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第二話 第一章
第二節
しおりを挟む「帰ったわ」
「へーい」
「ただいま戻りましたぁ」
「お帰りなさい晴菜、チェルシー」
戦略室で待っていたのは睦美。膨大な量の資料の束を置き出迎える。
「ふむ…大した怪我も無く依頼をこなしたようで何よりです」
「俺のこの焦げ具合は無視かい?睦美さんや…バーナーで炙られた牛肉みてーになってんだけど…」
「唾でも付けて置いて下さい馬鹿二号……察するにどうせ晴菜にじゃれついて照れ隠しで燃やされたんでしょう?」
「睦美さん正解……って誰が照れ隠しよ誰がッ!?」
叫んだ晴菜。そんな彼女に「この方も馬鹿共とつるんでいただけのことはある」と睦美も冷静に分析する。
言い知れぬシンパシーを感じると共に自分はこうはなるまいと固く心に誓う。
とそこで出入り口の扉が開く。
入って来たのは大和達と同じく別口の依頼を受けていた門司とエイプリルであった。
「戻ったぞ」
「うぃ、帰りました」
「お帰りなさい」
「おうお疲れさん」
「なんだ一足先に戻っていたのか兄弟」
「師匠、何故に黒焦げになっているんです?」
「まあ自分の業って奴と見つめていたら自然とな…」
くっつくエイプリルに格好をつけながらそう返し、門司といつもの挨拶を交わす大和。
「ふむ、それで…首尾はどうだったのです一号」
依頼の具合に手にした袋をどさりと置くことで応じる門司。
袋には数多くの様々な物品が詰められている。
そのどれもが【星具】であった。
「これで満足か?鉄面皮……」
「おいおいオイオイ兄弟。一体何処からこんだけの【星具】を手に入れたんだよ?」
「なに…ただ単純に獲物が予想もしない特典を背負ってきただけだ…なあエイプリル」
「実はですね師匠…本来なら依頼主からの報酬であるそちらの先込め式銃型の【星具】『後悔の道』だけだったのです…ただ相手になった方々でそれぞれ【星具】を有しておりまして…」
「成程な…そいつらのも手にしたってわけか…」
「ああ…最終的な勝者が総取りする…世の常だ……」
手にしている刀を立てかけ席に着く門司。
「ふむ、及第点ですね……」
睦美も袋の中身を広げながら頷いた。
「で?鉄面皮…及第点とか偉そうに抜かした手前はどうなんだ?……兄弟はきちんとこなしたのは見なくてもわかるが、お前は何もせずに茶を啜っていたわけじゃあないだろ?」
「当然です一号」
そう言い睦美は束ねていた資料を広げる。
「昨今の目立つ【星】や【星団】それと共謀している国家の動向や…標的となりうる【星具】の所在等の情報を集めていたところです。異なる複数の情報屋の【星団】から情報を工面してもらいそれを精査しているところです」
「ほぅ…」
「ほぇ~すげぇな…」
広げられた資料の一つを手に取り、思わず感嘆の声を漏らした大和と頷く門司。
資料には様々な情報が記載されているが、そのどれもが多角的にかつ詳細に考察されており信憑性は高い。おそらく持ち前の分析力によって練り上げたものなのだろう。
「さすが睦美良い出来じゃあねぇか、こんだけの情報なら次の標的はもう用意できているんだろうな」
「いえそれは少々待つように……今は特に無いですね」
「あり?そうなの?んじゃ…」
「ええ暫しの休憩ってことです」
「………やったッ…」
睦美の言葉に小声で呟く晴菜。思わずガッツポーズをとる。
それを全員見て見ぬようにした。
「………まあここ数週間、色々とバタバタ動いていましたからね…ここでひとまず休憩するのもいいでしょう」
「…ッそうね……それが良いと思うわ…」
「…………」
「……ではアタシは一足先に失礼させてもらうわ……やりたいことが山盛りだし…」
「おーう、出かけるなら気ぃ付けてな」
「何言っているの?アンタも一緒に来るのよ」
「はぃ?……ってうぉオオ!?」
「さぁまずはショッピングよショッピング♪」
大和を引っ張っていく晴菜。そのまま戦略室を出て行く。
「…はっ、し師匠~…私もお供させていただきますっ」
一拍置いて追いかけて行ったエイプリル。
戦略室には睦美と門司とチェルシーのみが残った。
「……まあずっと矢面に立っていましたからね…色々と溜まるモノもあるのでしょう」
「だろうな…で、チェルシー。お前はは大和に付いて行かなくて良いのか?」
「えぇ、余計な野暮を入れないのもできる従者の心得ですからねぇ~」
「…そうか……」
「それに…なし崩しにお開きになってしまい睦美様が言えなかったぁ情報…ご主人の代わりに聞いておこうと思いましてぇ」
「さすが鋭いですね……まあこちらの情報は我々としては世間話程度のモノなんですけれど……」
そう言いつつ睦美は資料の中から必要な書類を取り出した。
「ふぅ……大満足♪」
「ソイツは何より」
戦略室を出た後、晴菜は引っ張ってきた大和と付いてきたエイプリルを引き連れ日本のとある大型アウトレットモールに来ていた。
サングラスで変装し荷物を大和に持たせエイプリルと店をまわる晴菜。溜まったストレスを発散するように買い物に明け暮れる。
そうして一通りまわり終え満足したようであった。
「それはそうよ、今回は荷物持ちもいるし…可愛らしい着せ替え人形もなし崩し的に来てくれたのよ、アタシのストレス度合いも急降下なんて当然じゃない」
「うぃ!?可愛い着せ替え人形ってもしや私……?」
「当然」
「なあ晴菜よい。はしゃぐのは可愛いから別に良いけんどよ…出来る限り忍んでおけよ、周り囲われるのはゴメンだぜ俺ァ」
「わかっているわよ。全く…何でこうなってしまったんだか……こんな有名料。熨斗つけて返してやりたいぐらいなのに…」
「そうか?案外よさそうだと思うけれどな…」
「アンタにはわからないかもね………って今になって気づいたけれど可愛いって何よ!?」
「俺の事実を事実のまま言ったまでだよ…おっとジェラートがある。食うか?」
「…うぅ~アンタの奢りなら……」
「ほいほい。二人とも何味にする?」
「うぃ、私はバニラを…師匠…」
「チョコレート」
「りょーかい…んじゃ、ちょっくら行ってくらぁ」
近場の休憩所に二人を座らせ売り場に向かう大和。
少し混んでいたが気にせずに最後尾に並ぶ。
「んーと…俺は何にしようかねぇ」
「見つけたッ!!」
そんな時にふと聞こえたそんな声。
声の方向を見る。
そこには一人の少女がいた。
学生服であろうセーラー服にブレザーを片肩だけに羽織っており、背には布に包まれた長物状の何かを背負っている。
手には包帯の上に指抜き手袋を身にまとい。顔には星のペイント、腰まで伸びた髪には装飾付きのカチューシャを施している。
幼さが残る顔立ちは勝気な笑みで溢れており、整った容姿に合わさって強気な子供のように見える。
その顔がかなり痛い…もとい珍妙な衣装と妙に合わさった少女であった。
「…っ……お前はッ!?」
「どうしたの!?」
「…師匠ッ!?」
驚くような大和の口調。
その雰囲気に異常を感じたのか、晴菜とエイプリルも大和の元に急いでやってきた。
「フフフ…ここであったが百年目だヨ『龍王』呉成・大和。ボクから逃げきれると思ったのカナ?」
「誰ですか師匠…うぃ……仰らなくてもわかります……敵対している方ですね…」
不敵そうな笑みを浮かべる少女。
そんな彼女に警戒するエイプリル。
一方晴菜は……。
「…………アンタ……何をやらかしたのよ?」
「………………」
そう問い詰める晴菜、大和は何も言わない。
「でも追いかけっこはもうおしまい!?君はボク夜剣・ミコが倒すのだから!!」
そう言って背負った袋を手にした少女ミコ。袋をほどくとそこから西洋剣が現れる。
ミコは剣を抜き放つと切っ先を大和へと向けた。
「さァ勝負だ呉成・大和!次に『爆炎』とその他一人も!!」
「おいおいオイオイ…コイツ等【星】だ!?」「マジで!?」「SNSにあげよ♪」
非日常で剣呑な様子に周囲の人々も野次馬となりざわつき始める。
「くッ…!?」
「行くぞ!やぁああああああああ!!」
剣を振りかぶるミコ。大和へと斬りかかる。
だが、その速度は……。
「……え?」
遅い。あまりにも遅すぎる。
更には剣術も知らなそうな剣の動き。
まるで【星】とは言えない拙さにエイプリルは思わず戸惑いの表情を浮かべる。
「やぁああああ!!」
振るわれた剣。だが盛大に空振りする。
上方向にすっぽ抜け、回転しながら重力に引かれ落ちてくる。
そしてそのまま……。
「へぶっッ!?」
ミコの頭部を正確に捉えた。
倒れるミコ。重力の力は凄まじかったのか白目を剥いて昏倒してしまった。
「「「……………………」」」
あまりにも拍子抜けするような内容に周囲も含め何とも言えない空気になる現場。
その空気を砕くように大和の懐に入れていた通信機が鳴り響く。
相手は睦美であった。
「ほいほいどしたい?………………ん、りょーかい…」
「どうしたのよ?」
「なんか戻って来いって睦美が…予定が入ったとか何とかで…」
「もう?…全く、短い休憩時間だったわね……」
「まあまあ、忙しいのは良いことだと思うぜ…貧乏暇なしとも言うけれど…」
「励ますかと思えば、即座に気が滅入ること言わないでよ…」
そこが少数【星団】の厳しいところと晴菜は額を抑える。
「ついでに…こいつも連れて帰るか……あとジェラートも…」
「……え?…ええッ!?正気ですか師匠!?」
「おぅ、流石にここに放置は可哀そうだし…」
「私もエイプリルに同感ね……この娘どう見てもただの人間よ」
「………え?…えええッ!!?」
晴菜の言葉に素っ頓狂な声を上げたエイプリル。
そんな二名を気にすることなく大和はミコを担ぎながらジェラート屋のカウンターへと向かった。
※急用のため来週は休筆します。4月23日再開予定です。
「へーい」
「ただいま戻りましたぁ」
「お帰りなさい晴菜、チェルシー」
戦略室で待っていたのは睦美。膨大な量の資料の束を置き出迎える。
「ふむ…大した怪我も無く依頼をこなしたようで何よりです」
「俺のこの焦げ具合は無視かい?睦美さんや…バーナーで炙られた牛肉みてーになってんだけど…」
「唾でも付けて置いて下さい馬鹿二号……察するにどうせ晴菜にじゃれついて照れ隠しで燃やされたんでしょう?」
「睦美さん正解……って誰が照れ隠しよ誰がッ!?」
叫んだ晴菜。そんな彼女に「この方も馬鹿共とつるんでいただけのことはある」と睦美も冷静に分析する。
言い知れぬシンパシーを感じると共に自分はこうはなるまいと固く心に誓う。
とそこで出入り口の扉が開く。
入って来たのは大和達と同じく別口の依頼を受けていた門司とエイプリルであった。
「戻ったぞ」
「うぃ、帰りました」
「お帰りなさい」
「おうお疲れさん」
「なんだ一足先に戻っていたのか兄弟」
「師匠、何故に黒焦げになっているんです?」
「まあ自分の業って奴と見つめていたら自然とな…」
くっつくエイプリルに格好をつけながらそう返し、門司といつもの挨拶を交わす大和。
「ふむ、それで…首尾はどうだったのです一号」
依頼の具合に手にした袋をどさりと置くことで応じる門司。
袋には数多くの様々な物品が詰められている。
そのどれもが【星具】であった。
「これで満足か?鉄面皮……」
「おいおいオイオイ兄弟。一体何処からこんだけの【星具】を手に入れたんだよ?」
「なに…ただ単純に獲物が予想もしない特典を背負ってきただけだ…なあエイプリル」
「実はですね師匠…本来なら依頼主からの報酬であるそちらの先込め式銃型の【星具】『後悔の道』だけだったのです…ただ相手になった方々でそれぞれ【星具】を有しておりまして…」
「成程な…そいつらのも手にしたってわけか…」
「ああ…最終的な勝者が総取りする…世の常だ……」
手にしている刀を立てかけ席に着く門司。
「ふむ、及第点ですね……」
睦美も袋の中身を広げながら頷いた。
「で?鉄面皮…及第点とか偉そうに抜かした手前はどうなんだ?……兄弟はきちんとこなしたのは見なくてもわかるが、お前は何もせずに茶を啜っていたわけじゃあないだろ?」
「当然です一号」
そう言い睦美は束ねていた資料を広げる。
「昨今の目立つ【星】や【星団】それと共謀している国家の動向や…標的となりうる【星具】の所在等の情報を集めていたところです。異なる複数の情報屋の【星団】から情報を工面してもらいそれを精査しているところです」
「ほぅ…」
「ほぇ~すげぇな…」
広げられた資料の一つを手に取り、思わず感嘆の声を漏らした大和と頷く門司。
資料には様々な情報が記載されているが、そのどれもが多角的にかつ詳細に考察されており信憑性は高い。おそらく持ち前の分析力によって練り上げたものなのだろう。
「さすが睦美良い出来じゃあねぇか、こんだけの情報なら次の標的はもう用意できているんだろうな」
「いえそれは少々待つように……今は特に無いですね」
「あり?そうなの?んじゃ…」
「ええ暫しの休憩ってことです」
「………やったッ…」
睦美の言葉に小声で呟く晴菜。思わずガッツポーズをとる。
それを全員見て見ぬようにした。
「………まあここ数週間、色々とバタバタ動いていましたからね…ここでひとまず休憩するのもいいでしょう」
「…ッそうね……それが良いと思うわ…」
「…………」
「……ではアタシは一足先に失礼させてもらうわ……やりたいことが山盛りだし…」
「おーう、出かけるなら気ぃ付けてな」
「何言っているの?アンタも一緒に来るのよ」
「はぃ?……ってうぉオオ!?」
「さぁまずはショッピングよショッピング♪」
大和を引っ張っていく晴菜。そのまま戦略室を出て行く。
「…はっ、し師匠~…私もお供させていただきますっ」
一拍置いて追いかけて行ったエイプリル。
戦略室には睦美と門司とチェルシーのみが残った。
「……まあずっと矢面に立っていましたからね…色々と溜まるモノもあるのでしょう」
「だろうな…で、チェルシー。お前はは大和に付いて行かなくて良いのか?」
「えぇ、余計な野暮を入れないのもできる従者の心得ですからねぇ~」
「…そうか……」
「それに…なし崩しにお開きになってしまい睦美様が言えなかったぁ情報…ご主人の代わりに聞いておこうと思いましてぇ」
「さすが鋭いですね……まあこちらの情報は我々としては世間話程度のモノなんですけれど……」
そう言いつつ睦美は資料の中から必要な書類を取り出した。
「ふぅ……大満足♪」
「ソイツは何より」
戦略室を出た後、晴菜は引っ張ってきた大和と付いてきたエイプリルを引き連れ日本のとある大型アウトレットモールに来ていた。
サングラスで変装し荷物を大和に持たせエイプリルと店をまわる晴菜。溜まったストレスを発散するように買い物に明け暮れる。
そうして一通りまわり終え満足したようであった。
「それはそうよ、今回は荷物持ちもいるし…可愛らしい着せ替え人形もなし崩し的に来てくれたのよ、アタシのストレス度合いも急降下なんて当然じゃない」
「うぃ!?可愛い着せ替え人形ってもしや私……?」
「当然」
「なあ晴菜よい。はしゃぐのは可愛いから別に良いけんどよ…出来る限り忍んでおけよ、周り囲われるのはゴメンだぜ俺ァ」
「わかっているわよ。全く…何でこうなってしまったんだか……こんな有名料。熨斗つけて返してやりたいぐらいなのに…」
「そうか?案外よさそうだと思うけれどな…」
「アンタにはわからないかもね………って今になって気づいたけれど可愛いって何よ!?」
「俺の事実を事実のまま言ったまでだよ…おっとジェラートがある。食うか?」
「…うぅ~アンタの奢りなら……」
「ほいほい。二人とも何味にする?」
「うぃ、私はバニラを…師匠…」
「チョコレート」
「りょーかい…んじゃ、ちょっくら行ってくらぁ」
近場の休憩所に二人を座らせ売り場に向かう大和。
少し混んでいたが気にせずに最後尾に並ぶ。
「んーと…俺は何にしようかねぇ」
「見つけたッ!!」
そんな時にふと聞こえたそんな声。
声の方向を見る。
そこには一人の少女がいた。
学生服であろうセーラー服にブレザーを片肩だけに羽織っており、背には布に包まれた長物状の何かを背負っている。
手には包帯の上に指抜き手袋を身にまとい。顔には星のペイント、腰まで伸びた髪には装飾付きのカチューシャを施している。
幼さが残る顔立ちは勝気な笑みで溢れており、整った容姿に合わさって強気な子供のように見える。
その顔がかなり痛い…もとい珍妙な衣装と妙に合わさった少女であった。
「…っ……お前はッ!?」
「どうしたの!?」
「…師匠ッ!?」
驚くような大和の口調。
その雰囲気に異常を感じたのか、晴菜とエイプリルも大和の元に急いでやってきた。
「フフフ…ここであったが百年目だヨ『龍王』呉成・大和。ボクから逃げきれると思ったのカナ?」
「誰ですか師匠…うぃ……仰らなくてもわかります……敵対している方ですね…」
不敵そうな笑みを浮かべる少女。
そんな彼女に警戒するエイプリル。
一方晴菜は……。
「…………アンタ……何をやらかしたのよ?」
「………………」
そう問い詰める晴菜、大和は何も言わない。
「でも追いかけっこはもうおしまい!?君はボク夜剣・ミコが倒すのだから!!」
そう言って背負った袋を手にした少女ミコ。袋をほどくとそこから西洋剣が現れる。
ミコは剣を抜き放つと切っ先を大和へと向けた。
「さァ勝負だ呉成・大和!次に『爆炎』とその他一人も!!」
「おいおいオイオイ…コイツ等【星】だ!?」「マジで!?」「SNSにあげよ♪」
非日常で剣呑な様子に周囲の人々も野次馬となりざわつき始める。
「くッ…!?」
「行くぞ!やぁああああああああ!!」
剣を振りかぶるミコ。大和へと斬りかかる。
だが、その速度は……。
「……え?」
遅い。あまりにも遅すぎる。
更には剣術も知らなそうな剣の動き。
まるで【星】とは言えない拙さにエイプリルは思わず戸惑いの表情を浮かべる。
「やぁああああ!!」
振るわれた剣。だが盛大に空振りする。
上方向にすっぽ抜け、回転しながら重力に引かれ落ちてくる。
そしてそのまま……。
「へぶっッ!?」
ミコの頭部を正確に捉えた。
倒れるミコ。重力の力は凄まじかったのか白目を剥いて昏倒してしまった。
「「「……………………」」」
あまりにも拍子抜けするような内容に周囲も含め何とも言えない空気になる現場。
その空気を砕くように大和の懐に入れていた通信機が鳴り響く。
相手は睦美であった。
「ほいほいどしたい?………………ん、りょーかい…」
「どうしたのよ?」
「なんか戻って来いって睦美が…予定が入ったとか何とかで…」
「もう?…全く、短い休憩時間だったわね……」
「まあまあ、忙しいのは良いことだと思うぜ…貧乏暇なしとも言うけれど…」
「励ますかと思えば、即座に気が滅入ること言わないでよ…」
そこが少数【星団】の厳しいところと晴菜は額を抑える。
「ついでに…こいつも連れて帰るか……あとジェラートも…」
「……え?…ええッ!?正気ですか師匠!?」
「おぅ、流石にここに放置は可哀そうだし…」
「私もエイプリルに同感ね……この娘どう見てもただの人間よ」
「………え?…えええッ!!?」
晴菜の言葉に素っ頓狂な声を上げたエイプリル。
そんな二名を気にすることなく大和はミコを担ぎながらジェラート屋のカウンターへと向かった。
※急用のため来週は休筆します。4月23日再開予定です。
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