装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

文字の大きさ
上 下
386 / 682
本編

655 パーティーネームを決めよう

しおりを挟む

「では、ギリス首都支部からトウジさんのパーティーを登録しておきますね!」

「よろしくお願いします」

 他にも推薦される冒険者パーティーは大勢いるそうだが、優勝候補として見てくれるらしい。
 うむ、報酬も目当ての素材も、全部まるっと掻っ攫ってしまいましょう。

 あとあと黄昏の浄水を確保しに行く必要性が出てくるのだが、それはまあ……取り寄せだ。
 酒蔵で酒造に使われているというのならば、金で買えんこともない。
 暁の浄水に関しては、空路が完成したらお金を払って取り寄せることにする。

 さて、泡沫の情報を得たとすると、あとは白夜の浄水ということになるのだが……。
 白夜と聞いて、北のダンジョンである断崖凍土にあると俺は踏んでいた。
 しかしながらなかったということは、次は南端に向かわねばならないことになる。

 この世界がどんな広さかもわからないのだけど。
 いつか一周するレベルで旅に出なければならないのかもしれないね。

「あっ、トウジさん待ってください」

 話も終わり、今日は依頼を受けるつもりはないから帰路につこうとしたところで、呼び止められる。

「はいはい?」

「そういえば、まだパーティーネームをつけてらっしゃらないですけど!」

「あー……この際ずーっと無しじゃダメなんですかね……?」

 何も思い浮かばなかったこと、そして目立つことを避ける意味も込めての名無しだった。
 今すぐに考えろと言われても、特に何か案がある訳でもない。
 できればこのまま名無しのパーティーとして、冒険者の頂点を決める催し事に参加したいのである。

「この催し事に関しては、パーティーネームの登録は必須事項なんですよ~」

「なるほど……」

 それは困ったなあ。

「今すぐに決めないといけないことですかね、それ」

「明日までに決めていただいても構いません」

「うーん、わかりました。とりあえず明日にパーティーネームを決めてこようと思います」

 今すぐに決めろという訳じゃなかったら、家に帰って色々と案を煮詰める必要がある。
 勝手に決めてしまうと、色々と口うるさいのがいるからだ。

「ではお待ちしてますね」

「はい」

 今度こそ本当にギルドを後にして、俺は隣をてちてち歩くポチにこんな提案をする。

「ポチ」

「ォン?」

「パーティーネームを決めるにあたって、ジャンケンでもしようと思うのだけど、どう?」

 手っ取り早く名前を決めるのは、俺よりセンスがあるやつに任せるのが一番だ。
 俺もイグニールも、若干ズレてる部分があるからね、その辺。

「アォン……」

 ポチはしばらく首をひねりながら考えると、手をポンと叩いて何かを閃いた様だった。

「ォン!」

 ジャンケンで決めるのも在り来たりなので、何かゲームをしながら決めるのはどうか、と。

「ゲームねえ……」

 そのゲームを何にするか、から決める必要があるのだけど。
 ひと手間もふた手間も時間がかかることにはならないだろうか?

「アォン」

「楽しくやったほうがいいって? まあ、確かにそうだけど……実際何をするよ?」

「ォン……」

 発案したポチも、なんだかんだゲームのアイデアまでは浮かんでいない様だった。
 一緒に公園のベンチに腰掛けて、うーんうーんと首をひねる。
 巨大な積み木の間を抜いて積み上げて行き、倒したら負けな遊びはやったしなあ。
 かといって、ポチの料理に罰ゲームじみたものを仕込んだやつも、ポチが参加できない。
 パインにやらせりゃ良いのかもしれないが、ポチに有利過ぎる結果になるだろう。

「うーん……」

「ォーン……」

「何を二人してベンチに座って唸り声を上げているんですぞ?」

 声が聞こえたので視線を下から前に移すと骨が立っていた。

「なんだ骨か、どうした?」

「それはこっちのセリフですぞ。で、何を悩んでいるんです?」

「いやあ、冒険者ギルドでのパーティーネームを決めろって言われてね」

「……まだ決めてなかったんですぞ?」

「まあ、特に決める必要もなかったからな」

「そういうことは最初にしっかり決めておくもんですぞ~」

「確かに」

 普通であれば、何かしらの志とかを方向性をしっかり見定めで決めるものだ。
 今まで出会ってきた冒険者パーティーも、そんな感じの名前にしていたのである。

「名は体を表すを言いますし、しっかり決めるべきことですぞ」

「そうは言っても、パーティーに方向性とか特にない」

 冒険者を始めた理由だって、そんな大層なものではなく。
 身分の照明的なものが欲しかったからだ。
 何かと情報も得られて、魔物を倒したドロップアイテムが目当ての俺には丁度良かった。

「だから、骨の理論でいくと俺らのパーティーネームは身分証になる」

「……身分証って」

「もしくは、最初の冒険者業なんて寄生行為から始めたからパラサイトだ」

 パラサイトおじさん。
 俺がずーっとソロで冒険者の荷物持ちをしていたらこうなっていただろう。

「あ、一応言っておくけど、親の脛なんか齧ってないからな?」

「はあ?」

「俺はしっかりフリーターして、ゲームに廃課金してたんだから」

 子供部屋には住んでない、一人部屋おじさんなのである。
 いわゆる、ただのおじさん。

「そんなこと誰も聞いてないですけど……?」

 口元をひくつかせる骨に言う。

「今考えてたのは、みんなで名前をつける際に何か面白いゲームをしたくてね」

「じゃんけんではダメなんですか?」

「それだと毎回サモンモンスターの名前決めでやってるから、味気ないんだよ」

「ふむふむ、だったらとびきりの妙案がございますぞ」

「ほう?」

 妙案とは、いったいなんなのだろう。
 こいつは、もともとは俺と違って友達もたくさんいた女学生だったと聞く。
 俺の知らないリア充の遊びとかそんなんを色々と知っているのだろか。

「その妙案とは、すごろくです!」

「すごろく……?」

 なんとも在り来たりなアイデアが飛び出してきた。
 いやまあ、意外性がないこともないんだけど。

「在り来たりって思ったでしょう? しかし私たちのやっていたすごろくは違いますぞ!」
 
「たちって、どう言うこと?」

「昔の勇者一行も何かとみんなで決めるのが苦手でした。初めてあったもの同士でしたし」

「うん」

「そんな中、みんなの輪をより強固にするために考え出されたのが、絶対すごろくです」

「絶対……すごろく……」

「まず、マス目にそれぞれがおもいおもいの罰ゲームを書き出します」

「うん」

「そしてその罰ゲームマスに止まったら、絶対にこなさなければならない……そんなすごろくですぞ!」






=====
させたい罰ゲームあったらどうぞ。(あくまで可能な範囲でならば考慮する可能性も微レ存)
しおりを挟む
感想 9,834

あなたにおすすめの小説

無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~

鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!  詳細は近況ボードに載せていきます! 「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」 特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。 しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。 バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて―― こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

スキルを得られない特殊体質の少年。祠を直したらユニークスキルもらえた(なんで??)

屯神 焔
ファンタジー
 魔法が存在し、魔物が跋扈し、人々が剣を磨き戦う世界、『ミリオン』  この世界では自身の強さ、もしくは弱さを知られる『ステータス』が存在する。  そして、どんな人でも、亜人でも、動物でも、魔物でも、生まれつきスキルを授かる。  それは、平凡か希少か、1つか2つ以上か、そういった差はあれ不変の理だ。  しかし、この物語の主人公、ギル・フィオネットは、スキルを授からなかった。  正確には、どんなスキルも得られない体質だったのだ。  そんな彼は、田舎の小さな村で生まれ暮らしていた。  スキルを得られない体質の彼を、村は温かく迎え・・・はしなかった。  迫害はしなかったが、かといって歓迎もしなかった。  父親は彼の体質を知るや否や雲隠れし、母は長年の無理がたたり病気で亡くなった。  一人残された彼は、安い賃金で雑用をこなし、その日暮らしを続けていた。  そんな彼の唯一の日課は、村のはずれにある古びた小さな祠の掃除である。  毎日毎日、少しずつ、汚れをふき取り、欠けてしまった所を何とか直した。  そんなある日。  『ありがとう。君のおかげで私はここに取り残されずに済んだ。これは、せめてものお礼だ。君の好きなようにしてくれてかまわない。本当に、今までありがとう。』  「・・・・・・え?」  祠に宿っていた、太古の時代を支配していた古代龍が、感謝の言葉と祠とともに消えていった。  「祠が消えた?」  彼は、朝起きたばかりで寝ぼけていたため、最後の「ありがとう」しか聞こえていなかった。  「ま、いっか。」  この日から、彼の生活は一変する。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

異世界に召喚されたけど間違いだからって棄てられました

ピコっぴ
ファンタジー
【異世界に召喚されましたが、間違いだったようです】 ノベルアッププラス小説大賞一次選考通過作品です ※自筆挿絵要注意⭐ 表紙はhake様に頂いたファンアートです (Twitter)https://mobile.twitter.com/hake_choco 異世界召喚などというファンタジーな経験しました。 でも、間違いだったようです。 それならさっさと帰してくれればいいのに、聖女じゃないから神殿に置いておけないって放り出されました。 誘拐同然に呼びつけておいてなんて言いぐさなの!? あまりのひどい仕打ち! 私はどうしたらいいの……!?

【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~

柊彼方
ファンタジー
「一族から出ていけ!」「お前は忌み子だ! 俺たちの子じゃない!」  テイマーのエリート一族に生まれた俺は一族の中で最弱だった。  この一族は十二歳になると獣と契約を交わさないといけない。  誰にも期待されていなかった俺は自分で獣を見つけて契約を交わすことに成功した。  しかし、一族のみんなに見せるとそれは『獣』ではなく『魔物』だった。  その瞬間俺は全ての関係を失い、一族、そして村から追放され、野原に捨てられてしまう。  だが、急な展開過ぎて追いつけなくなった俺は最初は夢だと思って行動することに。 「やっと来たか勇者! …………ん、子供?」 「貴方がマオウさんですね! これからお世話になります!」  これは魔物、魔族、そして魔王と一緒に暮らし、いずれ世界最強のテイマー、冒険者として名をとどろかせる俺の物語 2月28日HOTランキング9位! 3月1日HOTランキング6位! 本当にありがとうございます!

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。