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本編
660 はちゃめちゃ遊戯、ダンジョンすごろく・4
しおりを挟む「はーい、トウジとリクールは一回休みなー」
「私は別に構いませんのに」
「俺が構うんだよ、そして酒臭いんだよ」
スティックゲームは、残り10センチ程でリタイアすることになった。
俺とリクールは互いに一回休み状態となる。
「にゃはははっ、なんやねん、ちゃんとチューしろや!」
「私も思わず鼻息が荒くなりましたぞ~!」
剽軽組が俺たちを茶化す。
そんなこと言われたって、俺は男でしかも人外っていう属性とチューは嫌なんだ。
しかし、罰ゲームをやらずに終えると言うリア充ならクソ萎える展開。
でも知らんもんね!
俺はリア充ではなく、隠キャ側の人間なのだから!
「チューってどんなもんなのか地味に見てみたかったし」
「ジュノー、知らないの?」
「ガールズトークで言葉は聞いてたけど、実際どんなのかはわからないし」
「ああ、なるほどね」
首を傾げながら、イグニールとそんな会話を繰り広げるジュノーが言った。
「ってことでトウジ、チューするし」
彼女は何気無しにとりあえずでそう言ったのだろうが、一瞬どきっとした。
「…………い、嫌だ」
俺はドキッとしたのが癪に触ったから、目を逸らしてそう言う。
「なんでだし!」
「なんでもだよ!」
それに、サイズが違うだろ、サイズが。
「ジュノー、チューって言うのは好きな人同士でやるもんなんだぜ?」
「だったら良いじゃん、別に」
「……」
これ以上この話題を続けると気まずくなりそうなので、やめておく。
「ほら、次だ次だ。すごろくの続きしようぜ!」
「そうだな、すごろくはまだまだこれからだから頑張ってくれー」
俺の思いを読み取ったのか、はたまた話がダレると思ったのか。
ジュニアはさっさと次への進行してくれた。
ポチの順番が回ってきて、サイコロが振られ、ケテルマス。
あいつ、特に浮き沈みなく順調にマスを進めているな……。
アイテムゲットマスとか、その他のボーナスマスには止まらない。
しかし代わりに、だいたいがケテルマス。
もしアイテム商会マスに立ち寄ることがあれば、一気に全部買い占めを行うだろう。
商会マスには在庫というものがあって、一度買い占められると買えなくなるのだ。
2巡すれば在庫は復活するのだが、その間に通り過ぎてしまうことが予測される。
「ったく、こっちは高度な心理戦を予測しているというのに……」
「にゃははは! ケテルマスやー! つまみを所望するでー!」
「くう、お嬢様と一緒に飲みたいのに、マスを移動できないのは辛いです」
「ええやん別に、お互い顔は見えとるしそこで飲み交わそうやー」
「そうですな! 次ケテルマスに止まったら私もおつまみを買いますよ!」
アル中コンビは、相変わらずだった。
そしてゴレオの番が回ってきて、コロコロコロンとサイコロが振られる。
「6! 引きが良いなゴレオ!」
ドスドスドスとゴレオが歩みを進めたマスは、剣と剣が交錯したバトルチックな絵が描かれていた。
「……?」
「おっ、初めてのミニゲームマスだな」
首を傾げるゴレオに、ジュニアが教えてあげる。
割と他人に対して優しくない性格のジュニアでも、ゴレオには優しいようだ。
ゴレオの雰囲気って一見怖そうでも実はよく見るとほわほわしている。
だから、ある程度絡むと誰でも気を緩めて優しい性格に変わってしまうんだ。
「よし、お前らには俺が用意したミニゲームで戦ってもらう!」
『おおっ!』
ミニゲームという言葉を聞いて、全員が声を上げる。
パーティーマスとは違うっぽいけど、どういうことなんだろう?
全員参加型のパーティーマスが、ミニゲームマスなのかな?
「そのゲームに用意されたミニゲームは……倒せガーディアンバトルだな!」
「倒せ、ガーディアンバトル?」
俺の疑問に、ジュニアが説明をする。
「簡単だ、マスを踏んだ人が巨大ガーディアンに乗って操る、他はそれを倒せ」
「なるほど」
ゴレオが操作する巨大ガーディアンのHPを制限時間内に削り切るボスバトルか。
ガーディアンを用いることで攻撃力やステータス、HPの均一化。
さらにHPの視覚化もされていて、何ともゲームっぽいものに仕上がっている。
「ゴレオの勝利条件は制限時間までに生き残ること!」
「でもそれって、人数的に私たちの方が有利じゃないかしら? 大丈夫?」
「心配いらない、巨大ガーディアンの攻撃が当たると3秒動けなくなるからな」
「なるほど、そうやって邪魔することによって時間を稼ぐわけね?」
「あと、10秒に一回だけ、地面に両腕を振り下ろす攻撃ができる」
その攻撃を使用することによって、全体にスタン3秒って攻撃もできるそうだ。
「タイミングよく全員をスタンにすることで、割と親有利だ!」
そして俺たち削り側は、うまくボスの攻撃を避けながら攻撃を加える必要がある。
なかなか難しいミニゲームだが、面白そうだ。
「ミニゲームに伴って、親以外から1000ケテルずつ徴収! 親が勝てば総取りだ!」
「……!」
「ああ、親が負けた場合は全員から1000ケテルずつ取られないのかって?」
コクコクと頷くゴレオに、ジュニアが言う。
「それは大丈夫だ。親のボーナスゲームだから、それはないぞ。安心設計」
「……!」
ホッと一息つくゴレオ。
「うちとリクールもうケテルそんなに残ってないんやけど、その場合どうなるん?」
「そうですね。酒やつまみで消費してますけど、出すものも出せないですよ」
「その場合は借金だ。借金状態でとあるマスに着くと、罰ゲームのレベルが上がるから気をつけてな?」
「えええええ! それを先に言ってや!」
安心設計から、いきなりとんでもない仕様を暴露するジュニア。
あまり手持ちに余裕のないアル中コンビはあたふたしている。
「まっ、勝てば良いんだよ。でもボーナスゲームは親有利設計だけどな?」
にっこり微笑むジュニアであるが、なんとも……その後ろには邪悪な影があった。
「んじゃ、戦いは別のエリアでやるぞ!」
そんなわけで、俺たちは別に用意された階層へと転移する。
ダンジョンを利用して作っていると、こう言う部分で便利だよな。
=====
次回、ゴレオ対全員のバトル
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