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本編
728 サルトのギルド
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「トウジさん、いらっしゃってたんですか」
「うん、ちょっと諸用で」
懐かしきサルトの街へと降り立って、冒険者ギルドへと赴いた。
時系列的には、半年ぶりくらいになるのだろうか?
俺がよく利用していた受付に、前と同じようにレスリーは座っている。
「久しぶりね」
「イグニールさんも」
レスリーは訝しげな視線を向けながら、こう言った。
「未踏挑戦にエントリーしていたはずでは……?」
「ああ、もう興味なくなったからリタイアで」
「ええ……」
厳密に言えば、泡沫の浄水を見つけたが秘匿にしておく。
俺は、そういう選択肢をとったってことだ。
お金はもちろんあればあるだけ欲しいけど。
現状あってないような泡沫の浄水なんだから、いちゃもん怖いね。
いちゃもんつけられてもあらゆる手段を講じて仕返しとか。
そんな手段を取るつもりは一切ないぞ?
教団連中とかハウザーには仕返ししに行ったけど。
これで何かある度にわざわざやり返しに行くとなると……。
時間がいくらあっても足りなくなる。
極力回避する方向性ってのが、やっぱり重要だな。
これからダンジョンとか巡ってかなきゃならんのだし。
さっさと戻そうよ、勇者一行を、日本に。
いろんな息抜きは途中でやるにしても、だ。
真にゆっくり過ごせるのはそれからだと、俺は思っている。
「リタイアですか……まあ、私はもう担当じゃないから良いんですけどね」
黙って別のことを考えていると、彼女は勝手に話を切り上げた。
確かに、現担当であるエリナは落胆するだろう。
でも速攻Sランクにもなったから内部評価とかも良いだろうし。
俺についてってリゾートに遊びに行ったりとか良い思いもした。
別にこれ以上頑張る必要なくね?
と、思うわけである。
「とりあえず、ガレーとノードってまだこの街にいるんですか?」
時間が惜しいのでさっさと話を先に進めた。
「昨日、今日は休みにするって言ってましたから、いると思いますよ」
「だってさイグニール」
「ちょうど良いわね。まだ宿が変わってないのなら、顔を出しましょ」
うむ、そうしよう。
ドッキリ並みに姿を見せたら、ガレーの顎は外れるだろうか。
外れたら爆笑もんだな。
あいつ、毎回会うたびに新たな属性付加されてて笑えるんだ。
「むー……?」
イグニールとそんなことを話していると、レスリーが眼を細める。
そして俺らをじーっと見据えながら言った。
「随分と仲良さげな雰囲気ですけど、とうとう付き合い始めたんですか?」
エスパーか、こいつ。
別にいたって普通の絡み方なんだけど、何故わかるんだろう。
女性はそういう変化に気付きやすいってのは、あながち間違いでは無いようだ。
「少し違うわねレスリー」
イグニールが答える。
「付き合ったんじゃなくて、こないだ結婚したのよ」
「結婚ですか……また随分と話が飛躍してますね……」
「確かに飛躍してるけど、色々あったのよ……うん」
「とりあえずイグニールさん、詳しくお願いします」
「ええ? まあ、良いけど?」
と、イグニールは俺に少し視線を向けた。
一応、気を使ってくれてるっぽい。
「別に恥ずかしがる話でも無いから、全然話して良いよ」
「ありがと」
でもガールズトークに男はいらんだろうし、俺はポチを連れてウィンストの元へ向かうことにした。
ウィンストが住んでいる場所は、ギリスにいた時に聞いている。
昔、俺の住んでいたあの家だ。
=====
イグニール「かくかくしかじかあって、結婚することになったのよ」
レスリー「ふーん……つまり、恋愛下手な男女が勢い余って結婚したと?」
イグニール「いや、その認識は間違ってる」
レスリー「稀にあるんですよ、じれったいのが爆発して急展開するってのは」
※更新スタートして1周年まで頑張ります。
※頑張りますので、よろしくお願いします。
「うん、ちょっと諸用で」
懐かしきサルトの街へと降り立って、冒険者ギルドへと赴いた。
時系列的には、半年ぶりくらいになるのだろうか?
俺がよく利用していた受付に、前と同じようにレスリーは座っている。
「久しぶりね」
「イグニールさんも」
レスリーは訝しげな視線を向けながら、こう言った。
「未踏挑戦にエントリーしていたはずでは……?」
「ああ、もう興味なくなったからリタイアで」
「ええ……」
厳密に言えば、泡沫の浄水を見つけたが秘匿にしておく。
俺は、そういう選択肢をとったってことだ。
お金はもちろんあればあるだけ欲しいけど。
現状あってないような泡沫の浄水なんだから、いちゃもん怖いね。
いちゃもんつけられてもあらゆる手段を講じて仕返しとか。
そんな手段を取るつもりは一切ないぞ?
教団連中とかハウザーには仕返ししに行ったけど。
これで何かある度にわざわざやり返しに行くとなると……。
時間がいくらあっても足りなくなる。
極力回避する方向性ってのが、やっぱり重要だな。
これからダンジョンとか巡ってかなきゃならんのだし。
さっさと戻そうよ、勇者一行を、日本に。
いろんな息抜きは途中でやるにしても、だ。
真にゆっくり過ごせるのはそれからだと、俺は思っている。
「リタイアですか……まあ、私はもう担当じゃないから良いんですけどね」
黙って別のことを考えていると、彼女は勝手に話を切り上げた。
確かに、現担当であるエリナは落胆するだろう。
でも速攻Sランクにもなったから内部評価とかも良いだろうし。
俺についてってリゾートに遊びに行ったりとか良い思いもした。
別にこれ以上頑張る必要なくね?
と、思うわけである。
「とりあえず、ガレーとノードってまだこの街にいるんですか?」
時間が惜しいのでさっさと話を先に進めた。
「昨日、今日は休みにするって言ってましたから、いると思いますよ」
「だってさイグニール」
「ちょうど良いわね。まだ宿が変わってないのなら、顔を出しましょ」
うむ、そうしよう。
ドッキリ並みに姿を見せたら、ガレーの顎は外れるだろうか。
外れたら爆笑もんだな。
あいつ、毎回会うたびに新たな属性付加されてて笑えるんだ。
「むー……?」
イグニールとそんなことを話していると、レスリーが眼を細める。
そして俺らをじーっと見据えながら言った。
「随分と仲良さげな雰囲気ですけど、とうとう付き合い始めたんですか?」
エスパーか、こいつ。
別にいたって普通の絡み方なんだけど、何故わかるんだろう。
女性はそういう変化に気付きやすいってのは、あながち間違いでは無いようだ。
「少し違うわねレスリー」
イグニールが答える。
「付き合ったんじゃなくて、こないだ結婚したのよ」
「結婚ですか……また随分と話が飛躍してますね……」
「確かに飛躍してるけど、色々あったのよ……うん」
「とりあえずイグニールさん、詳しくお願いします」
「ええ? まあ、良いけど?」
と、イグニールは俺に少し視線を向けた。
一応、気を使ってくれてるっぽい。
「別に恥ずかしがる話でも無いから、全然話して良いよ」
「ありがと」
でもガールズトークに男はいらんだろうし、俺はポチを連れてウィンストの元へ向かうことにした。
ウィンストが住んでいる場所は、ギリスにいた時に聞いている。
昔、俺の住んでいたあの家だ。
=====
イグニール「かくかくしかじかあって、結婚することになったのよ」
レスリー「ふーん……つまり、恋愛下手な男女が勢い余って結婚したと?」
イグニール「いや、その認識は間違ってる」
レスリー「稀にあるんですよ、じれったいのが爆発して急展開するってのは」
※更新スタートして1周年まで頑張ります。
※頑張りますので、よろしくお願いします。
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