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屋敷に帰ってきたら1
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屋敷に帰って来た時間はもう真っ暗だった。だから、屋敷の中に入ると、早く夕食に間に合うように急ぐわ、と脱兎のごとく部屋に行き、着替えた。
だって、着ていた服はおしりに泥がついていたし、踏まれたところに足跡がついていて、明らかに何かありました、と言わんばかりだ。
パッシュと行ったお店は上手く鞄で隠したり、パッシュが上手く動いてくれたから問題なかった。
昨日の話の後だ、皆に心配かけたくなかった。
「ジャージー。これすぐに洗ってもらえる?」
屋敷のなかで1番口の硬い召使いに服を渡した。あえて部屋に入れたのもジャージーだけにした。
歳は26と若いが、とても気が利き、分別を弁えている、可愛い召使いだ。
「どうされたんですか?」
小さい声で聞きながら、私から服をとった。
「少し汚れてしまって、これ気に入ってるから早く洗って欲しいの」
「少しの汚れでは無いですね」
軽く広げながら溜息混じりに言った。
「まあ、ね。でも、服だけだから。あ、このことは秘密ね」
「分かりました、お嬢様」
「ありがとう、お願いね」
会釈すると出くのを見て急いで着替えた。
良かった。バレずにすむわ。
ソファに座ると、どっと疲れが出てきた。
ジャージーが帰ってきたらお茶でも貰おうかな、と思っていたら扉を叩く音がした。
「ラヤ、入ってもよろしい?」
お義姉様の声だ。
「はい、どうぞ」
何かしら?
「失礼するわ」
そう言って入ってきた腕に、今日着ていた服が乗っていた。
なんでよぉ。
「何があったかは聞かないわ。当ててみせるわ。この服を見たら、すぐに分かるわ。お尻の部分がよく汚れているから、尻もちついたのね。その時に、この裾の部分を踏まれたのでしょう?足跡がくっきりとついているわ。どう見えも女性の靴。さ、誰が何を、ラヤにしたのかしら!?」
ずいと顔を近づけ、真剣な顔で心配しているのがわかったから、どうぞとソファを指さした。
「ええ。ゆっくりお話ししましょう」
お義姉様は座るかと思うと、廊下に行き、
「ジャージー。洗っておいてね」
「はい。若奥様。すぐにお茶も準備致します」
「お願いね」
「かしこまりた」
廊下で待機していたジャージーに渡すと、いい返事が返ってた。
その様子をあっけに取られながら見ていると、ジャージーが得意そうに笑っていた。
筒抜け?
「さ、お話しましょう」
扉を閉め、前にお義姉様座った。
「どうして、ジャージーは喋ったんですか?」
ムスッと顔をしかめて聞いた。
だって、今までちゃんと口が硬かったもの。
「屋敷の召使い全員に、ラヤに何かあってら報告するように、と言ってあるの。もしかしたらイジメられているかもしれないか、すぐに教えてね、と言っておいたの。皆心配して協力してくれると約束してくれたの。だから、ジャージーがすぐに、教えてくれたのよ。凄い血相だったわ。お嬢様がイジメられています!とね」
「・・・先手とりましたね。でも、イジメられていると少し違いますね」
「何があったの?」
興味津々で私の顔を見た。
その時ジャージーが入ってきて、お茶を入れてくれながら言われた。
「わたしも何があったか聞きたいです。心配ですもの。でもね、お嬢様がどうしても私には説明したくないと言うのであれば仕方ないですが、今回の服の汚れの事でお嬢様に何があったのかしら?と私が色々な召使い達に言ってしまったら、尾ひれが色々ついておかしな話になっても、私は知りませんからね」
「は?」
そこだけおしゃべりになるの?
「そうね、心配だもね。じゃあ一緒に話を聞きましょう」
「はい!ありがとうございます。若奥様」
「私の事なのに私に聞かないの?お義姉様なの?」
「はい。いつもお菓子を頂いていていますからね」
うふふ、とお義姉様は楽しそうに笑った。
「ちゃっかりしてるな」
お茶を飲みながら、私は今日の事を詳しく説明してあげた。
誰に呼ばれたのか。
呼ばれて、質問した事。
押されて、スカートを踏まれた事。
全部話し終わると、楽しそうに笑われた。
だって、着ていた服はおしりに泥がついていたし、踏まれたところに足跡がついていて、明らかに何かありました、と言わんばかりだ。
パッシュと行ったお店は上手く鞄で隠したり、パッシュが上手く動いてくれたから問題なかった。
昨日の話の後だ、皆に心配かけたくなかった。
「ジャージー。これすぐに洗ってもらえる?」
屋敷のなかで1番口の硬い召使いに服を渡した。あえて部屋に入れたのもジャージーだけにした。
歳は26と若いが、とても気が利き、分別を弁えている、可愛い召使いだ。
「どうされたんですか?」
小さい声で聞きながら、私から服をとった。
「少し汚れてしまって、これ気に入ってるから早く洗って欲しいの」
「少しの汚れでは無いですね」
軽く広げながら溜息混じりに言った。
「まあ、ね。でも、服だけだから。あ、このことは秘密ね」
「分かりました、お嬢様」
「ありがとう、お願いね」
会釈すると出くのを見て急いで着替えた。
良かった。バレずにすむわ。
ソファに座ると、どっと疲れが出てきた。
ジャージーが帰ってきたらお茶でも貰おうかな、と思っていたら扉を叩く音がした。
「ラヤ、入ってもよろしい?」
お義姉様の声だ。
「はい、どうぞ」
何かしら?
「失礼するわ」
そう言って入ってきた腕に、今日着ていた服が乗っていた。
なんでよぉ。
「何があったかは聞かないわ。当ててみせるわ。この服を見たら、すぐに分かるわ。お尻の部分がよく汚れているから、尻もちついたのね。その時に、この裾の部分を踏まれたのでしょう?足跡がくっきりとついているわ。どう見えも女性の靴。さ、誰が何を、ラヤにしたのかしら!?」
ずいと顔を近づけ、真剣な顔で心配しているのがわかったから、どうぞとソファを指さした。
「ええ。ゆっくりお話ししましょう」
お義姉様は座るかと思うと、廊下に行き、
「ジャージー。洗っておいてね」
「はい。若奥様。すぐにお茶も準備致します」
「お願いね」
「かしこまりた」
廊下で待機していたジャージーに渡すと、いい返事が返ってた。
その様子をあっけに取られながら見ていると、ジャージーが得意そうに笑っていた。
筒抜け?
「さ、お話しましょう」
扉を閉め、前にお義姉様座った。
「どうして、ジャージーは喋ったんですか?」
ムスッと顔をしかめて聞いた。
だって、今までちゃんと口が硬かったもの。
「屋敷の召使い全員に、ラヤに何かあってら報告するように、と言ってあるの。もしかしたらイジメられているかもしれないか、すぐに教えてね、と言っておいたの。皆心配して協力してくれると約束してくれたの。だから、ジャージーがすぐに、教えてくれたのよ。凄い血相だったわ。お嬢様がイジメられています!とね」
「・・・先手とりましたね。でも、イジメられていると少し違いますね」
「何があったの?」
興味津々で私の顔を見た。
その時ジャージーが入ってきて、お茶を入れてくれながら言われた。
「わたしも何があったか聞きたいです。心配ですもの。でもね、お嬢様がどうしても私には説明したくないと言うのであれば仕方ないですが、今回の服の汚れの事でお嬢様に何があったのかしら?と私が色々な召使い達に言ってしまったら、尾ひれが色々ついておかしな話になっても、私は知りませんからね」
「は?」
そこだけおしゃべりになるの?
「そうね、心配だもね。じゃあ一緒に話を聞きましょう」
「はい!ありがとうございます。若奥様」
「私の事なのに私に聞かないの?お義姉様なの?」
「はい。いつもお菓子を頂いていていますからね」
うふふ、とお義姉様は楽しそうに笑った。
「ちゃっかりしてるな」
お茶を飲みながら、私は今日の事を詳しく説明してあげた。
誰に呼ばれたのか。
呼ばれて、質問した事。
押されて、スカートを踏まれた事。
全部話し終わると、楽しそうに笑われた。
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