おっとグリフィー、落ちて死ぬ前に何体か拾って確保しとこう」
「グルルッ」

 風船割りはコレクトに任せて、俺は地面に落下していくカラフルバルンの本体を回収し、適当な袋に詰めていく。
 これはなぜかというと、破裂したところでカラフルバルンの一番下にある本体は死なないからだ。
 俺はてっきり風船が本体かと思っていたのだけど、実はそうではなく、風船の根本についている虫みたいなものがカラフルバルンの本体だった。
 この本体が気体を発生させ、十分に膨らむことで浮かぶことができるようになる。
 何体か捕まえて餌でも与えておけば、今後は気体の入手に困らないのではないかという発想の元、捕獲することにした。
 餌じゃなくとも、ポーションだけで生きていけるのならば、俺のインベントリには大量に余ったポーションがあるので、フォアグラばりの飼育を行っても良いのである。
 まあ、たとえ話はどうだって良い、HPがなくならないようにポーションを使って回復させつつ持ち帰りましょう。

「バルバル……バ、バル、バルバル……」

 袋の中でもぞもぞと動いて鳴き声を上げるカラフルバルンの本体。
 豆知識だが、この本体には尻尾しかついておらず、この尻尾が地面に体を固定する機能を有していて、見た目は本当に崖に引っかかった風船みたいな感じなのだ。

「よし。グリフィー、そのまま降りてドロップアイテムを拾いに行こうか」
「グルッ」

 本体も十分に確保できたし、あとは地面に転がるドロップアイテムの回収である。
 カラフルバルンのドロップアイテムは、わずかなケテルと透明な風船だった。
 この風船の中に、おそらくお目当ての気体が詰め込まれているのだろう。

       
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