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第三話 幕間
幕間
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「……そう、タークスが敗れましたか…」
某国とある場所。
第二戦で敗走しつつも生き延びた部下からの報告を経てトワは短くそう返す。
「ふ~ん。あ~の変態、案外使えなか~ったみたいだね」
「そのようみたいですね…」
そう揶揄ったドロップに短くそう返したトワ。失望や悔恨という形では決してない。大して期待をしていなかったようなそんな態度である。
現に彼等の戦いなんてトワは一目すらも見ていなかった。
その態度に生き残りから不満の声が漏れる。
「……そ、そんなあっさりとした態度はなんなんだ…タークスや俺達はアンタの為に必死に戦ッ…!?」
反論の前に肉体が膨れ弾け消えた生き残り。フッドと同じようにこの世界から消えてしまったように跡形も無くなる。
「うわ~ぉ…くわばら~くわば~ら~」
「結果を残せねば何の意味もありません。私の為に何も残せない存在は私の僕には不要です」
冷酷な声音でそう言い放ったトワ。その後、何事も無かったように自らの僕達の元に向き直る。
「それで…件の場所はどこです?」
「もうす~ぐ到着する~さ……こっちこっち」
ドロップに案内されて歩を進めるトワ。すぐに目的と思われる場所へと到着した。
場所は断崖絶壁の崖に囲まれた祠であった。
「思った以上にみすぼらしい場所ですね…」
「誰も本質~は知らないか~らね。この付近の現地民も何かの神様を祀っている位の認知だから」
「成程……では始めましょうか」
これ以上、祠の話に興味はないトワ。号令をかける。
僕達は即座に祠を跡形も無く破壊した。
「アトラス」
「ああ、待ってろ…」
地面に手を置き周囲を探るアトラス。やがて手を離すと指をさした。
「あの大木の真上。そこがポイントだ……」
「成程…」
アトラスに指し示された木に手を触れたトワ。樹齢数百年を感じそうな巨木。
その巨木をトワはあっという間に消し去った。
「これでいいですね…始めましょう」
魔法陣のような文様を描き始めたトワ。描き終えると自らがその中央に立つ。
そうして取り出したのは幾つかの【星具】と一つの『無にして全』であった。
まずは杭の様な【星具】を取り出し僕に地面へ打ち付ける様に命じたトワ。
打ち付け終えると『無にして全』をかざし何かを唱え始める。
『■■■■■■―■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■―■■■■■■■■■■■■■■■―■■■』
【星】の言語翻訳でも何処の言語か全くわからない。独自の言語体系と言葉で呪文は紡がれていく。
すると魔法陣は光を放ち始める。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■―■■■■■■■■■■■■■■■―■■■■■■」
詠唱と共に徐々に増してゆく光。やがて光は魔法陣より浮き上がる。
上がった光は集い始め、やがて大きな奔流へと変わるとトワの身体に蛇の様に巻き付いた。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■―!!」
トワの身体に何かを焼き付ける光。肉の焼けるような音が響き、詠唱も徐々に叫びのように変わっていく。
「■■■―――――!!!!!!!!」
そして絶叫に近い形で詠唱の最後を終えたトワ。終焉と共に巻き付いていた光もフッと消え去った。
「はぁはぁハァハァ…」
荒い息と共にその場にへたり込んだトワ。見た事のない主の姿に多くの僕達がざわつく中、ドロップはトワの元にまで近づく。
「ど~ぅだい?ご主人?」
「………………えぇ、思った以上に……ですが悪くありません」
「そり~ゃ良かった」
口角を微かに上げたトワ。当初に予想していた障害を彼女が乗り越えれると確信したドロップも声を嬉しそうな声を挙げる。
トワは何事も無いように立ち上がった。
「これで一つ目ですね……ようやく始めることが出来ましたね……」
「いぇ~い♪もう止まるも出来な~いね♪」
「元より一度始めた以上、その予定はもうありません。ドロップ、我が僕……次の標は何処でしたか?」
「そうだ~ね……次は……………………だね~ぇ…」
「そうでしたね……でしたら、次はあの付近を指定の地域にしましょうか」
次の動きを見せ始めるトワ一派。
「成程ぉ……ご主人が読んだ通りでしたねぇ」
その様子を気づかれないようにチェルシーは眺めていた。
某国とある場所。
第二戦で敗走しつつも生き延びた部下からの報告を経てトワは短くそう返す。
「ふ~ん。あ~の変態、案外使えなか~ったみたいだね」
「そのようみたいですね…」
そう揶揄ったドロップに短くそう返したトワ。失望や悔恨という形では決してない。大して期待をしていなかったようなそんな態度である。
現に彼等の戦いなんてトワは一目すらも見ていなかった。
その態度に生き残りから不満の声が漏れる。
「……そ、そんなあっさりとした態度はなんなんだ…タークスや俺達はアンタの為に必死に戦ッ…!?」
反論の前に肉体が膨れ弾け消えた生き残り。フッドと同じようにこの世界から消えてしまったように跡形も無くなる。
「うわ~ぉ…くわばら~くわば~ら~」
「結果を残せねば何の意味もありません。私の為に何も残せない存在は私の僕には不要です」
冷酷な声音でそう言い放ったトワ。その後、何事も無かったように自らの僕達の元に向き直る。
「それで…件の場所はどこです?」
「もうす~ぐ到着する~さ……こっちこっち」
ドロップに案内されて歩を進めるトワ。すぐに目的と思われる場所へと到着した。
場所は断崖絶壁の崖に囲まれた祠であった。
「思った以上にみすぼらしい場所ですね…」
「誰も本質~は知らないか~らね。この付近の現地民も何かの神様を祀っている位の認知だから」
「成程……では始めましょうか」
これ以上、祠の話に興味はないトワ。号令をかける。
僕達は即座に祠を跡形も無く破壊した。
「アトラス」
「ああ、待ってろ…」
地面に手を置き周囲を探るアトラス。やがて手を離すと指をさした。
「あの大木の真上。そこがポイントだ……」
「成程…」
アトラスに指し示された木に手を触れたトワ。樹齢数百年を感じそうな巨木。
その巨木をトワはあっという間に消し去った。
「これでいいですね…始めましょう」
魔法陣のような文様を描き始めたトワ。描き終えると自らがその中央に立つ。
そうして取り出したのは幾つかの【星具】と一つの『無にして全』であった。
まずは杭の様な【星具】を取り出し僕に地面へ打ち付ける様に命じたトワ。
打ち付け終えると『無にして全』をかざし何かを唱え始める。
『■■■■■■―■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■―■■■■■■■■■■■■■■■―■■■』
【星】の言語翻訳でも何処の言語か全くわからない。独自の言語体系と言葉で呪文は紡がれていく。
すると魔法陣は光を放ち始める。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■―■■■■■■■■■■■■■■■―■■■■■■」
詠唱と共に徐々に増してゆく光。やがて光は魔法陣より浮き上がる。
上がった光は集い始め、やがて大きな奔流へと変わるとトワの身体に蛇の様に巻き付いた。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■―!!」
トワの身体に何かを焼き付ける光。肉の焼けるような音が響き、詠唱も徐々に叫びのように変わっていく。
「■■■―――――!!!!!!!!」
そして絶叫に近い形で詠唱の最後を終えたトワ。終焉と共に巻き付いていた光もフッと消え去った。
「はぁはぁハァハァ…」
荒い息と共にその場にへたり込んだトワ。見た事のない主の姿に多くの僕達がざわつく中、ドロップはトワの元にまで近づく。
「ど~ぅだい?ご主人?」
「………………えぇ、思った以上に……ですが悪くありません」
「そり~ゃ良かった」
口角を微かに上げたトワ。当初に予想していた障害を彼女が乗り越えれると確信したドロップも声を嬉しそうな声を挙げる。
トワは何事も無いように立ち上がった。
「これで一つ目ですね……ようやく始めることが出来ましたね……」
「いぇ~い♪もう止まるも出来な~いね♪」
「元より一度始めた以上、その予定はもうありません。ドロップ、我が僕……次の標は何処でしたか?」
「そうだ~ね……次は……………………だね~ぇ…」
「そうでしたね……でしたら、次はあの付近を指定の地域にしましょうか」
次の動きを見せ始めるトワ一派。
「成程ぉ……ご主人が読んだ通りでしたねぇ」
その様子を気づかれないようにチェルシーは眺めていた。
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