62 / 146
第二話 第三章
第一節
しおりを挟む「くたばれ『龍王』ッ!!」
振りかぶった大鎌の一撃。大和は易々と躱す。
と同時に反撃の打撃を叩き込む。
相手の【星】は家屋数件をぶち抜きつつ吹き飛んだ。
「よっし、終了~」
戦闘不能になったのを確認して大和はそう呟いた。
あの打ち合わせの後、決まったように変わらず依頼を受け続けた大和達。
指定された地点に赴き、『フツノミタマ』と合流し、標的を倒すのを監督し、まれに自らが倒す。
そうして依頼を数十件程度受けた大和達。本命である『無にして全』はまだ巡り合っていないが、【星具】は五つほど手に入れることができた。
「いや~俺って働き者だねぇ~……」
またそうした合間にも空いた時間に【星具】絡みの他の依頼も受けている大和。
これもその内の一つである。
倒れた【星】に近づくと【星具】の一つである大鎌を拾い上げた。
「お疲れ様です大和さん」
「ミコもな…ホれッ!」
今回同行したミコがこちらにやってくる。大和は肩に担いだ大鎌【星具】をミコへと手渡した。
「うわっ!?とっと…これが死神の鎌って奴ですか……サブカルでよく見ましたが、見るのは初めてです」
「だろうな、俺も滅多に見ないもん」
大鎌を受け取るミコ。少々ふらついてはいたが、きっちりと握りしめた。
「それにしても凄まじいですね…これが『龍王』。強さの塊のようです」
大和の戦闘跡を見てミコはそう言う。
「強さの塊ねぇ」
「はい。バトル漫画やアニメのような華やかさやわくわく感もある。とても見ごたえも面白さのあるものでした」
「へぇ、中々に面白い表現だな」
こういう風に見ているミコに大和は思わず笑みを浮かべる。
「やはり【星】の方々はすごいです。大和さんや門司さんだけでなく睦美さん、晴菜さん、チェルシーさん、エイプリルさんのような若い方まで……私なんかと大違いです」
俯くミコ。自身の不甲斐なさを恥じているようである。
「人間と超人である【星】を比べなくても良いだろう」という慰めは野暮である。そんなことは十二分に理解はしている。
その上での不甲斐なさなのだ………。
「睦美さんから聞きました【星】の素質を持つ者は、【星】と行動を共にする事で【星】へと覚醒することが多いと……私が『創世神』へ入れさせてもらって早や数週間。しかし、私には兆候すら現れません……私には【星】への素質は無いのでしょうか?」
「それは大丈夫だと思うけれどなぁ」
そう答える大和。
訓練でも依頼でもミコはよく付いて来ていると大和自身は感じている。
素質に関しては「ある」と「無し」で言えば間違いなくある方であるし、何なら晴菜に並ぶ逸材である。
おそらく晴菜と同じように何らかのきっかけで覚醒に至るのであろう。
「ん?きっかけ……」
「大和さん?」
「そうだなミコ……ちょいと荒療治にもなるが試してみるか?」
そう言い大和が取り出したのは、『月下の雫』であった。
「それは…」
「素質のある人間が【星】の奴らと行動を共にすると同じ【星】に覚醒する。【星具】にも同じことが言えるってどっかから聞いたことがあってな…【星具】を使う人間は【星】に覚醒することがままあるらしい」
「そうなのですか!?」
「まあ【星具】は一般人からしてみりゃあ無用の長物か少々毒だけれどな……使うことによりなるんだと、荒療治って言ったのはこういうことだ。試してみるか?」
「是非ッ!……あっ、でも『月下の雫』は大和さんが使用しているのですよね?使っても良いものか…」
「構わねぇよ、見たように俺は元々徒手空拳の素手派だ。こいつを使わなくても大して変わらねぇ…………それに……」
「何ですか?」
「コイツはあくまで直感、勘みたいなもんだが…『月下の雫』はお前を呼んでるような気がするんだよな……俺もお前が使うのはなんかしっくりくるし……」
「私を……」
「まあ兎も角…折角だから使ってみたらどうだ?睦美とかにゃあ後で言っておくし」
そう言って剣を差し出した大和。
一瞬躊躇った様子を見せたミコであったが、持っていた大鎌と交換するような形で受け取った。
「大和さん。ありがとうございます!これを使いこなし皆様のお役に……」
「あっ、おい!?そんな不用意に抜いたらッ!?」
「たたたたたたたたたた~?……………………がッ…」
抜き放った瞬間何かを吸われたミコ。ミイラのようなゲッソリとこけた表情へと変わる。
そしてそのまま剣を抱いたままパタリと倒れた。
「先に説明しておくべきだったな、いざという時以外は抜くなって………」
死にかけの虫みたいにピクピク動くミコを見ながら呟く大和。
とそこに睦美からの通信が入った。
「ほいほい…どったの睦美?」
『ふむ、件の【星具】は無事頂戴したようですね』
「まぁな…で?要領得ないじゃあないの…一体何の用だぃ?」
『『フツノミタマ』より緊急の依頼です。どうやら収容者によって『フツノミタマ』の重要拠点の一つが乗っ取られたみたいです』
「へぇ…」
『貴方の今いる位置も教えました。すぐに向かって下さい』
そう言って切れた無線。
その数瞬後、ヘリのローター音が近づいてくるのを感じた。
振りかぶった大鎌の一撃。大和は易々と躱す。
と同時に反撃の打撃を叩き込む。
相手の【星】は家屋数件をぶち抜きつつ吹き飛んだ。
「よっし、終了~」
戦闘不能になったのを確認して大和はそう呟いた。
あの打ち合わせの後、決まったように変わらず依頼を受け続けた大和達。
指定された地点に赴き、『フツノミタマ』と合流し、標的を倒すのを監督し、まれに自らが倒す。
そうして依頼を数十件程度受けた大和達。本命である『無にして全』はまだ巡り合っていないが、【星具】は五つほど手に入れることができた。
「いや~俺って働き者だねぇ~……」
またそうした合間にも空いた時間に【星具】絡みの他の依頼も受けている大和。
これもその内の一つである。
倒れた【星】に近づくと【星具】の一つである大鎌を拾い上げた。
「お疲れ様です大和さん」
「ミコもな…ホれッ!」
今回同行したミコがこちらにやってくる。大和は肩に担いだ大鎌【星具】をミコへと手渡した。
「うわっ!?とっと…これが死神の鎌って奴ですか……サブカルでよく見ましたが、見るのは初めてです」
「だろうな、俺も滅多に見ないもん」
大鎌を受け取るミコ。少々ふらついてはいたが、きっちりと握りしめた。
「それにしても凄まじいですね…これが『龍王』。強さの塊のようです」
大和の戦闘跡を見てミコはそう言う。
「強さの塊ねぇ」
「はい。バトル漫画やアニメのような華やかさやわくわく感もある。とても見ごたえも面白さのあるものでした」
「へぇ、中々に面白い表現だな」
こういう風に見ているミコに大和は思わず笑みを浮かべる。
「やはり【星】の方々はすごいです。大和さんや門司さんだけでなく睦美さん、晴菜さん、チェルシーさん、エイプリルさんのような若い方まで……私なんかと大違いです」
俯くミコ。自身の不甲斐なさを恥じているようである。
「人間と超人である【星】を比べなくても良いだろう」という慰めは野暮である。そんなことは十二分に理解はしている。
その上での不甲斐なさなのだ………。
「睦美さんから聞きました【星】の素質を持つ者は、【星】と行動を共にする事で【星】へと覚醒することが多いと……私が『創世神』へ入れさせてもらって早や数週間。しかし、私には兆候すら現れません……私には【星】への素質は無いのでしょうか?」
「それは大丈夫だと思うけれどなぁ」
そう答える大和。
訓練でも依頼でもミコはよく付いて来ていると大和自身は感じている。
素質に関しては「ある」と「無し」で言えば間違いなくある方であるし、何なら晴菜に並ぶ逸材である。
おそらく晴菜と同じように何らかのきっかけで覚醒に至るのであろう。
「ん?きっかけ……」
「大和さん?」
「そうだなミコ……ちょいと荒療治にもなるが試してみるか?」
そう言い大和が取り出したのは、『月下の雫』であった。
「それは…」
「素質のある人間が【星】の奴らと行動を共にすると同じ【星】に覚醒する。【星具】にも同じことが言えるってどっかから聞いたことがあってな…【星具】を使う人間は【星】に覚醒することがままあるらしい」
「そうなのですか!?」
「まあ【星具】は一般人からしてみりゃあ無用の長物か少々毒だけれどな……使うことによりなるんだと、荒療治って言ったのはこういうことだ。試してみるか?」
「是非ッ!……あっ、でも『月下の雫』は大和さんが使用しているのですよね?使っても良いものか…」
「構わねぇよ、見たように俺は元々徒手空拳の素手派だ。こいつを使わなくても大して変わらねぇ…………それに……」
「何ですか?」
「コイツはあくまで直感、勘みたいなもんだが…『月下の雫』はお前を呼んでるような気がするんだよな……俺もお前が使うのはなんかしっくりくるし……」
「私を……」
「まあ兎も角…折角だから使ってみたらどうだ?睦美とかにゃあ後で言っておくし」
そう言って剣を差し出した大和。
一瞬躊躇った様子を見せたミコであったが、持っていた大鎌と交換するような形で受け取った。
「大和さん。ありがとうございます!これを使いこなし皆様のお役に……」
「あっ、おい!?そんな不用意に抜いたらッ!?」
「たたたたたたたたたた~?……………………がッ…」
抜き放った瞬間何かを吸われたミコ。ミイラのようなゲッソリとこけた表情へと変わる。
そしてそのまま剣を抱いたままパタリと倒れた。
「先に説明しておくべきだったな、いざという時以外は抜くなって………」
死にかけの虫みたいにピクピク動くミコを見ながら呟く大和。
とそこに睦美からの通信が入った。
「ほいほい…どったの睦美?」
『ふむ、件の【星具】は無事頂戴したようですね』
「まぁな…で?要領得ないじゃあないの…一体何の用だぃ?」
『『フツノミタマ』より緊急の依頼です。どうやら収容者によって『フツノミタマ』の重要拠点の一つが乗っ取られたみたいです』
「へぇ…」
『貴方の今いる位置も教えました。すぐに向かって下さい』
そう言って切れた無線。
その数瞬後、ヘリのローター音が近づいてくるのを感じた。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
モブ高校生、ダンジョンでは話題の冒険者【ブラック】として活動中。~転校生美少女がいきなり直属の部下とか言われても困るんだが~
エース皇命
ファンタジー
学校では正体を隠し、普通の男子高校生を演じている黒瀬才斗。実は【ブラック】という活動名でダンジョンに潜っているAランク冒険者だった。
ダンジョンが世界に出現して30年後の東京。
モンスターを倒し、ダンジョンの攻略を目指す冒険者は、新しい職業として脚光を浴びるようになった。
黒瀬の通う高校に突如転校してきた白桃楓香。初対面なのにも関わらず、なぜかいきなり黒瀬に抱きつくという奇行に出る。果たして、白桃の正体は!?
「才斗先輩、これからよろしくお願いしますねっ」
これは、上級冒険者の黒瀬と、美少女転校生の純愛ラブコメディ――ではなく、ちゃんとしたダンジョン・ファンタジー(多分)。
※序盤は結構ラブコメ感がありますが、ちゃんとファンタジーします。モンスターとも戦いますし、冒険者同士でも戦ったりします。ガチです。
※小説家になろう、カクヨムでも連載しています。
※お気に入り登録者2600人超えの人気作、『実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する』も大好評連載中です!


烙印騎士と四十四番目の神
赤星 治
ファンタジー
生前、神官の策に嵌り王命で処刑された第三騎士団長・ジェイク=シュバルトは、意図せず転生してしまう。
ジェイクを転生させた女神・ベルメアから、神昇格試練の話を聞かされるのだが、理解の追いつかない状況でベルメアが絶望してしまう蛮行を繰り広げる。
神官への恨みを晴らす事を目的とするジェイクと、試練達成を決意するベルメア。
一人と一柱の前途多難、堅忍不抜の物語。
【【低閲覧数覚悟の報告!!!】】
本作は、異世界転生ものではありますが、
・転生先で順風満帆ライフ
・楽々難所攻略
・主人公ハーレム展開
・序盤から最強設定
・RPGで登場する定番モンスターはいない
といった上記の異世界転生モノ設定はございませんのでご了承ください。
※【訂正】二週間に数話投稿に変更致しましたm(_ _)m

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

劣等生のハイランカー
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す!
無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。
カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。
唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。
学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。
クラスメイトは全員ライバル!
卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである!
そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。
それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。
難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。
かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。
「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」
学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。
「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」
時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。
制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。
そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。
(各20話編成)
1章:ダンジョン学園【完結】
2章:ダンジョンチルドレン【完結】
3章:大罪の権能【完結】
4章:暴食の力【完結】
5章:暗躍する嫉妬【完結】
6章:奇妙な共闘【完結】
7章:最弱種族の下剋上【完結】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる