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使えるわね
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「大丈夫?行ける?」
パッシュが近くに寄ってくると、おしりの所を軽くパンパンと叩いてくれた。
「そこ、心配するとこ?」
「当たり前でしょう?ラヤが負けるわけないの知ってるもの。それよりも、今日限定のケーキでしょ。さ、行くよ。なくなってもいいの?」
「それは、困る」
顔を見合せ笑いながら私達は急いでディーズ店に向かった。
お店はやはり大混雑だった。さっさと来れたら待たずに座れただろうけど、つまんない事で時間を潰されてしまったから、学生だけでなく仕事帰りの人までいる。
「どうする?持ち帰りする?」
順番は8番目だ。売り切れになるまでは持ち帰りも可能だが、当然店で食べて帰る人が優先されるが、今なら持ち帰りも可能だ。
「うーん。確かに、これ待ってたら帰りが遅くなるよね。でもここで食べないと意味ないよね?」
「だねぇ」
お店で食べた方が断然美味しいし、それが醍醐味だ。
結局40分待って席に座り食べた。
「美味しい!」
完熟フルーツをふんだんに使用したタルトです。
フォークでどこを指しても果汁が出てくる。そしてサクッと香ばしいタルト。
最高です!
私の言葉に無言で頷きながら、一生懸命にパッシュが頬張っていた。
食べ終わると今度は違うケーキを頼んで、やっと落ち着いて話しをしだした。
「タイミングよく先生を呼んだでしょう?」
得意げに言うパッシュに素直に頷いた。
「それに、あえてセージ先生を呼んできてあげたよ」
「あえて?」
珍しく得意げな顔でフォークを軽く振りながらパッシュはくっ、と唇を上げた。
「セージ先生の母方の実家は平民ながらも大きな商人なの。ところが少し前からニマ断捨離の卑劣な手で取引先が奪われたり、潰されてしていて、その流れでセージ先生のご実家は多大な損失を受けているの」
「上手く私を使ったわね」
「何言ってるのよ。1人に対して1人以上であればいじめよ。それに、この後この事についてどう動くかは私達には関係ない事でしょ?」
にっこり笑いお茶を飲む、我が親友が悪魔の微笑みに見えた。
「そうだね。でも、どこでその情報は調べたの?」
「えっへへ、お父様達が話をしていたのを偶然盗み聞きしたのよ。その時はなんとも思わなかったけど、ラヤが婚約解消する、と聞いてからは何かで使えるかも、と思ってたの!」
褒めて、褒めて、と言わんばかりに頬を赤らめて言ってくる顔がとても可愛らしかった。
「確かに上手く使ったね」
私の答えにとても満足そうに、パッシュがケーキを頬張った。
確かに使えるわね。
パッシュが近くに寄ってくると、おしりの所を軽くパンパンと叩いてくれた。
「そこ、心配するとこ?」
「当たり前でしょう?ラヤが負けるわけないの知ってるもの。それよりも、今日限定のケーキでしょ。さ、行くよ。なくなってもいいの?」
「それは、困る」
顔を見合せ笑いながら私達は急いでディーズ店に向かった。
お店はやはり大混雑だった。さっさと来れたら待たずに座れただろうけど、つまんない事で時間を潰されてしまったから、学生だけでなく仕事帰りの人までいる。
「どうする?持ち帰りする?」
順番は8番目だ。売り切れになるまでは持ち帰りも可能だが、当然店で食べて帰る人が優先されるが、今なら持ち帰りも可能だ。
「うーん。確かに、これ待ってたら帰りが遅くなるよね。でもここで食べないと意味ないよね?」
「だねぇ」
お店で食べた方が断然美味しいし、それが醍醐味だ。
結局40分待って席に座り食べた。
「美味しい!」
完熟フルーツをふんだんに使用したタルトです。
フォークでどこを指しても果汁が出てくる。そしてサクッと香ばしいタルト。
最高です!
私の言葉に無言で頷きながら、一生懸命にパッシュが頬張っていた。
食べ終わると今度は違うケーキを頼んで、やっと落ち着いて話しをしだした。
「タイミングよく先生を呼んだでしょう?」
得意げに言うパッシュに素直に頷いた。
「それに、あえてセージ先生を呼んできてあげたよ」
「あえて?」
珍しく得意げな顔でフォークを軽く振りながらパッシュはくっ、と唇を上げた。
「セージ先生の母方の実家は平民ながらも大きな商人なの。ところが少し前からニマ断捨離の卑劣な手で取引先が奪われたり、潰されてしていて、その流れでセージ先生のご実家は多大な損失を受けているの」
「上手く私を使ったわね」
「何言ってるのよ。1人に対して1人以上であればいじめよ。それに、この後この事についてどう動くかは私達には関係ない事でしょ?」
にっこり笑いお茶を飲む、我が親友が悪魔の微笑みに見えた。
「そうだね。でも、どこでその情報は調べたの?」
「えっへへ、お父様達が話をしていたのを偶然盗み聞きしたのよ。その時はなんとも思わなかったけど、ラヤが婚約解消する、と聞いてからは何かで使えるかも、と思ってたの!」
褒めて、褒めて、と言わんばかりに頬を赤らめて言ってくる顔がとても可愛らしかった。
「確かに上手く使ったね」
私の答えにとても満足そうに、パッシュがケーキを頬張った。
確かに使えるわね。
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