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第三話 第五章
第八節
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『あれ飴だったのか……てっきり肋骨とか何かの骨だと思ってた…』
「……成程、だからこそチェルシーのモップでの一撃をあんな形で受け止められたのか…」
熱せば柔らかく冷やせば固い。まあ球体だから普通だとは言えないが、不自然な受け止め方をしたのはそれが原因であろう。
「だがそう呑気に構えられないな…流体に固体、柔らかいと固い、粘度があり物質の二つの面を持っている分、防御面に関して言えば隙無しかもしれん」
しかも要となる体内の飴は無尽蔵だとも言った。あんな巨大な要塞を作り上げ籠られた以上、斃すのは門司や大和でも骨が折れそうである。
「チェルシーは俺の知る限り攻撃力はそこまで高いわけない。果たして攻略できるのか?」
『大丈夫だって』
そんな門司の心配を大和は一蹴する。
『アイツは従者だぜ、俺はアイツが期待を裏切った瞬間を見た記憶がねぇ…何とかするさ』
「…ああそうだな……」
主である大和がそう言ったのだ、だったら問題は無い。
心配するなとエルマに講釈を垂れていた癖にコレか…と心配性な自分を少々恥ずかしく思いつつ門司は視線を場へと戻した。
「成程ぉ、中々に見事な【演目】ですねぇ、これだけのものを作り上げるとは…」
「だろ~う。さあコレで俺の望~んだ戦いが出来るって訳だ…」
言った瞬間先程と同じように突起物。飴で出来た棘を弾丸のように撃ち出したドロップ。
弾いたり躱したり先程と同じようにチェルシーは対応する。
「しかしぃ、先程と同じ撃ちあいのみの展開は一辺倒過ぎるかと…少々見せ場が欠けますねぇ~」
「そ~ぉ?俺は好きだけれ~どね…目の前で君が踊り狂う様は……それ~に……」
「!?」
足元に違和感を覚え、一瞬視線を移したチェルシー。そこには射出された飴の棘が形を変え足元に絡みついていた。
よく見ると棘は全て溶けており、水たまりのように辺り一面に点在していた。
【演目】『砂糖で出来た神話 神聖創造 沼』
「踊りもどんど~んと難しく、たいへ~んになっていくんだからぁ~」
脚に絡みついた飴に一瞬動きを止められる。そこに棘が大量にチェルシーへと突き刺さる。
先と同じく『三幕 ロマンス 逃避行 』チェルシーは何とか躱すことが出来た。
「う~ん惜しいッ、ようや~く君の身体を捉えれたと思ったの~にまだ焦らさ~れるの」
「それは申し訳ありませんねぇ、ですが身体をそう安売りしないのも良い従者の条件だと思っておりましてぇ」
そう言いつつフォークとナイフを投擲したチェルシー。だが飴で出来た要塞の外壁に刺さるのみ。ドロップには一切届かない。
「あっは、流石にそ~れは無理だ……」
言葉と途中で更にモップも投げ槍の如く投擲したチェルシー。
すると刺さっていたナイフの柄に当たる。要塞の一部を穿ち継ぎ矢のようにナイフを押し出した。
「う~わっ!?」
そのままドロップに達しうるナイフ。だが要塞より伸びた飴の触手に絡められ届かなかった。
「あ~ぶね、さらりとそんな神業をするとは思わな~かったよもぅ……スゴイね」
「お褒めに預かり恐悦至極。まだまだ参りますねぇ」
スカートを翻すと同時にチェルシーは多数の小箱をばら撒いた。
「棘を出~す小箱か!」
【演目】『どこにもいない/いる 一幕 パンドラ 悲劇』
【演目】を演ったチェルシー。瞬間小箱が雲丹のように棘を伸ばし、要塞の壁を穿つ。
「で~も…何をするか読まれてはそれの脅威も半減だ~ね」
少し残念そうに呟いたチェルシー。要塞の外壁は小箱を棘ごと飲み込む。
そして圧力を加えて圧し折ろうとした。
だが…。
「ええ仰る通りですぅ。ただ少し勘違いもされておりますねぇ」
「なんだ~って?」
「確かにこの小箱は棘も出しますぅ。ですがぁそれがメジャーなだけでぇそれ以外も当然出すのですよぅ」
言った瞬間にチェルシーの異変に気付いたドロップ。彼女の肉体がその端々から綿のようなモノを出して崩れている事…。
そして小箱が足元にも多く転がっていたという事を…。
【演目】『どこにもいない/いる 一幕 パンドラ 驚愕』
一斉に開かれた小箱。瞬間爆発、多数のナイフとフォークを破片手榴弾のようにばら撒いた。
「~ッ!!?」
自らの身体から壁を創り出し防御したドロップ。ナイフとフォークを紙一重で躱した。
「そしてぇこの小箱の中にも小箱、いわゆるマトリョーシカのようにも出来るのですぅ」
そのナイフやフォークに混じってさらに小箱。そこから突き出たモップの柄。
目の前にあったチェルシーは完全に崩れ去っていた。
「一部のみを見て私の『どこにもいない/いる』を理解する事はあまりお勧めいたしませんよぉ」
そう小箱より飛び出たチェルシー。柄はドロップを飴の身体を貫いた。
「ほんと~うに多彩だ~ね…きみ、厄介なほ~どに…」
「恐れ入りますぅ」
「そ~う謙遜しないでよ…寧ろ褒めているんだか~らさ…ほんと油断が一切出来ない相手だ~ね…」
そう言ったドロップ。身体が貫かれつつも延びた口調は癖か余裕の表れか…モップの感触を見る限りチェルシーは後者のように思えた。
(飴細工のような肉体故にぃ、流体のように変え回避したようですねぇ……)
ご主人が見たら「漫画みてぇ!」と目を輝かせそうな光景に思わず笑ったチェルシー。ドロップの身体から放たれた突起物の反撃に距離を取った。
「戦況は振り出しに戻ったような感じですねぇ~」
自らそう言いつつも…それは違うとそう断じれるチェルシー。
先の攻防戦にて得た情報が多々あるからだ。
(相手方の【演目】。難攻不落かと思いきや…どうも自分か創造物どちらか一方にしか操ることは難しいようですねぇ)
それが一つ目。
先の攻防の際ドロップは自分の身体と創造物そのどちらかを切り替えて操っており同時というのが無かった。
ハッタリという可能性は非常に低い。なぜなら同時に操っていれば先のチェルシーの攻撃時点で勝敗を決することが出来たはずなのである。
(【演目】に至高はあれど無敵は無い。とは【星】の中でも結構言われている言葉ですがぁその通りの様ですねぇ……そして…)
二つ目。
相手の肉体。飴で作られたあの身体は打撃や斬撃等の物理攻撃にはもっぱら強いが、熱…否、温度には天敵の如く弱いのだと…。
(まさかそういう部分まで飴とはぁ…そういう事だからですかねぇ……)
先の炸裂させたあの時、チェルシーは見逃さなかった。爆発により生じた熱によりドロップの足元が少し緩んでいた事を…。
それにより熱を循環された事でモップの刺突を躱される状況になったが、極端な熱ないし冷気なれば、あの飴の身体の維持は難しいだろう…チェルシーはこの弱点に気づいたのであった。
(そうと決まればぁ、私がこの方を打倒する為のタスクは二つぅ……)
一、『難攻不落の要塞を突破しつつ本体と要塞への同時攻撃』
二、『極端な温度変化を用いた攻撃』
この二つである。
「ふふッ…強敵相手に中々な事をする必要がありますねぇ」
思わず笑ったチェルシー。これまでの従者生、主の為にそして共に、様々な者達と相対したが…その中でも上位の難しさだ。
「ですが他ならぬご主人に頼まれた以上、失敗という言葉は無いモノ。存分にやらせていただきますよぅ」
見方を変えれば仕える主。そしてその仲間達がそれだけ高みへと近づいている事なのである。
「私も頂へと近づく主人の為にぃ、もう一段魅せましょう」
「ふふふっ…」と喜びを隠せずチェルシーは思わず笑った。
「……成程、だからこそチェルシーのモップでの一撃をあんな形で受け止められたのか…」
熱せば柔らかく冷やせば固い。まあ球体だから普通だとは言えないが、不自然な受け止め方をしたのはそれが原因であろう。
「だがそう呑気に構えられないな…流体に固体、柔らかいと固い、粘度があり物質の二つの面を持っている分、防御面に関して言えば隙無しかもしれん」
しかも要となる体内の飴は無尽蔵だとも言った。あんな巨大な要塞を作り上げ籠られた以上、斃すのは門司や大和でも骨が折れそうである。
「チェルシーは俺の知る限り攻撃力はそこまで高いわけない。果たして攻略できるのか?」
『大丈夫だって』
そんな門司の心配を大和は一蹴する。
『アイツは従者だぜ、俺はアイツが期待を裏切った瞬間を見た記憶がねぇ…何とかするさ』
「…ああそうだな……」
主である大和がそう言ったのだ、だったら問題は無い。
心配するなとエルマに講釈を垂れていた癖にコレか…と心配性な自分を少々恥ずかしく思いつつ門司は視線を場へと戻した。
「成程ぉ、中々に見事な【演目】ですねぇ、これだけのものを作り上げるとは…」
「だろ~う。さあコレで俺の望~んだ戦いが出来るって訳だ…」
言った瞬間先程と同じように突起物。飴で出来た棘を弾丸のように撃ち出したドロップ。
弾いたり躱したり先程と同じようにチェルシーは対応する。
「しかしぃ、先程と同じ撃ちあいのみの展開は一辺倒過ぎるかと…少々見せ場が欠けますねぇ~」
「そ~ぉ?俺は好きだけれ~どね…目の前で君が踊り狂う様は……それ~に……」
「!?」
足元に違和感を覚え、一瞬視線を移したチェルシー。そこには射出された飴の棘が形を変え足元に絡みついていた。
よく見ると棘は全て溶けており、水たまりのように辺り一面に点在していた。
【演目】『砂糖で出来た神話 神聖創造 沼』
「踊りもどんど~んと難しく、たいへ~んになっていくんだからぁ~」
脚に絡みついた飴に一瞬動きを止められる。そこに棘が大量にチェルシーへと突き刺さる。
先と同じく『三幕 ロマンス 逃避行 』チェルシーは何とか躱すことが出来た。
「う~ん惜しいッ、ようや~く君の身体を捉えれたと思ったの~にまだ焦らさ~れるの」
「それは申し訳ありませんねぇ、ですが身体をそう安売りしないのも良い従者の条件だと思っておりましてぇ」
そう言いつつフォークとナイフを投擲したチェルシー。だが飴で出来た要塞の外壁に刺さるのみ。ドロップには一切届かない。
「あっは、流石にそ~れは無理だ……」
言葉と途中で更にモップも投げ槍の如く投擲したチェルシー。
すると刺さっていたナイフの柄に当たる。要塞の一部を穿ち継ぎ矢のようにナイフを押し出した。
「う~わっ!?」
そのままドロップに達しうるナイフ。だが要塞より伸びた飴の触手に絡められ届かなかった。
「あ~ぶね、さらりとそんな神業をするとは思わな~かったよもぅ……スゴイね」
「お褒めに預かり恐悦至極。まだまだ参りますねぇ」
スカートを翻すと同時にチェルシーは多数の小箱をばら撒いた。
「棘を出~す小箱か!」
【演目】『どこにもいない/いる 一幕 パンドラ 悲劇』
【演目】を演ったチェルシー。瞬間小箱が雲丹のように棘を伸ばし、要塞の壁を穿つ。
「で~も…何をするか読まれてはそれの脅威も半減だ~ね」
少し残念そうに呟いたチェルシー。要塞の外壁は小箱を棘ごと飲み込む。
そして圧力を加えて圧し折ろうとした。
だが…。
「ええ仰る通りですぅ。ただ少し勘違いもされておりますねぇ」
「なんだ~って?」
「確かにこの小箱は棘も出しますぅ。ですがぁそれがメジャーなだけでぇそれ以外も当然出すのですよぅ」
言った瞬間にチェルシーの異変に気付いたドロップ。彼女の肉体がその端々から綿のようなモノを出して崩れている事…。
そして小箱が足元にも多く転がっていたという事を…。
【演目】『どこにもいない/いる 一幕 パンドラ 驚愕』
一斉に開かれた小箱。瞬間爆発、多数のナイフとフォークを破片手榴弾のようにばら撒いた。
「~ッ!!?」
自らの身体から壁を創り出し防御したドロップ。ナイフとフォークを紙一重で躱した。
「そしてぇこの小箱の中にも小箱、いわゆるマトリョーシカのようにも出来るのですぅ」
そのナイフやフォークに混じってさらに小箱。そこから突き出たモップの柄。
目の前にあったチェルシーは完全に崩れ去っていた。
「一部のみを見て私の『どこにもいない/いる』を理解する事はあまりお勧めいたしませんよぉ」
そう小箱より飛び出たチェルシー。柄はドロップを飴の身体を貫いた。
「ほんと~うに多彩だ~ね…きみ、厄介なほ~どに…」
「恐れ入りますぅ」
「そ~う謙遜しないでよ…寧ろ褒めているんだか~らさ…ほんと油断が一切出来ない相手だ~ね…」
そう言ったドロップ。身体が貫かれつつも延びた口調は癖か余裕の表れか…モップの感触を見る限りチェルシーは後者のように思えた。
(飴細工のような肉体故にぃ、流体のように変え回避したようですねぇ……)
ご主人が見たら「漫画みてぇ!」と目を輝かせそうな光景に思わず笑ったチェルシー。ドロップの身体から放たれた突起物の反撃に距離を取った。
「戦況は振り出しに戻ったような感じですねぇ~」
自らそう言いつつも…それは違うとそう断じれるチェルシー。
先の攻防戦にて得た情報が多々あるからだ。
(相手方の【演目】。難攻不落かと思いきや…どうも自分か創造物どちらか一方にしか操ることは難しいようですねぇ)
それが一つ目。
先の攻防の際ドロップは自分の身体と創造物そのどちらかを切り替えて操っており同時というのが無かった。
ハッタリという可能性は非常に低い。なぜなら同時に操っていれば先のチェルシーの攻撃時点で勝敗を決することが出来たはずなのである。
(【演目】に至高はあれど無敵は無い。とは【星】の中でも結構言われている言葉ですがぁその通りの様ですねぇ……そして…)
二つ目。
相手の肉体。飴で作られたあの身体は打撃や斬撃等の物理攻撃にはもっぱら強いが、熱…否、温度には天敵の如く弱いのだと…。
(まさかそういう部分まで飴とはぁ…そういう事だからですかねぇ……)
先の炸裂させたあの時、チェルシーは見逃さなかった。爆発により生じた熱によりドロップの足元が少し緩んでいた事を…。
それにより熱を循環された事でモップの刺突を躱される状況になったが、極端な熱ないし冷気なれば、あの飴の身体の維持は難しいだろう…チェルシーはこの弱点に気づいたのであった。
(そうと決まればぁ、私がこの方を打倒する為のタスクは二つぅ……)
一、『難攻不落の要塞を突破しつつ本体と要塞への同時攻撃』
二、『極端な温度変化を用いた攻撃』
この二つである。
「ふふッ…強敵相手に中々な事をする必要がありますねぇ」
思わず笑ったチェルシー。これまでの従者生、主の為にそして共に、様々な者達と相対したが…その中でも上位の難しさだ。
「ですが他ならぬご主人に頼まれた以上、失敗という言葉は無いモノ。存分にやらせていただきますよぅ」
見方を変えれば仕える主。そしてその仲間達がそれだけ高みへと近づいている事なのである。
「私も頂へと近づく主人の為にぃ、もう一段魅せましょう」
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