装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

文字の大きさ
上 下
401 / 682
本編

670 トウジ・アキノ・ファクトリー

しおりを挟む
「どうやら、ヘスティアさん達は無事プレイヤー達の避難を終え、一斉砲火の準備が整ったみたいです。五分後に────中央大陸の集中砲火が開始されます」

 さ、さすがは『紅蓮の夜叉』。めちゃくちゃ早い。

 『まだ別れてから一時間も経っていないのに』と驚愕しつつ、私は地上を見下ろす。

 ウチのメンバーも、きちんと避難しただろうか?
空中に待避しているメンバーはさておき、地上で活動しているメンバーは心配だなぁ……特にシムナさん。
避難誘導を呼び掛ける『紅蓮の夜叉』のメンバーに、めっちゃ反抗してそう。
さすがに手は出ていないと思うけど……説得に時間は掛かってそうだなぁ。

「念のため、結界を二重に張っておきますね。ヘスティアさんの火力は計り知れませんから」

 アヤさんは人差し指をクルクル回して、私達を覆う結界の外にもう一つ結界を展開させた。
元々あったものより分厚いソレを前に、アヤさんはふと顔を上げる。

「あと三秒で約束の五分です。3、2、1……一斉砲火開始」

 その言葉を合図に、地上は真っ赤な炎で覆われた。
かと思えば、ゴーレム達は次々と光の粒子へ変化していく。
その光景はまさに圧巻だった。

「うわぁ~、瞬殺じゃ~ん」

「火炎魔法に多少耐性のあるファイアゴーレム以外は、ほとんど瞬殺ですね。アイスゴーレムなんて、炎に触れた瞬間、光の粒子に変わっていますし」

「さすが炎帝って、感じだね~」

「少しやり過ぎな気もしますけどね」

 ヘスティアさんの……いや、『紅蓮の夜叉』の無双っぷりに肩を竦めるアヤさんは、どこか呆れたような表情を浮かべる。
火焔かえん地獄とも言うべき状態に、若干引いているのだろう。

 この調子だと、一瞬で片が付きそう。
炎耐性のあるファイアゴーレムでも、ここまで高温の炎に焼かれれば倒れるだろうし。

 などと思いつつ、私はゲーム内ディスプレイに目を向けた。

 時刻は深夜の二時半。
ナイトタイム及びイベント終了まで、あと一時間半……それだけ時間が余っていれば、充分だ。

「な~んか、苦労した割に呆気ない終わり方だね~」

「ゴーレム討伐に勤しんでいた徳正さん達には、そう感じるかもしれませんね。でも────あなた方がここで一生懸命頑張ってくれたから、“今”があるのです。中央大陸で奔走した過去は、無駄じゃありません」

「ま、それもそうだね~。ラーちゃんが治療しなかったら、死んでいたプレイヤーも大勢居るだろうし~。他のプレイヤーだって、生き残るために剣を振るい続けたから、“今”がある。生存率を上げるっていう観点では、充分な働きをしたかな~」

 確かに。私達は私達なりに、精一杯頑張ったよね。

 『何かしら意味のあるものだったんだ』と納得する中────不意に機械音声が流れる。

『おめでとうございます。只今を持ちまして、ゴーレム討伐イベントクリアとなります。詳しい説明は『箱庭』から、送られたメールをご確認くださいませ』

 そう言うが早いか、メールの受信を知らせる通知音が響いた。
と同時に、中央大陸を覆っていた炎が跡形もなく消える。
だけでは終わらず、失われた筈の草木を、割れた大地を元通りにした。時間を巻き戻すが如く。
また、爆破された大陸を繋げる橋カンティネン・ブリッジや干上がった海も元の姿を取り戻す。

「イベント後の修復作業は一応やるんだね~」

「そうみたいですね。この様子だと、破壊の限りを尽くした街の方も修復されていそうです」

「復旧作業とか面倒なことがなくて、助かったよ~。街の復興が済むまで、野宿とか勘弁だも~ん」

「……まあ、街や建物の復旧作業が終わっても────失われた人達は戻って来ませんけどね」

 空中をタップしていたアヤさんは、悲しそうに呟いた。
かと思えば、空中をタップしていた手が不意に止まる。

「────限界突破オーバーラインって、どういうこと……?」
しおりを挟む
感想 9,834

あなたにおすすめの小説

無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~

鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!  詳細は近況ボードに載せていきます! 「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」 特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。 しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。 バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて―― こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

スキルを得られない特殊体質の少年。祠を直したらユニークスキルもらえた(なんで??)

屯神 焔
ファンタジー
 魔法が存在し、魔物が跋扈し、人々が剣を磨き戦う世界、『ミリオン』  この世界では自身の強さ、もしくは弱さを知られる『ステータス』が存在する。  そして、どんな人でも、亜人でも、動物でも、魔物でも、生まれつきスキルを授かる。  それは、平凡か希少か、1つか2つ以上か、そういった差はあれ不変の理だ。  しかし、この物語の主人公、ギル・フィオネットは、スキルを授からなかった。  正確には、どんなスキルも得られない体質だったのだ。  そんな彼は、田舎の小さな村で生まれ暮らしていた。  スキルを得られない体質の彼を、村は温かく迎え・・・はしなかった。  迫害はしなかったが、かといって歓迎もしなかった。  父親は彼の体質を知るや否や雲隠れし、母は長年の無理がたたり病気で亡くなった。  一人残された彼は、安い賃金で雑用をこなし、その日暮らしを続けていた。  そんな彼の唯一の日課は、村のはずれにある古びた小さな祠の掃除である。  毎日毎日、少しずつ、汚れをふき取り、欠けてしまった所を何とか直した。  そんなある日。  『ありがとう。君のおかげで私はここに取り残されずに済んだ。これは、せめてものお礼だ。君の好きなようにしてくれてかまわない。本当に、今までありがとう。』  「・・・・・・え?」  祠に宿っていた、太古の時代を支配していた古代龍が、感謝の言葉と祠とともに消えていった。  「祠が消えた?」  彼は、朝起きたばかりで寝ぼけていたため、最後の「ありがとう」しか聞こえていなかった。  「ま、いっか。」  この日から、彼の生活は一変する。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

異世界に召喚されたけど間違いだからって棄てられました

ピコっぴ
ファンタジー
【異世界に召喚されましたが、間違いだったようです】 ノベルアッププラス小説大賞一次選考通過作品です ※自筆挿絵要注意⭐ 表紙はhake様に頂いたファンアートです (Twitter)https://mobile.twitter.com/hake_choco 異世界召喚などというファンタジーな経験しました。 でも、間違いだったようです。 それならさっさと帰してくれればいいのに、聖女じゃないから神殿に置いておけないって放り出されました。 誘拐同然に呼びつけておいてなんて言いぐさなの!? あまりのひどい仕打ち! 私はどうしたらいいの……!?

【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~

柊彼方
ファンタジー
「一族から出ていけ!」「お前は忌み子だ! 俺たちの子じゃない!」  テイマーのエリート一族に生まれた俺は一族の中で最弱だった。  この一族は十二歳になると獣と契約を交わさないといけない。  誰にも期待されていなかった俺は自分で獣を見つけて契約を交わすことに成功した。  しかし、一族のみんなに見せるとそれは『獣』ではなく『魔物』だった。  その瞬間俺は全ての関係を失い、一族、そして村から追放され、野原に捨てられてしまう。  だが、急な展開過ぎて追いつけなくなった俺は最初は夢だと思って行動することに。 「やっと来たか勇者! …………ん、子供?」 「貴方がマオウさんですね! これからお世話になります!」  これは魔物、魔族、そして魔王と一緒に暮らし、いずれ世界最強のテイマー、冒険者として名をとどろかせる俺の物語 2月28日HOTランキング9位! 3月1日HOTランキング6位! 本当にありがとうございます!

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。