装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

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本編

704 俺の裁き

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 突然、空から降り注いだ大量の一筋の光たちである。
 俺は、ついに何らかの特殊な効果を持ったかと思った。
 キングさんの雄叫びが、新たな力を得たのかと。

 だが、俺の予想とは違っていて。
 その光は魔力収束砲のミニチュア版のような感じだった。

 飛空船の船首と船尾に取り付けているのが、キャノン。
 上から降り注ぐのは、レーザーの様な細い物。
 船の周りをふわふわと浮かぶ、漏斗に様な物から射出されている。

「……何だ、あれ」

 聞いてないぞ、オスロー。
 何であんなもんが船に取り付けられてるんだよ、ドアホ。

「でも……ま、いっか」

 面倒な軍勢を一掃する手間が大きく省けるってもんだ。

『うわあああああああああああ!!』

『そ、空から、光の煌めきが!?』

『か、神よ! こ、これはいったい!?』

『神よ、狙うのは向こう! 私たちでは!』

 無数のレーザー光線が降り注ぐ最中。
 奥から聞こえてくる教団関係者の阿鼻叫喚の声。
 まさに地獄絵図とでも言っておこう。
 しかし、空から光の雨が降り注ぐ……か。

『て、敵は向こうだ! 向こうだああああ!』

『雷鳴のごとき雄叫び、そして裁きの光!』

『異端者のくせに、異教徒のくせに!』

 俺はグリフィーに乗りながら、教団勢力の叫び声を聞いて高笑いする。

「ハハハハ! 異教徒? 異端者?」

 別に構わんさ。

「お前らの信じるものが俺にはクソほどにもムカつく虚像なんだっての」

 勇者召喚が実際に起こるこの世界で、確かに神様はいるかもしれない。
 だが、別にお前らに加護を与えてるわけじゃない。
 見てるのはいつだって勇者とか、その辺の選ばれし奴らだろう。

 そんなわけで、自分の神様なんて、自分しか居ないんだよ。
 決めるのは、いつだって自分。
 選ぶのは、いつだって自分だ。

 言い方によっては、空から降り注ぐこのレーザー。
 セリフも出ていた神の裁きってのに、近いのかもな。
 もちろん、裁くのは俺だ。

 敵対して、そして負けたら、敵のルールで裁かれる。
 だいたい自然界ってそんなもんだろ。
 世界が始まった瞬間から、それが唯一のルールだ。

「一つ聞いておくけど、この世界ってどうやってできたの?」

『神がお造りになられたに決まっている!』

『そうだそうだ!』

『私たちは神の作った世界を平穏をもたらすのだ!』

『それが教団の教皇様が神から承った御意志なのだ!』

『貴様みたいな異教徒にはわからないだろうがな!』

「おーおー」

 はい、言質得ました。

「世界を神様が作ったんなら、争いとか起こらないよね?」

『屁理屈を言うな!』

『神のお手を煩わせることがなき様に、私たちが解決するために使わせられた存在だからだ!』

 それこそ屁理屈の域だと思う。
 法の解釈とか、教義の解釈とか、よくわからん俺からすれば全部屁理屈だぞ。
 もっとも、行きていく上で法律っていうのは人が作ったものだから別にいい。
 宗教だって、俺は否定もしないし、そんなもんなんだなってくらいの認識だ。

 だが、それを盾に悪どいことをしても許されるのは違うだろ。
 犯罪スレスレだが、法は犯していないのって言うのとは違う。
 どっちも印象的には悪いけど。
 神の御意志で何でもござれっていうのは、野蛮にも度が過ぎるのだ。

「もういいや。キングさん、裁いちゃって」

「プルァ!」

 上空の飛空船から降り注ぐ無数のレーザーの中。
 次はキングさんが分裂して森の中に向かっていった。

「プルァ!」「プルァ!」「プルァ!」
「プルァ!」「プルァ!」「プルァ!」
「プルァ!」「プルァ!」「プルァ!」
「プルァ!」「プルァ!」「プルァ!」
「プルァ!」「プルァ!」「プルァ!」
「プルァ!」「プルァ!」「プルァ!」
「プルァ!」「プルァ!」「プルァ!」

 これはスライムキングの怒りだ。
 運良くレーザーの掃射が当たらなかった奴らを袋叩きにしていく。
 岩陰とかに隠れている奴がいたとしても、流体ボディで忍び寄る。

『な、何だこのスライムは!?』

『う、うわあああああああ!!』

『く、来るなああああああ!!』

 そして気がつけば、俺たちを囲っていた教団勢力は全滅だった。
 俺に足りなかった圧倒的殲滅力。
 飛空船に備わっている謎の機構は、その殲滅力を備えている。
 一個師団程度なら、これ飛空船一隻で十分に殲滅できそうだ。

「ふう……終わったな……」

「プルァ」

『……私、必要あったかしら?』

「ガルゥ」

 隣でごうごうと燃えて戦闘態勢を取るイフリータと、グリフィー。
 キングさんと飛空船だけで終わってしまったから、仕方ない。

「ってか、イフリータまだいたんだ」

『扱いが酷い! 貴方があっという間に倒してるからよ!』

「ああ」

 倒しまくって霊気いっぱいだから、その分召喚時間が伸びたと。
 人を倒してもドロップはないのに、霊気はちゃんと手に入るんだな。
 不思議である。

『で、これからどうするの? あの子を取り戻しにいく?』

「ん?」

『私としては、あの子には貴方が必要だから、そうして欲しい』

「もちろん行くに決まってる……けど」

『けど?』

「飛空船の特殊兵器みたいなもの、未だに出っ放しだからな……」

 もともと、どうやって発動したのかわからないもんだ。
 戻し方がわからないのも当然だろうよ。
 とりあえず次に出せるかわからないので、今のうちにやることをやる。

「あれが使えるうちに、さっさとデプリ首都にある教団の総本山を潰す」

 使いまくれば、エネルギー切れみたいになって動かなくなるかもだし。
 さすがにあれ出したままでイグニールのところに行くのは危ないな、と。

「とりあえず二度と手を出せない様に、完膚なきまでにぶっ叩く!」

 そしてジュニアはさっさと起きて、飛空船へのドアを繋げ。
 いつまで寝んだ、キングさんにシメてもらおうか。
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