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本編
655 パーティーネームを決めよう
しおりを挟む「では、ギリス首都支部からトウジさんのパーティーを登録しておきますね!」
「よろしくお願いします」
他にも推薦される冒険者パーティーは大勢いるそうだが、優勝候補として見てくれるらしい。
うむ、報酬も目当ての素材も、全部まるっと掻っ攫ってしまいましょう。
あとあと黄昏の浄水を確保しに行く必要性が出てくるのだが、それはまあ……取り寄せだ。
酒蔵で酒造に使われているというのならば、金で買えんこともない。
暁の浄水に関しては、空路が完成したらお金を払って取り寄せることにする。
さて、泡沫の情報を得たとすると、あとは白夜の浄水ということになるのだが……。
白夜と聞いて、北のダンジョンである断崖凍土にあると俺は踏んでいた。
しかしながらなかったということは、次は南端に向かわねばならないことになる。
この世界がどんな広さかもわからないのだけど。
いつか一周するレベルで旅に出なければならないのかもしれないね。
「あっ、トウジさん待ってください」
話も終わり、今日は依頼を受けるつもりはないから帰路につこうとしたところで、呼び止められる。
「はいはい?」
「そういえば、まだパーティーネームをつけてらっしゃらないですけど!」
「あー……この際ずーっと無しじゃダメなんですかね……?」
何も思い浮かばなかったこと、そして目立つことを避ける意味も込めての名無しだった。
今すぐに考えろと言われても、特に何か案がある訳でもない。
できればこのまま名無しのパーティーとして、冒険者の頂点を決める催し事に参加したいのである。
「この催し事に関しては、パーティーネームの登録は必須事項なんですよ~」
「なるほど……」
それは困ったなあ。
「今すぐに決めないといけないことですかね、それ」
「明日までに決めていただいても構いません」
「うーん、わかりました。とりあえず明日にパーティーネームを決めてこようと思います」
今すぐに決めろという訳じゃなかったら、家に帰って色々と案を煮詰める必要がある。
勝手に決めてしまうと、色々と口うるさいのがいるからだ。
「ではお待ちしてますね」
「はい」
今度こそ本当にギルドを後にして、俺は隣をてちてち歩くポチにこんな提案をする。
「ポチ」
「ォン?」
「パーティーネームを決めるにあたって、ジャンケンでもしようと思うのだけど、どう?」
手っ取り早く名前を決めるのは、俺よりセンスがあるやつに任せるのが一番だ。
俺もイグニールも、若干ズレてる部分があるからね、その辺。
「アォン……」
ポチはしばらく首をひねりながら考えると、手をポンと叩いて何かを閃いた様だった。
「ォン!」
ジャンケンで決めるのも在り来たりなので、何かゲームをしながら決めるのはどうか、と。
「ゲームねえ……」
そのゲームを何にするか、から決める必要があるのだけど。
ひと手間もふた手間も時間がかかることにはならないだろうか?
「アォン」
「楽しくやったほうがいいって? まあ、確かにそうだけど……実際何をするよ?」
「ォン……」
発案したポチも、なんだかんだゲームのアイデアまでは浮かんでいない様だった。
一緒に公園のベンチに腰掛けて、うーんうーんと首をひねる。
巨大な積み木の間を抜いて積み上げて行き、倒したら負けな遊びはやったしなあ。
かといって、ポチの料理に罰ゲームじみたものを仕込んだやつも、ポチが参加できない。
パインにやらせりゃ良いのかもしれないが、ポチに有利過ぎる結果になるだろう。
「うーん……」
「ォーン……」
「何を二人してベンチに座って唸り声を上げているんですぞ?」
声が聞こえたので視線を下から前に移すと骨が立っていた。
「なんだ骨か、どうした?」
「それはこっちのセリフですぞ。で、何を悩んでいるんです?」
「いやあ、冒険者ギルドでのパーティーネームを決めろって言われてね」
「……まだ決めてなかったんですぞ?」
「まあ、特に決める必要もなかったからな」
「そういうことは最初にしっかり決めておくもんですぞ~」
「確かに」
普通であれば、何かしらの志とかを方向性をしっかり見定めで決めるものだ。
今まで出会ってきた冒険者パーティーも、そんな感じの名前にしていたのである。
「名は体を表すを言いますし、しっかり決めるべきことですぞ」
「そうは言っても、パーティーに方向性とか特にない」
冒険者を始めた理由だって、そんな大層なものではなく。
身分の照明的なものが欲しかったからだ。
何かと情報も得られて、魔物を倒したドロップアイテムが目当ての俺には丁度良かった。
「だから、骨の理論でいくと俺らのパーティーネームは身分証になる」
「……身分証って」
「もしくは、最初の冒険者業なんて寄生行為から始めたからパラサイトだ」
パラサイトおじさん。
俺がずーっとソロで冒険者の荷物持ちをしていたらこうなっていただろう。
「あ、一応言っておくけど、親の脛なんか齧ってないからな?」
「はあ?」
「俺はしっかりフリーターして、ゲームに廃課金してたんだから」
子供部屋には住んでない、一人部屋おじさんなのである。
いわゆる、ただのおじさん。
「そんなこと誰も聞いてないですけど……?」
口元をひくつかせる骨に言う。
「今考えてたのは、みんなで名前をつける際に何か面白いゲームをしたくてね」
「じゃんけんではダメなんですか?」
「それだと毎回サモンモンスターの名前決めでやってるから、味気ないんだよ」
「ふむふむ、だったらとびきりの妙案がございますぞ」
「ほう?」
妙案とは、いったいなんなのだろう。
こいつは、もともとは俺と違って友達もたくさんいた女学生だったと聞く。
俺の知らないリア充の遊びとかそんなんを色々と知っているのだろか。
「その妙案とは、すごろくです!」
「すごろく……?」
なんとも在り来たりなアイデアが飛び出してきた。
いやまあ、意外性がないこともないんだけど。
「在り来たりって思ったでしょう? しかし私たちのやっていたすごろくは違いますぞ!」
「たちって、どう言うこと?」
「昔の勇者一行も何かとみんなで決めるのが苦手でした。初めてあったもの同士でしたし」
「うん」
「そんな中、みんなの輪をより強固にするために考え出されたのが、絶対すごろくです」
「絶対……すごろく……」
「まず、マス目にそれぞれがおもいおもいの罰ゲームを書き出します」
「うん」
「そしてその罰ゲームマスに止まったら、絶対にこなさなければならない……そんなすごろくですぞ!」
=====
させたい罰ゲームあったらどうぞ。(あくまで可能な範囲でならば考慮する可能性も微レ存)
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