装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

文字の大きさ
表紙へ
上 下
49 / 682
4巻

4-1

しおりを挟む



 第一章 群島型ダンジョン【極彩諸島】


 ──極彩諸島ごくさいしょとう。トガル首都より南西の海域に存在する島々のことだ。
 島ごとに別々の四季や特殊な気候が存在し、独立した生態系を持つ迷宮ダンジョン
 数ある迷宮の中でも、そこは大迷宮という名前で呼ばれており、規模は超大そのもの。
 巨大ではなく超大。この意味は、群島全域が丸ごとダンジョン、ということだそうだ。
 さて、俺――秋野冬至あきのとうじがギリス行きの貨物船に同乗するまで、五日ほどの間がある。
 この時間を使い、依頼を受けて極彩諸島を巡ろうではないか。
 最初の島は割と近い場所にあり、行く手をはばむ危険な魔物はあまり出ないらしい。
 四季折々の島々と、それに合わせた生態系があるおかげで、トガルでは季節関係なしにほぼ全種類の魚が水揚げされるんだとか。
 もちろん島には貴重な薬草類もあるのだけれど、ぜひとも魚の魔物のドロップアイテムや、サモンカードを大量に獲得しておきたいところである。

「おらー、そろそろ最初の島に着くぞー!」

 船頭せんどうの声が響く。ふはは、実はもう極彩諸島行きの船に乗り込んでるんだな、これが。
 ダンジョンへ向かう冒険者達は、ギルドと国が取り仕切る船でまとめて輸送される。
 サルトのゴーレム通りみたく、魔物産業のような形になっているそうだ。
 おかげで、わざわざ船をチャーターしたりする手間がはぶけ、実に助かる。

「そういや、最初の島付近で極彩蝶を見たって話があるぜ?」
「それ本当か? あれ、結構奥深くに行かないといないんじゃなかった?」

 一緒に船に乗っていたとある冒険者パーティーから、興味深い会話が聞こえてきた。
 極彩蝶。その名の通り、虹色に輝く蝶々のことである。
 きらびやかな羽は美しく、コレクターの間では高値で取引されるらしい。

「時期ごとに色んな島を巡ってるらしくって、今はちょうどこの島っぽいんだよ」
「マジかよ、運が良いな……できれば生きたまま捕まえたいところだぜ」

 特殊な加工を施した極彩蝶の羽は、アクセサリーとして女性に人気だとか。
 ゲットしたら、サルトで別れたイグニールやトガル首都にいるマイヤーあたりに、装備を作ってプレゼントしよう。

「よっしゃ、なら今日は予定を変えて極彩蝶狙いでやってみるか」
「だけど、少し気がかりな話もあるんだわ」

 まだ話しているようなので、船を降りるまで聞いておくか。

「ん? なんだよ、もったいぶってないで早く聞かせろよ」
「聞いた話なんだが、その極彩蝶を目当てに寄ってくんだよ……とんでもない魔物が」
「とんでもない魔物?」
「ロック鳥だよ」
「ロック鳥……マジかよ」

 その言葉を聞いて、ゾッとした表情をする聞き手の男。

「とんでもねぇ魔物じゃねぇか……危険地域だろ、もはや」
「まあ、あくまで聞いた話ってだけで、本当なのかは知らねぇけどよ。ハハッ」
「……おい、ビビらせんなよ! まあさすがにロック鳥なんてヤベェの出るわけねぇか!」
「そうだぜ、いたら即効討伐隊が組まれてるだろうよ!」

 ほうほう、ロック鳥が出るってうわさがあるのか。良いことを聞いたぞ。
 これはロック鳥のサモンカード狙いで、極彩蝶を狩りに行かねばなるまいて。

「ほら、さっさと降りろー」

 船頭のかすような声が響く。
 乗っていた冒険者達は、世間話もそこそこに列をなして船から降りだした。

「あー、ようやく着いたぜ! にしても意外と早かったな!」
「まだここは極彩諸島の初めの方だぜ?」
「そうだよ、奥に行くにはまた船さ。発展してんのは最初の島だけで、先に進めば船着場どころか、ただの海岸か岸壁しかなくなって、自分達で全部用意しなきゃダメなんだぜ」
「意外と大変なんだな……」
「国の兵士さん達も観測で各地に駐在してっけど、ここはダンジョンだからな」

 俺はそんな与太話よたばなしに耳を傾けつつ、乗客の流れに合わせながら船を降りる。
 ついに極彩諸島へと上陸。時間も限られているのだし、早く行動しようか。

「寄ってらっしゃい見てらっしゃい、極彩諸島名物の極彩クッキーさ!」

 最初の島の港町を歩くと、わいわいガヤガヤとした声が聞こえてくる。

「なんのなんの、こっちは七色アクセサリーさ! お土産にどうだい!」
「さあ、今日は良い魚が入ったからね! みんなうちの食堂においで!」
「素泊まり1万ケテルから~、飯付きで1万2千ケテル~、安いよ~!」

 ……うーむ、ここは本当にダンジョンなのだろうか?
 疑ってしまうほどに、活気にあふれた光景が目の前に広がっている。
 トガル首都の自由市場となんら変わらん雰囲気なのだけど、国民性みたいなものか。

「おらおら! ちんけな商売してんじゃねえ! こちとら七色パンケーキだー!」
「パンケーキ!?」

 パンケーキというワードを耳にして、フードの中で寝ていた、ダンジョンコアのジュノーが飛び起きた。

「特殊な調味料で色鮮やか! さらに味も七変化しちへんげする七色の極彩パンケーキ!」
「トウジ、トウジッ! 七色パンケーキ! パンケーーーーーーキ!」

 俺の目の前をハエのように飛び回り、七色パンケーキを指差して必死に訴えかけてくる。
 目は血走っていて、鼻息も荒く、大丈夫かと思うほどだ。

鬱陶うっとうしいな、もう……つーか七色って大丈夫かよ……」

 なんだかすごく体に悪そうな気がするんだが、俺だけか?
 カラフルなものって、駄菓子だがしくらいで良いよねって常々思うわけである。

「おじさん、味も七変化だって言ってるし! これは食べなきゃ損だし!」
「でもさ、ざっと見た感じ、ここにあるもの全部割高っぽいぞ」

 観光名所にありがちな値段設定だ。

「味の七変化なんだから、他の物より七倍お得だし! だったら全然安いし!」
「とんでも理論だな、おい」
「お願いお願いお願い! 食べたい食べたい! 一生のお願いなんだしっ!」
「わかったから目の前を飛び回るなって……はあ、ポチも大丈夫か?」
「アォン」

 尋ねると、別に構わないよとうなずくコボルトのポチ。

「仕方ないなあ」

 呑気のんきに観光している時間はないのだが、旅の醍醐味だいごみだし食べに行ってみるか。
 しかし、ポチの特製スペシャルパンケーキの方が絶対美味おいしいだろうに。


       ◇ ◇ ◇


「はー、お腹いっぱい! 満足!」

 怒涛どとうの勢いで七色パンケーキを食べ終わったジュノーが、満足した顔で横になる。

「おい、テーブルの上で寝っ転がるな、行儀悪いぞ」
「アォン……」

 その様子を見ながら、俺の膝にちょこんと座るポチとともにため息をついていた。
 実食した七色パンケーキは、七段重ねの普通のパンケーキに、七種類のジャムが塗りたくられたもの。味の違うパンケーキが七段重ねになっているものを、俺は想像していたんだけど……。

「これ……七色パンケーキって言う必要あるのか……?」

 そう、疑問に思うほどのレベルだった。
 ジュノーはペロリと食べきったが、俺とポチは七枚も食べきれない。一枚で良い。

「トウジ、食べないし?」
「え?」

 お腹いっぱいと満足げな表情をしていたくせに、俺のパンケーキをジッとにらむジュノー。

「お、俺はもういらないから……食べる?」
「食べる! 残すのはもったいないから、あたしが責任持って食べるし!」
「あっはい、どうぞどうぞ」

 ほんと仕方ない奴だな、こいつ。
 やっぱり、俺は焼きたてにハチミツバターを載せたパンケーキが一番だ。
 色んな味を試しても、結局はオーソドックスなものに回帰してくるよね。

「そうだ、ジュノー」
「もぐもぐもぐもぐ……なんだし? 今忙しいから待って」

 パンケーキ分けてやったと言うのに、煙たがるような反応を見せるジュノー。

「こいつ……まあ良い。この島からトガル首都の部屋にドアは繋げられるの?」
「うん、できるよ! あたしをあんまり舐めるなし!」
「ほーん、なるほどね」

 ってことは、いちいち船を使わなくとも極彩諸島と首都を行ったり来たりできるわけだ。

「さすが、ジュノえもん」
「じゅのえもんってなんだし? 甘い奴?」
「食べ物じゃねーよ」

 いや、確かにいつでも素敵な道具で助けてくれる、ある意味甘い奴ではあるが……。

「とにかく、この島までドアが繋がるなら今後の旅も楽になるな」
「えへへ、あたし役に立ってる? えへ、めて褒めて」
「うん、えらい偉い」

 パンケーキを口いっぱいに頬張るジュノーの小さな頭を、人差し指でちょんちょんしながら褒めてあげると、彼女はニコニコとくすぐったそうにしていた。


       ◇ ◇ ◇


「よし、行くか」

 パンケーキの店を出てから、少しだけ波止場街を見て回った。
 それからゴレオとコレクトを召喚し、街を抜け山へ入って行く。いよいよ冒険の始まりだ。
 出てくる魔物は、木の上から付け狙う大きな蛇だったり、大量にまとまった羽虫の軍勢ぐんぜいだったり。
 蛇は飛びかかる前にポチの嗅覚きゅうかくに引っかかって、あっさりクロスボウで撃ち落とされた。
 羽虫の方は、ゴレオが波止場街の売店で購入した巨大な虫網を振り回して、捕まえたところを踏み潰して一網打尽いちもうだじんだ。

「うむ、相変わらず戦闘で俺の出る幕は一切ないな」

 悠々自適ゆうゆうじてきの散歩道である。
 蛇の魔物も羽虫の魔物も、クソみたいなドロップアイテムしか残さなかった。
 ただ羽虫に関しては、ドロップケテルはしっかり数の分だけ落としてくれた。
 ポチの特殊効果によって、ドロップケテルの収入は50%アップ。さらに金運の秘薬を用いて20%アップブーストがかかっているので、かなり美味しい。
 羽虫め……意外とあなどれない。一応サモンカードもドロップする。
 しかし、羽虫のかたまり単位でドロップするならまだしも、一匹単位で特殊能力も何もない故に、インベントリの肥やしにしかならなかった。
 一匹単位だと、使い所としては鬱陶しい嫌がらせ程度しかないのである。

「コレクト、頼むぞー」
「クエーッ!」

 それから、ポチの鼻を索敵さくてきに、コレクトの感覚はお宝発見に注力させた。
 放ったらかしにしていても、なんか金目の物を拾ってくるコレクションピークのお宝発見能力には、確かな信頼と実績がある。

「クエッ、クエクエーッ!」
「さっそく騒がしくなりだしたが、何か見つけたのか?」
「んー、極彩蝶を見つけたって言ってるし!」

 コレクトの言葉を、ジュノーがちゃちゃっと通訳してくれた。
 こういうフィールドワークでは、基本的に意思疎通のやりとりはジュノーの仕事である。

「マジか……もう見つけたのか……」

 山に入ってものの数時間で俺の求めていた魔物を発見するとは、さすがコレクト。
 本来、島に存在するタイドグラスという薬草採取と、シママネキと呼ばれる繁殖力はんしょくりょくの高いカニの魔物の討伐が俺の受けた依頼内容であって、極彩蝶は依頼には含まれていないのだが、噂話を聞く限りだとかなり旨味うまみのある魔物なので見ておきたかった。

「とりあえず行ってみるか、案内頼むぞ」
「クエー!」

 コレクトに案内されてたどり着いた場所は、色とりどりの綺麗な花がたくさん咲いており、極彩色の羽を持ったきらびやかな蝶々が舞う、まさに花園。

「わぁ~!」
「……!」

 その花園に、ジュノーとゴレオがテンションを上げて飛び込んで行く。

「お~、すげぇな……宝の山みたいだ」

 当然、俺も目を奪われていた。

「ちょっと! 幻想的な光景に水を差すようなこと、言わないでもらえるし!?」
「いや、そういう意味じゃないんだけど……」

 確かに大量の極彩蝶と薬草類は、俺からすれば金になる宝の山だが、きらびやかな光景を宝石箱に例えただけなのである。

「ねえトウジ、捕まえて、この間作った浄水の池の周りに放してみるのはどうだし?」
「うーむ、確かに綺麗だけど魔物だからなあ……」

 ダンジョンで魔物を繁殖させて、それを倒し続ける無限経験値牧場。
 一応、案として考えてはいたのだけど、近場に魔物がいるって状況は少し勘弁願いたく思って、却下になったアイデアだった。

「でもでも、綺麗だし! 小さいから大丈夫だし!」
「確かに見た目は綺麗だけど……」

 何かの拍子に強い特殊個体が生まれたら、安心して眠れなくなってしまう。

「ほわわわっ!? ちょ、ちょっとこっちに寄ってこないで!」
「そうなるよなあ……」

 花園に飛び込んだジュノーが、さっそく極彩蝶にたかられて大変なことになっていた。敵だと認識されたのだろう。
 一匹くらいだったら問題ないかもしれないが、繁殖力の強い虫系の魔物は、こうして数の暴力となって襲いかかってくるのだ。

「むぅわー! あたしのダンジョン内だったらコテンパンにしてやるんだし!」

 ゴレオに追い払ってもらい、なんとか俺の元に戻って来たジュノーはそう吠えた。負け犬の遠吠えみたいだ。

「はいはい、ダンジョンじゃないんだから大人しくしてろよ」
「むーっ! あの蝶の鱗粉りんぷん、結構鬱陶しいし! もう嫌い!」

 ジュノーの言葉から、極彩蝶の攻撃方法は鱗粉だって判明した。

「一応聞いておくけど、大丈夫か?」
「一応ってなんだし!?」

 俺の言い方にそんなツッコミを入れながら、ジュノーは言葉を続けた。

「まあ、あたしの本体はダンジョンにあるから平気だけど、トウジ達は大量に集られたら喉とか鼻とかをやられちゃうかもだし」

 どうやら、吸い込ませて肺にダメージを与えつつ、混乱の異常状態を与えるらしい。 
 綺麗な姿に似合わず、意外とえげつない攻撃方法をお持ちの蝶だった。

「なるほど、それはちょっと危険だな」

 ステータスは強化した装備で底上げしてあるのだが、念のため布で口と鼻を覆っておく。

「ま、こういう時のゴレオだよ」
「……?」

 俺の言葉に首をかしげるゴレオ。

「なんでだし? 少しでも縄張りに入ると危ないって、あたし言ってるし!」
「いや、大丈夫だよ」

 だって、ゴレオには鼻も口も呼吸器官もついてないからな、鱗粉攻撃は効かない。
 さらに巨体を活かした豪腕ごうわんの一振りで圧殺できるのだ。

「虫タイプに岩タイプを当てるってのは、どの世界でも効果抜群なんだぜ」
「よくわかんないけど、ゴレオは平気なんだし?」
「そう。ってことで、よろしく頼むぞ、ゴレオ」
「…………」

 行ってこいと命令すると、どことなく倒したくなさそうなゴレオだった。
 そうだよな、可愛いものとか綺麗なもの好きだからな、乙女ゴーレムめ。

「あの綺麗な羽でアクセサリー装備作ってやるけど?」
「……!」

 物で釣るのはあまりよろしくないとは思うのだが、その言葉を聞いたゴレオは意気揚々と虫取り網を持って駆け出して行った。

「現金なやつだなあ、まったく」
「アォン……」

 お前に言われたくねーよ、と言わんばかりの顔でため息を吐くポチ。
 そっちこそ、珍しい食材には目がない料理狂のコボルトじゃないか。


 さて、そんな感じのことを話しつつ、極彩蝶との追いかけっこに興じるゴレオを微笑ましく見ていると、唐突にあたりが暗くなった。

「クエックエックエッ!」
「なんだ? どうしたコレクト?」

 コレクトが急に騒がしくなり始めたので、首を傾げつつ空を見上げると……。
 ──バッサバッサ!
 とんでもない大きさの鳥が、翼をはためかせながら俺達の目の前に降り立った。

「ゴ、ゴレオ──ひえっ!?」

 そのままゴレオをつぶすように着地する鳥の大きさに、思わず固まってしまう。
 体の大きさを目算すると、ゴレオよりふた回り以上も大きかった。

「ギュアアアアアアアアア! ギュアッギュアッ!」

 強烈な鳴き声とともに、翼を大きく広げて威嚇いかくする。
 その行動で、強烈な風が巻き起こった。

「うおおおおおお!?」

 吹き飛ばされた際、樹木に後頭部を激しく打ち付けて、頭がクラクラする。
 ジュノーとポチは、俺よりも体が軽いせいか、遠くへ吹き飛ばされていた。

「クエックエーッ!」

 上空へと避難して、なんとか突風から逃れたコレクトが、いつも以上に鳴きわめく。
 あせったような調子で、巨大な鳥に何かを伝えようとしているみたいだった。

「ジュノー! 通訳してくれ!」
「ちょっと待つし!」

 ポチと一緒に戻って来たジュノーが、コレクトの言葉を伝えてくれる。

「あれはヤバいから、早くキングさんにスライドしろって言ってるし! あと、餌場を荒らしたのは悪かったから、お願い見逃してって懇願もしてくれてるし!」

 見逃してって……襲ってきた魔物に何を言ってるんだ、コレクト。
 でも、俺も野盗に取り入ろうとした経験があるから、その気持ちはわかります。

「つーか、あれってまさかロック鳥か?」
「うん! あれでもまだ幼い部類だし!」
「嘘だろ……」

 翼を広げたら二十メートル近い大きさになるぞ。
 それでもまだ幼い部類とか、完全にロック鳥を舐めてました。

「ってゴレオ、大丈夫か!」

 ロック鳥にビビってる場合じゃない、下敷きになったゴレオが心配だ。

「……!」

 俺の声に反応するように、ロック鳥の下から腕を出してサムズアップするゴレオ。

「ギュアッ!」

 しかしあまりの巨体故に、ゴレオの力をもってしても起き上がれないでいた。
 これだとゴレオのHPが削られてしまうだけなので、キングさんと交代させる。

「ゴレオ交代、キングさん!」
「プルァッ!」
「クエッ! クエックエェェェエエエエエ!」
「うわっ!?」

 せっかくキングさんが来てくれたというのに、コレクトが激しく騒ぎ立てる。
 俺の頭頂部でバサバサと、いったいなんだってんだ。

「なんで交代するのが自分じゃなくてゴレオだって言ってるし」
「ええ……いや、あのままだとゴレオ動けないじゃん」
「クエックエッ!」
「スライドは自分の役目でしょ、早くゴレオ出して交代させろ、だってさ」
「この鳥……」

 マイヤーのペット、ストロング南蛮なんばんの爪のあかせんじて飲ませてやりたいくらいだった。
 まあ、ろくな装備をつけさせていないから、ビビる気持ちもわからんでもない。
 こういうピンチで交代するのは、いつもコレクトの役目だったからな。

「言っとくけど、交代は絶対にしないぞ?」
「クエッ!?」

 ロック鳥のサモンカードはぜひとも欲しいのだ。

「ってことで、コレクト続投で」
「クエーッ!?」

 バッサバッサバッサバッサ!
 ああもう、うるさいなあ……今はそれどころじゃないってのに……。

しおりを挟む
表紙へ
感想 9,834

あなたにおすすめの小説

無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~

鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!  詳細は近況ボードに載せていきます! 「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」 特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。 しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。 バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて―― こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

スキルを得られない特殊体質の少年。祠を直したらユニークスキルもらえた(なんで??)

屯神 焔
ファンタジー
 魔法が存在し、魔物が跋扈し、人々が剣を磨き戦う世界、『ミリオン』  この世界では自身の強さ、もしくは弱さを知られる『ステータス』が存在する。  そして、どんな人でも、亜人でも、動物でも、魔物でも、生まれつきスキルを授かる。  それは、平凡か希少か、1つか2つ以上か、そういった差はあれ不変の理だ。  しかし、この物語の主人公、ギル・フィオネットは、スキルを授からなかった。  正確には、どんなスキルも得られない体質だったのだ。  そんな彼は、田舎の小さな村で生まれ暮らしていた。  スキルを得られない体質の彼を、村は温かく迎え・・・はしなかった。  迫害はしなかったが、かといって歓迎もしなかった。  父親は彼の体質を知るや否や雲隠れし、母は長年の無理がたたり病気で亡くなった。  一人残された彼は、安い賃金で雑用をこなし、その日暮らしを続けていた。  そんな彼の唯一の日課は、村のはずれにある古びた小さな祠の掃除である。  毎日毎日、少しずつ、汚れをふき取り、欠けてしまった所を何とか直した。  そんなある日。  『ありがとう。君のおかげで私はここに取り残されずに済んだ。これは、せめてものお礼だ。君の好きなようにしてくれてかまわない。本当に、今までありがとう。』  「・・・・・・え?」  祠に宿っていた、太古の時代を支配していた古代龍が、感謝の言葉と祠とともに消えていった。  「祠が消えた?」  彼は、朝起きたばかりで寝ぼけていたため、最後の「ありがとう」しか聞こえていなかった。  「ま、いっか。」  この日から、彼の生活は一変する。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~

柊彼方
ファンタジー
「一族から出ていけ!」「お前は忌み子だ! 俺たちの子じゃない!」  テイマーのエリート一族に生まれた俺は一族の中で最弱だった。  この一族は十二歳になると獣と契約を交わさないといけない。  誰にも期待されていなかった俺は自分で獣を見つけて契約を交わすことに成功した。  しかし、一族のみんなに見せるとそれは『獣』ではなく『魔物』だった。  その瞬間俺は全ての関係を失い、一族、そして村から追放され、野原に捨てられてしまう。  だが、急な展開過ぎて追いつけなくなった俺は最初は夢だと思って行動することに。 「やっと来たか勇者! …………ん、子供?」 「貴方がマオウさんですね! これからお世話になります!」  これは魔物、魔族、そして魔王と一緒に暮らし、いずれ世界最強のテイマー、冒険者として名をとどろかせる俺の物語 2月28日HOTランキング9位! 3月1日HOTランキング6位! 本当にありがとうございます!

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

ハイエルフの幼女は異世界をまったりと過ごしていく ~それを助ける過保護な転移者~

まぁ
ファンタジー
事故で亡くなった日本人、黒野大河はクロノとして異世界転移するはめに。 よし、神様からチートの力をもらって、無双だ!!! ではなく、神様の世界で厳しい修行の末に力を手に入れやっとのことで異世界転移。 目的もない異世界生活だがすぐにハイエルフの幼女とであう。 なぜか、その子が気になり世話をすることに。 神様と修行した力でこっそり無双、もらった力で快適生活を。 邪神あり勇者あり冒険者あり迷宮もありの世界を幼女とポチ(犬?)で駆け抜けます。 PS 2/12 1章を書き上げました。あとは手直しをして終わりです。 とりあえず、この1章でメインストーリーはほぼ8割終わる予定です。 伸ばそうと思えば、5割程度終了といったとこでしょうか。 2章からはまったりと?、自由に異世界を生活していきます。        以前書いたことのある話で戦闘が面白かったと感想をもらいましたので、 1章最後は戦闘を長めに書いてみました。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。