プライベート・スペクタル

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第四章

第四節

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「オラァッ!!」
「シッ!」
それぞれに目の前の敵に打撃と斬撃を叩き込む大和と門司。
受けた者は呻き声も無く吹き飛ぶ。
だが、穴を埋めるかのように続々と敵は向かってくる。
「おいおいオイオイ!いくら何でも多過ぎんだろッ!」
一斉に飛び掛かられから十数分。
寄せては返す波の様に間断なく襲ってくる状況に大和は思わず叫んだ。
「それよりコイツ等…ッ」
(一名一名は並みかそれ以下の【星】程度の実力、大したことは無ぇ……ただこの多さは何だよ!)
思考しながらも攻撃を捌き続ける大和。
以前の戦闘にて久弥ともう一人の黒幕が多数の【星】を雇えるぐらいの財力とコネクションを持っていることは理解できた。だから今回の戦いでも大勢と戦うことはある程度予想はしていた。
だが、いくらコネクションがあるとはいえざっと見るだけで百名近く存在する状況。
並の人間よりもはるかに強力な言葉通りの超人である【星】をこれほどの数雇うのは流石に常軌を逸していた。
(それに連中のこの身なり……コイツもおかしい)
通常【星】というのは、どんなに格が下の者でも身なりに自分なりの色や特徴、傾奇の部分を入れる。
まるで誰かに自分というモノを見てもらう為に…。
それが【星】というモノの本能のようなものである。
だが、連中にはそれが無い。すべて同一画一の黒のフードと白い無地の仮面。没個性の様なオリーブ色の戦闘服にタクティカルベスト。武器は山刀という目立たないモノ。
周囲の多数と自らを同じなんてそれこそありえなかった。
(そもそもコイツ等…【星】以前にちゃんとした生物か?)
叩き込んだ打撃。
致命傷とまではいかなくとも戦闘不能に陥るのに十分な打撃を受けても呻き声をあげず、壁に叩きつけられてもすぐに起き上がる。
まるで生きた屍かそれに類する何かのように思えた。
「ちッ、面倒だ……大和、チェルシー上手く避けろよ…」

【演目】『鬼震 小噺 二太刀 小烏丸』

舌打ちと共にる門司の【演目】。
全方位に放たれた高速の斬撃に周囲にいた全ての敵の四肢が斬り裂かれる。
「悪いが、これまでのように峰では無いぞ……だが、切り口はきれいなはずだ、今すぐ退いて治療をすれば【星】なら後遺症も残らないはず……」
とそこで言葉を失う門司。。
吹き飛ばされた時に取れた仮面。そこから見えた敵の表情。
それは何もない完全な無であった。
さらに斬り落とされた手足からは触手のようなモノが伸び始める。
触手は互いに結びつき、あっという間に四肢がくっつき元通りになった。
「おいおいオイオイッ、こういう勘は当たらなくていいって俺!」
予想が運悪く的中し叫んだ大和。敵は文字通りに【星】どころか人間すらなかった。
続々と回復し戦線に戻っていく様に舌打ちする門司。
あっという間にふりだしに戻り大和達は囲まれる。
「微塵に刻む必要があるとは……面倒だな……」
「俺なら挽き肉ミンチってか…コイツ等なら『龍桜』を演っても問題はねぇな!」
【星】ではないどころか人ですらないコイツ等に使うのも少々アレだと思うが笑みを浮かべる大和。
とその時、一つの扉から炎が噴き出す。
炎はあっという間に謎の敵の一部を飲み込む。
「これはぁ?」
不意の出来事に首を傾げるチェルシー。
その後も次々と敵を飲み込んでいく炎。反撃を試みようと敵も炎が出てきた扉に殺到しようとするが、そこには人型の実体化した影が現れると手にした槍と剣で次々と貫き裂いてく。
あっという間に謎の敵は残らず焼き尽くされた。
『…これは………』
「全く…囚われのお姫様に手を煩わせるなんて…それぐらいの甲斐性を見せなさいよこのばか……」
「……ふ…」
「へへっ…」
未だピンと来ていない睦美。
一方その炎で察する大和と門司。
扉から出て来るであろう頼もしい味方の登場に思わず笑みを浮かべる。
「でもま……アンタのことだから仕方ないわよねッ!!」
「師匠!」
扉から出てきた頼れる味方、晴菜とエイプリル。
そこで大和達は目的の一つであるエイプリルの奪還と晴菜との合流を達成したのであった。
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