目覚めた公爵令嬢は、悪事を許しません

さち姫

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第2部

ガナッシュ目線2

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「もう一度言ってみろ・・・」
生まれて始めて自分の声が震え、身体が強ばっているのがわかった。
「公女様が、王妃様の側近を全て王宮から追い出し、クラウス・ジナール様も出されました!王妃様は、別宮にて生活する事を陛下より言われ、謹慎状態となっております!!」
「ふざけるな!スティングは何故そんな事をやってるんだ!父上も何故それを認めているのだ!!」
意味が全く理解できなかった。
昨日、この避暑地に着き、今日は夕方まで遊んで帰っきたら、真っ青な顔で王宮の伝令係が待っていた。
そうして、先程の内容を伝えられた。
「スティングはどうした!?それに、何だその公女という呼び方は!?」
詰問すると、男は、陛下よりスティングの事をそう呼べと命令されたと言った。
「全て王宮にいる召使いの態度が悪く、帝国皇子、皇女の機嫌を害した為一掃された、との事です。それと、公女様は、帝国より誘いを受けこの夏は帝国にて過ごされるとの事で、恐らくもうすぐ出発するのではないでょうか」
「え!?スティングだけ!?ガナッシュは?私は?勿論待っててくれるんだよね」
レインの驚きの言葉に、膝をつく伝令係は首を振った。
「・・・陛下より、帝国へは、公女様だけが向かい、王子とレイン様にはすぐに王宮に戻るように、との事です」
「何だそれは!?」
「ええ!?なんでえ?」
「王宮に帰り次第、すぐに王子には王宮で働く新たな貴族、召使いに対し、対応をするように、と。レイン様に対しては、これからは王宮での立ち居振る舞いを覚えて欲しいとの事で、礼儀作法を学ぶように、との事です。それと、レイン様にも公女様、と呼ぶように言われております」
「ふざけるな!!納得行かない!」
「勅命でございます!!」
叫んだ言葉に、ぐっと言葉を呑み込んだ。
父上、どういう事だ!!
これでは、完全にスティングのやりたい放題で、全て父上が認めている。
それも、レインに礼儀作法を教えるだと!?スティングだ!あの女が前々から喚いた事だ。
では、父上はそれを受け入れたのか!!
「レイン、礼儀作法はどうにかやめさせる。君に・・・」
安心させるように精一杯笑って振り向くと、見た事もない顔で笑っていた。
ゾッとするような、何か企んだ顔に見えた。
「大丈夫だよ、ガナッシュ。私も本当は、前からすこーしは、勉強しないといけないかなあ、と思っていたの。ステ、じゃなかったね、公女様だね。公女様まではいかないだろうけど、ガナッシュの側にいて嬉しいなあ、と思うくらいまでは頑張るよ。ね」
にっこりと可愛く微笑んだ。
気のせい、か。
いつものレインだ。
髪を揺らし、私の顔をふわふわと見上げる顔にほっとした。
「ごめんな。スティングが勝手な事をして巻き込んでしまったな」
「ううん。考えてみたらね、礼儀作法教えて貰えるということは、もおっと、王宮に行ける、という事だね。そうしたら、私前よりもガナッシュの側にいれるよ」
ね、ね、ととても前向きに甘えてくれた。
「そうだな。それなら、これから王宮で過ごせるように父上に話してみるよ」
「ほんと!?嬉しい。ずっとガナッシュと一緒にいたいもん」
ぎゅっと、私の手を握りながら喜んだ。
しかし、スティングは何をしているんだ!?
1人で帝国にて行くだと!?
母上の側にいた者達を引き離し、その上クラウスも追い出した。
そこまでして、私の気を引きたいのか!!

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