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本編

761 ダンジョンコアvsハイガーディアン 2

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「あのさー」

「くっ!」

「自分が強いとか最強とか思ってるみたいだけどー」

「ぐはっ!」

「なんて言うか、まーったくそんなことないよね?」

「ごふっ!」

 シュンシュンシュンと消えながら。
 アンダンテの死角に出現しては、蹴りをくわえ続けるジュニア。
 小馬鹿にするような言葉も加えられて、アンダンテきれそう。

「たかが、死角に転移できるからといって私を舐めるな!」

「別に、舐めてないよ。いや、舐めるまでもないんだわ」

 そうステータスやスキル、レベルといった部分での問題ではない。
 ダンジョンでは、ダンジョンコアが全ての事象を支配する。

 転移もそうだが、牢獄を作り出したり。
 壁から鋭い石の槍を作り出したり。
 実質的にはなんでもありの状況なのである。
 リソースさえあれば。

「お前と俺じゃ、立ってる場所が違うんだ」

「ぐっ」

「守護者はどれだけ強く作られようが手駒なの」

 牢獄に閉じ込めて、マジックショーみたいに串刺し攻撃をお見舞いしながら。
 ジュニアはさっと出した豪華目なティーテーブルの前に腰掛け、茶をすすりながら続ける。

「スキルとか持たされてるみたいだったけど、この権限は奪えるのか?」

「ぐう」

「まっ、奪えるわけがないよな」

 ジュニアの言葉に心の中で頷く。
 もし権限まで奪えてしまうのならば、反旗を翻される可能性が出るのだ。
 故にコアとガーディアンの関係性は絶対的なものにしなければならない。

 そこから考えると、八大迷宮の一つを任される権限持ちの守護者。
 何がどうして、負ける道理があるものなのだろうか。

「何、お前、わざわざ騙すために髪の毛用意してたっての?」

 檻の目の前に行き、煽るジュニア。

「こんな檻、即座に破壊して──」

「──壊れないぞ。壊れるより修復する方が早いから」

「くそおおおおおおおおおおお!」

 力を振り絞り、叫び声をあげるアンダンテ。

「ははは、動物園に無理やり連れてこられた獣みたいだな」

「こんなもの! こんなもの!」

「だから無理だって、無理無理」

「なぜ貴様のような三流コアに、私の力が及ばない!」

「いや誰が三流だって?」

 そうだよ、誰が三流だよ。
 ジュニアは俺のインベントリの中身をすべて自由に使える権利を持つ。
 ダンジョンとリソース勝負を張る俺のリソース全てをだ。

「一流どころの騒ぎじゃねえ、つーか俺が最強なんだけど?」

「なんだと」

「お前が最強の守護者とか言い張るなら、俺は最強のダンジョンコアだよ?」

 この意味わかる、とニヒルに笑うジュニア。
 お互い最強だったら、ダンジョンコアの方が強いってことか。
 あれ、でもキングさんとかにはボコボコにされたんだよな。
 ワシタカくんからも制空権を奪えてないみたいだし……。

「うーむ」

「おい、何か言いたげな顔してるけど、なんだよ?」

「いや、本当に最強なのかなーって思ってね」

「戦いに水を差すようなことを言うなよ。空気読めよまじで」

「ごめんって」

「ダンジョンコアでは最強なの! ま、いつかキングぶっ倒すけどな!」

 はたして、どうするのだろうかキングさん。
 またもやぶっ倒す宣言をしているジュニアである。
 もっともキングさんって、暴走したグルーリングに説教かましたレベルだからな。
 ダンジョンコアより正直いって強いんだよね……。

「くそがああああああ!」

 プライドを傷つけられたせいか、錯乱したように暴れるアンダンテ。
 終わりか。
 ジュニアがめちゃくちゃ強かったなってことがよくわかる。
 そして、ダンジョンコアのホームで戦うことは至極面倒なものだと言うことが理解できた。

 1人だけならまだしも、3人集まられるとなると……。
 こっちの主力を全てダンジョンコアに向けなければならない。

 グレイトキング状態のキングさんで一人。
 ジュニアで一人。

 あともう一人はどうするか……。
 ロイ様……は、ギリギリ及ばないレベルなのだろうか。
 まあ、そっちはみんなで抵抗するしかないよね。
 コアはもう一つ予備で持ってるわけだから、俺が陣取りに加わろう。

「よし、とりあえずその青い髪よこせ」

 サッと拘束して、サッと青い髪を奪い取ったジュニア。

「確認しろトウジ。こいつが嘘で塗り固められたアホだって証明だ」

「うん」

 受け取って確かめると……。

「え……」

 ラブのものだった。

「──アハハハハハハハ! いいねその驚いた顔! 嘘じゃなかったでしょ? 嘘じゃ!」

 唐突に、今まで荒れ狂っていたアンダンテが額を押さえて笑い出す。
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