『オメガ・プロジェクト』~閉じられかけている世界に最新鋭の魔王を生み出す計画に選ばれたんやけれど~

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第一話

第一ステージ⑪

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そうして結成した北斗とアリスの同盟。『珠玉の9人ナイン・ボール』同士、大本命の連合。
その後の彼等の迷宮攻略は非常にスピーディー且つイージーであった。
第3の部屋『海底神殿』。第4の部屋『月面荒野』をほぼ難なく踏破した北斗達。
触れたら即死の凶悪な罠、爪の一振りだけで四肢が裂かれそうな凶暴な魔獣、不心得者を嚙み殺すためのみ創られた神獣、それらを難なく退けどんどんと先へと進んで行く。
速度も恐ろしく、隅々まで探索し神々の居る聖域も踏み荒らしながらも一部屋数時間というハイペースであった。
そうしてあっという間に第五の部屋までたどり着いたのであった。

「ふぅ~ん…じゃあ北斗君は最初の部屋で神様を数十柱狩ったという訳だ」
「マジかよ!あんな小僧が!?」
「ええ、マジですわよ…」
移動途中、空いている時間で北斗の軌跡について話題になったポラリス達三人。
「それにしても神を自発的にって…オカシイんじゃあねぇか?頭の中どうなってるんだ?」
「それについては聞かないで下さいまし…」
虚無が混じった儚げな瞳で遠くを見つめるポラリス。その様子から「お前も大変だったんだな…」とジョセフは憐みの視線を向けた。
「まあまあ良いじゃあないの~そう北斗君が頑張ってくれたおかげで今私達はこんなに楽できるんだから~」
そんな二人を陽気に宥めたアリス。酒瓶を呷り喉を鳴らす。
「まあそれはそうですが…」
先程の気絶した際もだが…今現在休憩の為に使っている神殺し特典のセーフルーム。家具や調度品に至るまで全てが高級スイートの様に豪勢であり、腰掛けているソファやベッドもフカフカであった。
「それに移動役として一人外にいれば、それに付随して移動してくれる優れモノ…持ち主であり今現在の移動役を受け持ってくれている北斗君にはもう足を向けて眠れないよ~私達」
「……ッ」
その言葉にハッとするポラリス。
確かに『楽しさ』という理由以外、何を考えているかわからずイカレたような行動原理の北斗ではある。
だが何らかと相対する時に自分をいの一番に確認したり、一番多く移動役を買って出て自分や同盟相手のアリス達を優先的に休ませてくれたりしている。
『従魔』という立場上振り回される事がほとんどだが、無下に扱われた事だけはこの短い時間、一瞬でも無かった。
それなのにエキセントリックな言動で北斗をトンデモない男だと思いかけていた事をポラリスは恥じる……。
「そうですわ、そうですわよね……ってなりませんわよォ実際ッ!?」
訳は無かった。
「ふぅ危ない危ない……危うく北斗さんを少々魅力的な様に思いかけましたわ…」
呑まれかけた直前に踏みとどまれたことに安堵するポラリス。
「中々に面白い性格しているよね~ポラ子ちゃん」
「お前、そんなキャラだったか?もう少し高飛車な……まあ良いか……」
アリスやジョセフの言葉は聞こえないことにする。
「そ、そんな事よりも…アリスさん達はこの第一ステージはどのような感じでしたの?私すッッッッごく興味がありますわ!!」
これ以上、北斗の話題になれば不味いと感じたポラリス。アリス達の話題へとシフトした。
「そうねぇ~……私達は~……」
『お~いお嬢さんがた。雑談中悪いけれど、ちょいと良えか?』
とアリスが話す直前、移動役の北斗から声がかかる。
「どうしたの北斗君~?」
「おぅ、ちょいと出て来てくれへん?気になるモノが出て来てな…」
「あらそうなの、わかったわ~」
どうやら外で何かがあったようである。
折角の話題ではあったが、そうとなれば出る必要があるだろう。
「それじゃあ続きはまた今度ね~」と話を打ち切るアリス。
そのままポラリス達はセーフルームから出る。
出入り口が繋がっている北斗のメッセンジャーバッグから飛び出るというファンタジーな形でポラリス達は外へと出た。
「北斗君、移動役ありがと~すっかり休憩させてもらったわ~」
「構へん構へん。こっちもこんな珍妙奇天烈な場所歩き回れたからな」
まるで説明するかのように両腕を広げた北斗。
『迷宮』。その第五となるこの部屋。

それは超々巨大な子供部屋の様であった。
窓から差し込む優しい太陽光は部屋全体を明るく照らし、クッション性の高い地面に無造作に置かれているぬいぐるみや玩具は全てが巨大だ。
周囲に積まれた巨大な積み木の囲いは城壁のようであり、遠くに見える教科書や絵本が置かれた学習机や椅子は建造物のようである。
まるでよくある子供部屋に小人として迷い込んでしまったような風景。それがこの部屋であった。

「何だかこれまでの部屋とはボール一個分程ズレたようなそんな部屋ですわね」
「おぅ、チョイと変化球な部屋やなとは俺も思う。でも中々に楽しかったで、ミニチュアの模型になった気分や」
「そんな特殊嗜好はどうでも良いですの」
「それで北斗君。何があったの~?」
「ああそれな……コイツや」
アリスに言われて見つけたモノを指さす北斗。
北斗が指し示したモノ。それは一つの機械人形であった。
自動人形オートマトンとでも言えば良いのであろうか…一目だけでは人間と大差ない見た目だが、半壊した胴体部から覗く配線や巨大ロボットアニメの主役ロボットの様な四肢から人間とは異なる存在モノだと理解させられる。
燃えるような紅の髪にヘッドフォンの様なパーツを身に着け胴体部分はボディスーツの様なモノを身に着けており、人間に近い部分は無機質ながらも少女のようであり中々に整っていた。
「こういうのを俗になんて言うんやったっけな~ぁ?………せやロボ娘や!!?」
「わざわざ何故、俗っぽい言い方に改めたんですの!?自動人形で良いでしょうに!?」
掌をポンと打ち叫んだ北斗に冷静にそう返すポラリス。そこにアリスは首を傾げた。
「で?このロボッ娘がどうかしたの?」
「あぁ、どうもこの部屋に合わへんなぁ思うて…」
「合わない?」
「そうそう……周りに子供っぽい玩具が転がっとるけれど、そのどれもと違う思うて、こんな部屋にこれは異物やろ」
「確かにね~」
こういう部屋も探せばあるだろうが…転倒防止のクッション性の高い床、積み木や車の玩具が散乱する中に美少女フィギュアの様なコレは明らかに異質に見えた。
「そう思うとこの娘の周りも違和感バリバリだ……」
周りもその人形を中心とするように焦げや凹みの様なモノが出来ている。
ジオラマでも無ければどう見ても撃墜されたようなようである。
「成程な…ここに少女人形が落ちていることは分かった……で?コレがどういう理由で気になったんだ小僧?」
「せやなワン公…イヌのお前にゃあ解らんかもしれんが、コイツはどう見ても撃墜現場やつまるところ、ここで何らかの戦闘行為があったという事やな」
「あん?何が言いたい?」
「わからんか?…という事はコイツを撃墜させた何者かがいるわけや…この平和そうな部屋を保ったままやらかしたヤバい存在なにものかがな…」
「「ッ!!?」」
ようやく理解したジョセフとポラリス。冷汗が一筋垂れる。
と次の瞬間、何者かの声が聞こえた。

「あ~やっと来てくれたァ~~!!」

全身を震わせるような大音量。北斗達は聞こえた頭上を見上げる。
そこには……。
「ようやく始まったんだねぇ~ハジメマシテ~~!!」
天を衝く程の超巨大な巨人の姿。
これが第五の部屋『巨人の砦』である
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