装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

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本編

602 ちょっとした兆しと

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【麒麟の霊核】成功確率:25%
霊装化のスクロールが貼られた武器に使用すると、麒麟の力を借りて強力なスキルと潜在能力を持つことができる。使用に失敗すると武器が破壊される。
=====
潜在能力:INT+5%(霊気マックス時:INT+5%)
スキル:迅雷
スキル効果:雷属性付与、行動速度上昇/60秒

【天使のスクロール】
全ステータス:+20
成功率:100%

【純白のスクロール】
失敗によって消耗したUG回数を一つ戻す。
成功率:10%

【霊装化のスクロール】
霊核を使用できる状態にする。
成功率:10%



 うむ、霊核ゲットだぜ。
 さらに、純白、天使、霊装化のスクロールもドロップしていた。

 ドロップしていた装備に関しては100レベル用の雷属性装備。
 珍しく鎧系で、麒麟装束とか言うのが上下でドロップしていた。

 ……ちなみに、装備に関してはぶっちゃけドロップしても旨味は少ない。
 自分で作った方が強いからね……。

 しかも、女物のちょっとエッチな感じなので、俺は身につけることができない。
 いわば、ただのコスプレ衣装の様な物なのである。

 下装備は、なんかふんどしチックで足先のスリットとかエロい。
 上装備は、チューブトップタイプで胸元がエロい。
 と、とにかくエロい!

 イグニール……は、まだレベルが足りてないから無理だな。
 ゴレオあたりに着せてやるとしようか、行動速度上がるし。

「むふ、むふふ」

「……うーむ、カルマ増えてますぞ。そして邪念を感じます」

「え?」

「ま、邪悪なものという意味ではなく、なんかアホな感じ?」

 ……チッ、魂が見えるやつを相手にすると面倒だな。
 心を読まれる危険性が存在する。

「何を考えているのかわかりませんが、とにかく麒麟の死体を見てどうしたんですか?」

「いや、これは」

 そうだ、こいつらにはドロップアイテム見えないんだよな。
 説明が面倒なので、適当に言い訳しておくとしよう。

「なんか雷化できるっぽいから本当に死んでるか確かめてたんだよ」

「なるほど。でも流石に霊獣と言えど、細切れになると無理ですぞ」

「そうだな」

 骨をそんな会話をしていると、剣聖が近寄ってきた。

「そうだ。私が斬ったんだから、万に一つも生きていることはありえない」

「そ、そっすね」

 相変わらず、自信過剰な性格だ。
 こういうのが一回負けるとめっちゃ凹むんだよなあ。

「しかし、死んでいるか確かめる残心は、重要なことだ」

「え?」

「先ほどのスキルも見事だ。お前はただの雑魚ではないらしいな、トウジ」

「はあ……」

 なんか知らんけど、いきなり態度が軟化した。
 気にしちゃいなかったけど、いちいち毒づかれるのは心にくる。
 だから、言葉の棘が無くなったのは嬉しいが、調子狂うな……。

「サヨ、急な変わりようね。認めたの?」

 この会話に、賢者も加わる。

「ふふん、あれ程の速さの斬撃を放ったのは初めてだ。認めるしかあるまい」

「そうね。麒麟の対応が完全に遅れる速さ、最後の連撃もとんでもなかった」

「全ての行動速度が倍加するスキル……トウジ、お前は戦闘中常にそのスキルを発動させていろ」

「は、はあ……MP消費とかそこまで多くないから別に良いですけど……」

「そうすれば私が目の前にいる敵を全て斬り倒し、守ってやろう。あの力があれば私は無敵だ」

「ど、どうも……」

 な、なんか気持ち悪いよ!
 ぞわぞわするぞー!

 でもあれか。
 こいつは元から敵意というより俺を認めていないだけだった。
 戦力にならない雑魚だという目線が、今回の一件で変わったのだろう。

 ……バカなのかな?
 まあ、単純な思考回路だと面倒が少なくて良いか。

「そうだユウト、麒麟の素材は売れるのかしら?」

「このクラスの魔物は高値で取引されるはずだよ」

「そう、この先の契約代金の支払いも滞りなくできそうね」

「うむ、金を稼ぎ、常に支払い、常にクイックを使って貰うんだ!」

「サヨ……速さの限界を超えたことでトリガーハッピーみたいになってるわね……」

「素振りを続けると、剣の道を行くものならば誰でもそうなるぞ?」

 これだから脳筋は……と呆れる賢者だった。
 勇者も一緒に苦笑いしている。
 一戦交えたことで、なんとも殺伐としていた空気は薄れている様だった。
 これからを考えると、こうして距離を縮めておくのはまだマシか……。
 禊にもなることだろうし、きっかけができてよかっ──

 ──本当にそれで良いのか?

「ッ!」

 頭の中に声が響いた。
 あれから聞こえなくなっていた、久しぶりのアノの声。
 混沌の力の正体的なものだと、予測はついている。
 まったく、どこぞの概念体みたいに俺に何か語りかけようとしてくる声。
 適当に心の中で何か言い返そうとすると、剣聖が俺の顔を覗き込む。

「どうしたトウジ、ちょっとひとっ走りしたいからまたクイックを使ってくれ」

「ああ、いえ、なんでもないです……」

 その時、フヨフヨと光の玉が俺たちの前に飛来した。

「ん? なによこれ」

「霊獣に寄ってきていた小さな雷の精霊かな?」

 賢者と勇者が光を見ながらそんな反応を示すのだが……俺には見覚えがあった。
 こ、これは──!

「お前ら今すぐ距離を──」

 俺が言い終わる前に、声が出なくなった。
 この場にいた全員の動きが、唐突に止まってしまう。

 そう、これはバインド。
 深淵樹海で受けたことのあるバインドスキルだった。
 森の奥からガサガサと音がして、複数人の足音が聞こえてくる。

「ふう……うざったい逸れの麒麟を倒してくれて助かるのう」

「軍師、残り拘束時間15秒」

「報告する前に早うせい、2種類あるからあと30秒近くはいけるでの」

「はっ!」

 確か、このバインドを持っているやつは、魔国軍の奴。
 いったいなぜ、こんなところに。
 魔国とのいざこざは、勇者が魔王の力を併せ持つことで終わったんじゃ……。

「ふん、勇者を母体に混合体をつくるなど、烏滸がましいにも程がある」

 少女は独り言ちる様に言葉を続ける。

「魔王を母体に勇者を入れるべきじゃろう、上層部め、やわな思考しおって」

「軍師! 準備完了です!」

「うむ、妾が魔王の力をより色濃くするでのぉ──魂魄喰らいの引導夜叉よ、こいこい」

 瞬間、月明かりに照らされて、黒い炎、黒い魔法陣が俺たちを包み込んだ。
 そして足元から何かが這い上がってくる感覚。
 目の前にいる剣聖を見ると、足元から鬼が這い上がり、取り憑いている。
 俺の面前にも、鬼が赤い目をまっすぐに向けて、そして食いつい──



「むふふふ、奴らの好きな様にはさせん、傀儡は妾が貰い受けるでのう」







=====
Q 果たしてこいつらはダンジョンにいけるのか。
A 行けと言われて行くと言ったがいけるとは言ってない。
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