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本編
451 任命されしは露払い
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「ワイバーンライダーが巣食っている場所は、ここから3日ほどかけて歩いた先の山中だ」
「そこまでの露払いをすればいいんですか?」
「そういうことだ」
聞き返すと、ドルジは頷きながら言う。
「一番危険なワイバーンライダーとの戦闘は、ギリスでも名のある我ら《鉄壁》と、元クランとして我らと同列にいた《編み髪》のパーティーを主体として連携を取る」
だからできるだけ体力の温存。
そしてスキルの使用における魔力の消費を抑えておきたいとのこと。
正直、その案は受け入れづらいと感じた。
どの場面でも、人数的な有利ってすごく大きいのである。
一騎当千とも言える圧倒的な力があれば温存も良い。
しかし、冒険者はランクである程度の実力帯がわかる。
ランクAで一騎当千なんて、かなり希少だ。
それこそパーティー組んだり、クラン作ったり。
一騎当千とも言える人物が設立した場合。
目立ってAランクなんかには収まりきれないだろ、と思うのだ。
「《名無し》も《平々凡々》も、ランクAに到ってまだ長くないと説明を受けた。故に我らや戦闘経験が一応豊富な元《編み髪》で依頼の遂行に当たらせてもらう」
「なるほど」
ランクAだとされる実力は理解するが、信用はしていない。
つまるところ、そう言うことなのだろうな。
ここからワイバーンライダーのいる場所までは、グリフォンやトロールのほか様々な魔物が出現する。
どうやら、その辺の露払いにて俺たちの実力を再度確認しておくつもりなのだ。
「わかりました、何か指示があれば遠慮なくお願いします」
「うむ、動き次第では、パーティーのクラン入りを検討してもいい」
出た、クラン入りを検討すると言う言葉。
これは恐らく相手を頑張らせるための口上だ。
有名クランと行動するともなれば、普通のパーティーはクラン入りを目指して奮起する。
サルトのスタンピードの時も、活躍して有名クラン入りを目論む冒険者はたくさんいた。
「ハハ、どうも」
適当に笑って受け流しておく。
残念ながら、クランに加入するつもりはまったくないので、こいつらの評価はどうでもいい。
しっかり動いて、ギルドへの報告をきっちり行ってもらえたらそれで良いのである。
「じゃ、すぐに発つから、その時はよろしく頼むぞ」
「はい」
ドスドスと去って行く、まるで関取みたいなドルジの背中を見送った。
「まあ、主力温存と他が露払い担当なんて、こういう依頼じゃよくあることだぜ?」
俺より先に話を受けていたノーマリーが、やれやれと首を振りながら近づいてくる。
「どう考えても、全員で連携してことに当たった方がいいと思いますけどね」
「俺もそう思うんだが、鉄壁さんはトウジの強さを知らんと見た」
「まあ、特にひけらかしてもないですから」
「そうだよなあ。海賊との戦いの後、トウジの名前を久々に聞いたのは、オーガの一件くらいなもんだし?」
「あ、それは耳に入ってたんですね?」
「おうよ。まあロック鳥もちの冒険者がいるってくらいの情報が流れてきたくらいだけど、俺は一発でお前さんだってわかったぜ」
まあ、海賊との戦いを見ていた人なら。
さらに一緒に戦っていた人なら、だいたい想像はつくだろう。
やっぱりワシタカくんは目立つな、なんて考えているとノーマリーはニヤケながら言う。
「あいつら、だいぶ侮ってたみたいだから、トウジがロック鳥とか召喚したら度肝を抜かすんじゃないのか?」
「うーん……まあ本当にやばい時くらいしか出しませんよ……?」
「どうしてだ?」
「ロック鳥を出して悪目立ちして、ターゲットが目星をつけた場所から移動したら面倒でしょう?」
Aランクパーティー複数で討伐可能な相手。
ワシタカくんがいたら余裕でこなせる範囲の依頼だ。
キングさんが生物の大王だとしたら、ワシタカくんはその傘下の空の王。
そんなのがウロついて、俺がワイバーンライダーだったら即撤退してるね。
「よく考えてるなあ、さすがだわ」
「あとは、指示に従わずに下手に動いて、顰蹙を買うのも面倒ですよ」
「それはわかるぜ。二つの主力パーティーがなんかぎくしゃくしてる状況だからなあ」
下手を打てばこっちに飛び火しかねない。
ややこしい状況に囲まれている際の対処法。
それは我関せずを行く。
日本人、そこは一番得意な分野ですよ
「俺たちは指示通り、可能な限り速やかに他の魔物の露払いを頑張りましょう」
「そうだな! よろしく頼む。立場が似たやつがいて気が楽だぜ」
「俺もです」
俺とノーマリーは固い握手を交わして、話を終えた。
他にも、伝えていないがワシタカくんを登用しない理由はまだある。
海賊との戦いの後、他の冒険者からの勧誘がしつこかった。
受付とかギルドに頼んで勧誘お断りしているレベルなのである。
下手に目立って勧誘がクランからにまでなったらもう面倒この上ない。
冒険者ギルドでも、大口の依頼請負口であるクランの力はそれなりに強い。
断ったら角が立つような奴らからは、是非とも逃れるべきなのだ。
俺レベルのたとえ話をするならば、バイト先で社員にならないかと言われて断る感じ。
もうね、気まずくて気まずくて、バイトを辞める羽目になったこともあったんだよな。
向こうが断らないだろう、とか思って言い放つ言葉。
それって良かれと思って言ってる……と向こうが思ってる分、断った側が悪になる。
普通に理不尽だよね?
まじ許せんわー。
「そこまでの露払いをすればいいんですか?」
「そういうことだ」
聞き返すと、ドルジは頷きながら言う。
「一番危険なワイバーンライダーとの戦闘は、ギリスでも名のある我ら《鉄壁》と、元クランとして我らと同列にいた《編み髪》のパーティーを主体として連携を取る」
だからできるだけ体力の温存。
そしてスキルの使用における魔力の消費を抑えておきたいとのこと。
正直、その案は受け入れづらいと感じた。
どの場面でも、人数的な有利ってすごく大きいのである。
一騎当千とも言える圧倒的な力があれば温存も良い。
しかし、冒険者はランクである程度の実力帯がわかる。
ランクAで一騎当千なんて、かなり希少だ。
それこそパーティー組んだり、クラン作ったり。
一騎当千とも言える人物が設立した場合。
目立ってAランクなんかには収まりきれないだろ、と思うのだ。
「《名無し》も《平々凡々》も、ランクAに到ってまだ長くないと説明を受けた。故に我らや戦闘経験が一応豊富な元《編み髪》で依頼の遂行に当たらせてもらう」
「なるほど」
ランクAだとされる実力は理解するが、信用はしていない。
つまるところ、そう言うことなのだろうな。
ここからワイバーンライダーのいる場所までは、グリフォンやトロールのほか様々な魔物が出現する。
どうやら、その辺の露払いにて俺たちの実力を再度確認しておくつもりなのだ。
「わかりました、何か指示があれば遠慮なくお願いします」
「うむ、動き次第では、パーティーのクラン入りを検討してもいい」
出た、クラン入りを検討すると言う言葉。
これは恐らく相手を頑張らせるための口上だ。
有名クランと行動するともなれば、普通のパーティーはクラン入りを目指して奮起する。
サルトのスタンピードの時も、活躍して有名クラン入りを目論む冒険者はたくさんいた。
「ハハ、どうも」
適当に笑って受け流しておく。
残念ながら、クランに加入するつもりはまったくないので、こいつらの評価はどうでもいい。
しっかり動いて、ギルドへの報告をきっちり行ってもらえたらそれで良いのである。
「じゃ、すぐに発つから、その時はよろしく頼むぞ」
「はい」
ドスドスと去って行く、まるで関取みたいなドルジの背中を見送った。
「まあ、主力温存と他が露払い担当なんて、こういう依頼じゃよくあることだぜ?」
俺より先に話を受けていたノーマリーが、やれやれと首を振りながら近づいてくる。
「どう考えても、全員で連携してことに当たった方がいいと思いますけどね」
「俺もそう思うんだが、鉄壁さんはトウジの強さを知らんと見た」
「まあ、特にひけらかしてもないですから」
「そうだよなあ。海賊との戦いの後、トウジの名前を久々に聞いたのは、オーガの一件くらいなもんだし?」
「あ、それは耳に入ってたんですね?」
「おうよ。まあロック鳥もちの冒険者がいるってくらいの情報が流れてきたくらいだけど、俺は一発でお前さんだってわかったぜ」
まあ、海賊との戦いを見ていた人なら。
さらに一緒に戦っていた人なら、だいたい想像はつくだろう。
やっぱりワシタカくんは目立つな、なんて考えているとノーマリーはニヤケながら言う。
「あいつら、だいぶ侮ってたみたいだから、トウジがロック鳥とか召喚したら度肝を抜かすんじゃないのか?」
「うーん……まあ本当にやばい時くらいしか出しませんよ……?」
「どうしてだ?」
「ロック鳥を出して悪目立ちして、ターゲットが目星をつけた場所から移動したら面倒でしょう?」
Aランクパーティー複数で討伐可能な相手。
ワシタカくんがいたら余裕でこなせる範囲の依頼だ。
キングさんが生物の大王だとしたら、ワシタカくんはその傘下の空の王。
そんなのがウロついて、俺がワイバーンライダーだったら即撤退してるね。
「よく考えてるなあ、さすがだわ」
「あとは、指示に従わずに下手に動いて、顰蹙を買うのも面倒ですよ」
「それはわかるぜ。二つの主力パーティーがなんかぎくしゃくしてる状況だからなあ」
下手を打てばこっちに飛び火しかねない。
ややこしい状況に囲まれている際の対処法。
それは我関せずを行く。
日本人、そこは一番得意な分野ですよ
「俺たちは指示通り、可能な限り速やかに他の魔物の露払いを頑張りましょう」
「そうだな! よろしく頼む。立場が似たやつがいて気が楽だぜ」
「俺もです」
俺とノーマリーは固い握手を交わして、話を終えた。
他にも、伝えていないがワシタカくんを登用しない理由はまだある。
海賊との戦いの後、他の冒険者からの勧誘がしつこかった。
受付とかギルドに頼んで勧誘お断りしているレベルなのである。
下手に目立って勧誘がクランからにまでなったらもう面倒この上ない。
冒険者ギルドでも、大口の依頼請負口であるクランの力はそれなりに強い。
断ったら角が立つような奴らからは、是非とも逃れるべきなのだ。
俺レベルのたとえ話をするならば、バイト先で社員にならないかと言われて断る感じ。
もうね、気まずくて気まずくて、バイトを辞める羽目になったこともあったんだよな。
向こうが断らないだろう、とか思って言い放つ言葉。
それって良かれと思って言ってる……と向こうが思ってる分、断った側が悪になる。
普通に理不尽だよね?
まじ許せんわー。
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