装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

文字の大きさ
上 下
481 / 682
本編

749 わいわいがやがや

しおりを挟む
「す、すげぇ……これが飛空船とやらか……」

「そ、空を飛んでますよ本当に!」

「改めて乗ってみると、トンデモナイ代物ですね」

 ガレー、ノード、レスリーの反応である。
 飛空船はすぐさまサルトを発ち、ギリスに向かっていた。

「外に出てみたいんですけど、良いんですか?」

「試しに出てみたら? どうなるか知らんけど」

「えっ」

 うずうずとするノードの言葉にそう返すと固まっていた。

「し、ししし、死ぬんですか?」

「ある程度レベルが高かったら問題ないはず。俺は問題なかった」

 装備の効果にもよるんだけどね。
 寒さ、暑さ、環境によるダメージは装備で無効化してるから。
 それでもイグニールの炎が熱いと思えてしまうのって……。
 超特大の火球を見たイメージによる精神的ダメージである。

「ガレーさん試しに出て見てくださいよ」

「吹っ飛ばされたら真っ逆さまだぞノード!」

「風の魔法スキルでなんとかなるでしょ!」

「ならんわ!」

 やいのやいの言い合う二人に、骨がニョホニョホと笑いながら言った。

「大丈夫ですぞ~、あくまで船の上だったら心配無用ですぞ~」

「そうなの?」

「トウジ様はそういうの関係ないレベルだからわからないと思いますけど、クロイツから帰る途中みんな出てましたぞ」

「あーね」

 説明によれば甲板の上でも浮遊結晶の効果によって安定しているとのこと。
 それに追加して、オカロは一般市民を乗せることを想定しているため。
 魔力障壁を利用した薄い膜のようなものも常に張り続けているそうだ。

「出ても死なないってさ、船長のお墨付きだよ」

「わーい! ガレーさん行きましょう!」

「ほ、本当に大丈夫か? でも少しでも甲板から顔を出したら……」

「ワシタカくんの飛行速度は尋常じゃないので持ってかれますぞ」

「もっ……」

 ロック鳥はドラゴンがいなければ空の王者のような存在。
 その最高速度は、計り知れないのである。
 俺らを連れて飛んでくれている時は、気を使って手を抜いているらしい。

「ほ、本当に大丈夫だろうな~! 落ちた時のことを想定するととんでもなく怖い!」

「わかるよ、その気持ち」

 飛行機に乗ったりすると、常に考えちゃうよね。
 無事に離陸できるかな、とか。
 無事に着陸できるかな、とか。

「鳥の翼のような揚力ではなく、浮遊力なので基本問題ありませんぞ」

 そう、骨の言う通り。
 揚力ではなく浮遊力という異世界仕様だから、あまり危険はない。
 コア部分の浮遊結晶はヒヒイロカネ製の朽ちることのない超合金。
 そして船自体は竜の名を冠する大樹のもので、鉄より軽くて丈夫。

 すごいよなあ異世界って。
 魔力とかいう謎システムでとんでもないものが作れてしまうのだ。
 その分コスト面で行くと、バカみたいな代物なんだけどね!
 でも自分で取ってきたもんだから、俺の人件費以外ただだぞ。

「安全ですって! ガレーさんこういう時だけビビりますよね!」

「お前の無邪気さに付き合って、何度死にかけたと思ってんだ!」

「お外行くの? あたしも行く! ポチとピーちゃんとゴレオも行くし!」

 やいのやいのと連れ立って甲板に出て行く大勢。
 変な雲が出なきゃ良いね。
 あのいやらしいやつ。
 でも男勢が多いから別に出たところでって感じか。

「それにしても、良き関係性ですなあ」

 そんな様子を見ながら骨が呟いた。

「おう、仲良しが一番だ」

「いえ、昔の賢者どのが見たら鼻血を出す光景ですぞ」

「……どう言うこと?」

「ボーイズラブとやらが大好物と言っていたんですぞ~」

「へ、へえ」

「空き時間によく漫画を書いてらっしゃいました。剣聖と勇者のラブストーリーを」

 すっごいどうでも良い情報だった。
 骨から色々な時系列を聞いたのだが、召喚された異世界側の時間軸は違えど。
 召喚元になった俺たちのいた世界の時間軸は同じらしい。

 残念ながら、俺はバイトを曜日単位で入れていて、日時とかそう言うのは覚えていない。
 だから詳しい日時を照合することはできないのだが、生年月日は似たようなものである。

「何かしら、そのボーイズラブって?」

「イグニールさんも興味ありますかぞ?」

「知らないから気になっただけなんだけど……男同士の恋愛のこと?」

「恋愛というか、友情というか、とにかく信頼し合う。そこに迸る真性のラブを感じるらしいですぞ!」

 あ、あくまで賢者がですが、と言葉を後付けする骨。

「ふーん……」

 そしてイグニールの視線が俺に向く。

「な、なんすか」

「トウジはそういうのじゃないわよね?」

「断固としてな」

 俺はノーマルだ。
 ってか結婚したじゃん、夫婦じゃん、証拠あるじゃん。
 ノーマルの。
 性欲は消えてしまえど、家族愛は残っている。
 あ、でもそれって守りたい連中って意味だから男も女の関係ないのか。
 あれあれ、なんだか色々と分からなくなってきたぞ……。

「俺は、ノーマルだよな?」

「ん? 何の話かよくわからんが、とりあえずひと風呂一緒に浴びようトウジ。この船、そこそこ大きめの風呂もついてて実に快適な船じゃないか。入らねば」

「お前に聞いたの間違いだった」

「聞いておいて頭を抱えるとは失礼だな。ギリスの家にもでかいのがある通り、風呂は好きだろう? 今後の予定について色々とゆっくり話しておきたかっただけなのだが……」

 タイミングよ。
 ホモの話題の途中で、男と一緒に風呂に入るのは地雷だ。

「ふーん」

 案の定、イグニールの視線が鋭くなっていた。

「ふ、風呂は良いや……あとでイグニールと一緒に入るから……」

「何気に爆弾発言ですぞ」

「なんでこの話の流れで私と一緒に風呂に入ることになってんのよ。性欲ないくせに」

「ぐっ」

 性欲あったほうがマズイだろ!
 風呂ってのはな、体を清めるところなんだよ。
 あと、ポチの無駄に泡立つ毛並みで泡を作って雪だるまとか言って遊ぶんだ。
 そしてポチに俺の生え際チェックをしてもらい、安心する行事である。

「まあ良いわよ。入るわよ。抜け毛のチェックでもしてあげる」

「ど、どうも……ってなんでそれ知ってるの」

「ポチが教えてくれた」

 ポチ!!!!!!!!!!!!!

「なんだ、トウジは薄毛に悩まされているのか? 特別そうでもない気がするが」

「未来への不安ってやつだ」

 ただでさえゴタゴタのストレスで、胃に穴が開くんじゃないかって気持ちである。
 おきて枕の髪の毛をチェックする生活が続いているのだ。
 異世界なんだからハゲに効くポーションとかないのか?
 最近デコが広くなってきた気がしないでもなくて、気が気じゃないんだ。

「こないだジュノーが食べながら寝落ちした飴が溶けて枕と髪の毛くっついてたわね」

「デリケートなのに、あいつのそういうところ嫌い!」





=====
あまり描写はありませんでしたが、基本ポチをトウジが洗い、トウジをポチが洗います。
頭部に関しては、基本的にやさーしくやさーしくポチがマッサージしてくれています。
髪は、カルマストレスとともに生きるトウジの中でもかなり大事なものとなっています。
はたして。
しおりを挟む
感想 9,834

あなたにおすすめの小説

無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~

鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!  詳細は近況ボードに載せていきます! 「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」 特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。 しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。 バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて―― こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

スキルを得られない特殊体質の少年。祠を直したらユニークスキルもらえた(なんで??)

屯神 焔
ファンタジー
 魔法が存在し、魔物が跋扈し、人々が剣を磨き戦う世界、『ミリオン』  この世界では自身の強さ、もしくは弱さを知られる『ステータス』が存在する。  そして、どんな人でも、亜人でも、動物でも、魔物でも、生まれつきスキルを授かる。  それは、平凡か希少か、1つか2つ以上か、そういった差はあれ不変の理だ。  しかし、この物語の主人公、ギル・フィオネットは、スキルを授からなかった。  正確には、どんなスキルも得られない体質だったのだ。  そんな彼は、田舎の小さな村で生まれ暮らしていた。  スキルを得られない体質の彼を、村は温かく迎え・・・はしなかった。  迫害はしなかったが、かといって歓迎もしなかった。  父親は彼の体質を知るや否や雲隠れし、母は長年の無理がたたり病気で亡くなった。  一人残された彼は、安い賃金で雑用をこなし、その日暮らしを続けていた。  そんな彼の唯一の日課は、村のはずれにある古びた小さな祠の掃除である。  毎日毎日、少しずつ、汚れをふき取り、欠けてしまった所を何とか直した。  そんなある日。  『ありがとう。君のおかげで私はここに取り残されずに済んだ。これは、せめてものお礼だ。君の好きなようにしてくれてかまわない。本当に、今までありがとう。』  「・・・・・・え?」  祠に宿っていた、太古の時代を支配していた古代龍が、感謝の言葉と祠とともに消えていった。  「祠が消えた?」  彼は、朝起きたばかりで寝ぼけていたため、最後の「ありがとう」しか聞こえていなかった。  「ま、いっか。」  この日から、彼の生活は一変する。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~

柊彼方
ファンタジー
「一族から出ていけ!」「お前は忌み子だ! 俺たちの子じゃない!」  テイマーのエリート一族に生まれた俺は一族の中で最弱だった。  この一族は十二歳になると獣と契約を交わさないといけない。  誰にも期待されていなかった俺は自分で獣を見つけて契約を交わすことに成功した。  しかし、一族のみんなに見せるとそれは『獣』ではなく『魔物』だった。  その瞬間俺は全ての関係を失い、一族、そして村から追放され、野原に捨てられてしまう。  だが、急な展開過ぎて追いつけなくなった俺は最初は夢だと思って行動することに。 「やっと来たか勇者! …………ん、子供?」 「貴方がマオウさんですね! これからお世話になります!」  これは魔物、魔族、そして魔王と一緒に暮らし、いずれ世界最強のテイマー、冒険者として名をとどろかせる俺の物語 2月28日HOTランキング9位! 3月1日HOTランキング6位! 本当にありがとうございます!

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

ハイエルフの幼女は異世界をまったりと過ごしていく ~それを助ける過保護な転移者~

まぁ
ファンタジー
事故で亡くなった日本人、黒野大河はクロノとして異世界転移するはめに。 よし、神様からチートの力をもらって、無双だ!!! ではなく、神様の世界で厳しい修行の末に力を手に入れやっとのことで異世界転移。 目的もない異世界生活だがすぐにハイエルフの幼女とであう。 なぜか、その子が気になり世話をすることに。 神様と修行した力でこっそり無双、もらった力で快適生活を。 邪神あり勇者あり冒険者あり迷宮もありの世界を幼女とポチ(犬?)で駆け抜けます。 PS 2/12 1章を書き上げました。あとは手直しをして終わりです。 とりあえず、この1章でメインストーリーはほぼ8割終わる予定です。 伸ばそうと思えば、5割程度終了といったとこでしょうか。 2章からはまったりと?、自由に異世界を生活していきます。        以前書いたことのある話で戦闘が面白かったと感想をもらいましたので、 1章最後は戦闘を長めに書いてみました。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。