装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

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本編

842 デコピン、煽り耐性、ゼロ

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「余裕? ないわけがない、であーる」

 ……あるのか、ないのか、どっちだ。
 面倒臭い語尾だな。

 もっとも、あろうがなかろうがどっちでも良い。
 大事な飛空船を木っ端微塵にした報いは受けさせる。
 こいつを黙らせないと、マイヤーを探せないしな。

「良いからかかってこいよ」

「殺すであーる」

 余裕ないだろ!
 絶対余裕ないよこいつ。

 再びデコピンの構えになったっぽいから、回復の秘薬を準備。
 ──ボッ、と突き抜ける衝撃は俺に命中する。

「トウジ!?」

「まともに受けちゃったし!?」

 竜樹で作られた飛空船を破壊する一撃。
 俺は耐えきれずに後ろに弾き飛ばされるのだが、

「おっと」

 キングさんが受け止めてくれた。

「ありがとう、キングさん」

 すぐに秘薬を“使用”してHPを完全回復。
 それからすぐアローガンスに目を向けると、奴は膝をついていた。

「ッ! ……?!」

 ゴクソツの特殊能力。
 20%の確率でダメージの50%を反射が無事に決まったようだ。
 運がいいな。

「普段は逃げ腰のくせに、無茶な真似を」

「次は攻撃避けられるかもしれないからね」

 ボソッと呟いたキングさんに、そう返答しておく。
 初手で瀕死の一撃を与えられなかった際。
 次の一撃は絶対に警戒されると思っていた。

 だからこそ。
 攻撃を受けて無理やり体力を残して、反射に任せるという行動を選んだ。

「貴様、今、何をしたであーるか?」

 膝をついたアローガンスを見下しながら言う。

「馬鹿か、教えるわけないだろ」

 これの一番いいところは、攻撃手段が絶対に見えないこと。
 再び反射されることを警戒して、相手も攻めあぐねるはず。

 お互いが生半可な攻撃で手の内を探り合ったり、削り合ったりがなくなればいい。
 もしこの状況をビシャスがなんらかの手段で見ているのであれば、それもブラフ。
 俺の手の内は絶対に読ませんし、他にも謎な能力があると思わせておきたい。

「面白い、であーる」

 しかし、そんな俺の思惑なんてしったこっちゃない、と。
 アローガンスは再びデコピンの構えをとった。

「それ、スキル? それしか持ってないの? ねえ?」

「子供地味た煽りであーる」

「レベルを合わせてやったんだけど? シャツとかタオルのロゴと同じレベルに」

「ムカつく、殺すであーる」

 煽り耐性マジで低いな!
 傲慢だけあって、見下されることに慣れてないのだろう。
 もしくは、見下されるのが一番嫌いとか。

 これだけ高い塔を作り上げるのだから、自分が神になった気分なんだね。
 ガーディアンも天使型とか使徒型とか、思い上がりも甚だしい。

「あだっ!!」

「ゴフッ!!」

 再び20%を引いた、そしてぶっ飛ばされた。
 毎回受け止め感謝します、キングさん。

 キングさんの無敵効果によって、回復する時間が取れる。
 回復の秘薬は大量に保持しているから、こいつの心が折れるまで続けるぞ。

 絡めてなしの真っ向勝負では、絶対に俺に勝てない。
 つけあがった性根に叩き込んでやるわ!

「一応言っておくけど、マジで何度やっても一緒だぞ」

 たとえ反射が機能しなくても、俺は耐え切れる。
 何度でも、耐える。
 忍耐力勝負だったら絶対に負けない自信があるんだ。

 え、それでも痛い思いはするって?
 腕ちぎれたり、足ちぎれたり、それと比べればな……。
 ちなみに無敵時間中は痛くないから、秒で回復よ。

「我に膝をつかせた、見上げさせた、故にこの技で絶対に膝をつかせるのであーる」

「はあ……おぐっ」

「ッ……!」

 3回目の反射、もう一度膝をつくアローガンス。
 今の所20%の確率を3回連続で引いている。
 運が良いのか、悪いのか、もうわかんねぇな。

「もう一回さっきのデコピンしたら、ぶん殴るからね?」

「我を舐めた発言、10倍にして返すであーる」

「なら俺はその攻撃を半分にして返すであーる」

 自分のHPの減り方で、大体のダメージ量がわかるはずだ。
 反射ダメージのタネが割れているからこそ、聞く煽り。
 何度だって何度だって絶対半分返すぞ、5回に1回わ。

「ちょっと本気を見せるであーる」

「え? ごめん聞いてなかった。えっと、よくわかんないですけど、とりあえずどうぞ」

 アローガンスの顔が険しくなっていた。
 殺気も、最初の頃より随分と禍々しいものに。

「……トウジ、超性格悪いし」

「最近は胃に穴が開くんじゃないかってストレス感じてただろうしね、仕方ないわよ……」

 側から戦いを見ているジュノーとイグニールがそんな言葉をこぼしている。
 否定はしない。
 鬱憤を晴らすのに、煽り耐性ゼロのこいつは丁度良い相手なのだ。
 デコピンにこだわなかったら俺も余裕ないかもしれないのに、難儀だね。

「次こそ我の一撃で終わらせるであーる」

 ──ボンッ!

「お!」

 さっきのデコピンよりも、相当強そうな威力だった。
 風を切る衝撃ではなく、爆発したような。

「おごぼべらっ」

 もろに受けた俺は激しく吹っ飛ぶ。
 だが、キングさんクッション!

 無敵時間で秘薬を“使用”し、回復だ。
 俺はこれで振り出しに戻ったのだが、対するアローガンスは違った。

「──か、はっ……ごふっ……!!!」

 両膝、両肘、全てを地面につけて、口から血を吐き出している。

「半分、では……何が……これは……」

「ようやく50%が決まってくれたか」







=====
トウジ「おぼごべらっ」

ジュノー「本人はなんか格好つけてるけど……ぶっ飛ばされる瞬間は、めっちゃブサイクだし……」
イグニール「言わないの」
ロイ様「言ってやるな、空気を読んで毎回受け止める王の中の王の気持ちも考えるべきだ」
キングさん「……」
ゴクソツ「ゴアァ……」(拙者のせいで、主殿がブサイクに……申し訳ない、申し訳ない申し訳ない)
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