装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

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本編

633 目には目を、歯には歯を、因果には応報を

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「な、なんだあ……!?」

 キングさんの一撃によって打ち崩された壁の向こう側。
 素っ頓狂な顔をする男たち、そして手を引かれる女。
 女の方は見たことある受付に立っていた女性。
 やはり、この様子を見ていると、こいつが噛んでいたのか。

「あ、あなたは! 助けに来てくれたんですか!」

「えっ?」

「お願いします、助けてください!」

 必死の形相で受付の女性は叫ぶ。

「この人たちがシルビアさんを手にかけたんです!」

「テメェ、どこまでも性根腐ってんな!」

 女性の言葉に、男たちがとんでもないものを見る視線を向けていた。

「おいそこの野郎」

「なんですか?」

「この女を助けに来たってなら、大人しく回れ右しな」

 男の取り巻きたちも一斉に喋る。

「そうだ。依頼をした、受けたその交渉の真っ只中なわけだ」

「口出しされる謂れはねぇよなあ? あくまで取引相手だぜ」

「ほーん」

 半信半疑で聞いていると、彼らはさらに話を続ける。

「結局この場にいる俺らとこの女は同じゲス同士だ」

「おうよ、だから綺麗な目をしてるうちに家に帰れ」

「もし恋人だってんなら、別れた方が身のためだぜ?」

「なるほどね」

 依頼した相手とトラブルになって、連れ去られようとしている様だった。
 なんとも、因果応報というものだろう……。
 それを言わずに助けに来たんですか、とか反吐が出ますよ、ええ。

「とりあえず、一つだけ訂正させてもらっても良いですか」

「……?」

 首をかしげる男と、すがる様な目を向ける女性に対して、俺は言う。

「その人、別に俺の恋人とかそんなんじゃないですよ」

「はあ? だったら尚更なんでここに来たんだよ?」

「そうだぜ、壁突き破ってご大層なことしやがって」

「勘違いでしたって言われても、俺らは弁償はしねえから──」

「──プルァ!」

 ドッ──!

 わらわらと順番に喋る男たちが面倒になったのか。
 言葉を言い終わる前にキングさんの特大の一撃が彼らを襲う。
 手を掴まれていた女性もろとも、全員まとめて薙ぎ払った。

「ぐはっ!?」

 いつもだったら話終わる前に殴っちゃダメだと思うのだが、今日は乗っかる。
 壁に叩きつけられた男のうち一人の襟首掴んで言ってやった。

「俺がここに来たのは、お前ら全員が目当てだ、この野郎」

「う、ぐ……な、なにが……」

「依頼されて今朝襲った屋台の従業員その1なんだわ」

 関係ない?
 大有りだ、馬鹿野郎。

「このクソ女もまとめて叩きのめすから、覚悟しとけ」

「マ、マジかよ……」

「それに、弁償もお前らの手持ちからやれ」

「は、はあ? 壁はテメェらが勝手に」

「プルァッ!」

「ひっ!」

 まだ何か言おうをする男の耳元を、キングさんの水弾が掠った。
 厚い壁をあっさり貫通するほどの威力に、男は言葉を失う。

「状況的には、か弱い女性を手篭めにしようとしてるのを助けに入った」

 つまり、大義名分があるのだ。
 キングさんが怒りに任せて壁を壊してなかったら、殺されていたかもしれない。
 無理やりひどいことをされていたかもしれない。
 かもしれない状況証拠が揃っているから、なんとでも言い訳をすることは可能。

「俺は屋台の従業員、お前らは俺の上司に暴行を加えた悪党」

 ってことは……。

「ここで私的制裁したところで、俺の正義は揺るがないよなあ?」

「プルァァ」

 俺の声に合わせて、ずいっと顔を近づけたキングさんがにたりと笑う。

「は、ひっ……!」

 極めて猟奇的なその笑顔に、男たちは一部泡を吹いて気絶した。
 キングさんはやっぱり覇気が違うな、覇気が。
 ロイ様はもっと理性的なのだが、キングさんはほんとにもう、怖い。

「や、やめて! わ、私は殺さないで全部白状するから!」

 ここに来て、受付の女性の保身。

「だったら壁はあんたを助けるためにぶち破ったって証言してもらえる?」

 彼女には、無理やり連れ去られようとしたって証言をしてもらう。
 そしたらキングさんによるボコボコの刑は無しだ。

「す、する! します!」

「よし、ならあんたはボコボコにしないから、そこで見てて」

「え? み、見てて……いったいなにを……?」

 何をって?
 決まってるだろ、今からこの男たちをシルビアと同じ目に合わせるのだ。
 盗賊とか海賊とか、人に迷惑をかけるやつらには言葉ではなく体に、だ。
 しでかしたことを罪をこれで償う様になるとは思っていない。
 だが、やったことの対価はきっちり利息をつけて払ってもらうのである。

「よし、キングさん」

「プルァ」

 俺の言葉に合わせて、キングさんがゆっくりと男たちに近づいていく。
 狂気に染まった様な、猟奇的な笑顔を振りまきながら、ゆっくりと、じんわりと。

「や、やめ……く、来るな! 来るんじゃねえ!」

「依頼されて仕方なかったんだよ!」

「っていうかそこの女も同類だろうが!」

「うるさい黙れ。悪党の言うことに耳を貸すかよ」

「プルゥゥゥァァァァ」

「頼む! マジで頼むって! ひっ!」

「だったら謝ったら許してやる。土下座しろ。心を込めてな」

 にっこり笑ってそう告げると、男たちは痛む体を必死に起こして土下座していた。
 よほどキングさんが恐ろしかったのか、それはもう綺麗な土下座である。
 だがしかし。

「許すってのは嘘だ。言ったろ、悪党の言うことに耳を貸さないって」

「──っ!?」

 上げて落とし戦法。
 男たちは、この世の終わりの様な表情になっていた。
 そこへキングさんの一撃が炸裂する。

 グシャッ!
 主に顔面に。

「うば」

 グシャグシャグシャグシャ!

「ひっ!?」

 有無を言わさず行われるキングさんの破壊ショー。
 両腕どころか、顔面、両足。
 命に関わらない箇所の骨という骨をへし折っていた。
 目の前でまざまざと見せつけられた受付の女性は失禁する。

 俺もキングさん少しやりすぎでは、と思ったけど。
 ま、いいか。

 人の未来を我欲を持って踏みにじる。
 それが如何に悪いことか思い知らせるのだ。
 殺されないだけまだマシだろう。
 多分、街ではなく森の中だったりしたら間違いなく命はない。
 俺だって手加減することはないし、キングさんは一瞬で消す。

「次シルビアさんに関わったら、あなたがこうなる番ですよ?」

「プルァ」

「は、はひ! も、もう二度と関わりません! 誓います!」

「……ま、その言葉を信じてます。半径1キロ圏内もNGで」

 俺はそれだけ告げて、キングさんを連れてこの場を後にした。
 あとは衛兵の通報しとけば後処理してくれるだろう。
 散々ビビらせたから俺を悪くいう様なことはないはずだ。
 現時点で、あの女はただの被害者だからである。
 ゲスな考えが頭を過ったとしても、被害者ぶるのが一番都合が良いだろうしな。 

 そんな説明が終わってから、俺は事情説明とともに。
 アドラーに解雇の打診を行うことにしよう。
 許されると思ったか、受付の女性目。
 今のうちに安心して生きていろよ、必ずお前も職を失わすからな。







=====
ドラマチックっぽくしようと思ったんですが
歴戦を経てトウジは強くなってることを考えると
描写としてはこんなもんでした。
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