プライベート・スペクタル

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終章

終幕

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「ご主人。ご主人…」
従者のチェルシーからのモーニングコール。
いつものように鳴り響いていたスマートフォンのアラームをいつものように叩き伏せ、二度寝に入ろうとしていた大和は身を捩らせる。
「……………」
「お目覚め下さいましぃご主人」
「う~ん…」
揺さぶってきたチェルシー。
だが、大和も負けじと新調した掛布団のシェルターに身を潜めることで対抗する。
「おやおやぁ、いつもなら目覚めるはずですが今回は強情ですねぇ……」
「……………………」
「まぁご主人も先のことで大変お疲れのご様子…少々お寝坊させてあげてもバチが当たりませんねぇ」
「ウン!ソウダヨー」
「おやこの声はぁ?」
「聞コエルモカイ?私ハ君ノ中ノ天使…良心ノ声ダヨ~」
「そうなんですかぁ」
どうやっても布団の中の大和の裏声なのだが、敢えて乗ってあげる優しいチェルシー。
そんな中自称天使。否、大和の裏声は続く。
「私タチのゴ主人ハ先ノ戦イで大層疲レテイルヨ~コノママ寝ケセテアゲタ方ガイイヨォ~」
「確かにそうですねぇ、天使様の言う通りですよねぇ…」
「デショウ。ジャア決マリ!……アト数時間後ニ再ビ起コシニ来ヨウ!」
「何言っているのよ」
「あすとろンッ!!?」
そこでチェルシーの隣に現れた晴菜に爆撃された大和。布団の中の綿をまき散らしながら盛大に吹き飛び壁に叩きつけられる。
「来てみれば全く……しょーもない抵抗でチェルシーを困らせて…もう少しシャキッとしなさいシャキッと」
「おぁあああぁっ!!俺の布団が!!買い換えたばっかりの俺のニューフートンが!!?」
享年数日。内外含めて焼け焦げた布団の姿に大和は涙を流す。
「手前ぇ晴菜!!俺の相棒がたった数日の命じゃあねぇか!!世話をせずに放置した〇まごっちかッ!!?」
「良かったじゃない。アンタに関わってそれだけ生きれたなんて……それにアンタにふさわしい言葉を教えてあげるわ、自業自得って言うのよソレ……」
「クソぅ…スマンな布団いずれ仇は討ってやるからな………で?なんでお前がここにいんの?」
「切り替え方…何よアタシが来たら何かマズイっていうの?」
「いんや全然、ただ残念だったな晴菜!こう見えても俺の部屋はキレイそのものッ!(チェルシーが掃除しているから…)悪ぃがエロ本やその他見られて困るモノは存在しないッ!オカンのように探し出し、内緒で持ち帰ってムラムラしようとするお前の計画は完全に頓挫したのだ!!」
ドガン!!
再びの爆撃で大和を壁にめり込ませる晴菜。
「ああちなみにぃ…ご主人のオカズ達はきっちりと本棚に入れておきましたよぉ。多用するようなのでよく見やすい位置にぃ」
「エッ、やだッ!!?アチシの性癖が!!!」
「はぐらかしたのは謝るから、いい加減進めない?」
悪ノリを始めた馬鹿主従に頭を抱えつつ軌道修正を図る晴菜。
来た目的を話す。
「……引っ越し祝いよ、引っ越し祝い……アンタがあのボロアパートから出たって聞いたから…」
「あ~…」
納得した大和。

あの争奪戦の翌日。大和は長年住んでいたアパートから引っ越した。

争奪戦の直後、テレビから流れてきたのは…【星】の存在とその後の世界の事であった。
歴史上の裏にいた【星】達。
彼らの存在を先日全世界の人類が各種の媒体を通じて知ったのである。
数多の主要国家は【星団】と協力関係に結ぶことが知らされた。
アレ以降、【星】と人類の接近。新たな世界情勢が構成されたのだ。
そのような事があり大和は喧騒に陥ることを避けるためにアパートを離れたのである。
今は『創世神』の拠点【領域】内に居住用スペースを設けそこに住んでいた。

「まあ人間社会との二重生活をする【星】なら兎も角。こっち側どっぷりの奴がっていうのは特殊だったんだから良いんじゃあない?ようやく少しは普通になったってことよ」
「結構気に入っていたんだけれどなぁ~あのアパート。ボロい分逆に愛着が湧くというかなんというか…」
「しかしぃ、皆々様が同じ【領域】で住む事になって良かったじゃありませんかぁ~これで問題が起きてもすぐに対応できますしぃ、何より学生の寮生活みたいで楽しそうですぅ…それにこの景色」
「おぉ、こいつは流石に良いと思ったぜ」
身支度を終え窓から外を見る大和。
窓からの景色。そこには大規模な日本庭園風の中庭があった。
和風の高級旅館風の大和達が今いる建物に合わせるように色とりどりの季節の草花に石灯篭。錦鯉が泳ぐ中央にある大きな池の水面はこれらを鏡のようにきれいに映している。
さらに奥に見えるは竹林。その中には訓練場と温泉の入浴場があるらしい。
まさに風光明媚それを表現したような立派な庭園である。
「ヒミコの婆さん。俺に【領域】内の引っ越しを勧めて来た時にゃあ引っ叩いてやろうと思ったが、まさかこんなモノを作ってくれるたァ…中々やるじゃあねぇの」
「お褒め頂いて光栄だねぇ」
とそこでヒミコが部屋に入ってきた。
「この景観や造形。【星団うち】の職人連中が設計、施工したものでね。自由にやれって言ったら興が乗りまくってこうなったんだよ」
「へー道理でクオリティが桁外れなわけだ……これ作るってなったら結構かかったじゃあねぇの?」
「アンタ等への礼と考えると必要経費さ…それだけの事をしてもらったんだからね」
そこでヒミコは大和たちへときっちりと向き直る。
「今回の一件は本当に危なかった。本当にこの国が無くなると思ったからね。だからこそ【星】の代表として、国として、国民の一人としてキチンとお礼を言わせておくれ……この国を守っていただきどうもありがとう」
お付きの者も含めて頭を下げるヒミコ。
「気にすんな婆さん。俺達は【星具】を頂き、ただ嫌いな奴をぶちのめしただけだ……特に例なんて言われる筋合いはねぇよ」
「そうかい…そう言ってもらうなら少し肩の荷は降りるよ」
「ところで嫌いな奴で思い出したんだけどよ、イドは『旧支配者』の身体から出てきたのか?それに久弥も……」
大和の問いに首を横に振るヒミコ。
倒した『旧支配者』の亡骸。それを『フツノミタマ』は回収し解剖したと大和たちは聞いてはいた。
結果『旧支配者』に取り込まれた者の多くは人間も【星】も含めて生きたまま解放された。
ただイドと久弥。争奪戦の首謀者である二名だけは、どこを見ても見つけることが出来なかった。
まるで何処かに引っ張られたようにその痕跡だけが見当たらなかったのである。
「そっか…なら仕方ねぇか」
ヒミコの説明にそう返した大和。
薄情にも思える言葉。だが、連中もそういう道を覚悟で歩んでいた。そこで労りは無粋に思えたからである。
それに、また何処かで相まみえそうな…そんな気配も感じたというのもあった。
「そう言えば勝ち取った【星具】。アレはどこに置いているんだい?」
「ああ~アレな…一応作戦室横の保管庫に置いているけれど…ひょっとして婆さんこの期に及んで欲しくなったのか?」
「初めに言ったはずだよ。あんな玩具「興味ない」って…ただどこに置いているか気になっただけさね」
「心配には及びませんよぉヒミコ様。ご主人は保管庫だけ言っておりますが…中のセキュリティは万全。【領域】座標を利用した多重座標【領域】となっておりますのでぇ」
「複雑な座標をナンバー鍵のように設定する【領域】だね。【領域】の大きさは小さくなるが確かにそれなら安全だね」
納得するヒミコ。興味ついでにもう一つ…。
「でどう使うんだい?まさかトロフィーとして倉庫の肥やしとして置いておくのかい?」
「それな…暫くは俺が使おうかなぁ、他は全員武器持ちだし…」
とそこで外からノックが聞こえる。
入ってきたのは門司に睦美、エイプリルであった。
「師匠。参りましたよー」
「ふむ…内装がよければ多少散らかっていてもそれなりになりますね」
「入って言うことか鉄面皮。男の部屋でこれ位は散らかりには入らん」
「で、なんで俺の部屋に集まってくるんだよ?今ここだけ人口密度がすげーことになってんぞ」
「あまりにも遅いから呼びに来たんですよ…今日は居住用スペースの拡大に全員の入居。それと先の戦いの祝賀会を細やかながら行おうと言ったじゃあありませんか…」
「あっ…」
そうだったと大和は思い出す。
「晴菜に呼びに行ってもらったんだが…どうもミイラ取りがミイラになったな…」
「あ…」
晴菜もうっかりした表情を見せる。
「まあこうなると思っていたからな…むしろ眠っている大和と一発しっぽりするんじゃあないかとも考えていたし……」
「~~ッ!!?」
ドガン!! ヒョイ
顔を真っ赤にしての晴菜の爆撃を軽やかに躱す門司。
そのまま飛び出していってしまった。
「さてさて…ここに長居してもあれでしょうし、私達も向かいましょうか…」
「そうだな」
「うぃ」
「ですねぇ」
睦美の言葉に尤もだと思った大和達。外に出ようとする。
「しかし祝賀会かぁ~腕によりをかけたんだろうチェルシー?」
「勿論当然で御座いますよぅ…リサーチした皆々様の好物を腕によりをかけて作らせていただきましたぁ」
「師匠。私も料理をお手伝いしたんですよ!」
「おぉ、そいつは楽しみだねぇ…」
会場に向かう大和達。
それを後ろの方から見守るヒミコ、楽しそうなエイプリルの姿に笑みを浮かべる。
「大和!」
「どしたい婆さん?」
「やっぱり今回の件、アンタらに任せて正解だったよ【星具】の件も……そしてエイプリルの件も…」
「………おお、そう思ってもらったんなら良かったぜ」
「今後とも末永いお付き合いのほど頼むよ」
「そいつはどうだろうなぁ?まあ次第ってことで…余計なことしたら敵についちゃうかもよぉ?」
「ふん……やっぱり悪童ワルガキどもだよ…アンタ等」
(全く…それでも頼んだよ…私が愛するこの国に生まれた誇るべき悪童ども……)
知らない内に大和に誘われ会場に引きずられていく従者の後姿を見ながらヒミコは心の中で呟いた。



『……本日のニュースはここ数日間で存在を確認し話題となっている【星】と呼ばれる者たちの特集からです……』
『…………先日、贈賄の疑いで逮捕されました衆議院議員の……』
『………いやー長いこと大学にて教鞭をとってきましたが全く知りませんでしたよ。彼らのような俗に言う超人たちが存在していたなんて……』
真っ暗な部屋の中点けていたテレビの画面からはそんな声と映像が流れ続ける。
それを一人の少女はじっと見つめていた。
『…各国の首脳たちは彼らの集団である【星団】との協力関係を結び……』
『……我が国には『フツノミタマ』と呼ばれる【星団】の…』
『…大人気アイドルグループの『グレープジュース』ですが自らは【星】であると公表しました』
「……………」
ベットの上で膝を抱えながら見る少女。手にしたリモコンでチャンネルを変え、【星】関係のニュースを巡っていく。
『…彼らは英雄ですよね!イヤー本当にありがたい限りっス!!』
『つい昨日、仕事でのトラブルを通り過ぎざまに助けていただいて…』
『全く下らないですよ……ただ強い力を持っていてそれをひけらかしているだけとしか……』
『……彼らが問題を起こした場合どう取り締まるのですかね?…政府にはそのあたりを…』
『……せーの!【星】最高~ッ!!』
そこでテレビの電源を落とした少女。別途から降りて立ち上がる。
「……よーしッ、ワタシだって……!!」
音も光もない部屋の中、少女はこぶしを握りしめそう呟いた。

第一話 完

※2話の仕込みの仕上げと現実リアルでの生活環境の変化でバタバタするので2週ほど休筆します。
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