プライベート・スペクタル

点一

文字の大きさ
上 下
113 / 146
第三話 幕間

幕間

しおりを挟む
「……そう、タークスが敗れましたか…」
某国とある場所。
第二戦で敗走しつつも生き延びた部下からの報告を経てトワは短くそう返す。
「ふ~ん。あ~の変態、案外使えなか~ったみたいだね」
「そのようみたいですね…」
そう揶揄ったドロップに短くそう返したトワ。失望や悔恨という形では決してない。大して期待をしていなかったようなそんな態度である。
現に彼等の戦いなんてトワは一目すらも見ていなかった。
その態度に生き残りから不満の声が漏れる。
「……そ、そんなあっさりとした態度はなんなんだ…タークスや俺達はアンタの為に必死に戦ッ…!?」
反論の前に肉体が膨れ弾け消えた生き残り。フッドと同じようにこの世界から消えてしまったように跡形も無くなる。
「うわ~ぉ…くわばら~くわば~ら~」
「結果を残せねば何の意味もありません。私の為に何も残せない存在は私の僕には不要です」
冷酷な声音でそう言い放ったトワ。その後、何事も無かったように自らの僕達の元に向き直る。
「それで…件の場所はどこです?」
「もうす~ぐ到着する~さ……こっちこっち」
ドロップに案内されて歩を進めるトワ。すぐに目的と思われる場所へと到着した。
場所は断崖絶壁の崖に囲まれた祠であった。
「思った以上にみすぼらしい場所ですね…」
「誰も本質~は知らないか~らね。この付近の現地民も何かの神様を祀っている位の認知だから」
「成程……では始めましょうか」
これ以上、祠の話に興味はないトワ。号令をかける。
僕達は即座に祠を跡形も無く破壊した。
「アトラス」
「ああ、待ってろ…」
地面に手を置き周囲を探るアトラス。やがて手を離すと指をさした。
「あの大木の真上。そこがポイントだ……」
「成程…」
アトラスに指し示された木に手を触れたトワ。樹齢数百年を感じそうな巨木。
その巨木をトワはあっという間に消し去った。
「これでいいですね…始めましょう」
魔法陣のような文様を描き始めたトワ。描き終えると自らがその中央に立つ。
そうして取り出したのは幾つかの【星具】と一つの『無にして全』であった。
まずは杭の様な【星具】を取り出し僕に地面へ打ち付ける様に命じたトワ。
打ち付け終えると『無にして全』をかざし何かを唱え始める。
『■■■■■■―■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■―■■■■■■■■■■■■■■■―■■■』
【星】の言語翻訳でも何処の言語か全くわからない。独自の言語体系と言葉で呪文は紡がれていく。
すると魔法陣は光を放ち始める。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■―■■■■■■■■■■■■■■■―■■■■■■」
詠唱と共に徐々に増してゆく光。やがて光は魔法陣より浮き上がる。
上がった光は集い始め、やがて大きな奔流へと変わるとトワの身体に蛇の様に巻き付いた。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■―!!」
トワの身体に何かを焼き付ける光。肉の焼けるような音が響き、詠唱も徐々に叫びのように変わっていく。
「■■■―――――!!!!!!!!」
そして絶叫に近い形で詠唱の最後を終えたトワ。終焉と共に巻き付いていた光もフッと消え去った。
「はぁはぁハァハァ…」
荒い息と共にその場にへたり込んだトワ。見た事のない主の姿に多くの僕達がざわつく中、ドロップはトワの元にまで近づく。
「ど~ぅだい?ご主人?」
「………………えぇ、思った以上に……ですが悪くありません」
「そり~ゃ良かった」
口角を微かに上げたトワ。当初に予想していた障害を彼女が乗り越えれると確信したドロップも声を嬉しそうな声を挙げる。
トワは何事も無いように立ち上がった。
「これで一つ目ですね……ようやく始めることが出来ましたね……」
「いぇ~い♪もう止まるも出来な~いね♪」
「元より一度始めた以上、その予定はもうありません。ドロップ、我が僕……次の標は何処でしたか?」
「そうだ~ね……次は……………………だね~ぇ…」
「そうでしたね……でしたら、次はあの付近を指定の地域にしましょうか」
次の動きを見せ始めるトワ一派。

「成程ぉ……ご主人が読んだ通りでしたねぇ」
その様子を気づかれないようにチェルシーは眺めていた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

モブ高校生、ダンジョンでは話題の冒険者【ブラック】として活動中。~転校生美少女がいきなり直属の部下とか言われても困るんだが~

エース皇命
ファンタジー
 学校では正体を隠し、普通の男子高校生を演じている黒瀬才斗。実は【ブラック】という活動名でダンジョンに潜っているAランク冒険者だった。  ダンジョンが世界に出現して30年後の東京。  モンスターを倒し、ダンジョンの攻略を目指す冒険者は、新しい職業として脚光を浴びるようになった。  黒瀬の通う高校に突如転校してきた白桃楓香。初対面なのにも関わらず、なぜかいきなり黒瀬に抱きつくという奇行に出る。果たして、白桃の正体は!?  「才斗先輩、これからよろしくお願いしますねっ」  これは、上級冒険者の黒瀬と、美少女転校生の純愛ラブコメディ――ではなく、ちゃんとしたダンジョン・ファンタジー(多分)。 ※序盤は結構ラブコメ感がありますが、ちゃんとファンタジーします。モンスターとも戦いますし、冒険者同士でも戦ったりします。ガチです。 ※小説家になろう、カクヨムでも連載しています。 ※お気に入り登録者2600人超えの人気作、『実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する』も大好評連載中です!

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

僕と精霊〜The last magic〜

一般人
ファンタジー
 ジャン・バーン(17)と相棒の精霊カーバンクルのパンプ。2人の最後の戦いが今始まろうとしている。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

烙印騎士と四十四番目の神

赤星 治
ファンタジー
生前、神官の策に嵌り王命で処刑された第三騎士団長・ジェイク=シュバルトは、意図せず転生してしまう。 ジェイクを転生させた女神・ベルメアから、神昇格試練の話を聞かされるのだが、理解の追いつかない状況でベルメアが絶望してしまう蛮行を繰り広げる。 神官への恨みを晴らす事を目的とするジェイクと、試練達成を決意するベルメア。 一人と一柱の前途多難、堅忍不抜の物語。 【【低閲覧数覚悟の報告!!!】】 本作は、異世界転生ものではありますが、 ・転生先で順風満帆ライフ ・楽々難所攻略 ・主人公ハーレム展開 ・序盤から最強設定 ・RPGで登場する定番モンスターはいない  といった上記の異世界転生モノ設定はございませんのでご了承ください。 ※【訂正】二週間に数話投稿に変更致しましたm(_ _)m

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

処理中です...