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本編
554 エルカリノ討伐戦・7 逝き地獄
しおりを挟む「くっ、ああっ! なんなんやー! くぅ~~!」
「ほんとね! なんなのかしらこれ! んッ!!」
「ふああああ~なんか力抜けちゃった~ぅぁぁ~」
そんな三者三様の様子となっている女性陣がモンモンとしている中である。
一方トウジの方はと言うと……。
◆
「あーっ! やっぱブニー出さない方がよかった!」
船に張り付きながら、もう何度果てたことか……。
船ニー。
くそ!
出さなきゃよかったんだが、ブニーがめちゃくちゃ頑張ってくれている。
俺の想像していたよりも、遥かに多くの海賊たちを叩き落としていた。
さらに、怪物っぽく恐ろしく演技しろと言ってある分もしっかりこなす。
「ォォォォォオオオオオオ! ホギュァアアアアアアア!!」
「うわああああああ!?」
「ク、クラーケンって咆哮なんてあげるのかよ!?」
「うわっ! す、墨だ! 墨を吐きやがった!」
「みんなにげろー! にげろおおおおおお!」
普段は出さないクラーケンのガチ雄叫び。
海シリーズはみんな「ォォォォ」かと思っていたんだが、ブニーは「ホギュアア」もいけるらしい。
どこからそんな声を出しているのか知らんけど、まあ聞こえるからそういうことにしておいてくれ。
そして、新たな技である墨なんだが……。
これがなんと船を溶かすんだわ……。
煙幕兼、溶解液の様な性質を持っているらしく。
武器にも用いることが可能とのこと。
さて、溶解液が船についてじわじわとかして行く。
この事実がどういうことかわかるかな?
一つ、ブニーの特殊能力についておさらいしておこう。
【サモンカード:クラーケン】
等級:ユニーク
特殊能力:攻撃時・被撃時10%の確率で快感を得る
溶解液の攻撃が永続的に行われている様な状況だ。
はい、必ず快感が押し寄せて来ます。
連続でとんでもない勢いで、マジで、墨やめろ!
「あああああーっ!」
ヤベー!
マジでヤベー!
快感が一瞬だけとかだったら、まだマシだった。
しかし、連続だと思った以上にキツイ。
「ォォォォォオオオオ!」
「ギャアアアアアアア!」
「は、早く攻撃しろー!」
攻撃するなー!
攻撃しても被撃時も条件なんだぞ!
お試しで使って見たのだけど。
今後一切ブニーの登用はやめにしようかって思った。
ブニーも、この一回のチャンスを無駄にしないためか。
頑張る。
とにかく頑張ってくれて、めちゃくちゃ船を落とす。
海賊たちを海に落とし、ワルプの異常状態ハメに。
「くっ、頑張ってくれてるからこそ戻し辛いぞこれ!」
我慢しても我慢しても、波が押し寄せて決壊。
あっ、世界平和。
あっ、宇宙平和。
あっ、人類皆兄弟。
これ……俺のグループに入っているみんなは大丈夫かな?
いや、マジのガチで。
グループリストにある名前はライデン、イグニール、マイヤー、ジュノー。
そしてカリプソ。
男装の女性は、グループ員俺を含めて6人制限に引っかかってダメだった。
こりゃ、カリプソも船でとんでもない目にあってるだろうな、うあっ!
ビリビリ、ビリビリビリ。
海面に電流が伝っている。
そうか、特殊能力は召喚したサモニング図鑑の連中にも乗っかる。
ビリーも堪えきれずに放電してしまっている様だった。
なんかすごく巨大な魚が電流で痺れて海面に浮かび上がっている。
「ワルプー、魚集めといてくれ!」
「ォォォ……」
従順で真面目で優しいワルプが少し動くのをためらっていた。
だよな……。
若干海流操作が乱れて船同士がぶつかって混乱が起こっている。
お前も、結構色々と厳しい状態なんだよな。
船の衝突による混乱によって、さらにブニーが大暴れ。
状況は、すごく良い。
奇襲は成功して、混乱に混乱を重ねて一気に船が沈む。
しかし。
しかーし!
戦いが白熱すれば白熱するほどに、俺の息子も白熱。
もう、いろんな所が敏感になってしまった。
これは麻薬にも近い効果かもしれない。
将来、なんかそういうことをする時に召喚しておくといいかもね。
感度マシマシになって、たぶんえらいこっちゃだろう。
「んなこと考えてる場合じゃない! パ、パンツと擦れるだけでやべえ!」
ブニー!
一旦ストップしろ!
もう海賊船はいいから!
海賊船はいいからー!
だが、俺の思いは届かない。
叫び声をあげたら、せっかくの隠密作戦が台無しとなってしまう。
必死にブニーいい加減にしろ、と念じるのだけど。
「ホギャアアアアアアアアアアアアア!」
ええ、通じてません。
精一杯、怪物役を演じてくれています。
どうしたらいい。
ビリーを一旦戻して、ワシタカくんに乗って離脱するか?
いや、ワシタカくんが空中でイってしまったらまずい。
海に真っ逆さまになってしまう。
お、恐ろしい子!
ブニー恐ろしい子!
ど、どうしよう。
どうしよう!
焦燥感と快感が入り混じる謎の感情に苛まれながら考える。
も、戻そう。
もういいや、ブニーもういい。
そう決心がついたところで、今度は目の前に巨大な水柱が上がった。
──ドボオオオオオオオオオオオオン!
「こ、今度はなんだ!? な、なんだー!?」
「シーモンクが呼び寄せるのは一体だけじゃなかったのか!?」
「あのクラーケンじゃないのかー!?」
海賊たちの叫び声。
俺も船の横にへばりつきながら水柱に視線を向けると。
なんと水柱の中から、三又の槍を持った巨人が姿を現した。
巨人が喋る。
『旧友の助けを求める声に呼ばれて来てみれば……いったい何の有様だ……』
なんだこいつ!?
「ポ……ポセイドン……」
「ポセイドンまでやって来やがったー!」
ポ、ポセイドン!?
そ、それって海の神様みたいな存在だよね!?
マジか!?
◆
一方その頃。
「くっ、なんで治らないんだ! こ、このままだと眠れないし、あだ名が夢精マンになってしまう……!」(ライデン)
「「「あう……くぅ……ぅぅ……ァっ……」」」(女性陣3名)
=====
ずっと攻撃時(与撃)だと考えてたんですが、被撃時だったので特殊能力に攻撃時と追加しました。
申し訳ないです。
ナマナマしい描写を書くのはちょっと違うと思ったんで、こんな感じでよろしくお願いします。
トウジが「あーっ」な時も、みんな「あーっ」してます。
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