プライベート・スペクタル

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第四章

第二節

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「ん…?」
急な浮遊感を感じたことにより自身のいる空間が組み替えられたことを理解したエイプリル。収まり開いた扉の方を見る。
入って来たのは晴菜であった。
「えっ、晴菜さん………?」
疑問を浮かべるエイプリルに何も答えない晴菜。檻の出入り口まで近づく。
手には炎の拳銃を握られていた。
そのまま拳銃の銃口を向ける晴菜。だが、向けた先はエイプリルではなく彼女の檻の錠前である。
そして引き金を引き錠前を破壊した。
「えっ!?……え…?」
「静かに……」
困惑するエイプリルに短くそう返し、懐から鍵を取り出した晴菜。その鍵をエイプリルの首輪へと差し込む。
ガチャリという音と共に首輪は外れ落ちた。
「良し、コレで良いわね」
「晴菜さん…あの……これって…?」
「決まっているでしょ、逃げるわよ…」
「え?」
晴菜のその言葉に戸惑いの声を上げるエイプリル。
「さあ、早く出て…」
「ちょ、ちょっと待って下さい!?どうしたんですかそんな突然ッ!?」
「……なに?自由の身になるのが嫌っていうの?」
「のぅ、そうではなく!?……どうしてこのような手助けを!?」
つい先日まで自分達と敵対をしていたのに…彼女の思惑と行動にエイプリルはまだ頭を追いつかせていけなかった。
「ああそんなこと…アタシの気まぐれよ……」
「……………………」
「っていうのは、流石に調子良すぎるわね…疑われているし……」
至極簡単なように返した答えを引っ込める晴菜。正直に話す。
「無くなったのよ…アンタ達と敵対する理由っていうのがね……」
「理由…」
扉の方を警戒しながら答える晴菜。
それを聞きながらエイプリルも檻の外へ出た。
「つい先日まで…アタシはアンタ達と戦う意味があった。だからこそイドの奴に雇われてやったし…喜々としてアンタ等を痛めつけようと思った。だけれど…アンタのお師匠とちょっとあってね…それももう失せたのよ……」
「………………」
「勘違いはしないでよ…契約金も前金を除いて全て返金してやったわ…持ち逃げなんてしいていない……傭兵としてその辺りはきっちりするわよ」
「……くすくす」
「……なに笑っているのよ…」
「…………いえ、やはり晴菜さんは優しい人だったなと…思いまして………」
「……ッツ!呑気なこと言ってないで、さっさとここを出るわよ!」
少し顔を赤らめそう言い放った晴菜。エイプリルは「うぃ」と笑みを浮かべた。
とその時…。
「……そうか…今になって裏切るか…『爆炎』…」
「「ッツ!?」」
出入り口から聞こえる声。
晴菜とエイプリルは即座に即座に身構える。
出入り口の前には二名の【星】がいた。
「やはり久弥の予想の通りになったか……そろそろ『爆炎』は裏切るかもしれない…とな…」
「ああ立派な裏切りだよ兄さん」
二名ともメキシコの楽団であるマリアッチのような衣装を身に包んだ壮年の男性。手にはそれぞれバンジョーのような弦楽器とマラカスを携えている。
似たような顔つきと言動から兄弟の様である。
「まさか虜囚を解放し…あまつさえ共に脱出を図ろうとするとは…」
「そうだね兄さん。後を付けておいて正解だったね」
兄だと思われるバンジョーを持つ方の言葉に頷く弟であろうマラカスを持つ方。
互いに楽器をかき鳴らし始めた。
「あら……契約金はキチンと返上しイドも離反には了承した以上。契約はそこで終わっているわ……その時点で自由になったアタシに裏切りだなんて…心外ね」
「だからと言って即座に利敵行為に移る行為が問題なのだ、恥を知れ」
「同じ立場で雇い主でも無いアンタ達に言われたくないわ……それに、契約にはその部分は一切書かれてもいなかったしね」
「書かれていなくても理解わかることだ!信用まで捨てるなんて…『爆炎』ッ!貴様を雇う存在なんてもう存在しなくなるぞッ!」
「ご心配どーも…でももうアタシは傭兵こんな仕事は廃業するからそんなのはどうでも良いの…」
「このアマぁああああ!!」
そこで激昂した【星】の兄弟。叫びに跳びかかる。
「行くわよエイプリル」
「……うぃ!」
交差一閃。
炎の打撃と影の斬撃により、晴菜とエイプリルは兄弟を一撃のもとに吹き飛ばした。
「「……こはッ!?」」
「悪いけれど通してもらうわよ……アンタ等程度の実力、アタシの『爆炎』を使うまでも無い、描写すらも…ね…」
偶然の様に代わりに檻に叩き込まれた【星】の兄弟にそう言い放った晴菜。
エイプリルを連れて出入り口に向かう。
「さあ、さっさと行くわよエイプリル。来ているアンタのお師匠様と合流するためにね…」
「……ッ、師匠が来ておられるのですかッ!?」
「ええそうよ、ついさっきこの【領域】に踏み込んだみたい。まだ騒ぎが無いから敵にも気づかれていないみたいで……全く、どうやってここの情報を得たんだか…」
「でしたら、早く合流して止めて貰うように伝えないと…ッ!」
「止める?伝える?………一体何のことよ?」

「久弥とイドの目的の事ですッ!……彼らの目的、それは【星具】を兵器として用いた日本の破壊……復讐の為の日本という国家の壊滅ですッ!!」
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