33 / 139
幕間2
幕間1
しおりを挟む
「はぁ……」
自らの【領域】で佇む久弥。溜息を吐く。
気持ちは最高でもあり最低でもあった。
先の『創世神』との戦闘。
こちらは奪われた【星具】。敵は奪った【星】を巡ったあの戦い。
周到に準備し、待ち伏せた状況でありながら裏をかかれ『龍王』に雇った【星】の大半を潰されたあの戦い。
目的を達成できず戦場にした【領域】から離れた久弥が次に聞いた報告は、イドからの『月下の雫』を奪い返したという内容であった。
「連中がやって来る場所に餌を撒いておいて強襲☆その隙を突いて奪ってやったぜ♪」
Ⅴサインをしながらイドはそう教えてくれた。
「はぁ……「やることがある☆」だのなんだの言っていたのは、こういう事かよ……はぁ…」
溜息が止まらない久弥。
戦果としては戦力の損耗があったが、こちらの目的は達し、敵の目的は挫いたという上々のモノ。
だが、久弥としては素直に喜べない。
なんせ協力者に勝手に動かれるどころか、協議も無しに餌として使われたのである。
対等な関係であるはずの久弥としてそれは裏切りに近いものである。
故に気持ちは最高であり最低なのである。
(ひょっとして……俺は奴に良い様に使われているだけなのか?)
「そんな訳ないじゃん♪」
「………………ッ!?」
「やっほー☆」
気配も無く背後に現れたイド。考えていたことを読まれたような返事に久弥の心臓の鼓動は一気に跳ね上がる。
「驚かせちゃった?あははゴメンゴメン~♪」
「はあ…何のようだよ……」
「いや~君が俺の事を疑っているだろうと思ってさぁ☆その誤解を解きに来たんだよ~」
「誤解…か……その割には行動は一切伴っていないがな……」
そう皮肉る久弥。イドは「うへ~痛いとこつくね~☆」と大仰にとぼけながら続ける。
「でも君にとっても悪い話じゃあなかったろう?こちらは取られず、敵のは取り返した。有利に運んで良かったはずさ」
「それは……そうだが………」
否定は出来なかった。おおよそその通りだったからである。
「だろう?♪だったらもう少し信頼してくれ相棒、君の思いに共感しこうやって手を貸すのは君に目的を達して欲しいからさ☆君が目的を達成するその時まで、俺は君に協力することを約束するさ☆」
「……はあ…わかったよ……」
イドの言葉に溜息を吐きつつも頷いた久弥。
押し切られたような気がするが仕方がない。現に久弥がここまで出来ているのは、人脈や資金、物資を提供してくれている彼のおかげである。
そう思うと多少の独断専行も目を瞑る必要があると自らを納得させる。
そんな久弥の反応にイドも「良かったぁ☆」と笑みを浮かべる。
「さってと☆不満はコレで流れ去ったし、今後の事について話そうか♪とその前に…カモーン☆」
指を鳴らすイド。彼麾下の【星】がエイプリルを連れてきた。
「おい、何故連れて来るんだ?」
「いやいや~もう当事者みたいなものだし☆そろそろ彼女にもアレを見せて、ついでに僕たちの計画を知ってもらおうと思っただけさ☆」
「何故だ?」
「そっちの方が面白いからだよ♪」
そう言い切ったイドに溜息を吐く久弥。
そんな久弥の事は放ってイドはエイプリルの元に近づく。
「さてさてエイプリルちゃん。師匠達の迎えが来てもらえなくて残念だったね~☆」
「…………………」
「あれあれ、だんまりを決められちゃっているよ~☆……まあ良いさ、こんな状況になっているおかげで君も俺達が『月下の雫』を使って何をしようと考えているのかわかるわけだしさ☆」
「それじゃ♪」と共に再び指を鳴らしたイド。
すると彼らの後ろから何かがせせり上がって来た
「…これはッ!?」
「ではプレゼンしてもらいましょう♪久弥君ッ!☆」
「はぁ……………………………………………………………………………………………すること…それが俺達の計画だよ…」
「………ッ!?」
「アッハッハ~良いね~良いよ~その表情、グッドだよ♪見ているかい久弥?これが見たいから良いんだよ~♪」
「はぁ……」
満足げなイドに溜息を吐く久弥。
一方のエイプリルはそんなモノより現れたモノと彼らが明かした計画により何も言えない。
「この事を早く師匠に伝えないといけない」と、そう思った。
「全く……だけど理解したか?これが俺達の計画の全貌…これが完遂されることで俺の復讐は果たされる…そういうことだよ」
「アッハッハ~良いねぇ良いよ♪これで準備OK☆さあこの騒動の最終章を始めましょうか☆」
ゲラゲラと笑いながら高らかに宣言するイドと無言ながら肯定の姿勢をとる久弥。
「師匠………私はどうなっても良いです……それよりも先にこちらの方を……」
その様子を見ながら聞こえない声量でエイプリルはそう呟いた。
自らの【領域】で佇む久弥。溜息を吐く。
気持ちは最高でもあり最低でもあった。
先の『創世神』との戦闘。
こちらは奪われた【星具】。敵は奪った【星】を巡ったあの戦い。
周到に準備し、待ち伏せた状況でありながら裏をかかれ『龍王』に雇った【星】の大半を潰されたあの戦い。
目的を達成できず戦場にした【領域】から離れた久弥が次に聞いた報告は、イドからの『月下の雫』を奪い返したという内容であった。
「連中がやって来る場所に餌を撒いておいて強襲☆その隙を突いて奪ってやったぜ♪」
Ⅴサインをしながらイドはそう教えてくれた。
「はぁ……「やることがある☆」だのなんだの言っていたのは、こういう事かよ……はぁ…」
溜息が止まらない久弥。
戦果としては戦力の損耗があったが、こちらの目的は達し、敵の目的は挫いたという上々のモノ。
だが、久弥としては素直に喜べない。
なんせ協力者に勝手に動かれるどころか、協議も無しに餌として使われたのである。
対等な関係であるはずの久弥としてそれは裏切りに近いものである。
故に気持ちは最高であり最低なのである。
(ひょっとして……俺は奴に良い様に使われているだけなのか?)
「そんな訳ないじゃん♪」
「………………ッ!?」
「やっほー☆」
気配も無く背後に現れたイド。考えていたことを読まれたような返事に久弥の心臓の鼓動は一気に跳ね上がる。
「驚かせちゃった?あははゴメンゴメン~♪」
「はあ…何のようだよ……」
「いや~君が俺の事を疑っているだろうと思ってさぁ☆その誤解を解きに来たんだよ~」
「誤解…か……その割には行動は一切伴っていないがな……」
そう皮肉る久弥。イドは「うへ~痛いとこつくね~☆」と大仰にとぼけながら続ける。
「でも君にとっても悪い話じゃあなかったろう?こちらは取られず、敵のは取り返した。有利に運んで良かったはずさ」
「それは……そうだが………」
否定は出来なかった。おおよそその通りだったからである。
「だろう?♪だったらもう少し信頼してくれ相棒、君の思いに共感しこうやって手を貸すのは君に目的を達して欲しいからさ☆君が目的を達成するその時まで、俺は君に協力することを約束するさ☆」
「……はあ…わかったよ……」
イドの言葉に溜息を吐きつつも頷いた久弥。
押し切られたような気がするが仕方がない。現に久弥がここまで出来ているのは、人脈や資金、物資を提供してくれている彼のおかげである。
そう思うと多少の独断専行も目を瞑る必要があると自らを納得させる。
そんな久弥の反応にイドも「良かったぁ☆」と笑みを浮かべる。
「さってと☆不満はコレで流れ去ったし、今後の事について話そうか♪とその前に…カモーン☆」
指を鳴らすイド。彼麾下の【星】がエイプリルを連れてきた。
「おい、何故連れて来るんだ?」
「いやいや~もう当事者みたいなものだし☆そろそろ彼女にもアレを見せて、ついでに僕たちの計画を知ってもらおうと思っただけさ☆」
「何故だ?」
「そっちの方が面白いからだよ♪」
そう言い切ったイドに溜息を吐く久弥。
そんな久弥の事は放ってイドはエイプリルの元に近づく。
「さてさてエイプリルちゃん。師匠達の迎えが来てもらえなくて残念だったね~☆」
「…………………」
「あれあれ、だんまりを決められちゃっているよ~☆……まあ良いさ、こんな状況になっているおかげで君も俺達が『月下の雫』を使って何をしようと考えているのかわかるわけだしさ☆」
「それじゃ♪」と共に再び指を鳴らしたイド。
すると彼らの後ろから何かがせせり上がって来た
「…これはッ!?」
「ではプレゼンしてもらいましょう♪久弥君ッ!☆」
「はぁ……………………………………………………………………………………………すること…それが俺達の計画だよ…」
「………ッ!?」
「アッハッハ~良いね~良いよ~その表情、グッドだよ♪見ているかい久弥?これが見たいから良いんだよ~♪」
「はぁ……」
満足げなイドに溜息を吐く久弥。
一方のエイプリルはそんなモノより現れたモノと彼らが明かした計画により何も言えない。
「この事を早く師匠に伝えないといけない」と、そう思った。
「全く……だけど理解したか?これが俺達の計画の全貌…これが完遂されることで俺の復讐は果たされる…そういうことだよ」
「アッハッハ~良いねぇ良いよ♪これで準備OK☆さあこの騒動の最終章を始めましょうか☆」
ゲラゲラと笑いながら高らかに宣言するイドと無言ながら肯定の姿勢をとる久弥。
「師匠………私はどうなっても良いです……それよりも先にこちらの方を……」
その様子を見ながら聞こえない声量でエイプリルはそう呟いた。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
ああ、もういらないのね
志位斗 茂家波
ファンタジー
……ある国で起きた、婚約破棄。
それは重要性を理解していなかったがゆえに起きた悲劇の始まりでもあった。
だけど、もうその事を理解しても遅い…‥‥
たまにやりたくなる短編。興味があればぜひどうぞ。
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる