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本編
586 アップデート入りました
しおりを挟む【カオスアビリティ】
・解放可能
・Lv120より解放
・Lv140より解放
何故かステータスウィンドウの下にプルダウンメニューとして出現していた。
このカオスアビリティという機能。
ネトゲの世界にも存在していたプレイヤー強化要素の一つだった。
アビリティはスキルではなく、特殊効果のような立ち位置だ。
要するにサモンモンスターの特殊能力をプレイヤー自身が得られるような形。
ステータス補助から、ダメージやクリティカル率、ケテル獲得量、ドロップ率。
さらにはバフ時間、召喚時間延長などまで幅広くカバーするもの。
例えば……。
【カオスアビリティ】
・レア/STR+10
・レア/クリティカル率+5%
・レア/バフ時間延長+5%
こんなニュアンスである。
それぞれのアビリティに等級が存在し、5段階。
レア・エピック・ユニーク・レジェンド・ゴッド。
この範囲内でアビリティの強さが大きく変わって来る。
ゴッド等級アビリティの能力だとレアよりゴツいのだ。
一度解放した瞬間から、そのアビリティは固定される。
アビリティを変更する方法は、お金の消費。
最小単位は100ケテルで、そこから桁が増えて行く形だ。
・100ケテル……解放等級/レア
・1000ケテル……解放等級/レア~エピック
・1万ケテル……解放等級/レア~ユニーク
・10万ケテル……解放等級/エピック~レジェンド
・100万ケテル……解放等級/ユニーク~ゴッド
見てわかる通り、最初からゴッドを引ける分、金食い虫だ。
さらに完全ランダムだから、ゴッド等級を引いたとしても。
俺が求めるようなアビリティを得られない可能性がある。
求めるアビリティが来ても、それが弱い等級などの可能性もある。
そして、今は一個だけしか解放できないが……。
例えば三つ解放するとして。
そのうち一つに良きアビリティがゴッドで来たとする。
でも残りの二つがクソだったから再開放した際。
全てのアビリティが変わっちゃうんだな、これが……。
一つだけを変える、なんてことはできないのである。
カオスアビリティの説明終わり。
「それにしても……この発現条件ってクエストだったはず……」
ネトゲ内にしかない前提クエストを終わらせることで手に入るものだ。
まさかとは言わんが、この召喚がその前提だったとでも言うのか?
謎すぎる……迷宮入りした。
「まあいいか」
とにかく新たな力が手に入った、としておこう。
カオスという響きがどことなく混沌たる魔王の力を連想させるが、気にしない。
このカオスアビリティに関しては、ケテル獲得量、ドロップ率、召喚時間延長。
この三つを揃えたいと思った。
召喚時間というのは召喚系スキルの時間延長だが、霊装顕現にも適応される。
キングさんを追い越して、今の戦力トップは邪竜三兄弟。
こいつらの権限時間が長くなれば長くなるほどに、有利に働く寸法だな!
ちなみに、サモニング図鑑の召喚はスキルによるものではない故に、適応外。
そもそも、ずっと召喚していられるから、時間は関係ないからだな。
──コンコン。
そんなことを考えているとドアが開いた。
「失礼しますトウジさん」
「……どうも」
ドアを開けて入って来たのはアドラー5世。
お話の時がいよいよやって来たって訳だね。
少しドキドキしていると、彼は言った。
「部屋は快適ですか?」
「ええまあ、すごく快適です」
この辺に関しては、ガチでしっかりと豪華な部屋を用意してくれた。
だから文句はない。
しかし、マクラスもいなければポチもジュノーもいないベッド。
なんとも寂しく感じてしまう30歳おっさんだった。
「急な召喚に、寂しい思いをさせてしまい申し訳ありません」
「いえいえ大丈夫です。呼ばれてしまったことは仕方ないですから」
頭を下げるアドラーに慌てて手を顔を横に振る。
以前の、異世界とのファーストコンタクト。
それは、なんとも使い物にならない侮蔑の視線と放逐待遇。
厚遇には未だなんとも慣れない感情が渦巻いていた。
「何か御用などがあれば、すぐにお付きの専属侍女にお申し付けを」
「いやぁ、ハハハ……」
侍女、すなわちお付きのメイドを用意してもらっているのだが……。
とてもじゃないが、いち庶民の俺にはどう扱っていいのか困ったものだ。
服は自分で着替えれるし、飲み物だってインベントリにある。
空気のように待機していたとしても、人に見られながら生活するのは疲れるものだ。
そもそも部屋に入って欲しくない。
ずっと一緒に生活してきて、秘密を知るジュノーやポチなら良いのだけど。
見ず知らずの人はちょっと……。
「そうだ、急な召喚でしたが食事は摂られてましたか?」
「いえ、食べ損ねました」
ポチとおっさんのお魚フルコース……。
くうー、少し待ってくれよな、ほんとに。
口まで数センチの距離だったんだぞお!
「では、お話がてら夕食にしますか」
「……そうっすね」
気が重いのだけど、従うほかならない。
こいつはこの国の王だから、逆らうことはいかんだろう。
たとえこいつが許したとしても、周りが許さないのだ。
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