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第2部
帝国へ(馬車の中)1
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泣き止むまでお父様は私の側にいてくれた。
その後、私はお母様とセインお兄様に王宮での事を話しながら、夕食をした。
お母様もセインお兄様も、お父様と同じように驚いたが、とても喜んでくれた。
沢山話をして、沢山笑った。
そうして部屋に戻り、夜更け、私はクルリが着ているメイド服に着替えた。
「急ぎなさい」
「はい、お父様。クルリ、リューナイト、後はお願いね」
「はい、お嬢様。任せといて下さい」
「万事お任せ下さい」
2人の自信満々の様子に、後悔という気持ちを押し込め、クルリそしてリューナイトとそれぞれと抱き合った。
「スティング、行くぞ。今の時間を逃してならない」
「はい、お父様」
扉の近くにいるお父様が、そっと扉を開け廊下の様子を伺っていた。
すぐにお父様の側に行き、振りむくと、クルリとリューナイトに無言で促された。
「行くぞ」
お父様の小さい言葉に頷き、私はお父様の後を俯きついて行き、裏口の今は使われていない門から屋敷の外に出た。
お父様は、何も言葉などかけずただ優しく微笑み扉を閉め、鍵をかけた。
ここまで来て、躊躇っては行けないわ。
急いでその場を離れ、約束の場所へと走った。
「お嬢様」
闇夜に隠れ馬車と、人としての輪郭しか見えないその男が私に声をかけてきた。
「ザン、遅くなったわね」
「いいえ、時間通りです。はやくこちらへ」
「これを」
頷き、すぐに馬車に乗ると、文をザンに渡した。
静かに頷くとザンは馬車を降りた。その後すぐに馬の嘶きがきこえた。
「公爵令嬢様、こちらのお召し物でございます」
「ありがとう」
薄汚れた、貴族が一生乗る事もない、古ぼけた馬車の中、帝国によりフィーとカレンの身の回りで世話で来ている1人、ターニャが私に平民の服を渡してきた。
あまり会話をした事がない。
真っ直ぐの綺麗な髪に、丸顔の優しい顔立ちの女性だ。多分30代だろうが、何処かの貴族の令嬢なのだろう。召使いと言えど、帝国皇子、皇女の側にいるのだから、それ相応の立場ある人を雇っているだろう。
基本、フィーもカレンもお世話になる屋敷の召使い達が身の回りの世話をし、帝国から連れてきた召使い達はあまり手を出す事はない。
今回は私の策略の為、ヴェンツェル公爵家の召使い達を連れていく事が出来なかった為、私の面倒を見てくれる事となった。
結局、フィーとカレンを巻き込んでしまった。
2人は楽しそうにしてくれているが、本来なら他国の揉め事に、引き込むべきでは無い。
私は不安一杯の気持ちで貰った服をメイド服の上から着た。
ガタガタと酷く揺れる馬車は乗り心地は最悪で、お尻も痛かったが、これからの事もそうだが、クルリとリューナイトが心配だった。
私が王宮に出ですぐに、フィーとカレンは帝国の馬車に乗り帝国へと向かうように頼んだ。私を迎い入れるに当たって、前もって準備をしたい、という流れにしておいた。その馬車に私が帝国で過ごす為の衣服等も一緒に運んでもらっている。
私は、王宮での断罪の後、お父様と公爵様と相談しながら、これからの召使いを選出した後に、帝国へと向う、という事にしている。
だが、本当は、すぐに屋敷を出て国境を越えた貴族の屋敷でフィーとカレンと落ち合う事になっている。
まさか、断罪の後すぐに屋敷を離れるとは思いもしないだろう、と考え行動したが、案の定だ。
今こうやって屋敷の外に出たが、誰も張っていない。実際、ザンも気配はありません、と馬車に乗るまでに断言してくれた。ザンはこれからの行動を記した文をコリュ様に渡すために動いてくれている。
2日後、ヴェンツェル公爵家の馬車が、スティングを乗せ出発する。
たが、馬車中に、私はいない。
けれど、私の常に側にいるクルリと、リューナイトは、その馬車に乗る。
つまり、私がいるかのように振る舞い、2人は囮となってくれるのだ。
お父様にもこの作戦は伝え協力してもらった。今日の夕食後、これからの事を考えたいと、と私が部屋に籠るようにし、後は誤魔化してくれる。
帝国の2人が既に出発し、邪魔な存在がいないなら、
襲うしかない!
こっちも鉄板よ。
危険な賭けだと分かっているから、本当なら私が乗りたかった。でも、皆が、私に何かあれば全てが終わる、と反対された。
でも、クルリとリューナイトに何かあっても嫌だ。
襲って欲しくはない。
でも、襲ってくれたら痕跡が残り、証拠が握れる。
そんな複雑な気持ちと、
これで本当に良かったのだろうか?
といつも不安に駆られる。
王妃派を潰すのは公爵派として、叶えねばいけない願い。
でも、それは公爵派の願いであって、民の願いではない。
もし、悪事が逆に、民の為にやっている事が出てきたら、それは公爵派のエゴで終わる。
もしかして、私は何もすべきではなかったのかかもしれない。
これまで王妃派が、
「また、お暗い事を考えて凹みまくってるでしょう」
急に、冷たい言葉が降ってきて、ハッとして顔を上げるとターニャが、見下す目でため息をついていた。
「私、グジグジ考える人大っ嫌いなんです。あと、私は帝国のでは侯爵家の3女として産まれました。つまり、この国と比べたら私の方が立場的には、貴方様より上なんです」
確かに、仰る通りです。
急な変貌に驚いた。
「帝国の皇女である、カレン様の召使いに選ばれ、大変光栄に思い、その上留学まで御一緒出来た上に、皇太子様の想い人に会えると楽しみし見してきたのに、会ってみれば、良く出来たお人形さん」
グサッ。
「見た目が綺麗で、何処にでもいる貴族令嬢の心優しい気弱な女性」
グサッ。
「やっと変わったかと思えば、すぐに悪い方向に考えて凹んで暗くなる、精神的に脆弱な女性」
グサッ
「残念ですよ。皇太子のお相手にはまだまだですよ」
ハッキリ、キッパリ、それも私を真っ直ぐ見て言ってきた。
でも、わかった。
全然嫌味が無い。
「私の面倒見るように、あなたを選んだのは、フィーね?」
「そうですよ。それが何か?」
横柄な態度そのままで、不思議そうに首を傾げた。
よく見てるわ、私の事を。
この人、カレンにそっくりだ。
裏表なく、聞く人にとって嫌な気分にするだろうけど、
私には、
気持ちをあげてくれる。
戻してくれる。
ありがとう、
フィー。
「いい事言ってくれるわね。私が帝国皇太子であるフィーに相応しいなんて初めから思っていないわ。こんなに感情に左右され、悪い事ばかり思考が向くなんて、帝国の民にとって不安でしょうね」
「開き直りですか?」
「いいえ。フィーが私を想ってくれているのよ。私の意思ではなく、帝国の皇太子がね。つまり、未来の皇帝の想いをあなたは無視するの?私の一言で貴女の家が潰れるわ」
「面白い内容ですね。つまり、貴女様は皇后になるおつもりですか?」
いいわ、頭も悪くない。
「それは、フィーとカレンの周り次第だわ。2人を取り巻く全てが私を受け入れてくれるかで、私の気持ちは変わるわ」
「つまり、私の行動1つで、皇太子様の想いが成就するか、砕けるか、と聞いているのですか?」
「ふふっ、さあね。思考を広く考えない人間はいらないわ」
にっこりと微笑む私に、ターニャは睨みつけたが、急に、
「申し訳ありません!!」
頭を下げ、必死に謝罪を言い出した。
「あまりに落ち込んだ姿に惹き込まれてしまいましたが、全て私を試していた事と痛感致しました!!」
どういう意味?
「皇太子様と皇女様からあれ程、公爵令嬢様に礼儀を尽くし、逆らってはならないと助言を受けたにも関わらず、公爵令嬢様を試す事をしてしまい失礼極まりない態度、御無礼をお許し下さい!!」
はい?
「全てはその豹変と言うしかないお姿を、このような私に見せる事となり、大変御立腹なさっているのは存じ上げます!!」
はい??
全く怒ってませんよ。
逆に私を冷静にしてくれて有難いと思ったくらいだもの。
「公爵令嬢様!私に、謝罪と、今一度の誠意を見せる機会をお与え下さいませ!!」
あ、いや、その、これは、なに?
なんでそんなに怯えてるの??
「是非、是非、私、一族に生きる機会をお与え下さいませ!!」
はい!?
一族って、それは貴族としての爵位を現すよ!?
それも帝国だよ。
でも、凄く怯えてて震えてる。
えーと、つまり。
「では、私の手駒となりなさい」
この台詞しか思いつかない。
「お前の言うように皇太子は、私に想いがある。私もまたその想いに応えようとしている。カレン皇女ではなく、先を見据えるなら、誰に就くべき自ずと分かるでしょう?」
「勿論でございます、公爵令嬢様。その悪魔のようなお姿に、私は逆らいません!!」
悪魔??
また、その言葉。
その上おびえる姿と、媚びを売る姿。
うーん、本当に鏡を見るべきかしら?
その後、私はお母様とセインお兄様に王宮での事を話しながら、夕食をした。
お母様もセインお兄様も、お父様と同じように驚いたが、とても喜んでくれた。
沢山話をして、沢山笑った。
そうして部屋に戻り、夜更け、私はクルリが着ているメイド服に着替えた。
「急ぎなさい」
「はい、お父様。クルリ、リューナイト、後はお願いね」
「はい、お嬢様。任せといて下さい」
「万事お任せ下さい」
2人の自信満々の様子に、後悔という気持ちを押し込め、クルリそしてリューナイトとそれぞれと抱き合った。
「スティング、行くぞ。今の時間を逃してならない」
「はい、お父様」
扉の近くにいるお父様が、そっと扉を開け廊下の様子を伺っていた。
すぐにお父様の側に行き、振りむくと、クルリとリューナイトに無言で促された。
「行くぞ」
お父様の小さい言葉に頷き、私はお父様の後を俯きついて行き、裏口の今は使われていない門から屋敷の外に出た。
お父様は、何も言葉などかけずただ優しく微笑み扉を閉め、鍵をかけた。
ここまで来て、躊躇っては行けないわ。
急いでその場を離れ、約束の場所へと走った。
「お嬢様」
闇夜に隠れ馬車と、人としての輪郭しか見えないその男が私に声をかけてきた。
「ザン、遅くなったわね」
「いいえ、時間通りです。はやくこちらへ」
「これを」
頷き、すぐに馬車に乗ると、文をザンに渡した。
静かに頷くとザンは馬車を降りた。その後すぐに馬の嘶きがきこえた。
「公爵令嬢様、こちらのお召し物でございます」
「ありがとう」
薄汚れた、貴族が一生乗る事もない、古ぼけた馬車の中、帝国によりフィーとカレンの身の回りで世話で来ている1人、ターニャが私に平民の服を渡してきた。
あまり会話をした事がない。
真っ直ぐの綺麗な髪に、丸顔の優しい顔立ちの女性だ。多分30代だろうが、何処かの貴族の令嬢なのだろう。召使いと言えど、帝国皇子、皇女の側にいるのだから、それ相応の立場ある人を雇っているだろう。
基本、フィーもカレンもお世話になる屋敷の召使い達が身の回りの世話をし、帝国から連れてきた召使い達はあまり手を出す事はない。
今回は私の策略の為、ヴェンツェル公爵家の召使い達を連れていく事が出来なかった為、私の面倒を見てくれる事となった。
結局、フィーとカレンを巻き込んでしまった。
2人は楽しそうにしてくれているが、本来なら他国の揉め事に、引き込むべきでは無い。
私は不安一杯の気持ちで貰った服をメイド服の上から着た。
ガタガタと酷く揺れる馬車は乗り心地は最悪で、お尻も痛かったが、これからの事もそうだが、クルリとリューナイトが心配だった。
私が王宮に出ですぐに、フィーとカレンは帝国の馬車に乗り帝国へと向かうように頼んだ。私を迎い入れるに当たって、前もって準備をしたい、という流れにしておいた。その馬車に私が帝国で過ごす為の衣服等も一緒に運んでもらっている。
私は、王宮での断罪の後、お父様と公爵様と相談しながら、これからの召使いを選出した後に、帝国へと向う、という事にしている。
だが、本当は、すぐに屋敷を出て国境を越えた貴族の屋敷でフィーとカレンと落ち合う事になっている。
まさか、断罪の後すぐに屋敷を離れるとは思いもしないだろう、と考え行動したが、案の定だ。
今こうやって屋敷の外に出たが、誰も張っていない。実際、ザンも気配はありません、と馬車に乗るまでに断言してくれた。ザンはこれからの行動を記した文をコリュ様に渡すために動いてくれている。
2日後、ヴェンツェル公爵家の馬車が、スティングを乗せ出発する。
たが、馬車中に、私はいない。
けれど、私の常に側にいるクルリと、リューナイトは、その馬車に乗る。
つまり、私がいるかのように振る舞い、2人は囮となってくれるのだ。
お父様にもこの作戦は伝え協力してもらった。今日の夕食後、これからの事を考えたいと、と私が部屋に籠るようにし、後は誤魔化してくれる。
帝国の2人が既に出発し、邪魔な存在がいないなら、
襲うしかない!
こっちも鉄板よ。
危険な賭けだと分かっているから、本当なら私が乗りたかった。でも、皆が、私に何かあれば全てが終わる、と反対された。
でも、クルリとリューナイトに何かあっても嫌だ。
襲って欲しくはない。
でも、襲ってくれたら痕跡が残り、証拠が握れる。
そんな複雑な気持ちと、
これで本当に良かったのだろうか?
といつも不安に駆られる。
王妃派を潰すのは公爵派として、叶えねばいけない願い。
でも、それは公爵派の願いであって、民の願いではない。
もし、悪事が逆に、民の為にやっている事が出てきたら、それは公爵派のエゴで終わる。
もしかして、私は何もすべきではなかったのかかもしれない。
これまで王妃派が、
「また、お暗い事を考えて凹みまくってるでしょう」
急に、冷たい言葉が降ってきて、ハッとして顔を上げるとターニャが、見下す目でため息をついていた。
「私、グジグジ考える人大っ嫌いなんです。あと、私は帝国のでは侯爵家の3女として産まれました。つまり、この国と比べたら私の方が立場的には、貴方様より上なんです」
確かに、仰る通りです。
急な変貌に驚いた。
「帝国の皇女である、カレン様の召使いに選ばれ、大変光栄に思い、その上留学まで御一緒出来た上に、皇太子様の想い人に会えると楽しみし見してきたのに、会ってみれば、良く出来たお人形さん」
グサッ。
「見た目が綺麗で、何処にでもいる貴族令嬢の心優しい気弱な女性」
グサッ。
「やっと変わったかと思えば、すぐに悪い方向に考えて凹んで暗くなる、精神的に脆弱な女性」
グサッ
「残念ですよ。皇太子のお相手にはまだまだですよ」
ハッキリ、キッパリ、それも私を真っ直ぐ見て言ってきた。
でも、わかった。
全然嫌味が無い。
「私の面倒見るように、あなたを選んだのは、フィーね?」
「そうですよ。それが何か?」
横柄な態度そのままで、不思議そうに首を傾げた。
よく見てるわ、私の事を。
この人、カレンにそっくりだ。
裏表なく、聞く人にとって嫌な気分にするだろうけど、
私には、
気持ちをあげてくれる。
戻してくれる。
ありがとう、
フィー。
「いい事言ってくれるわね。私が帝国皇太子であるフィーに相応しいなんて初めから思っていないわ。こんなに感情に左右され、悪い事ばかり思考が向くなんて、帝国の民にとって不安でしょうね」
「開き直りですか?」
「いいえ。フィーが私を想ってくれているのよ。私の意思ではなく、帝国の皇太子がね。つまり、未来の皇帝の想いをあなたは無視するの?私の一言で貴女の家が潰れるわ」
「面白い内容ですね。つまり、貴女様は皇后になるおつもりですか?」
いいわ、頭も悪くない。
「それは、フィーとカレンの周り次第だわ。2人を取り巻く全てが私を受け入れてくれるかで、私の気持ちは変わるわ」
「つまり、私の行動1つで、皇太子様の想いが成就するか、砕けるか、と聞いているのですか?」
「ふふっ、さあね。思考を広く考えない人間はいらないわ」
にっこりと微笑む私に、ターニャは睨みつけたが、急に、
「申し訳ありません!!」
頭を下げ、必死に謝罪を言い出した。
「あまりに落ち込んだ姿に惹き込まれてしまいましたが、全て私を試していた事と痛感致しました!!」
どういう意味?
「皇太子様と皇女様からあれ程、公爵令嬢様に礼儀を尽くし、逆らってはならないと助言を受けたにも関わらず、公爵令嬢様を試す事をしてしまい失礼極まりない態度、御無礼をお許し下さい!!」
はい?
「全てはその豹変と言うしかないお姿を、このような私に見せる事となり、大変御立腹なさっているのは存じ上げます!!」
はい??
全く怒ってませんよ。
逆に私を冷静にしてくれて有難いと思ったくらいだもの。
「公爵令嬢様!私に、謝罪と、今一度の誠意を見せる機会をお与え下さいませ!!」
あ、いや、その、これは、なに?
なんでそんなに怯えてるの??
「是非、是非、私、一族に生きる機会をお与え下さいませ!!」
はい!?
一族って、それは貴族としての爵位を現すよ!?
それも帝国だよ。
でも、凄く怯えてて震えてる。
えーと、つまり。
「では、私の手駒となりなさい」
この台詞しか思いつかない。
「お前の言うように皇太子は、私に想いがある。私もまたその想いに応えようとしている。カレン皇女ではなく、先を見据えるなら、誰に就くべき自ずと分かるでしょう?」
「勿論でございます、公爵令嬢様。その悪魔のようなお姿に、私は逆らいません!!」
悪魔??
また、その言葉。
その上おびえる姿と、媚びを売る姿。
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