プライベート・スペクタル

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第三話 第三章

第六節

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「はぁはぁはぁ………」
派遣されていた『フツノミタマ』戦闘班の白雪が見上げるとビルの一部が戦闘の余波により崩れ去るのを見た。
「可能な限り負傷者に手を回せ!まだ動ける者は俺に付いて来てくれ!!」
同じく派遣された信楽の檄に再び白雪は再び立ち上がった。
「しかし、【星団】一つの筈なのに何という戦力ですか…」
おそらく弱小の【星団】や計画に賛同した【星団】を吸収や傘下としたのだろう。こちらが若干優勢とはいえ戦力は非常に拮抗していた。
「せめてこちらに一名でも【銘付き】が参戦してくれていれば……」
そう歯噛みしつつ跳びかかって来た敵の【星】に攻撃を叩き込む戦闘班の班員。敵の【星】は吹き飛びビルの窓を突き破っていった。
「まだ初戦なのです!それに『創世神』の方々や他の【星団】の力を借りずに私達も強くならなければ!!」
「白雪の言う通りだ!数に圧倒されるかもしれないが行こう!合衆国の者達も別側面から攻めてくれている!!」
そう仲間を奮い立たせた信楽。そのまま白雪と共に敵を打ち倒しつつ進んで行く。
「そう言えばこの勝敗のカギとなる『将』は何処にいるかわかりますか!?」
『ああそれはこちらできっちりと捉えている』
白雪の問いにナビゲーターとなる通信班の班員が答える。
作戦開始前、指定地域に侵入した直後、白雪や信楽達に勝利条件が提示されたのである。
その条件とは……。

勝利条件
・『魔女の旅団』側……敵参戦者の全滅ないし降伏。5日間の指定地域の防衛。
・世界側……『将』と呼ばれる指定の【星】の撃破。

『侵入時にこちらの端末に『将』の情報が送られてきて、それを頼りに生きているカメラや無人機を使って追っている。敵はある地点から離れていない!そのまま前進すれば見つかる筈だ』
「了解。前進します!」
ナビの言葉通り前進していく白雪達。別地点にて奮戦している合衆国の【星】の戦闘音を聞きつつ、崩れたビル群や脇に積み上げられた廃車群の隙間を通り抜ける。
そこでナビの言う通り『将』を見つけた白雪達。ボロ布のような布切れを目深に被り詳しい容姿はわからないが、護衛の数と送られてきた情報にただ一人合致していた。
「将を射んとする者はまず馬から!護衛から片付けていくぞ!!」
「はいッ!」
はやる気持ちを抑え攻撃を仕掛けた白雪達。護衛の敵は察知したが、これまでの培った戦闘技術や連携技術により反撃の隙を与える事無く撃破していく。
あっという間に『将』以外の全員を倒した。
「良しコレで!」
「覚悟ッ!!」
『『二重』』
絶好の機となり流れる様に打撃を叩き込んだ白雪と信楽。挟むような【星】の格闘技『御雷』の打撃に衝撃は逃げ場が無く集約され強力な威力を発する。
だが…。
「なッ!?」
手応えで察した白雪と信楽。この打撃が全く効いていない…。
受け流されたか防御されたか…はたまた【演目】か…何かにより『御雷』が直撃しているのに全く通っていない。
「ほぅほぅ…『龍王』や『鬼神』が居ないのに…このタークスの元までたどり着きなおかつ一撃を入れるとは……大したものだ」
ジャスティスという名前なのだろうか、余裕ある態度で名乗ったその『将』…その余裕ある態度からも『御雷』が効いていないことが理解る。
「その健闘を称え、このタークスもこの薄汚れた布切れを取りその御身を見せねばなるまいて!」
そう言ってボロ布を剥ぎ取った『将』。
現れたのは男性の【星】であった。
「我が名はタークス!我が君トワ・御法川が率いる【星団】『魔女の旅団』の騎士にして『狂える愛ラヴァー』の銘を賜り、この戦の『将』を任された者である!」
欧州系の甘いマスクに碧い瞳。ウェーブがかった肩まで伸びた金髪。
まるでおとぎ話に出てくる王子様の様な見た目や雰囲気の【星】。だがそれら全てを帳消しにするある点が一つ。
その【星】は全裸であった。
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