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本編

664 はちゃめちゃ遊戯、ダンジョンすごろく・8 罰の大王

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「次は俺の番だな……つーかゴールってどこなんだよ、このすごろく」

 順調に進むすごろくだが、ダンジョンというでかい地形の中に作られている。
 故に、ゴールマスがどこかっていうのが未だにわからなかった。

 ゴールが見えていれば、サイコロ保有の計算だってできるのに……。
 なかなかに攻略が難しいダンジョンすごろくである。

 順位は、ポチとピーちゃんコンビが抜かれて、リクールとマイヤーが首位になった。
 どっちも草原で馬を手に入れたアル中コンビ。

「うわははは、酒や、ミニゲームで勝利したから追加やー!」

「ふむぅ、やはり酒を味わうには、ミニゲーム勝利が肝ですね!」

 スクール水着に身を包んだマイヤーが、大股広げて座りながら酒を飲んでいる。
 その様子を見ながら、リクールが物欲しそうな顔をしていた。
 ちなみに、スクール水着の胸元には「まいやー・あるばーと」って書かれている。
 書いたのはジュニア。

 割と恥ずかしい部類の罰だろうと思ったのだが、マイヤーは別に平気そうだった。
 この世界では、スクール水着はただの水着程度にしか認識されていないのである。
 そもそも、賢者が残したデザインだとして、珍しい物好きのマイヤーは嬉しそうだ。

「あたしも着たいし」

 俺の後ろのマスにいるジュノーがボソッと呟く。

「一応罰ゲームだぞ……?」

「ああいう楽しそうなのがいい! おしり蹴られ過ぎて痛い!」

「ああね」

 ジュノーは罰ゲームマスを踏むたびにタイキックだった。

「腫れてない? 見て」

「大丈夫。見ない。おしりこっちに向けないで」

 俺も1発だけガーディアンタイキックを味わったのだが、確かに痛かった。
 うまく調整しやがって、ジュニアめ……。

「ほら、早くサイコロ回せよ」

 ジュニアに急かされるので、サイコロを振る。

「ちなみに今は高山ステージだが、ステージはあと二つ残っているぞ」

「二つ……」

「雪原とマグマだな。アイテム商会マスで必要装備を買うか買わないか聞かれるからお金は貯めとけよ」

「なるほど……」

 それはつまり、暑さと寒さが俺たちを襲うステージだってことか。
 暑さも寒さも無効化するアクセサリー装備を常につけてるから、懐かしい感覚である。

「マグマステージだなんて、全身タイツ蒸れない? なんかミニゲームして汗でぴったりしてるんだけど」

 そんなつぶやきが3マス前から聞こえた。
 目が一瞬にして赤い全身タイツの美女へと向く。

「かもしれないが、一応雪原、マグマステージのみ、それにあった装備をもらえるから心配ないぞ」

「やっとこのタイツの羞恥から逃れることができるってわけね」

「まあ、そこを抜けたら全身タイツに戻る訳だが、その通りだ」

 さて、残りのご褒美と罰はまだまだ残されている。
 誰がどの罰を引いて、どのご褒美を引くのか、非常に楽しみだ。

 コロコロ、コロン。
 運良く6が出たので、全身タイツイグニールを追い越して進む。

「お先に、イグニール」

「絶対抜くから待ってなさい。負けないから!」

 そんなやりとりをしながら6マス進むと。
 ブーーーーーーッ!
 ブザーが鳴って、ライトが赤く光り輝いた。

「おいおいおいおい、いきなりか、なんだ!? 罰か!?」

 できればタイキック以外で頼むぞ。
 そんなことを願っていると、今回の罰マスは少し毛色が違っているようだった。

「今まで各所に点在していたのに、みんなが奇跡的に回避して着たそのマス」

 ジュニアが言う。

「ついにそれを引き当ててしまったか、トウジ」

「はあ? どう言うことだ?」

「そのマスは、罰の大王ビッグジュニア様降臨マスだ!」

「ば、罰の大王!? なんだそれは!!」

 驚いていると、上から巨大なジュニアに似せて作られたガーディアンが出現する。

『罪深きプレイヤーたちめ、今こそ我の罰の災厄を味わうがいい! わはははー!』

「うおおおお!?」

 巨大なジュニアから、まばゆい光が発せられて、俺たちの足元にあるマスが光り始めた。
 そして『?』と書かれていたマスが全て『罰』に変わる。
 アイテムゲットマスやケテルゲットマスが減り、ミニゲームマスへと切り替わっていった。

「ステージ変わっちゃったし!? なんだし!?」

 その光景を見て騒ぐジュノー。

「罰の大王を引き当てると、1ステージの罰がめちゃくちゃ増えるんだ。恐ろしいね」

「恐ろしいね、じゃねーよ! このミニゲームマスもなんかちょっと違う絵だけど?」

「罰の大王ミニゲームは、参加費用徴収の上、最下位が確定罰という不毛なゲームだ」

「マジかよ……」

 基本的に親有利な罰ゲームの親が、絶対罰の大王となる。
 その上で、参加費徴収、そして順位付けがなされ最下位はランダム罰。

『わははは、さあ早くサイコロを回せ! 我の罰を受けよ!』

 大王の前になんとかみんな罰を回避してちまちまと進んでいく。
 アイテムで回避する奴もいれば、一回休みの奴は神回避ってところだった。

「つ、次、あたしの番だし! いやだー! タイキック以外が良い!」

『さあ早くサイコロを! 我の罰を受けよ! さあ早く!』

 クソうざいくらい煽ってくるな……。

「嫌! せめてパンケーキ食べてからで良い? 買ったやつちょっと残ってるから」

 なんとか時間稼ぎをしようとするジュノーだが、ジュニアが言う。

「あ、早く振らないと勝手に振るぞ、こいつ」

「えっ」

 パンケーキを頬張るジュノーの素っ頓狂な顔。
 次の瞬間、罰の大王が動き出した。

『ならば我が代わりに振ってやろう、この罰の大王サイコロをな』

「罰の大王サイコロってなんだし!」

「高確率で近場の罰マスに誘われる凶悪なサイコロだ」

 転がるサイコロ、目の半分が近場の罰マスへの距離となっていた。

「罰覚悟で頑張れば、実はサイコロの出目の限界を超えた距離を進めるぞ」

「そんなの嫌ーーーーーーーーー!!」

 ジュノーは罰を踏んだ。

「ジュノー、ガーディアンくすぐり地獄、大王バージョン!」

「ちょっ」

 拘束されたジュノーの身につけていた服が全て破られる。
 下着姿になったジュノーに対して、ガーディアンが羽を持ってこちょこちょこちょこちょ。

「ひゃっ、やめっ、くすぐった、バカ! そこは、あっ、いやあああああ!」

「ちなみに大王バージョンだから、順番が回ってくるまでずっと続く」

「あはははははは、ちょっと、もう、勘弁して、きゃははははは、あんっ」

 お、恐ろしい。
 今までは、多少俺たちに配慮がなされていた罰だった。
 強制脱衣で順番が回ってくるまで続くとは……。

「あれ、全身タイツも破かれるのかしら?」

「イグニール、視点おかしくね?」

 絶対下着姿になる方が恥ずかしいと思うんだけど。
 ま、まあいい。
 これ以上は何も言わないでおこう、身内みたいなもんだし。




 そしてここから、恐ろしい罰の応酬が始まった。
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