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本編
598 …………。
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勇者一行(笑)と、三十路のおっさんと骨の旅が幕を開けた。
俺はもちろんダンジョンコアとの対話を義務付けられている。
つまるところ、最奥までいかなあかんのですよ……。
「トウジ様~、バッタが飛んでますぞ~!」
「はーい、どうもー」
「切り返しが謎ですぞ! しっかり突っ込んでいただかないと!」
「やだよ、面倒臭い」
「冷たいですぞ~」
適当に骨の相手をしつつ、俺はマップ機能を展開していた。
今の俺の精神状態は極めて良好。
会いたいな、会いたいな、なんてホームシックも懐かしい。
グループにぶち込んでいたイグニールとジュノーの表示。
それが、徐々にクロイツにまで接近しているのだ。
旅前にクロイツ周辺の地図を登録した時に気がついた。
そうだよ。
一人になってもなんの心配のいらないのである。
しかし……。
そこそこの勢いで接近しているのだが、どうなっているんだ?
ウィンストがチビの背中にみんなを乗せてくれているのだろうか?
まあ、なんでも良い。
みんなが来てくれるならば、俺は頑張れる。
生きる気力が、活力が湧いてくる。
──ぐぅぅ。
そう考えていると、お腹がなった。
「ぞっ?」
「おっ?」
俺の方を振り返り、骨もなにやら嬉しそうな顔をしている。
「朗報の音ですぞ~」
「そうだな、今日はご飯を食べられるかもしれない」
本当に朗報だぞ、これは。
もっとも、結局のところ根本的な解決にはなってない。
が、しかし、みんなが集まればなんとかなる気がした。
最召喚されて、みんなと離れ離れになって。
それから急に味を感じなくなり食欲がなくなった。
変な声も聞こえたし、これはひとえに魔王の力的なものが悪さをしている。
そういう風に捉えていたのだけど、単純に色々とストレスで食欲不振になっていただけだったのだろうか?
あれから声だって聞こえてこないし、多分そうなのだろう。
「断食解禁一発目は、骨を食べますか?」
「食べないです、犬じゃないんで」
いや、犬も食わん。
かじるだけだ。
「いや、飯を食うという意味ではないんですぞ~」
「はあ? 他とかもっとねーよアホか! 死ね!」
淫乱な骨とか、誰に需要あるんだよ。
見た目はどこをどう取り繕ったとしても骨。
これに欲情する奴がいるなら連れてこいよ。
本当にいるんだったら俺は頭全剃りするぞ。
「それはさておき、今まで第三骨の立場からあなた方の様子を見ていましたが」
「うん」
……第三骨って、第三者で良いのか?
わかりにくい小ネタぶっ込んで来ても対応できないぞ。
「カルマの原因は一部、勇者にあると言っても過言では無いですぞ」
「ええ……」
「敵視は業の一つにございますぞ」
なるほど、ってことは、勇者がのカルマが俺に来ている。
そう言うことか。
「もっとも金銭的要求をした後に膨大になりましたが」
「それは受け入れるよ」
自分のやっていることについては大いに受け止めよう。
だがしかし、とばっちりだけは嫌なのだ。
「教祖としてどう思う、どう回避したらいい?」
「仲良くしたらいいんじゃ無いですか?」
「──それは無理だ!」
「まーた怖い顔……それほどまでに何か確執があったんですかね?」
「……いや、明確な確執があった訳では無いけど」
ウィンストの件も結局は彼を正気に戻して終わった。
彼の同胞たちを殺した勇者とのいざこざは俺には関係ない。
──だがしかし。
──許せないものは許せないのだ。
──何が許せない?
いや、そう言う次元の問題ではないと、すでに──。
「──はっ! ごめん、また話聞いてなかった!」
「……話を戻しますが、カルマに関しては一つ自らの受け入れが重要ですぞ」
「それが簡単にできるならば、こうして長きにわたり苦しんではない」
「ふーん、まあこの話はやめておきましょう。誰と話してるかもわからなくなりますし」
「……ごめん、また会話飛んだ」
どこまで話したっけな……。
カルマの原因とどうやってこれを乗り切るかだっけ。
でもまあ、解決策が一つある。
「空腹を感じたこともそうだが、朗報だぞ骨」
「ほいほいなんでしょう? なんだか希望に満ち溢れた良い顔ですね?」
「ああ、もう直ぐ、大切な仲間が来るんだ」
「お仲間さん? ああ、再召喚の折にギリスに残して来たっていう?」
「うん。最近色々とストレス溜まりっぱなしだったけど、みんなが来てくれればこの状況でも俺は頑張れる」
ポチに癒されたい、ゴレオと日向ぼっこしたい。
コレクトと宝探ししたい。
ジュノーとダンジョン作りたい、イグニールにただ会いたい。
「あまり依存するのは良くないですぞ?」
「依存、かあ……」
否定はできないな、色々と。
まあしかし、細かいことは後で考えよう。
俺一人でどうにかできる問題じゃなかったんだ、そもそも。
禊だって、ポチやゴレオたちが後押ししてくれた。
俺にはあいつらが必要だ、必要。
うん、必要。そう必要。ダメだな、弱ってるよ。実に弱い。
「そのお仲間さんが来るのは結構なことだと思いますが……」
「ん?」
「あくまでカルマを背負っているのは貴方一人だということを忘れないことです」
「物騒な言い回しだな……はっきり言えよ」
「今の貴方には、なんらかの死相が見えていますから、逆に仲間を危険に晒すのでは?」
「………………」
「あっ、そんな悲しいんだか怒ってるんだかわからない顔しないでくださいですぞ! 貴方には教祖の私がついておりますし、私はもう死んでて何があっても今後死ぬことはないですから、優良物件ですぞ?」
……そうだった。
巻き込みたくないから、俺はアクションを起こさなかった。
勇者と敵対したくないから、戦力となるあいつらを呼ばなかった。
一つの疑問が頭に生まれる。
イグニールやポチたちがここに近づいて来ている。
果たして、それはそれでいいのか……?
=====
ちゃーんとみんな揃いますよ~
俺はもちろんダンジョンコアとの対話を義務付けられている。
つまるところ、最奥までいかなあかんのですよ……。
「トウジ様~、バッタが飛んでますぞ~!」
「はーい、どうもー」
「切り返しが謎ですぞ! しっかり突っ込んでいただかないと!」
「やだよ、面倒臭い」
「冷たいですぞ~」
適当に骨の相手をしつつ、俺はマップ機能を展開していた。
今の俺の精神状態は極めて良好。
会いたいな、会いたいな、なんてホームシックも懐かしい。
グループにぶち込んでいたイグニールとジュノーの表示。
それが、徐々にクロイツにまで接近しているのだ。
旅前にクロイツ周辺の地図を登録した時に気がついた。
そうだよ。
一人になってもなんの心配のいらないのである。
しかし……。
そこそこの勢いで接近しているのだが、どうなっているんだ?
ウィンストがチビの背中にみんなを乗せてくれているのだろうか?
まあ、なんでも良い。
みんなが来てくれるならば、俺は頑張れる。
生きる気力が、活力が湧いてくる。
──ぐぅぅ。
そう考えていると、お腹がなった。
「ぞっ?」
「おっ?」
俺の方を振り返り、骨もなにやら嬉しそうな顔をしている。
「朗報の音ですぞ~」
「そうだな、今日はご飯を食べられるかもしれない」
本当に朗報だぞ、これは。
もっとも、結局のところ根本的な解決にはなってない。
が、しかし、みんなが集まればなんとかなる気がした。
最召喚されて、みんなと離れ離れになって。
それから急に味を感じなくなり食欲がなくなった。
変な声も聞こえたし、これはひとえに魔王の力的なものが悪さをしている。
そういう風に捉えていたのだけど、単純に色々とストレスで食欲不振になっていただけだったのだろうか?
あれから声だって聞こえてこないし、多分そうなのだろう。
「断食解禁一発目は、骨を食べますか?」
「食べないです、犬じゃないんで」
いや、犬も食わん。
かじるだけだ。
「いや、飯を食うという意味ではないんですぞ~」
「はあ? 他とかもっとねーよアホか! 死ね!」
淫乱な骨とか、誰に需要あるんだよ。
見た目はどこをどう取り繕ったとしても骨。
これに欲情する奴がいるなら連れてこいよ。
本当にいるんだったら俺は頭全剃りするぞ。
「それはさておき、今まで第三骨の立場からあなた方の様子を見ていましたが」
「うん」
……第三骨って、第三者で良いのか?
わかりにくい小ネタぶっ込んで来ても対応できないぞ。
「カルマの原因は一部、勇者にあると言っても過言では無いですぞ」
「ええ……」
「敵視は業の一つにございますぞ」
なるほど、ってことは、勇者がのカルマが俺に来ている。
そう言うことか。
「もっとも金銭的要求をした後に膨大になりましたが」
「それは受け入れるよ」
自分のやっていることについては大いに受け止めよう。
だがしかし、とばっちりだけは嫌なのだ。
「教祖としてどう思う、どう回避したらいい?」
「仲良くしたらいいんじゃ無いですか?」
「──それは無理だ!」
「まーた怖い顔……それほどまでに何か確執があったんですかね?」
「……いや、明確な確執があった訳では無いけど」
ウィンストの件も結局は彼を正気に戻して終わった。
彼の同胞たちを殺した勇者とのいざこざは俺には関係ない。
──だがしかし。
──許せないものは許せないのだ。
──何が許せない?
いや、そう言う次元の問題ではないと、すでに──。
「──はっ! ごめん、また話聞いてなかった!」
「……話を戻しますが、カルマに関しては一つ自らの受け入れが重要ですぞ」
「それが簡単にできるならば、こうして長きにわたり苦しんではない」
「ふーん、まあこの話はやめておきましょう。誰と話してるかもわからなくなりますし」
「……ごめん、また会話飛んだ」
どこまで話したっけな……。
カルマの原因とどうやってこれを乗り切るかだっけ。
でもまあ、解決策が一つある。
「空腹を感じたこともそうだが、朗報だぞ骨」
「ほいほいなんでしょう? なんだか希望に満ち溢れた良い顔ですね?」
「ああ、もう直ぐ、大切な仲間が来るんだ」
「お仲間さん? ああ、再召喚の折にギリスに残して来たっていう?」
「うん。最近色々とストレス溜まりっぱなしだったけど、みんなが来てくれればこの状況でも俺は頑張れる」
ポチに癒されたい、ゴレオと日向ぼっこしたい。
コレクトと宝探ししたい。
ジュノーとダンジョン作りたい、イグニールにただ会いたい。
「あまり依存するのは良くないですぞ?」
「依存、かあ……」
否定はできないな、色々と。
まあしかし、細かいことは後で考えよう。
俺一人でどうにかできる問題じゃなかったんだ、そもそも。
禊だって、ポチやゴレオたちが後押ししてくれた。
俺にはあいつらが必要だ、必要。
うん、必要。そう必要。ダメだな、弱ってるよ。実に弱い。
「そのお仲間さんが来るのは結構なことだと思いますが……」
「ん?」
「あくまでカルマを背負っているのは貴方一人だということを忘れないことです」
「物騒な言い回しだな……はっきり言えよ」
「今の貴方には、なんらかの死相が見えていますから、逆に仲間を危険に晒すのでは?」
「………………」
「あっ、そんな悲しいんだか怒ってるんだかわからない顔しないでくださいですぞ! 貴方には教祖の私がついておりますし、私はもう死んでて何があっても今後死ぬことはないですから、優良物件ですぞ?」
……そうだった。
巻き込みたくないから、俺はアクションを起こさなかった。
勇者と敵対したくないから、戦力となるあいつらを呼ばなかった。
一つの疑問が頭に生まれる。
イグニールやポチたちがここに近づいて来ている。
果たして、それはそれでいいのか……?
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ちゃーんとみんな揃いますよ~
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□□□□
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