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4巻
4-3
しおりを挟む◇ ◇ ◇
たらふくカニを食べた後は、ジュノーが出したドアを使って、パインのおっさん家に作ってあるダンジョン部屋へ戻って就寝となった。
「おはよぉ……ふわぁあ……」
頭を掻きながら寝ぼけ眼で自室からダンジョン部屋のリビングに向かうと、ポチとパインのおっさんがキッチンに立っていた。
「ォン!」
「よう、おはようさん!」
「あれ……どうしたんですか、おっさん」
「ポチ公から昨日カニ身の調理法について教えてくれって言われたからな!」
「なるほど」
早速パインのおっさんに他の調理法についてのアドバイスをもらいに行っていたわけか。
健気よのう……ポチ。
カニの身はまだまだ大量にあって、昨日もお腹いっぱいになるまでカニ三昧だった。
量を考えれば、飽きが来るのも時間の問題だし、先手を打ったポチの判断はナイスである。
「おいおい、トウジ」
「なんですか?」
「ポチ公から聞いたけど、シママネキの巨大な身を豪快にいったそうじゃないか!」
「ですね、美味しかったです」
「浜辺で食う浜焼きってのは、磯の香りも風味に変わって、超うめえよな!」
もう絶品さ。海沿いの都市を訪れて良かったと心の底から思う。
「だが、ありゃたまにするから良いもんで、毎日食ったらさすがに飽きるだろう?」
「まあ、そうですけど」
「ってなわけで、俺がポチに教えたこの料理を、今日の朝飯にしてくれや!」
そんな言葉とともに、ドドンとテーブルに出されたのは、雑炊である。
山菜、きのこ、カニの身が入った……カニ雑炊!
「おおおお! カニ雑炊じゃないですか!」
「なんだ、知ってたのか? やっぱりトウジはかなりの食通だなあ」
「いえいえ」
デカいカニ身に豪快に齧り付くのも有りだけど、やっぱりカニは煮込むのが良い。
カニってのは身も美味しいけど、結局のところ出汁がうまいんだ。
カニ鍋にして、最後の締めでご飯を入れてカニ雑炊にするってのは様式美である。
「うほおー」
滅多にカニなんて食べないから、コンビニとかスーパーで売ってるパウチ型のカニ雑炊で我慢して、たまの贅沢みたいな感じにしていたのが懐かしい。
「カニっつったら焼くより鍋だぜ?」
「わかります、ええ、わかりますよ」
「茹でても身はうまいし、何より身よりも良い出汁が取れるんだ」
目を輝かせる俺に、おっさんは胸を張りながら言う。
「まあ、朝から鍋なんて重たいものを食わせるわけにはいかねえからよ。ちょっと具材が立派な雑炊っつーことで、あっさりかつ豪華に行こうや?」
そこまで考えた上での雑炊という選択。おっさんは神か、もう満点だ。
「いただきます!」
「あいよ」
さっそく神の腕より振るわれたカニ雑炊を一口食べる。
出汁の風味が口の中で広がり、山菜ときのこが優しく胃袋を撫でるかのようだった。
胃袋を通して、カニ雑炊が優しく俺に囁いている。
おはようございます、トウジさん。今日も良い一日を……って。
「おはよう……カニ雑炊……」
「ちょっと何言ってんのかわからねぇけど、とにかく美味しそうにしてくれて嬉しいぜ」
「あ、はい」
渾身の食レポだったのだけど、あっさり受け流されて恥ずかしい。
「そうだ、カニはまだまだあるんですけど……おっさんいります?」
「お、良いのか? ただは悪いから、仕入れってことにさせてもらうぜ!」
「大量にあるので安くしておきますよ」
どうせ今日も今日とて、限界の槌を手に入れるためにシママネキの乱獲だ。
絶対食べきれないレベルで手に入るので、多めにおすそ分けしておく。
「たくさんあるなら、期間限定の特別メニューで、カニ玉丼でも出してみようかな?」
「カニ玉丼ですか」
食べたい。食べた過ぎる。今日のお昼はそれにしよう。
「ポチでも作れますか? カニ玉丼」
「おう、雑炊食べてる間に、俺がポチにレシピを教えておくぜ」
「ォン!」
まったく朝から食欲を唆られるなあ。
美味しいものを食べて、今日も一日頑張ろうと思います!
◇ ◇ ◇
時は少し進んで四日目の朝、今日で極彩諸島の冒険もおしまい。
いよいよ明日、船でギリスへと旅立つ。
相変わらず、日が暮れるまで毎日シママネキの乱獲を行い、インベントリには一生分以上のカニが蓄積されていた。
【サモンカード:道楽蟹】
等級:ユニーク
特殊能力:攻撃対象を10%の確率で三秒間幸せにする
たまたまゲットしていたこのサモンカードを見て欲しい。
大量に存在するシママネキの中に、稀に道楽蟹と呼ばれる、普通サイズのカニの魔物も混ざっていて、それがまたうまいのである。
シママネキも美味しかったのだが、ハーモニークラブと呼ばれるこの道楽蟹はまさに極上、永遠に食べ続けたい味のハーモニーだった。
特殊能力も相手を幸せにするとか……味で幸せにしてきたくせに欲張りである。
このダンジョンに来てから、俺達はほぼカニの魔物しか狩っていない。
故に、知らないうちにカニマニアっていう異名が広がっていた。
でも……それでも良い!
だってだって、カニ美味しいんだもの、ドロップアイテムも良いんだもの。
俺の異世界生活、なんだかんだいって食い物に支配されている気がしないでもなかった。
これはポチの策略だろうか……?
「ねー、トウジ? この船はどこに向かってるんだし?」
「ん? 霧の小島って場所だな」
ボートの上で、俺のフードから顔を出して周りを見渡すジュノーの質問に答える。
カニ尽くしの日々から一転し、今日は別件にて極彩諸島の少し奥に存在する、霧の小島を目指していた。
「何を取りに行くんだし?」
「ミスティーハーブだよ」
ミスティーハーブと、その他諸々の材料を素に作れる秘薬は、霧散の秘薬という。
実はこれ、全ての異常状態を解除できる、強力な秘薬なのだ。
この世界では、毒とか火傷とか、ウイルス系の異常状態が、下手すれば生死に関わって来る。
散布すれば異常状態を即解除。飲めば二十四時間の間、全異常状態耐性を獲得できるなんて、まさにチートポーションなんじゃないかと思った。
「霧の小島って言われてるだけあって、霧がすごいなあ」
ゴレオがせっせと漕ぐボートの上から、霧の小島に目を向ける。
深い霧に包まれた島は、相当近づかなければ、そこに島があるとわからないレベルだった。
「なんだか、巨大な雲が海面すれすれまで降りて来たって感じだな……」
「トウジ、なんだかちょっと怖いし……」
確かにおどろおどろしい雰囲気だが、視界が悪いってだけで特に問題はないだろう。
索敵はポチの鼻に任せておけば良いし、ミスティーハーブ探しもコレクトがいる。
「なんの問題もないよ。だから大丈夫」
「うん……」
そういえば、巨人の秘薬二つ使用で小さくなってしまっていたコレクトなのだが、小さくなってから、きっかり二十四時間後に元の大きさへと戻っていた。
「帰りは船をインベントリに入れて、ドア経由で帰ればすぐだから多少怖くても我慢だ」
「そーするし」
「とりあえず上陸して探すぞー」
適当な岩場にボートをつけて上陸し、船をインベントリに戻す。
他の船は近くに見当たらない。そりゃそうだ。
霧が深すぎて、入ったは良いが帰りの道がわからない、ってことがよくある霧の小島。
俺はマップ機能で現在位置がはっきりわかるけど、他の人は迂闊に立ち入れないのだ。
「……ォン?」
キョロキョロと周りを窺いつつ、とりあえずマップを頼りに島の中央を目指す最中、ポチが何かを感じ取ったように首を傾げた。
「どうした、ポチ?」
「アォン」
どうやら、人の匂いがするらしい。
「何日も体を洗ってないような、ひどい匂いだって言ってるし」
「マジか……」
通訳で補足してくれるのは嬉しいけど、その情報はあまり必要ない……。
「ってことは、この島に来たは良いけど帰れなくなった冒険者とかかな?」
「アォン……」
そこまでは詳しくわからないとのこと。
とにかく、そういう冒険者なら助けてあげるべきだろうとのことで、ポチの嗅覚を頼りにその匂いの元へと向かってみることにした。
「洞窟があるな……」
マップを確認すると、入り江のような形になっている洞窟が存在している。
たどり着いたは良いけど、そのまま戻れなくなってそこで生活しているのだろうか。
「アォン」
先導していたポチが、洞窟の手前で止まるように言う。
「ポチ、どうした?」
「人が複数いるって言ってるし」
「マジか」
冒険者パーティーだろうか、息を殺してこっそり洞窟の中を覗き込んでみると船が見えた。
ドクロマークの帆がつけられた……いわゆる海賊船とやらである。
『なあ、バンドル、船はまだ直んねーのか?』
声が聞こえてきた。……バンドル?
『ああ、あと数日もすれば直るから、そしたらここを根城に冒険者狩りよ。幸いここは、誰も寄り付かねえ霧の小島なんだから、ちょうど良いぜ?』
『つーかよ、壊れた理由が、上手く操船できなくて岩場にぶつけちまったってんだから、海賊に鞍替えしてても世話ねえぜ! ワハハ!』
『仕方ねえよ、俺達はまだデビューしたばっかりだぜ? せっかくお古の海賊船をもらったんだから、ここいらで上手く上納金を納めてさっさと幹部入りしてやり直すんだ! おう、お前ら、気合い入れていけよ!』
『おうよ!』
聞いたことある名前と顔つき……《鉄軌の軍勢》、バンドルである。
「あいつら……」
バンドルと言えば、野盗に襲われた際、俺を見捨ててパンツ一丁で逃げ出したクズだ。
もっとも、結局俺は助かったし、野盗達は勇者達に討伐されたと聞いている。
だから特に思い出すこともなかったのだが……まさかこんなところで再会するとは。
「……にしても、海賊やってるってどういうことだ?」
依頼人を置き去りにした件で、結局ギルド追放処分になってしまったのだろうか?
「ォン……」
疑問に眉をひそめている横で、ポチが面倒な奴らに出会ったとため息をつく。
「そうか、ポチは図鑑から見えていたのか」
あの時ポチはいなかったはずなのだけど、サモンカードに登録したのは襲われる前だから俺の目を通して全て見えていたようだ。
「ねえ、トウジ、あいつら、なんだし?」
ポチと俺以外はバンドル達について知らないので、教えておく。
「結構前に護衛依頼をした時、野盗に脅されて俺を置き去りにした元冒険者だよ」
「うわー、最悪だし……」
自分の命がかかっていたら致し方ない部分もあるが、依頼した側からすれば最悪だ。
まったく、ギルドから追放処分を受けたとしても、おとなしく冒険者をやめて真っ当な仕事をすれば良いのに、自分らがしてやられた賊に成り下がるとはどうしようもない。
「関わらない方が吉だな。どうせ明日にはギリスへ発つんだし」
懲らしめてやりたい気持ちは確かに存在するのだが、時間の無駄だって思いもある。
こいつらの相手をするよりも、霧散の秘薬の材料となるミスティーハーブを探す方が重要だ。
「でも友達のトウジがやられたとなれば、一発頭を小突いてやりたいし!」
「落ち着け、ジュノー」
その気持ちはありがたいけど、やるだけ無駄なのだ。
あいつらは、道中の魔物を全てデストロイすれば、護衛対象が安全だと考えるような残念脳筋タイプである。
海賊船の底にちょっと穴が空いているというどうしようもない状況から、この霧の小島から外に出られるとも思わないし、出たところでまた打ち付けて沈没するのが関の山だ。
「バンドル! 見てくれよ!」
「馬鹿野郎、今は船長と呼べ! で、なんだよ?」
「船長! 帆のデザインを一新してみたんだぜ!」
「ほうほう、どれどれ?」
「鉄軌の海賊団ってことで、鉄の船をイメージしてみたぜ!」
「おい、なかなかカッコいいイカしたデザインじゃねーか!」
「へへ、もうギルドにもクランにも見向きもされないけど、今度は海賊で一旗あげてやろうって意味を込めてんのよ、こいつには!」
「おうおう、良い心がけじゃねーか! やるからには海賊でてっぺん取りに行くぞ!」
「おうよ! 俺達はどこまでも船長について行くぜ!」
「それにしても……」
なんともしみじみとした表情をしながら、バンドルは語る。
「いつかは木造から鉄の船にしてみてぇよな、そしたら岩場にぶつけても心配いらねえ」
「船長、さすがに鉄は浮かねえだろ?」
「いや、海に浮く鉄が存在するって噂話も聞いたことがあんだよ! マジで!」
「どこで聞いたんだよ、そりゃ?」
「無法の入り江街の酒場だ! 文句あっか!? 情報料も払ったんだぜ!」
「ぜってー酔わされて騙されただけだって!」
盛り上がる鉄軌の海賊団(笑)。いや、鉄軌の海賊団(馬鹿)だな。
こだわるところが違うだろ、と声を大にして言ってやりたいほどである。
トガル首都とそう遠くない位置に存在する極彩諸島近海で、ドクロマークの帆をつけたいかにも海賊らしい船の往航が許されるわけないだろ。
俺がもし海賊行為をするのならば、普通の漁船を装って襲うぞ。
「……こいつらは放置しよう」
あくまで帆のデザインにこだわるようなアホ共だ。敵になることはない。
「うん、異議なしなんだし……頭まで筋肉でできてる人間っているんだね……」
お前も頭の中パンケーキでできてるけどな、とは言わずに、目的を遂げるためにこいつらのことは放置して島の奥へと向かうことにした。
◇ ◇ ◇
アホ共を放置して、霧の小島を散策しつつミスティーハーブの採取に勤しんだ。
この島に出現する魔物は霧の精霊の眷属達で、俺やポチ、ゴレオの物理攻撃がまったく通用しない。そういうなかなか手強い連中だったのだが、以前妖精の楽園で倒したフェアリーイーターという魔物を覚えているだろうか。
魔力を食べて強くなるっていう、妖精キラー的な立ち位置のモンゴリアンデスワームにも似た芋虫みたいな魔物である。本来の種族名はマナイーター。
実は倒した時に、そのマナイーターのサモンカードを手に入れていたのだが、今回この霧の小島で大活躍してくれた。
精霊ってのは、まるで幽霊のような魔力で構成された思念体とも呼べる敵である。
魔力を食べて強くなるマナイーターからすれば、この霧の小島は絶好の餌場だった。
「ウネウネくん、行っけええええええ!」
「──ギュイイイイイイイン!」
ズオオオオ、と圧倒的な吸引力をもってして、厄介だった霧の精霊達を掃除機のごとく食い荒らす様は、まさに魔力食いの怪物マナイーター。
あ、ウネウネくんって名前は、コレクトがあみだくじで勝利してつけた名前である。
「ハハハ、とんでもない勢いでドロップアイテムが量産されていくなあ」
「アォン」
「見てないで採取しろって? はいはい、わかりましたよ~」
ポチに怒られたので、魔物の相手はジュノーとウネウネくんに任せて採取の続きと行く。
魔力を食えば食うほど巨大化して、さらに吸引力を増していくウネウネくんことマナイーターに、霧の精霊の眷属達は為す術もなく散って行き、最終的には恐れをなしてまったく姿を現さなくなってしまっていた。
この性質を利用すれば、ウネウネくんにMP回復ポーションを大量に与えて、巨大化させて相手を倒すっていう戦法も取れなくもない。覚えておきましょう。
「よし、そろそろ日も暮れるし帰るか」
ミスティーハーブは、自生している物の他に霧の精霊のドロップアイテムでもあるので、俺が思っていた以上の量を確保できた。
ジュノーにドアを作ってもらい、さっさとトガル首都に戻ってマイヤーと合流する算段でも立てようかと考えていると、ポチが急に唸り声を上げる。
「グルルル……」
「どうした、ポチ、敵か?」
ウネウネくんを戻してゴレオに切り替えたから、霧の精霊の眷属が調子こいて報復にやって来たとでもいうのだろうか?
それなら再び変わらない、むしろ増していく吸引力で返り討ちにと図鑑を開くと。
「──おい、誰だテメェ! ここが俺達、鉄軌の海賊団の縄張りだって知ってのことか!」
人の声が聞こえてきた。この島にいる人は、俺達以外にあいつらしかいない。
そう、バンドル達である。
前みたいなガチャガチャした鉄の鎧ではなく、ボロボロの革鎧を身につけたバンドル達が、霧の中に紛れて俺達を取り囲んでいた。
「放置しようと思ってたのに、向こうから絡んでくるとかなんの因果だ……」
「アォン……」
ポチと二人でため息をついていると、バンドル達が叫ぶ。
「何ブツブツ言ってんだ! ここが誰の島かわかってんだろうな! おい、テメェら!」
「おうよ! やっちまおうぜ!」
そのまま武器を携え霧の中を斬りかかってくるバンドル達。
すっかり賊に成り下がってしまったようだった。
「ジュノーはコレクトと避難してて……ポチ、ゴレオ」
「ォン!」
「……!」
バンドルの正面からの剣撃を盾で受け止めつつ、俺達も反撃を開始する。
「ぐあっ!」
「うわぁ!」
「ぎゃあ!」
複数人をまとめて薙ぎ払うゴレオと、眉間に容赦なく矢を撃ち込むポチ。
何気に、初めてこいつらが人を殺める瞬間かもな、これ。
盾で受け止めたバンドルの攻撃は思いのほか軽い。
「くっ! よくも俺の仲間を! この野郎、離しやがれ!」
攻撃を盾で防いだ折に、腕を握ってレベルを見てみると、バンドルは40レベルだった。
今の俺は60レベルだから、装備の強さを考慮すると倍以上の実力差がある。
「くそっ! 離せよ!」
俺の手から必死に逃れようとするバンドルだが、俺の顔を直視して固まった。
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