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53公爵派のお茶会4

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またまた、お茶を入れ直し、皆様が席に着き、やっと、和やかなお茶会が始まった。
「でも、スティング様とても変わりましたね。元々綺麗でしたが、今、とても可愛らしい時があります。あ、勿論、聡明さはより一層引きたっますよ。あんなクズ王子からやっと離れてくれたのです」
ん?クズ王子?
また、何処かで聞いた言葉だわ。
サリュート様のはっきりした言葉に、戸惑いながら微笑んだ。
「殿下を本当に愛していると知っておりましたので、見守るくらいしか私達には出来ませんでしたが、今の方がとても綺麗です」
おっとりした口調で言ってくれたニルギル様の嬉しい言葉に、意外にも他のお2人もすぐに頷かれ、驚いた。
「私がですか?」
お世話でパーティーや夏祭りの露天で言われたけれど、そんな事真面目な顔で言われた事はない。
「スティング様はご自分の容姿に無頓着なのです」
サリュート様に首傾げるしか無かった。
「そうです。学園でも凄い人気あるんですよ!でも、殿下の婚約者、という立場なので皆声を出さないのですが、今回の殿下から離れる、という内容から、結構ざわついてるんですよ!」
ここぞばかりに語気を強めるスルジニア様に驚いた。
「・・・嘘でしょう?」
そんな事聞いた事ないもの。
「本当に、御自分を理解していないのですね。勿体無いです!とっても綺麗で、可愛い上に、気品もあって、私達の憧れなんですよ!でも、今は、すっごく嬉しいです!!だって、あの顔だけいい殿下からやっと離れて下さって、とても輝いていますもの!!」
スルジニア様の言葉に、苦笑いしか出なかった。
「そうですわ。前よりも綺麗になったような気がしますねもの。やはり殿下がスティング様を駄目にしていたのです」ニルギル様
「その通りですね。帝国皇子様と皇女様と御一緒におられてもひけを取らないと、と専ら大学で噂を聞くのですが、どうなのですか、スルジニア様」サリュート様
「見応え十分です!今は御一緒に住まわれているから、良く御一緒の所を見かけるのですが、高貴なオーラがバンバン出てますよ!王妃派なんて、怖がって近づかないし、公爵派は崇敬の意を込めて、立ち止まり会釈しますもの!!」
そう言われて見れば、最近そんな感じだったわね。
「それはフィー皇子様とカレン皇女様が側にいるからそう思うだけですわ。私などまだまだでございます」
「でも、凄く仲良さそうです。そう言えば御屋敷に来られる前から仲良くなっておりましたよね?何かきっかけがあったのですか?」
え!?
「あ・・・いえ・・・その趣味が合ったというか・・・何と言うか・・・」
いや、違うな。私ではなく、クルリだものね。いやでも、あまり話したくない内容だわ。
恥ずかしいもの。
「趣味?そう言えば、スティング様の趣味は何ですか?聞いた事ありませんね」
「そうですか?私は本を読む事が好きでなのです。特に推理物が好きなのです」
「私もです!実は・・・前々から読んでいた本に出てくる登場人物に似ていると思っていたのですが」
・・・何か何処かで聞いた言葉が・・・。
いえいえ、まさかね。
そわそわしてしまい、お茶をごくごくと飲み、あえて目線を逸らすように、お菓子を見た。
「私も読んでいますよ。弟が面白いと行っていて読んだのですが、私も実は同じことを思ってましたスルジニア様」   サリュート様               
ぐっ、とお茶を詰めそうになった。
「私は読んだことは無いのですが、知ってます。と言うよりも表紙を見た時、似てますわ、と思いましたよ」ニルギル様。
え!?
顔を上げるととても嬉しい顔で皆様が私を見て、当然ながらビビの話となり、恥ずかしかったが、皆様がクルリが色を染め結ってくれた髪が可愛いとか、
褒めて下さって嬉しかった。
本当に楽しいお茶会だった。
これまで形式的な挨拶に言葉を交わすくらいで、こんなに打ち解けて話をすことなどなかったのに、他愛のない話ばかりしていた。
趣味の話から、何が好きなのか、学園での愚痴、お茶会
私に余裕がなかったのだろう。殿下の事ばかりに気持ちを寄せすぎ、他の事に気持を分ける余裕がなかつた。
どれだけ自分が心の狭い世界に生き、満足していていたのか、気付かされる。
どれだけの人が、自分に手を差しだしてくれていたのか、見向きもせず違う方向ばかりを見ていたのかを、気付かされる
特にこのお3人は、公爵派として中心的な立場を担っている貴族のお子様達だ。
歳の近い方々が集められたのではなく、公爵様達が厳選し選抜した上で、私の事を大事に扱って下さる事が選ばれた最大の理由だ。
口が固く、正式な場での振る舞いは他の令嬢に比べ群を抜く。
だからこそ、
手駒として選んだのだ。
期待に答えるように、
頑張ろう。
そうして、今のように笑えたらいい。
お茶会はとても楽しく、帰るのが、名残りおしかった。それは私だけでなく皆様も同じ気持ちを思ってくれていたようで、定期的に集まる約束をした。
帰る馬車の中、考えた。
さて、
と。
これで私が本気で動き出した、と何処まで噂が流れるかしら。
初めに流れた場所で、誰が1番口が軽いかわかる。勿論皆様、精鋭揃いと思っているが、実際は動かしてみなければわからないもの。
味方は多いに越したことはないが、それだけ足元をすくわれる危険性も出てくる。
下手な事は言えない。
だから、レインの事も言わなかったし、お父様にも口止めした。
「リューナイト、これから忙しくなるわ」
「御意」
私の真正面に座るリューナイトが、綺麗でいて剣呑な目をさせながら無表情で返事した。
屋敷に帰ってすぐに文を書き、リューナイトに渡した。
それと、幾つかの買い物を頼んだ。


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