プライベート・スペクタル

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第二話 第四章

第十節

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【演目】『龍桜 龍式炎龍 桜花連撃 篝陽炎かがりかげろう

『速い…』
全方位からの高速連打。
炎だけが残滓の様に残る事に戦闘機のアフターバーナーのような要領で高温を高速移動に利用しているモノだと睦美は推測する。
その速度を利用しての超高速打撃である。
あまりの速さによる摩擦熱でアトラスの肉体も発火し始めた。
「ぐガァォオオオオオオ!!?」
全身が炎に包まれるアトラス。大和は手を止めず攻め続ける。
だが突然、両腕の輝きは消え失せた。
「あれ?」
「そこオ!」
生まれた一瞬の隙、それを見逃さず土の柱を隆起させ大和へと叩きつけたアトラス。
カタパルトから射出されるように大和は上空へと撃ち出された。
「いッ!?チチチ…消耗が半端ないなコレ!?」
上がり続ける空中内で呟く大和。
不完全故なのだろう。持続がふとした瞬間に切れその隙を狙われた。
単純威力は高く『龍桜』よりも決定力はある。
だがしかし、比較すると荒い部分も多い。
また従来の『龍桜』とは異なる身体操作をしているからか慣れない負担も大きい。持続が切れたのはその部分もあったからだろう。
「この一件が終わったらチョイと改善の余地ありだなッ!」
すでに落下へと転じている状況。大和は笑うと『龍式炎龍』を再演する。
少しコツを掴んだのか、先程よりも負担が少なく且つ速く組み上がった。
「よっしゃあァ!」
「…来るか」
真紅の輝きを再び両腕に灯した大和。アトラスも上空から感じる超高温の熱源と焔で来ると察する。
土の槍を生み出すとそれを強力に研ぎ上げていく。
決着の瞬間は目前であった。

【演目】『龍桜 龍式炎龍 紅蓮豪拳 流星』

「いくぜおらっシャアアああぃ!!」
生み出した炎による推進力で更に速度を高めた大和。落下というよりはもはや下に向かって飛ぶロケットの様な超々高速度を叩き出す。

【演目】『巨神 辱の巨塔』

「来ぉおおおい!!」
対するアトラスも万全の状況で迎え撃つ。
鋭く太く。まるで合衆国首都に存在する白いオベリスクの様な形状の槍を大和に向かって突き出す。
上空数十メートル。二つの力は激突した。
「オォオオオオオオオオオオッッ!!」
拮抗する双方。
押し勝とうと槍にさらに力を注ぎこむアトラス。中身を抜き取る様に地面を吸い上げた事により大地は徐々に沈下していく。
「…くッ!」
押されかけ始める大和。足場のない空中。生み出す炎の推進力があれど不利は明確である。
「………ッ!!?」
このままではじり貧の状況の大和。
だが、急にインスピレーションが湧き立ち始める。
まるで想像力の爆発。その感覚に導かれるままに拳を解く。
そして鋭く鋭く手刀の形状からさらに鋭く二本指の貫手へと変化させる大和。
打撃を一点にへと収束させた極細の点。
奇しくもアトラスと同じ槍のようであった。
押されかけていた部分に添えた大和。すると土の槍に亀裂が入る。
徐々に大きくなっていく亀裂。遂には土の槍の先端は粉々に砕け散る。
そのままアトラス元まで突き進むと大和はアトラスの左腕を斬り飛ばした。
「グガあぁアアアアアア!!」
崩壊する槍。絶叫するアトラス。
反撃しようと試みるが、ほぼ0距離の超々至近距離。
大和の距離であった。

【演目】『龍桜 龍式炎龍 誅魔豪脚 春雷 焔輝ほむらかがやき

【演目】を演る大和。直上から振り下ろすように叩き込まれた打撃にアトラスはガードすることも出来ず直撃する。
「グガっ!?ぐぐぐ…!!」
「地面を武器にするぐらい大好きなんだろ?」
「ぐぉおおおおおおおおおオオオオオオオオオオオオオッ!!」
「じゃあ熱烈なキスさせてやるよ。おやすみ前になぁ!」
勢いよく大地に叩きつけられるアトラス。亀裂と共に上半身が地面へと勢いよく埋まる。
大きく跳ね上がった動きと共に力なく崩れるアトラス。
それが決着であった。
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